相続登記DIYシリーズ、久しぶりの更新です。
第1回〜第3回を公開したのは2023年12月でした。その後、2026年10月5日から相続登記の申請書の書き方が変わりました。
とはいえ、ご安心ください。変わったのは「相続人」の欄と「添付情報」の欄の2か所だけです。
今回は、紙の申請書で申請する方に向けて、法務省が公開している新しい記載例に沿って変更点だけを解説します。第2回で申請書を作った方は、この回で答え合わせをしてから提出してください。
何が変わったのか
| ① | 相続人の欄に4項目が増えました 氏名ふりがな・生年月日・国籍等・メールアドレスを書きます。 |
| ② | 添付情報が1つ増えました 「国籍を証する情報」を書き加えます。ただし、日本国籍の方は新しく集める書類はありません。 |
| ③ | 書くのは「申請する相続人」だけ 不動産を取得しない相続人や、申請人にならない相続人の分は書かなくて大丈夫です。 |
登記の目的、原因、課税価格、登録免許税、不動産の表示の書き方は、これまでと変わりません。
なぜ変わったのか
2026年4月から、不動産の名義人の住所や氏名が変わったときの変更登記が義務になりました。
あわせて、登記所が定期的に住基ネットを検索して住所や氏名の変更を把握し、名義人にメールで了解をとったうえで、登記所の側で変更登記をしてくれる仕組みが始まっています(海外にお住まいの方は対象外です)。
そのために必要なのが、ふりがな・生年月日・メールアドレスです。相続登記をするときに、これらを一緒に法務局へ伝えておく、というのが今回の変更の趣旨です。
国籍等の欄は2026年10月5日から加わりました。詳しくは第77回「相続人が海外にいる」「相続人が外国籍」――相続登記はどこが違う?で解説しています。
相続人の欄はこう書きます
法務省の記載例をもとにすると、相続人の欄は次のようになります。
○○郡○○町○○34番地
法務一郎 印
氏名ふりがな ほうむ いちろう
生年月日 昭和45年6月7日
国籍等 日本
メールアドレス abcdefg123@example.com
連絡先の電話番号 00-0000-0000
赤字の4行が新しく増えた部分です。1つずつ見ていきます。
■ 氏名ふりがな
氏名の読みをひらがなで書きます。住民票の写しに書かれている氏名のとおりに書いてください。
■ 生年月日
記載例と同じく、和暦で書けば大丈夫です。
■ 国籍等
日本国籍の方は「日本」と書きます。
■ メールアドレス
ここは少し注意が必要です。
- ✔ご本人だけが使っているアドレスを書きます。ご家族のアドレスを代わりに書くことはできません。
- ✔兄弟2人で2分の1ずつ相続する場合など、申請人が複数いるときは、それぞれ別のアドレスを書きます。同じアドレスを書くと、法務局から修正を求められます。
- ✔メールアドレスを持っていない方、普段ほとんどメールを見ない方は「メールアドレスなし」と書けば大丈夫です。私も実務ではそう書いています。
なお、この4項目は「申し出るもの」とされていて、書かずに出すと法務局から書くように連絡が来ることがあります。申し出ないと書いて出すこともできますが、その場合、将来住所や氏名が変わったときにはご自分で変更登記をすることになります。特別な理由がなければ、書いておくことをおすすめします。
⚠ 4項目を書くのは、申請する相続人だけです
第2回でお話ししたとおり、申請書の「相続人」の欄に書くのは、不動産の名義を取得する方です。不動産を取得しない相続人の分は書きません。2人で相続して2人とも申請人になる場合は、2人分をそれぞれ書きます。
添付情報はこう書きます
第2回では、添付情報は「登記原因証明情報」と「住所証明情報」の2つを書けばOK、とお伝えしていました。10月5日からは、ここに1つ書き加えます。
登記原因証明情報 住所証明情報 国籍を証する情報
「書類が1つ増えるの?」と思われるかもしれませんが、日本国籍の方は新しく集める書類はありません。相続人であることを証明するために出す、相続人の戸籍謄抄本で兼ねられるからです。
相続人が外国籍の場合は、国籍が記載された住民票の写しなどが必要になります。こちらも第77回をご覧ください。
書類集めで気をつけたいこと
申請書に生年月日を書くようになったことで、生年月日を確認できる書類も必要になりました。といっても、通常は住所証明として出す書類で兼ねられます。
注意したいのは戸籍の附票です。令和4年1月11日より前に取得した戸籍の附票の写しには、生年月日が書かれていません。これを住所証明として使う場合は、別に住民票の写しが必要になります。
住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)を住所証明にする場合は、生年月日が載っているので心配いりません。以前に集めた古い書類が手元にある方は、念のため確認してください。
変わっていないところ
登記の目的、原因、課税価格、登録免許税、不動産の表示の書き方は、第2回のとおりで大丈夫です。印刷して、収入印紙を貼って、法務局へ提出し、完了書類を受け取るまでの流れも第3回のとおりです。
1点だけ訂正があります。第2回で、評価額100万円以下の土地の登録免許税の免税を「令和7年3月31日まで」とお伝えしていましたが、この措置は延長されていて、現在は令和9年(2027年)3月31日までです。詳しくは第75回「その土地、登録免許税が0円かもしれません」で解説しています。
申請書のひな形も新しくしました
当事務所のホームページで公開している「相続登記申請書 ひな形」を、新しい書式に差し替えました。Word版とPDF版があります。
申請書式ダウンロード → 『不動産の相続登記で必要な書式一覧』 → 『相続登記申請書 ひな形』
以前にダウンロードしたひな形は古い書式です。これから申請する方は、新しいひな形をお使いください。
提出前のチェックリスト
- ✔相続人の欄に、氏名ふりがな・生年月日・国籍等・メールアドレス(または「メールアドレスなし」)を書いた
- ✔住所・氏名・ふりがなは住民票の写しのとおりに書いた
- ✔申請人が2人以上いる場合は、全員分を書き、メールアドレスはそれぞれ別のものにした
- ✔添付情報に「国籍を証する情報」を書き加えた
- ✔住所証明に使う書類に生年月日が載っている(古い戸籍の附票ではない)
- ✔評価額100万円以下の土地がある場合は、免税の根拠条文を書いた(第2回参照)
今回はここまでです。変わったところさえ押さえれば、あとはこれまでどおり進められます。迷える相続登記DIYチャレンジャーの皆様の一助となれば幸いです。
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