第71回 千葉の豪雨と「残クレ」――ローンを残したまま、ご他界されてしまったら

2026年8月13日から14日にかけて、千葉県を記録的な豪雨が襲いました。被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

こんにちは、司法書士事務所TOKITOの時任です。冠水した道路に何百台もの車が取り残された映像を、ご覧になった方も多いと思います。報道を見ながら私が思ったのは、「あの中には、まだローンが残っている車も相当あるだろう」ということでした。

車が使えなくなっても、ローンは消えません。では、そのローンを抱えたご本人が亡くなったら、残りの支払いは誰がするのか。今回は災害をきっかけに、「車のローンと相続」について、司法書士の立場からお話しします。

路上に残された車、約2,700台

📊 令和8年8月千葉豪雨をめぐる数字

・道路上に残された車両:約2,700台(県・千葉市への取材にもとづく報道)
・JAFが受け付けた冠水関連の救援要請:3,871件(8月16日までの受付分・速報値)
・車両保険の加入率:全国47.4%/千葉県50.5%/茨城県43.9%(2025年3月末時点)

まず押さえておきたいのが、車両保険は任意加入だということです。すべての車に加入が義務づけられている自賠責保険は、人身事故の被害者を救済するための保険ですから、ご自分の車が水につかっても補償されません。車両保険に入っていなければ、修理費も買い替え費用も自己負担が原則になります。

そして目を引くのが、茨城県の加入率が43.9%と、全国平均を下回っていることです。つくば市のように車が生活の足になっている地域で、半数以上が未加入。これは決して他人事の数字ではないと感じます。

その車、本当に「あなたのもの」ですか

近年よく耳にするのが「残クレ」、正式には残価設定型クレジットです。数年後の下取り価格をあらかじめ「残価」として据え置き、その差額を分割で払う仕組みで、月々の負担を抑えられるのが特徴です。日本自動車工業会の「2025年度 乗用車市場動向調査」によれば、新車購入者のうち残価設定・据置型ローンを利用した人は1割台半ば。新車の平均購入価格は331万円だそうです。

ここで、ぜひ一度ご自宅の車検証(自動車検査証)の「所有者」欄を見てみてください。残クレやディーラーローンの場合、この欄がご自分の名前ではなく、信販会社や販売店の名前になっていることが少なくありません。

これを所有権留保といいます。ローンを完済するまで、車の所有権は信販会社等に残したままにしておく、という約束です。つまり乗っている方は法律上「使用者」であって、所有者ではない。この一点が、後々の手続きに大きく効いてきます。

ここからが本題――契約者が亡くなったら、残債は誰が払うのか

相続というと、預貯金や不動産といったプラスの財産を思い浮かべる方が多いのですが、民法896条は「一切の権利義務を承継する」と定めています。借金などのマイナスの財産も、当然に引き継ぐということです。車のローンも例外ではありません。

しかも、ここには相談の現場でよく誤解される点が3つあります。

1
「長男が全部払う」と家族で決めても、それだけでは足りない
金銭債務は、遺産分割協議を待たず、相続開始と同時に法定相続分どおりに分かれて各相続人に承継されます。相続人同士の取り決めは有効ですが、それを信販会社(債権者)に対して主張することはできません。債権者の承諾がなければ、ほかのご兄弟にも請求が及ぶ可能性があります。
2
車がなくなっても、債務は残る
水没して廃車になった車でも、残債務そのものは相続の対象です。「乗れない車のローン」と「新しく買う車のローン」を同時に抱える、という事態も起こり得ます。
3
所有権留保がついていると、車を動かせない
車検証の所有者が信販会社のままでは、相続人への名義変更も、売却も、廃車手続きも進みません。完済して所有権解除を受けるのが先になります。全損や盗難の場合に一括返済を求める契約もありますので、まずは契約書の確認と、販売店・信販会社への問い合わせが出発点です。

相続放棄を考えるなら、「3か月」と「うっかり」に注意

明らかに債務のほうが多い、というときには相続放棄という選択肢があります。放棄が認められれば、はじめから相続人でなかったものとみなされ、残クレの残債も引き継ぎません。

ただし期限があります。自分のために相続が開始したことを知った時から3か月(民法915条)。この間に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。そして、この3か月のあいだにやってはいけないことがあります。

⚠ 放棄を検討中の「やってはいけない」

・車を売却したり、廃車手続きをしたりする

・車の名義を相続人に変更する

・故人の預貯金を引き出して使ってしまう

これらは「相続財産の処分」にあたり、単純承認したものとみなされるおそれがあります(民法921条1号)。いったんそうみなされると、あとから放棄することはできません。

「3か月では財産の全体像がつかめない」という場合は、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てることができます。過去には東日本大震災の際、特例法によって熟慮期間が延長された例もありました。被災された状況では、まず期限を延ばす手立てがないかを検討するのが定石です。

見落とされがちな「車両保険金」の扱い

もう一つ、意外と知られていないのが保険金の扱いです。

生命保険金は、受取人が指定されていれば受取人固有の財産となり、相続放棄をしても受け取れるのが原則です。ところが車両保険は、車という「物」の損害を補償する保険ですから、支払われる保険金は相続財産に含まれます

つまり、相続放棄を検討している段階で車両保険金を受け取って使ってしまうと、これも単純承認とみなされるおそれがあるということです。同じ「保険金」でも扱いがまったく違いますので、手続きの順番を間違えないようにしてください。

災害は、隠れていた「名義」の問題をあぶり出す

災害が起きると、ふだんは見えていなかった名義の問題が、一気に表面化します。車もそうですが、より深刻なのは不動産です。

被災した実家の名義が、何年も前に亡くなったお父さまのままになっている。この状態では、解体も売却も、思うように進みません。相続登記は2024年4月から義務化され、「相続を知った日から3年以内」という期限も設けられました。

そしてこういう場面では、相続人同士で意見が割れることがあります。「修理して残したい」「もう売ってしまいたい」「そんなお金は出せない」——。本格的な争いにまで至れば弁護士の領域ですが、その手前で意見をすり合わせ、必要な調査をして、手続きの形に落とし込むところは、私たち司法書士がお手伝いできる部分です。連絡が取れない相続人がいる、長年疎遠で今さら自分からは話しかけにくい――そうしたご相談も、これまで数多くお受けしてきました。

まとめ:今日、車検証を1枚見てみてください

災害がいつ来るかは、誰にも分かりません。それでも、今日のうちにできる備えはあります。

✓ 車検証の「所有者」欄を確認する(信販会社の名前になっていないか)

✓ 車両保険に入っているか、補償の範囲はどこまでかを確認する

✓ ローンの契約書の保管場所を、家族が分かるようにしておく

✓ 誰が、どこと、どんな契約を抱えているかを家族で共有しておく

とくに最後の一つが大切です。ご本人が亡くなったあと、残されたご家族が「どこの会社と、いくらの契約をしていたのか分からない」という状態から始めるのは、本当に骨が折れます。逆に言えば、紙一枚の情報共有が、ご家族の負担を大きく減らします。

つくば市を中心に21年間、2,000件を超えるご相談をお受けしてきました。「これは相続に関係あるのだろうか」という段階のご相談で結構です。どうぞお気軽にお声がけください。

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【参考】損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」2025年度版(2025年3月末時点)/日本自動車工業会「2025年度 乗用車市場動向調査」/令和8年8月千葉豪雨に関する各報道(放置車両台数・JAF救援要請件数)

第70回 「うちは普通の家だから」――その安心こそ、”争族”のはじまりかもしれません

お盆やお正月に家族が集まると、ふと「実家はこの先どうなるんだろう」と頭をよぎることはありませんか。

こんにちは、司法書士事務所TOKITOの時任です。つくば市を中心に相続のご相談を21年間、2,000件以上お受けしてきました。その中でよく耳にするのが、「うちは資産家じゃないから、相続でもめるなんて無縁ですよ」というお言葉です。ですが実は、その"普通の家"こそ注意が必要だ、というのが私の正直な実感です。

この記事では、最新の司法統計をもとに、なぜ一般的なご家庭ほど相続トラブルになりやすいのか、そして元気なうちにできることを、司法書士の視点でわかりやすく解説します。

もめている家の約8割は「遺産5,000万円以下」

📊 最高裁判所「令和6年 司法統計年報(家事編)」より

・家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち、遺産額5,000万円以下が約78%
・解決まで1年以上かかった事件が約3割(3件に1件)

「争いになるのはお金持ちの家だけ」というイメージとは、むしろ逆なのです。ごく一般的なご家庭でこそ、遺産の分け方をめぐって話がこじれてしまう。数字がそれをはっきり示しています。金額の大小ではなく、「どう分けるか」でつまずくのが相続だと、私は考えています。

こじれると長い――解決まで「1年以上」が3件に1件

いったんもめると、解決までに時間がかかります。同じ司法統計では、家庭裁判所での手続きが「1年以内」に終わるのは全体の約7割。裏を返せば、およそ3件に1件は、解決まで1年以上かかっています。

その間、預貯金の解約や不動産の名義変更といった手続きも進めにくくなり、残されたご家族の生活にも影響が出かねません。感情のもつれが絡むほど、短期間では終わらない――これが相続の難しいところです。

なぜ"普通の家"ほどもめるのか

理由はシンプルで、多くのご家庭の財産の中心が「不動産」だからです。特に、主な遺産が「自宅の土地・建物だけ」という場合、これは非常に分けにくい財産です。

  • 現金なら等分できるが、一軒の家を3等分することはできない
  • 誰かが住み続ければ、他のきょうだいには何も残らない
  • その結果、分け方をめぐって不公平感が生まれやすい
  • 持ち家の多いつくばエリアでも、決して他人事ではない

金額の問題ではなく、「分けにくい不動産をどう扱うか」が、円満に相続できるかどうかの大きな分かれ道になります。

では、元気なうちに何ができるのか

「もめてから」では、選べる手段が限られてしまいます。だからこそ、生前の"設計"が大切です。

正直に申し上げると、いったん本当の"争い"にまで発展した案件は、代理人として交渉にあたる弁護士の領域です。ただ、その一歩手前――「まだもめてはいないけれど、放っておくと危ういかもしれない」という段階の準備や、相続人どうしの意見の調整であれば、司法書士がお役に立てます。私たちでは、弁護士や税理士の力が必要な場面でも、連携してご案内する窓口の役割を担っています。

具体的に、司法書士事務所TOKITOがお手伝いできるのは次のようなことです。

1
遺言書の作成サポート
「誰に何を遺すか」をあらかじめ形にしておき、分け方の迷いをなくします。
2
家族信託・任意後見
判断能力が落ちた後の管理や承継の仕組みを、元気なうちに用意しておきます。
3
相続登記の手続き
2024年4月から義務化されました。期限は「相続を知った日から3年以内」です。
4
相続財産・相続人の調査
財産の全体像と相続人を確定し、後のトラブルの芽を防ぎます。
5
相続全般の相談窓口
「何から始めればいいかわからない」という段階から、ご相談に応じます。

「連絡がつかない相続人がいる」ときこそ、ご相談を

相続の現場で意外と多いのが、「相続人の中に、長年連絡を取っていない人がいる」というケースです。

⚠ こんなお悩み、よくいただきます

・疎遠になっていて、今さら自分から連絡するのは気が引ける

・住所も分からず、どこにいるのかも把握できていない

・何を考えているのか見当もつかず、話を切り出せない

遺産分割は、相続人全員がそろわないと前に進みません。かといって放置すれば、相続登記の義務化もあり、後々ご自身やお子さんの負担になってしまいます。司法書士は、戸籍をたどって相続人を確定し、所在を調べ、話し合いの土台を整えるところからお手伝いできます。「誰に、どう声をかければいいのか分からない」――そんな段階こそ、まずは司法書士にお任せください。

まとめ:いちばんの対策は「元気なうちの話し合い」

相続トラブルは、財産の多い少ないではなく、「分けにくい財産をどうするか」「家族で情報を共有できているか」で決まります。そして最大の予防策は、親御さんがお元気なうちに、家族で少しずつ話をしておくことです。

「実家はどうするつもりか」「どんな財産があるのか」――それを共有しておくだけでも、いざというときの手続きは驚くほどスムーズになります。家族が顔をそろえる帰省の機会に、ぜひ一度、将来の話をしてみてください。

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【参考】最高裁判所「令和6年 司法統計年報(家事編)」

第69回 相続放棄が過去最多32.4万件|「負動産」時代に知っておきたい相続対策のすべて

「相続」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。親から受け継ぐ財産、家族の思い出が詰まった実家、先祖代々の土地…。相続は本来、財産を次の世代へ引き継ぐ大切な営みです。

しかし今、日本では「相続を放棄する」方が急増しています。2025年の相続放棄件数は、前年比5%増の32.4万件と過去最多を記録しました。

こんにちは、司法書士事務所TOKITOの時任です。つくば市を中心に相続のご相談を21年間、2,000件以上お受けしてきましたが、この数字の伸び方には正直驚いています。なぜこれほど多くの方が、相続を手放す選択をしているのでしょうか。その背景にあるのが「負動産」問題です。

この記事では、司法書士の視点から、相続放棄が増えている理由と、40代から70代の方が今知っておきたい相続対策について、わかりやすく解説します。

「負動産」とは?なぜ相続したくない不動産が増えているのか

負動産の定義

「負動産」とは、所有することで経済的・精神的負担が発生し、売却や活用が困難な不動産を指します。具体的には、次のようなものが当てはまります。

  • 地方の空き家・実家:遠方で管理が困難、買い手がつかない
  • 老朽化したマンション:管理費・修繕積立金が高額、資産価値の低下
  • 山林・農地:売却困難、固定資産税の負担のみ
  • 市街化調整区域の土地:建物が建てられず、活用方法がない
  • 境界未確定の土地:測量費用がかかり、売却時にトラブルの元

こうした不動産は、相続しても維持費や税金ばかりがかかり、利益を生みません。むしろ「負の遺産」として、相続人に重い負担を強いることになるのです。

なぜ負動産が増えているのか

負動産が増えている背景には、次のような社会構造の変化があります。

1
少子高齢化と人口減少
地方を中心に人口が減少し、不動産需要が低下しています。かつては価値があった土地も、今や買い手がつかない状況です。
2
都市部への人口集中
子世代は都市部で生活し、親の実家がある地方には戻らないケースが増えています。遠方の不動産を相続しても、管理のために頻繁に通うことは現実的ではありません。
3
空き家問題の深刻化
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は約900万戸(2023年時点、過去最多)に達しています。放置された空き家は、倒壊リスクや防犯面での問題を引き起こし、地域社会にも悪影響を及ぼします。
4
不動産の維持コスト増加
固定資産税、都市計画税、火災保険、修繕費、草刈り費用…。不動産を所有するだけで、年間数十万円の費用がかかることも珍しくありません。

こうした理由から、「相続しても負担になるだけ」と判断し、相続放棄を選択する方が増えているのです。つくば市近郊でも、遠方の実家をどうするかというご相談は、ここ数年で確実に増えている印象があります。

相続放棄とは?メリットとデメリットを理解する

相続放棄の基本知識

⚠ 期限は「3か月以内」

相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産を一切受け継がない手続きです。相続開始を知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。相続放棄をすると、プラスの財産(預貯金、不動産など)も、マイナスの財産(借金、負債など)も、すべて放棄することになります。

相続放棄のメリット

  • 負債を引き継がなくて済む:借金や保証債務がある場合に有効
  • 負動産を避けられる:管理困難な不動産を相続せずに済む
  • トラブルから距離を置ける:相続争いに巻き込まれるリスクを回避

相続放棄のデメリット

  • すべての財産を放棄する:不動産だけを放棄することはできない
  • 取り消しができない:一度放棄すると、原則として撤回不可
  • 次順位の相続人に影響:放棄すると、兄弟姉妹など次の順位の人が相続人になる可能性がある

相続放棄の注意点

相続放棄は慎重に判断すべき手続きです。特に次の点に注意しましょう。

⚠ 判断前に確認したいこと

財産全体を把握してから判断する:不動産以外に預貯金などがある場合、それも放棄対象になります。

他の相続人との調整:放棄することで他の相続人に影響が出る場合があります。

期限を守る:3か月の期限を過ぎると、原則として放棄できなくなります。

相続放棄以外の選択肢:負動産への対処法

相続放棄だけが唯一の選択肢ではありません。次のような対処法も検討できます。

1. 相続土地国庫帰属制度の活用

2023年4月から始まった制度で、一定の要件を満たす土地を国に引き取ってもらうことができます。

📌 対象となる土地の主な要件

建物がない土地/担保権が設定されていない/境界が明確/崖地などの危険な土地でない など

手数料は、審査手数料に加えて10年分の管理費相当額の負担金がかかります。相続放棄と違い、土地だけを手放すことができるため、他の財産は受け継げるメリットがあります。

2. 遺産分割協議での調整

相続人が複数いる場合、遺産分割協議で不動産以外の財産を受け取る方法もあります。例えば、次のような分け方です。

  • 兄が不動産を相続し、弟は預貯金を相続する
  • 不動産を売却して現金化し、分割する(換価分割)
  • 一人が不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払う(代償分割)

3. 不動産の売却・活用を検討

「売れない」と思い込んでいる不動産も、専門業者に相談すれば買い取ってもらえる場合があります。また、次のような活用方法もあります。

  • 空き家バンクへの登録:自治体が運営する制度で、移住希望者とマッチング
  • 賃貸物件として活用:リフォームして賃貸に出す
  • 解体して更地にする:駐車場や太陽光発電用地として活用

4. 相続放棄ではなく「限定承認」

限定承認とは、相続財産の範囲内で負債を支払う方法です。プラスの財産が残れば受け取れるため、負債がどれくらいあるか不明な場合に有効です。ただし、相続人全員が共同で手続きする必要があり、手続きが複雑なため、専門家のサポートが不可欠です。

司法書士事務所TOKITOができる相続サポート

相続には、法律・税務・不動産の知識が必要です。特に負動産が絡む相続は、一人で判断するのは難しいものです。私たち司法書士事務所TOKITOでは、次のような相続サポートを行っています。

1
相続放棄の手続き代行
家庭裁判所への申述書作成から提出まで、迅速にサポートします。3か月の期限に間に合うよう、スケジュール管理も行います。
2
遺産分割協議書の作成
相続人全員が納得できる遺産分割協議書を作成し、後のトラブルを防ぎます。
3
相続登記の手続き
不動産を相続した場合、2024年4月から義務化された相続登記を代行します。期限は「相続を知った日から3年以内」です。
4
相続財産の調査
被相続人の財産を調査し、全体像を把握します。隠れた負債や不動産がないか、しっかり確認します。
5
相続全般の相談窓口
「何から始めればいいかわからない」という方のために、相続全般のご相談に応じます。

今すぐできる相続対策:40代〜70代の方へ

相続対策は、早ければ早いほど選択肢が広がります。

親世代(60代〜70代)がすべきこと

  • 財産目録の作成:不動産、預貯金、株式などをリスト化
  • 遺言書の作成:誰に何を相続させるか明確にする
  • 負動産の整理:生前に売却や処分を検討
  • 家族との話し合い:相続について子世代と情報共有

子世代(40代〜50代)がすべきこと

  • 親の財産状況の確認:どんな不動産があるか把握する
  • 負動産リスクの確認:相続したくない不動産があるか確認
  • 専門家への相談:司法書士や税理士に早めに相談
  • 相続シミュレーション:相続税や手続きの流れを事前に理解

まとめ:負動産時代の賢い相続対策

相続放棄が過去最多を記録した背景には、「負動産」という深刻な社会問題があります。しかし、相続放棄だけが唯一の選択肢ではありません。相続土地国庫帰属制度、遺産分割協議、不動産の売却・活用など、さまざまな方法があります。

大切なのは、早期に情報を把握し、専門家と一緒に最適な選択をすることです。私たち司法書士事務所TOKITOは、相続登記や遺産分割協議書の作成だけでなく、相続全体の戦略設計をサポートしています。

「うちは大丈夫」と思っていても、いざ相続が発生すると想定外のトラブルが起こることも少なくありません。40代から70代の皆さん、今こそ親御さんやご自身の相続について、一度立ち止まって考えてみませんか。

あなたとご家族の未来を守るために、私たちが全力でサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

相続放棄・負動産のご相談は
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相続放棄の手続き、相続財産調査、相続登記まで、経験豊富な司法書士がサポートします。初回相談は無料です。

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第68回 2026年最新|金融機関の「相続手続き一括対応(みらいたすく)」とは?司法書士が本当に知っておいてほしいポイント

こんにちは、司法書士事務所TOKITOの時任です。

2026年4月、金融業界で大きな発表がありました。SMBC日興証券、三井住友信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、大和証券グループ本社、野村ホールディングスという大手金融機関7社と、システム開発を担うNTTデータなどが、相続手続きを一元化するプラットフォーム「みらいたすく(仮称)」を作るための基本合意を結んだというニュースです。予定では2026年秋頃に運営会社を設立し、2027年夏頃に一部地域で試験導入、2028年秋頃に全国展開ということですから、実際に私たちの手元に届くのはもう少し先の話になりそうです。

それでも、つくば市を中心に相続のご相談を21年間、2,000件以上お受けしてきた立場から見ると、この動き自体は歓迎したいと思っています。ただ、司法書士としてどうしてもお伝えしておきたいことがあります。それは「手続きが楽になる」ことと「相続問題が解決する」ことは、まったく別の話だということです。

この記事では、40代・50代の方がご自身やご両親の相続について今から知っておくべきポイントを、なるべく専門用語を使わずにお伝えします。

1. 金融機関の相続手続き一括対応とは?「みらいたすく」の概要

従来の相続手続きの課題:何度も同じ書類を集める苦労

これまで、親が亡くなった後の相続手続きは、想像以上に大変でした。

たとえば、亡くなった方が次のような口座を持っていたとします。

  • A銀行の普通預金
  • B証券会社の株式口座
  • C信託銀行の投資信託

この場合、それぞれの金融機関ごとに、戸籍謄本一式、印鑑証明書、遺産分割協議書といった書類を用意し、窓口に出向いて手続きをする必要がありました。窓口では何時間も待たされることが珍しくなく、平日に仕事を休んで対応された方も少なくありません。私自身、そうしたご苦労を伺う機会が本当に多くありました。

新制度でどう変わる?期待されている3つのメリット

「みらいたすく」では、以下のようなメリットが期待されています。

1
書類の提出が1回で済む
従来は金融機関ごとに必要だった戸籍謄本や印鑑証明書を、オンラインで1セット提出すれば複数の金融機関に対応できるようになる見込みです。
2
把握できていなかった口座の発見につながる
「亡くなった親が、どこにいくつ口座を持っていたかわからない」というのは、相続の現場で本当によく聞くお悩みです。一定範囲で口座の一括照会ができるようになれば、忘れられていた地方支店の口座や、昔作ったまま放置されていた証券口座が見つかる可能性も高まります。
3
手間と時間の大幅な短縮
オンラインでの手続きが可能になれば、窓口での長時間待機が不要になります。お仕事が忙しい方や、遠方に住んでいるご家族にとっては大きな負担軽減になるはずです。

2. それでも残る「法律上の相続問題」

相続手続きと相続問題は別物である

ここで大事なのは、「金融機関の手続きが終わること」と「相続問題が解決すること」は、まったく別の話だということです。

新しい制度は、あくまで「事務手続きの効率化」であり、次のような法律上の問題を解決してくれるわけではありません。

  • 誰が相続人なのか(相続人調査)
  • 財産と借金はどれだけあるのか(相続財産調査)
  • 誰が何を相続するのか(遺産分割協議)
  • 遺留分や特別受益の問題
  • 相続税の申告と納税

これらは専門家のサポートなしに正しく対応するのが難しい、非常にデリケートな問題です。ここから先は、私がこれまでのご相談で実際によくお受けしてきた内容を中心にご説明します。

3. 相続人調査:認知された子や前妻の子が後から判明するリスク

相続人調査とは?戸籍をさかのぼる大事な作業

相続人調査とは、「法律上、誰が相続する権利を持っているのか」を確定するための調査です。亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍を取り寄せ、配偶者の有無、子どもの人数(認知された子を含む)、親や兄弟姉妹の存在などを確認していきます。

実務でよくあるケース:前妻の子が後から現れる

実務でよくあるのが、「再婚していて、前妻との間に子どもがいた」というケースです。この場合、前妻の子も法定相続人であり、遺産分割協議に参加する権利があります。

相続人調査を怠り、一部の相続人を除外したまま遺産分割協議を進めてしまうと、その協議は無効になってしまいます。後から「私も相続人です」と名乗り出られた場合、すべてやり直しになるだけでなく、感情的な対立に発展するリスクも高まります。私も、戸籍を丁寧に追いかけたことで思わぬご事情が判明した案件を何度も経験してきました。

4. 相続財産調査:借金や保証債務の見落としが命取りに

プラスの財産だけでなくマイナスの財産も調査が必要

相続財産調査では、預金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金や保証債務といったマイナスの財産も漏れなく調べる必要があります。

相続放棄の期限は3か月:判断を誤ると取り返しがつかない

⚠ 相続放棄には「3か月」の期限があります

借金が多い場合には「相続放棄」という選択肢があります。ただし相続放棄には「相続の開始を知った日から3か月以内」という厳格な期限があります。この期限を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなり、借金を背負うことになってしまいます。

また、相続財産を処分してしまうと、相続を承認したとみなされ、後から相続放棄ができなくなる「法定単純承認」に該当してしまうリスクもありますので、ご注意ください。

5. 遺産分割協議:全員の合意が必要な高いハードル

遺産分割協議とは?相続人全員で話し合う手続き

遺産分割協議とは、相続人全員で「誰が何を相続するのか」を話し合い、合意する手続きです。ここで重要なのは、相続人全員の合意が必要だということ。一人でも反対すれば、協議は成立しません。

遺産分割協議が揉める典型的なパターン

実務でよく見られるのは、次のようなケースです。

  • 「長男だから実家を相続したい」vs「平等に分けるべき」
  • 「親の介護をしたのは私だけ」vs「法定相続分は平等」
  • 「生前に多額の援助を受けた兄弟がいる」(特別受益の問題)

こうした感情的な対立が絡むと、話し合いは長期化し、最悪の場合は家庭裁判所での調停や審判に発展します。私の感覚では、財産の多い少ないよりも、こうした感情のもつれの方がこじれやすいという印象があります。

6. 遺留分・特別受益・寄与分:言葉の意味を正しく理解する

遺留分とは?一定の相続人に保障された最低限の取り分

遺留分とは、法律で保障された「最低限もらえる相続分」のことです。たとえば「全財産を長男に相続させる」という遺言が残っていても、他の子どもには遺留分を請求する権利があります。遺留分侵害額請求は、相続の開始及び侵害があったことを知った時から1年以内に行う必要がありますので、期限には注意が必要です。

特別受益とは?生前に受けた援助が相続に影響する

特別受益とは、生前に親から特別な援助(住宅購入資金、事業資金など)を受けた場合、それを相続財産に持ち戻して計算する制度です。「兄は家を建ててもらったのに、私は何ももらっていない」といった不公平感が、相続トラブルの火種になることがあります。

寄与分とは?介護などの貢献への配慮

寄与分とは、被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人に対し、相続分に上乗せして財産を分配する制度です。「私だけが親の介護をしていたのに、相続は平等なんて納得できない」という思いは、寄与分として考慮される可能性があります。

7. 相続税の申告期限:10か月以内に申告しないとペナルティ

相続税の申告期限は厳守:遅れると重いペナルティ

⚠ 申告期限は「10か月以内」

相続税の申告期限は、「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」です。この期限を過ぎると、配偶者控除や小規模宅地等の特例が使えなくなったり、延滞税や加算税が課されたりと、重大な不利益が生じます。

相続税がかかるかどうかの判断も専門家に相談を

📌 相続税の基礎控除 3,000万円+600万円×法定相続人の数

「うちは資産家じゃないから相続税は関係ない」と思っている方も多いのですが、不動産を持っているだけで、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるケースは珍しくありません。自己判断で放置せず、早めに税理士に相談することをおすすめします。

8. 実務でよく見るケース:手続きはスムーズだったのに紛争に発展した例

📌 守秘のため内容は一部変更していますが、実務でたびたび見かけるパターンを一つご紹介します。

ケース:認知された子からの遺留分請求

父親を亡くしたAさん(50代男性)は、金融機関の窓口手続きをスムーズに終えることができました。しかし数か月後、父が生前に認知していた子どもから「遺留分を請求します」という通知が届きます。Aさんはその方の存在を知らず、相続人調査が不十分なまま遺産分割を進めてしまっていたのです。

結果として、家庭裁判所での調停、解決金の支払い、そして家族関係の悪化という事態に発展してしまいました。

教訓:事務手続きと法律問題は別物

この例が示すように、「金融機関の手続きが終わった=相続が完了した」ではありません。法律上の問題を見落とすと、後から取り返しのつかない事態を招くリスクがあります。

9. 司法書士が伝えたい:今からできる相続対策

親が元気なうちに「資産の見える化」を

相続対策は、親が元気なうちに始めることが何より大切です。具体的には、次のような情報を家族全員で共有しておくことをおすすめします。

  • 親がどんな財産を持っているか(預金、不動産、株式など)
  • 借金や保証債務はないか
  • 遺言書は作成しているか
  • 相続税がかかる可能性はあるか

専門家への早めの相談が安心への第一歩

相続は、法律・税務・不動産など、複数の専門分野が絡む問題です。司法書士は相続登記や遺産分割協議書の作成を、税理士は相続税の申告を、弁護士は遺産分割調停や遺留分請求の対応を、それぞれ専門としています。私たちの事務所でも、必要に応じて信頼できる税理士や弁護士と連携しながらサポートしていますので、早めにご相談いただくことで、後悔のない相続につながります。

10. まとめ:相続DXの時代だからこそ、法律の知識が重要

2026年から動き出す金融機関の相続手続き一括対応「みらいたすく」は、確かに画期的な取り組みです。ですがそれはあくまで「事務手続きの効率化」であり、相続問題の本質的な解決には、法律の知識と専門家のサポートが欠かせません。

40代・50代の皆さんには、今から親御さんとの対話を始め、「資産の見える化」をしておくことで、将来の相続トラブルを未然に防いでいただきたいと思います。「まだ早い」ではなく「今だからこそ」、少しずつ準備を始めてみませんか。

相続は、ご家族の絆を守るための大切なプロセスです。気になることがあれば、どうぞお早めにご相談ください。

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第67回 生前贈与の「7年ルール」、結局どう変わったのか。つくばの司法書士が整理してみました

「年間110万円までなら贈与税がかからない」

生前対策のご相談にいらっしゃる方の多くが、この話をご存じです。ただ、2024年1月から生前贈与の持ち戻しルールが変わったことまで正確に把握されている方は、実はそれほど多くありません。「7年ルールって聞いたけど、うちはどうなるの?」というご質問を、最近よくいただきます。

つくば市で司法書士をしている時任です。今回は、この「7年ルール」について、できるだけ専門用語を使わずに整理してみようと思います。すでに動き出している方も、これから考える方も、まずは現状を正しく知ることから始めましょう。

生前贈与が相続対策になる理由

生前贈与とは、生きているうちに財産を家族に渡しておくことです。相続税は亡くなった時点の財産総額にかかりますから、生前に少しずつ財産を減らしておけば、その分相続税の負担も軽くなります。

贈与税には年間110万円の基礎控除があり、この範囲内なら贈与税はかかりません。これを毎年コツコツ続けるのが「暦年贈与」で、生前対策としてはもっとも基本的な方法です。ここは今回の改正でも変わっていません。

2024年の改正で変わったのは「持ち戻し期間」

今回の改正の本題はここです。亡くなる前の一定期間に行った贈与は、相続財産に「持ち戻して」相続税を計算するというルールがあり、この期間が3年から7年に延びました。

「せっかく生前贈与したのに、結局相続財産に足し戻されるなら意味がないのでは」と思われるかもしれませんが、これは「亡くなる直前に慌てて贈与して相続税を逃れる」ことを防ぐための仕組みです。裏を返せば、7年より前の贈与であれば、これまで通り相続財産に加算されません。だからこそ「早く始めるほど有利」なのです。

実際にはいつから7年になるのか

ここが誤解されやすいところなのですが、2024年1月1日にいきなり7年ルールがフル適用されたわけではありません。対象となるのは2024年1月1日以降に行われた贈与のみで、そこから段階的に持ち戻し期間が延びていきます。

相続が発生した時期 持ち戻し期間
2024年1月1日〜
2026年12月31日
従来通り3年
2027年1月1日〜
2030年12月31日
2024年1月1日から死亡日までが対象
(3年〜7年弱)
2031年1月1日以降 完全に7年間が対象

たとえば2027年7月に相続が発生した場合、対象となるのは2024年1月1日からの約3年6か月分の贈与です。2018年や2019年の贈与まで遡って持ち戻されるわけではありません。完全に7年分が持ち戻し対象になるのは、2031年以降に発生する相続からです。

つまり、今(2026年)の時点で亡くなった場合の持ち戻し期間は、実はまだ3年のままです。

ただし、これから先は年を追うごとに対象期間が広がっていきますので、「まだ3年だから」と先延ばしにする理由にはなりません。むしろ、この移行期間のうちに贈与を始めておくほど、7年を超えて非課税になる部分を増やせるということでもあります。

110万円の基礎控除自体はなくなっていません

誤解されがちなのですが、年間110万円までの基礎控除そのものは廃止されていません。

  • 年間110万円以下の贈与には贈与税がかからない
  • 申告も不要
  • 贈与自体はこれまで通りできる

変わったのは、相続が発生したときに「何年前までの贈与を相続財産に足し戻すか」という部分だけです。贈与のやり方が変わったわけではなく、後から見返される期間が長くなった、と理解していただくのが一番わかりやすいと思います。

延長された4年分には100万円の控除がある

持ち戻し期間が延びた分、税負担が急に重くなりすぎないよう、緩和措置も用意されています。延長された4年間(相続開始前3年超〜7年以内)に受けた贈与については、その期間の合計から100万円まで控除できます。「毎年100万円」ではなく、4年分まとめて100万円という点にご注意ください。

例:2031年に相続が発生し、亡くなる7年前から毎年100万円ずつ贈与を受けていた場合
直近3年分(合計300万円) 全額を加算
それより前の4年分(合計400万円) 100万円控除
→ 300万円を加算
加算額の合計 600万円

このように、延長された期間の分だけ、多少の緩和が効く設計になっています。

孫への贈与は、原則として持ち戻しの対象外

これは知っておいていただきたいポイントです。7年ルールの持ち戻し対象になるのは、「相続または遺贈により財産を取得する人」です。通常、孫は相続人ではないため、孫への贈与は持ち戻しの対象になりません。

⚠ ただし、次のケースでは孫も対象になります
  • 遺言で孫に財産を遺贈する場合
  • 孫が代襲相続人になる場合(親であるあなたのお子様が先に亡くなっている場合)
  • 孫を養子にしている場合

この仕組みを踏まえると、お子様だけでなくお孫様への贈与も選択肢に入れることで、持ち戻しの影響を受けにくい形で財産を渡していくことができます。

相続時精算課税制度にも110万円の基礎控除が新設された

暦年贈与と並んで選択肢になるのが「相続時精算課税制度」です。60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与税がかからず、贈与財産は相続時に相続財産へ加算して精算する制度です。

2024年1月から、この制度にも年間110万円の基礎控除が新設されました。この110万円以下の部分については、

  • 贈与税がかからない
  • 相続時にも加算されない
  • 申告も不要

となり、暦年贈与の基礎控除とは別枠で使えます。将来値上がりが見込まれる財産(自社株や収益不動産など)は相続時精算課税で早めに評価額を固定し、それ以外の財産は暦年贈与で少しずつ、という組み合わせ方がよく使われます。どちらが有利かは財産の種類や家族構成によって変わりますので、迷ったらご相談ください。

世代別に、今できることを整理してみます

制度の話だけでは実感が湧きにくいと思いますので、世代ごとに今から取り組めることを挙げてみます。

40代の方(ご両親の相続対策をサポートする世代)
  • ご両親と、相続について話す機会を持つ
  • ご両親からお子様(お孫様)への贈与を検討する
  • ご両親が認知症になる前に、家族信託の活用を検討する
  • 2024年4月から義務化された相続登記について、未登記の不動産がないか確認する
50代〜60代の方(親御さんとご自身、両方の相続を考える世代)
  • 7年ルールを意識して、早めに生前贈与を始める
  • 遺言書を作成する(公正証書遺言がおすすめです)
  • 家族信託を検討する
  • 使っていない不動産の整理・売却を検討する
  • 生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用する
70代の方(具体的な対策を実行していく世代)
  • 遺言書の作成・見直し
  • 相続時精算課税制度の活用を検討する
  • 家族信託による財産管理を検討する
  • 任意後見契約を検討する

⚠ なお、以前は孫への教育資金の一括贈与(最大1,500万円まで非課税)も生前対策の定番としてご案内していましたが、この制度は令和8年(2026年)3月末で新規の拠出ができなくなりました。すでに拠出済みの資金は引き続き非課税で使えますが、これから新たに始めることはできませんので、ご注意ください。

生前贈与だけで終わらせないことが大切です

相続対策は、生前贈与だけで完結するものではありません。私たちが「点ではなく設計図で考える」とお伝えしているのはこのためで、いくつかの対策を組み合わせて初めて、ご家族にとって無理のない形になります。

家族信託

認知症になると、ご本人の預金や不動産が実質的に動かせなくなってしまいます。家族信託を組んでおけば、判断能力が低下した後も、信頼できるご家族が財産を管理・活用できます。

遺言書

遺言があれば、ご自身の意思通りに財産を分けられ、残されたご家族の間でのトラブルも防ぎやすくなります。2025年10月からは公正証書遺言の作成手続きがデジタル化され、要件を満たせばご自宅からオンラインで作成できる「リモート方式」も利用できるようになりました。ただし、本人確認や意思確認の重要性は変わらず、すべてのケースでリモート方式が使えるわけではありません。

生命保険

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。相続税対策として使い勝手のよい方法です。

不動産の整理

使っていない不動産は、生前に売却する、共有状態を解消しておくなど、早めに手を打っておくことでご家族の負担を減らせます。

よくいただくご質問

Q

今から生前贈与を始めても意味はありますか?

A

十分意味があります。持ち戻し期間は「亡くなる前の一定期間」ですから、早く始めれば始めるほど、その期間を超えた贈与は相続財産に加算されません。今(2026年時点)であれば、持ち戻し期間はまだ実質3年ですので、動き出すなら早いに越したことはありません。

Q

孫への贈与は本当に持ち戻されないのですか?

A

原則としてその通りです。ただし、遺言で孫に財産を遺贈する場合や、孫が代襲相続人になる場合などは対象になりますので、個別に確認することをおすすめします。

Q

贈与の証拠は残しておくべきですか?

A

必ず残してください。贈与契約書を作成し、現金の手渡しではなく銀行振込で記録を残すことが重要です。手渡しの現金贈与は、税務署に「名義預金(実質的には本人の預金)」と判断されるリスクがあります。

Q

相続時精算課税制度と暦年贈与、どちらがいいですか?

A

ご家族の状況によって異なります。将来値上がりが見込まれる財産は相続時精算課税、そうでない財産は暦年贈与が有利になりやすい傾向はありますが、一概には言えません。財産の内容や家族構成をお伺いした上で、一緒に考えさせてください。

おわりに

2024年の改正で持ち戻し期間は7年に延びましたが、これは「生前贈与に意味がなくなった」ということでは決してありません。むしろ、今のうちから動き始めれば、その分だけ非課税になる財産を増やせるということでもあります。

この記事のポイント
  • 110万円の基礎控除は今も有効
  • 実質的な持ち戻し期間が7年に近づいていくのはこれから
  • 孫への贈与は原則として持ち戻しの対象外
  • 相続時精算課税制度にも110万円の基礎控除が新設された
  • 生前贈与に加えて、家族信託や遺言など他の対策も組み合わせることが大切

ご家族の財産状況やお考えによって、最適な組み合わせ方は一つひとつ違います。「そろそろ考えないと」と思われた今が、ちょうどよいタイミングです。

私たち司法書士事務所TOKITOは、難しい言葉を使わず、ご家族に合った形をご一緒に考えることを大切にしています。まずはお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料でお受けしています。

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この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。実際の相続税・贈与税の計算や申告については、税理士など専門家への確認もあわせてお願いいたします。