「相続」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。親から受け継ぐ財産、家族の思い出が詰まった実家、先祖代々の土地…。相続は本来、財産を次の世代へ引き継ぐ大切な営みです。

しかし今、日本では「相続を放棄する」方が急増しています。2025年の相続放棄件数は、前年比5%増の32.4万件と過去最多を記録しました。

こんにちは、司法書士事務所TOKITOの時任です。つくば市を中心に相続のご相談を21年間、2,000件以上お受けしてきましたが、この数字の伸び方には正直驚いています。なぜこれほど多くの方が、相続を手放す選択をしているのでしょうか。その背景にあるのが「負動産」問題です。

この記事では、司法書士の視点から、相続放棄が増えている理由と、40代から70代の方が今知っておきたい相続対策について、わかりやすく解説します。

「負動産」とは?なぜ相続したくない不動産が増えているのか

負動産の定義

「負動産」とは、所有することで経済的・精神的負担が発生し、売却や活用が困難な不動産を指します。具体的には、次のようなものが当てはまります。

  • 地方の空き家・実家:遠方で管理が困難、買い手がつかない
  • 老朽化したマンション:管理費・修繕積立金が高額、資産価値の低下
  • 山林・農地:売却困難、固定資産税の負担のみ
  • 市街化調整区域の土地:建物が建てられず、活用方法がない
  • 境界未確定の土地:測量費用がかかり、売却時にトラブルの元

こうした不動産は、相続しても維持費や税金ばかりがかかり、利益を生みません。むしろ「負の遺産」として、相続人に重い負担を強いることになるのです。

なぜ負動産が増えているのか

負動産が増えている背景には、次のような社会構造の変化があります。

1
少子高齢化と人口減少
地方を中心に人口が減少し、不動産需要が低下しています。かつては価値があった土地も、今や買い手がつかない状況です。
2
都市部への人口集中
子世代は都市部で生活し、親の実家がある地方には戻らないケースが増えています。遠方の不動産を相続しても、管理のために頻繁に通うことは現実的ではありません。
3
空き家問題の深刻化
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は約900万戸(2023年時点、過去最多)に達しています。放置された空き家は、倒壊リスクや防犯面での問題を引き起こし、地域社会にも悪影響を及ぼします。
4
不動産の維持コスト増加
固定資産税、都市計画税、火災保険、修繕費、草刈り費用…。不動産を所有するだけで、年間数十万円の費用がかかることも珍しくありません。

こうした理由から、「相続しても負担になるだけ」と判断し、相続放棄を選択する方が増えているのです。つくば市近郊でも、遠方の実家をどうするかというご相談は、ここ数年で確実に増えている印象があります。

相続放棄とは?メリットとデメリットを理解する

相続放棄の基本知識

⚠ 期限は「3か月以内」

相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産を一切受け継がない手続きです。相続開始を知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。相続放棄をすると、プラスの財産(預貯金、不動産など)も、マイナスの財産(借金、負債など)も、すべて放棄することになります。

相続放棄のメリット

  • 負債を引き継がなくて済む:借金や保証債務がある場合に有効
  • 負動産を避けられる:管理困難な不動産を相続せずに済む
  • トラブルから距離を置ける:相続争いに巻き込まれるリスクを回避

相続放棄のデメリット

  • すべての財産を放棄する:不動産だけを放棄することはできない
  • 取り消しができない:一度放棄すると、原則として撤回不可
  • 次順位の相続人に影響:放棄すると、兄弟姉妹など次の順位の人が相続人になる可能性がある

相続放棄の注意点

相続放棄は慎重に判断すべき手続きです。特に次の点に注意しましょう。

⚠ 判断前に確認したいこと

財産全体を把握してから判断する:不動産以外に預貯金などがある場合、それも放棄対象になります。

他の相続人との調整:放棄することで他の相続人に影響が出る場合があります。

期限を守る:3か月の期限を過ぎると、原則として放棄できなくなります。

相続放棄以外の選択肢:負動産への対処法

相続放棄だけが唯一の選択肢ではありません。次のような対処法も検討できます。

1. 相続土地国庫帰属制度の活用

2023年4月から始まった制度で、一定の要件を満たす土地を国に引き取ってもらうことができます。

📌 対象となる土地の主な要件

建物がない土地/担保権が設定されていない/境界が明確/崖地などの危険な土地でない など

手数料は、審査手数料に加えて10年分の管理費相当額の負担金がかかります。相続放棄と違い、土地だけを手放すことができるため、他の財産は受け継げるメリットがあります。

2. 遺産分割協議での調整

相続人が複数いる場合、遺産分割協議で不動産以外の財産を受け取る方法もあります。例えば、次のような分け方です。

  • 兄が不動産を相続し、弟は預貯金を相続する
  • 不動産を売却して現金化し、分割する(換価分割)
  • 一人が不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払う(代償分割)

3. 不動産の売却・活用を検討

「売れない」と思い込んでいる不動産も、専門業者に相談すれば買い取ってもらえる場合があります。また、次のような活用方法もあります。

  • 空き家バンクへの登録:自治体が運営する制度で、移住希望者とマッチング
  • 賃貸物件として活用:リフォームして賃貸に出す
  • 解体して更地にする:駐車場や太陽光発電用地として活用

4. 相続放棄ではなく「限定承認」

限定承認とは、相続財産の範囲内で負債を支払う方法です。プラスの財産が残れば受け取れるため、負債がどれくらいあるか不明な場合に有効です。ただし、相続人全員が共同で手続きする必要があり、手続きが複雑なため、専門家のサポートが不可欠です。

司法書士事務所TOKITOができる相続サポート

相続には、法律・税務・不動産の知識が必要です。特に負動産が絡む相続は、一人で判断するのは難しいものです。私たち司法書士事務所TOKITOでは、次のような相続サポートを行っています。

1
相続放棄の手続き代行
家庭裁判所への申述書作成から提出まで、迅速にサポートします。3か月の期限に間に合うよう、スケジュール管理も行います。
2
遺産分割協議書の作成
相続人全員が納得できる遺産分割協議書を作成し、後のトラブルを防ぎます。
3
相続登記の手続き
不動産を相続した場合、2024年4月から義務化された相続登記を代行します。期限は「相続を知った日から3年以内」です。
4
相続財産の調査
被相続人の財産を調査し、全体像を把握します。隠れた負債や不動産がないか、しっかり確認します。
5
相続全般の相談窓口
「何から始めればいいかわからない」という方のために、相続全般のご相談に応じます。

今すぐできる相続対策:40代〜70代の方へ

相続対策は、早ければ早いほど選択肢が広がります。

親世代(60代〜70代)がすべきこと

  • 財産目録の作成:不動産、預貯金、株式などをリスト化
  • 遺言書の作成:誰に何を相続させるか明確にする
  • 負動産の整理:生前に売却や処分を検討
  • 家族との話し合い:相続について子世代と情報共有

子世代(40代〜50代)がすべきこと

  • 親の財産状況の確認:どんな不動産があるか把握する
  • 負動産リスクの確認:相続したくない不動産があるか確認
  • 専門家への相談:司法書士や税理士に早めに相談
  • 相続シミュレーション:相続税や手続きの流れを事前に理解

まとめ:負動産時代の賢い相続対策

相続放棄が過去最多を記録した背景には、「負動産」という深刻な社会問題があります。しかし、相続放棄だけが唯一の選択肢ではありません。相続土地国庫帰属制度、遺産分割協議、不動産の売却・活用など、さまざまな方法があります。

大切なのは、早期に情報を把握し、専門家と一緒に最適な選択をすることです。私たち司法書士事務所TOKITOは、相続登記や遺産分割協議書の作成だけでなく、相続全体の戦略設計をサポートしています。

「うちは大丈夫」と思っていても、いざ相続が発生すると想定外のトラブルが起こることも少なくありません。40代から70代の皆さん、今こそ親御さんやご自身の相続について、一度立ち止まって考えてみませんか。

あなたとご家族の未来を守るために、私たちが全力でサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

相続放棄・負動産のご相談は
つくば市の司法書士事務所TOKITOへ

相続放棄の手続き、相続財産調査、相続登記まで、経験豊富な司法書士がサポートします。初回相談は無料です。

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受付時間:8:30〜18:00(月〜金)

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