こんにちは。つくば市の司法書士、時任です。

相続登記DIYシリーズの第6回です。第3回の最後に「次回は法定相続情報一覧図について」と予告しておきながら、申請書の様式変更(第4回)や所有不動産記録証明書(第5回)を先にお届けすることになり、ずいぶんお待たせしてしまいました。

今回は、法定相続情報一覧図を「取ったほうがいい人」「取らなくてもいい人」の見分け方と、自分で取る場合の手順を解説します。

法定相続情報一覧図とは

相続の手続きでは、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍と、相続人全員の戸籍を、手続き先ごとに提出するのが基本です。銀行、証券会社、法務局……と窓口が増えるたびに、同じ戸籍の束を出しては返してもらう、の繰り返しになります。

この戸籍の束を一度法務局に提出し、相続関係を1枚の図にまとめたもの(法定相続情報一覧図)を出すと、登記官が確認したうえで、認証文の付いた写しを交付してくれます。これが法定相続情報証明制度です。以後の手続きでは、戸籍の束の代わりにこの写しを使えます。

手数料は無料です(戸籍を取る費用や郵送料は別にかかります)。写しは、相続手続きに必要な通数を出してもらえます。

取ったほうがいい人・取らなくてもいい人

便利な制度ですが、全員が取る必要はありません。私は次のように考えています。

取ったほうがいい 不動産のほかに、銀行の預貯金や証券など、種類の違う財産が複数ある場合。手続き先が増えるほど、戸籍の束を出し直す手間が省けます。複数の窓口へ同時に手続きを進められるのも利点です。
取らなくてもいい 相続する財産が不動産だけで、手続き先が法務局1か所の場合。第1回〜第3回の手順どおり、戸籍の束で相続登記を申請すれば足ります。戸籍のコピーが大変なら、相続関係説明図を付ければ戸籍のコピーは省略できます(第3回で解説しています)。

ここに注意

一覧図の写しでどこまで手続きできるか、ほかにどんな書類が要るかは、提出先(銀行など)ごとに異なります。事前に提出先へ確認してください。

また、亡くなった方や相続人が日本国籍を持っていないなどの理由で戸籍を提出できない場合は、この制度は利用できません。

一覧図でできること・できないこと

一覧図は、あくまで戸籍の記載から分かる相続関係を証明するものです。ここは誤解の多いところなので、押さえておいてください。

  • ✔戸籍の束の代わりとして、相続登記や預貯金の払戻しなどに使えます(年金等の手続きにも使えます)
  • ✔相続放棄をした人も、一覧図には載ります
  • ✔誰が何を相続するか(遺産分割の内容)は載りません。遺産分割協議書や相続放棄の書類は別に必要です

必要書類

書類 取得先など
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本本籍地の市区町村役場
亡くなった方の住民票の除票(取れない場合は戸籍の附票)最後の住所地の市区町村役場
相続人全員の戸籍謄本(抄本)各相続人の本籍地の市区町村役場
申出人の本人確認書類(運転免許証の表裏のコピー、マイナンバーカードの表面のコピー、住民票の写しなど)コピーには「原本と相違ない」旨を書き、記名します
(一覧図に相続人の住所を書く場合)各相続人の住民票の写しなど印鑑証明書や戸籍の附票でも可
(代理人に頼む場合)委任状など代理できるのは親族や司法書士などの資格者

兄弟姉妹が相続人になる場合などは、亡くなった方の両親の戸籍も必要になることがあります。戸籍の集め方は、第59回のステップ1(広域交付の使い方)で詳しく解説しています。

なお、本人確認書類として出したものは、戸籍と違って返却されません。住民票の原本を手元に残したいときは、原本とコピーを一緒に出すようにしてください。

一覧図を作る

一覧図は、法務局ではなく申出をする人が自分で作ります。当事務所の「申請書式ダウンロード」ページに、相続人の組み合わせ別(子のみ、配偶者と子、配偶者と父母、配偶者と兄弟姉妹など)のひな形を用意していますので、ご利用ください。最新の様式や記載例は、法務局のページでもご確認いただけます。

作るときのポイントは次のとおりです。

  • ✔A4縦の白い紙を使い、下から約5cmは空けておきます(法務局が認証文を付ける場所です)
  • ✔パソコンで入力するか、黒のボールペンではっきり書きます(消せるボールペンは不可)
  • ✔亡くなった方の「最後の住所」は、住民票の除票(または戸籍の附票)のとおりに書きます。「最後の本籍」の記載は任意です
  • ✔続柄は「子」ではなく、「長男」「長女」など戸籍のとおりに書くのがおすすめです。「子」「配偶者」と書くと、相続税の申告に使えない場合があります
  • ✔申出人になる相続人の名前の横に「(申出人)」と書き添えます
  • ✔最後に作成日と、作成者の住所・氏名を書きます

相続人の住所を書くかどうかは任意です。書く場合は住民票の写しなどが必要になりますが、その後の相続登記などで住民票の提出が不要になることがあります。相続登記もご自分でやるつもりなら、書いておくと後が楽です。書かない場合は、ひな形の「住所」の行を削除してください。

申出書を書いて、法務局に出す

申出書も、当事務所のひな形(記入例付き)をご利用いただけます。こちらも最新の様式は法務局のページでご確認ください。

① 申出先を選ぶ
次のいずれかを管轄する法務局に出せます。
・亡くなった方の本籍地 ・亡くなった方の最後の住所地
・申出人の住所地 ・亡くなった方名義の不動産の所在地
② 利用目的にチェックする
不動産登記、預貯金の払戻し、相続税の申告など。「その他」に書く場合は、単に「相続手続」ではなく「株式の相続手続」のように具体的に書きます。
③ 通数と受け取り方法を書く
通数は、手続きに必要な限度で書きます。窓口で受け取るか、郵送で受け取るかを選びます。
④ 不動産の有無を書く
亡くなった方名義の不動産がある場合は「有」にチェックし、不動産の所在か不動産番号を書きます。複数あっても1つ書けば足ります(ただし、不動産の所在地の法務局に出す場合は、その法務局の管轄内の不動産を書きます)。
⑤ 提出する
窓口に持参するか、郵送で出します。郵送で受け取る場合は、返信用の封筒と切手を同封します。

書類に不足や誤りがあると、法務局から連絡が来ます。窓口で受け取る場合は、申出書に書いた住所・氏名と同じものが載った運転免許証などを持っていきます。

受け取り忘れに注意

申出の日から3か月以内に一覧図の写しと返却される戸籍などを受け取らないと、廃棄されてしまいます。苦労して集めた戸籍ですので、忘れずに受け取ってください。

受け取ったあとの使い方

相続登記で使う場合は、登記申請書に法定相続情報番号(一覧図の写しの右上に書かれた番号)を書けば、一覧図の写しを付けなくても大丈夫です。第2回で解説した申請書の「添付情報」の書き方と合わせてご確認ください。

銀行などで使う場合は、戸籍の束の代わりに一覧図の写しを出します。前に書いたとおり、ほかに必要な書類は提出先ごとに違いますので、事前に確認してください。

あとで写しが足りなくなっても、一覧図は法務局で5年間保管されるので、その間は再交付を受けられます。ただし、再交付を受けられるのは最初の申出書に「申出人」として名前を書いた人だけで、申出先も最初に出した法務局です。相続人のうち誰が窓口役になるかは、最初に決めておくとスムーズです。

動画でも解説しています

当事務所のYouTubeチャンネルで、「【10分で分かる!】自分でやる法定相続情報一覧図」を公開しています。文章より動画のほうが分かりやすいという方は、「自分でやるシリーズ」のページからご覧ください。

▶ 自分でやるシリーズ(動画)

自分でやるのが難しいときは

戸籍が何十通にもなる、相続人に兄弟姉妹や甥・姪が入って関係が複雑、といった場合は、一覧図の作成でつまずきやすくなります。銀行の手続きも含めてまとめて進めたい方は、お気軽にご相談ください。

相続手続きのご相談は司法書士事務所TOKITOへ

戸籍の収集から、法定相続情報一覧図の作成、相続登記、預貯金の手続きまで対応します。

TEL 029-875-5991

受付 8:30〜18:00(月〜金)/土日祝休み

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