[不動産登記レアケース13] 数次相続と代襲相続が繰り返されている

不動産登記

相続登記義務化に伴い、過去の手つかずの相続が掘り起こされる中で増えてくるかと思います。
相続登記をしないままに次々と相続が発生する。代襲相続と数次相続の連続。
このようなケースに遭遇される方もいるのではないでしょうか。

今回ご紹介するケースがご参考になれば幸いです。

登場人物

被相続人Aは昭和48年に他界された後、被相続人Aの配偶者がB、子がD。Dの配偶者はC、子がEとF、Cには養子Gがいます。GはDとは縁組をしていません。FGは夫婦です。FGには、子HとIがいます。

ご依頼者様の要望は、A名義の不動産をG名義にしたい。

相続関係

Aは、昭和48年に他界
Bは、昭和63年に他界
Dは、昭和54年に他界
Fは、平成27年に他界
Cは、令和5年に他界

各相続での相続人

それぞれの相続を整理すると、
被相続人Aの相続人 BとD
被相続人Bの相続人 EとF
被相続人Dの相続人 CとEとF
被相続人Fの相続人 GとHとI
被相続人Cの相続人 EとGとHとI
この5つの相続に分けられます。

問題点

厳密に、登記手続きを行うとすると
Aにつき、亡B亡Dへの相続登記
亡Bにつき、E亡Fへの相続登記
亡Dにつき、亡CE亡Fへの相続登記、、、、。
このように続けていく形かと思います。
これはあまりにご依頼者様への負担が大きく現実的ではないと考えました。

解決

そこで相続人全員の方から聞き取りさせて頂いた結果、
それぞれの相続に関して、生前に遺産分割協議があったことが判明しました。

その結果、遺産分割証明書を作成して、過去に遺産分割協議は成立していたが
相続登記に至ることなく、現在に至ってしまったという事実を証明する書類を作成しました。

具体的には
被相続人Aが他界した時、Dが単独で相続する旨の協議が成立していた。
またDが他界した時、Cが単独で相続する旨の協議が成立していた。
Cが他界した時、Gが単独で相続する旨の協議が成立していた。

こういう内容の遺産分割証明書を作成し、現在生存しているEGHIに署名捺印を頂きました。

遺産分割証明書も公開しておりますので、ご参考にして下さい。

[不動産登記レアケース12] 表示登記と名変

こんな内容を掲載しています
不動産の表示に関する登記と住所変更・/土地・建物の表示変更の登記/建物滅失/地目変更/相続

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、そんなWEBが欲しくて立ち上げました。あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、法務局へ照会されることを前提としております。誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?というご質問や却下になったじゃないか!という苦情には対応しておりません。皆様の業務が円滑に進むことを願います。

代表司法書士 時任裕

土地家屋調査士さんの分野になりますが知っておいて損はないと思います。ご参考までに。

※土地・建物の表示変更の登記は、その所有者に不動産登記法による申請義務が課せられて
おり、所有者の表示が登記簿上のそれと符合しない場合でも、原則として所有者の表示の
変更(更正)証明書を添付すれば、前提としての登記名義人の表示変更 (更正) 登記をす
ることなく、土地・建物の表示変更の登記申請をすることができる。

※地目変更の登記を申請するに当たって、 申請者の住所が登記簿上のそれと異なる場合でも、
申請者は名義人の表示変更または更正の登記をすることなく、変更(更正)を証する書面
を添付して地目変更の登記をすることができる。
(302 71, 394 253)

※建物滅失(または土地滅失)の登記を申請する場合に、所有者の住所が変更して登記簿と
符合しないときでも、その変更または更正を証する書面を添付すれば、直接、滅失の登記
ができる。
(登研13・28)

※表題部に記載された所有者または所有権の登記名義人から “住所の変更を証する書面”を
添付して、(名変) 登記を省略して直接分筆の登記の申請があった場合、 便宜、受理して
差し支えない。
(登研581・146)
◎従来は登記必要説(登研429124) が有力であったが、 後掲示する最近の論説等は、かな
り“名変更登記省略肯定” の傾向にあり、しかも、上記質疑応答がその直後に発表され
たことからしても、当局の実務取扱は当該質疑応答のとおり変更されたものと判断して差
し支えないと思う。
民事法務 「登記のページ」 平成3年11月号
登記研究「カウンター相談」 平成7年10月号
登記研究「実務座談会 (1)」 平成8年1月号
【実務取扱】
変更を証する書面を添付すれば、 新住所を記載した委任状を以って直接、分筆の登記の申
請をすることができる。
ただし、分筆した土地への転写事項としては、あくまでも分筆される土地=元番に記載さ
れている住所【旧住所】が転写される。
名義人の表示変更 (更正) の登記と土地分筆の登記とを併せて申請する場合には、名義人
の表示変更(更正) 登記を先にすべきである。

※不動産の合併合筆の登記を申請する場合に、当該登記名義人の表示が住所移転等により
変更しているときは、 前提として、 登記名義人の表示変更の登記をすべきである。
(登研364・79、380・80)

※被相続人名義の土地で、登記簿上の住所の表示がそれぞれ異なる土地の 『合筆』 の登記申 請をする場合には、その前提として、 相続人全員からの被相続人の表示変更 (更正) 登記
を省略できない。
(登研423・127)

※土地の合筆の登記申請を行う際に添付する(印鑑証明書)の住所が、合筆する土地の所有
権の登記名義人の住所と異なる場合
【事例】: H市からW市へ平成3年4月10日住所移転による登記名義人の表示変更の登記を 完了している甲氏所有のA及びBの土地について合筆の登記申請がなされたとき
H市の住所が記載されているH市発給の印鑑証明書(発行年月日/平成3年4月1日) ・H市からW市への住所の変更を証する書面が一緒に添付書類として添付されれば、 受理して差し支えない。
(登研523・137)

[不動産登記レアケース11] 商業登記と名変

こんな内容を掲載しています
商業登記、法人登記で役員の氏名変更や住所変更は必要か/取締役が死亡した場合、死亡を証する書面上の住所と登記簿上の住所が相違/商号に使える文字/

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、そんなWEBが欲しくて立ち上げました。あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、法務局へ照会されることを前提としております。誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?というご質問や却下になったじゃないか!という苦情には対応しておりません。皆様の業務が円滑に進むことを願います。

代表司法書士 時任裕

商業登記、法人登記の場面で、前提としての名変(役員の氏名変更や住所変更)は必要か?
※従前の取り扱いについては、名変 (名更)に関する先例等は見当たらず、(登記研究)の
質疑応答によると、【株式会社】 代表取締役の再任に際して、登記簿上の 「住所」と議事 録記載のそれとが相違していても、 “同一人であることを証する書面”の添付すら要せず (登研254・73、25169、329・67、375・82) 【有限会社】の場合も同様に、その差異が 軽微で同一人と認められる限り、変更・更正を証する書面の添付も不要 (登研25269、 33974、34778) で、 再任の登記申請を受理して差し支えないとしていた。

※重任の登記の前提として取締役の住所の変更(または更正) の登記がなされなくとも、実
体に符合する住所で取締役の重任の登記がなされるのであるから、 公示上はこれをもって足りるとする考えによるものと解せられ、 仮に住所変更の登記をするとしても、住所の変更・更正を証する書面の添付を要しないのであるから、 前提の登記を省略する場合でも、 これらの添付を必要とする規定上の根拠・理由がないと考えられる。
「改正商業登記規則の施行による事務取扱いについて」
〈民事局第四課 平野・吉田 両課長補佐/昭48年 (登研第306号抜粋)〉

ただし、このような先例もあるので注意!
※株式会社の役員が重任した場合において、当該役員の登記してある氏名が新たに登記すべ き氏名と相違しているときは、議事録その他の書類により同一人であることが明らかでも、
重任の登記の前提として、氏名の変更または更正の登記をしなければならないと、 当該質疑応答により従来の取扱いを変更した。
(登研390・94 / 昭和55年6月)

※株式会社の役員が重任した場合において、当該役員の登記をしてある氏名が新たに登記す べき氏名と相違している場合に、議事録その他の書類により同一人であることが明らかで あり、かつ、登記用紙と同一の用紙に登記すべき事項を記載する場合 [全員改選時] に限り、氏名の変更または更正の登記をしないまま、 直接改名後の氏名で重任の登記をすることができる。
(実務)議事録にその旨を記載している例が多い。
[有限会社の場合の取扱い]
(登研409・86)

※株式会社の役員全員の変更で役員欄の用紙と同一の用紙に登記すべき事項を記載する場合 に限り、住所等の変更または更正の登記を省略することができるとする質疑応答が前述の
とおりなされた (登研40986) 、 有限会社については監査役がないことが多く、 その 場合には、取締役の全員について変更されることが一般的であるが、 この場合にも改正前 の商登法規則第80条第2項の「取締役および監査役の全員につき変更の登記を申請する場 合」に該当するとして、 従来から役員欄の用紙と同一の用紙を用いて申請されており、この取扱いに変更はないとしている。
(民事月報/平成6年3月号 「平成5年商法等の改正に伴う商業登記事務の取扱いについて:17頁」)

※代表取締役の住所変更等も同様の取扱いで差し支えない。

一方で役員の死亡の場合、前提として変更登記が必要なようです。
※登記簿に住所の登記のある役員の死亡による変更登記の申請に当たり、死亡を証する書面
と登記上の住所または氏名の記載が異なる場合には、表示変更または更正の登記をしない
限り、当該申請は受理されない。
(登研412・167)

※有限会社の取締役が死亡した場合に、死亡を証する書面上の住所と登記簿上の住所が相違
するときは、上記同様、 まず、当該取締役の表示の変更 (更正) の登記をすることを前提
としない限り、住所の移転を証する書面を添付しても本件変更登記は受理されない。
(登研427・106)

※株式会社(有限会社)の取締役、監査役の氏名の更正または代表取締役(取締役・監査役)
の住所・氏名の更正等の表示の (更正) の登記の登録免許税は、 金2万円である。
(登研365・79、415・121)
※更正を証する書面の添付は不要である。
(商登法第107条ただし書)〈現行:第132条第2項ただし書〉

※有限会社を株式会社に組織変更し、有限会社の取締役が株式会社の代表取締役に就任した
場合に、有限会社の取締役の住所が変更していたときは、 その変更後の住所により直接代
表取締役就任の登記ができる。
(登研421・109)

※商業登記簿の本店の所在として 『A市B町1番地 Cビル』 と登記している会社が、この
うち「Cビル」 だけを削除する変更登記を完了した後に、 当該変更登記前に取得した不動
産(当然「Cビル」の記載有り)を売却し、その所有権移転登記をする際には、その本店
の表示の変更による登記名義人の表示変更登記をする必要はない。
(登研453125)

※有限会社の社員総会議事録を添付しなければならない不動産登記申請において、議事録に
添付する取締役の印鑑証明書の住所と商業登記簿のそれとが相違する場合には、当該議事
録に変更(更正)を証する書面を添付するれば足りる。
(登研531・121)

※日本電信電話株式会社の再編成に伴い、 本店移転に伴う所有権登記名義人表示変更登記と
各承継会社への所有権移転登記は、同時申請により行うことを要する。
[会社(法人)登記と住居表示実施 ]
(平11・8・23民三1740依命通知)(登研626・177)

※住居表示実施地区に支店を移転した場合において、 住居番号の付定を受けずに建物の所在地番を支店所在地としてその移転登記を行ったときは、その後住居番号の付定を受けても、 それは住居表示に関する法律第4条の変更に該当せず、これによる変更登記について、登 録免許税法第5条第4号の規定の適用はない。
(昭45・3・4民甲930回答)
※株式会社の本店を移転した後または代表取締役が住所を移転した後、その登記前に移転後 の本店所在地または住所につき住居表示が実施された場合には、その本店所在地または住所の変更の登記申請は非課税とはならない。(中間省略登記は認められない)
(昭39.4.21民甲1590回答)

※本店において住居表示実施による変更登記をなし、 その抄本を添付して支店において住居表示実施による変更登記をする場合には、この抄本をもって非課税証明書に代えることが できる。 (昭37・9・11民甲2609通達)

※株式会社の代表取締役の住所について住居表示の実施があったが、 その事実を看過ごして 旧住所のまま重任の登記がなされた後その住所を住居表示実施後の住所に更正する場合には、登録免許税法第5条第4号の適用はない。
(昭42・11・16民甲3434通達)

※市区町村長の誤った証明書に基づいて住居表示の実施による株式会社の本店の変更登記を した後、改めて当該市区町村長の証明書を添付して、 その登記の更正の申請があったとき は、登録免許税を免除して差し支えない。
(昭40・9・24民四294回答)

商号に使える文字についてまとめています。
※商業登記において、 商号中に外国語を片仮名で表示する場合だけではなく、 漢字や平仮名
を用いる場合であっても、誤読を防止するため、 商号中に「なかてん (・)」 を用いて差
し支えない。
(昭54・2・9民四837回答) (登研655・175)

※平仮名で表記した商号に長音符号 「一(オンビキ)」 を用いることについて、 これを認め
ても差し支えない。
(登研658・203)

※商業登記規則等の一部を改正する省令(平成14年法務省令第47号。以下「改正省令」という)
及び商業登記規則第51条の2第1項 〈現行: 第50条〉の規定に基づき商号の登記に用いる
ことのできる符号に関する件(平成14年法務省告示第315号。以下「告示」という)の施
行に伴う登記事務の取扱いについては以下のとおり。

1 商号の登記に、 (1) ローマ字(大文字及び小文字)、 (2) アラビア数字、 (3) 「&」 (アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」 (コンマ)、「-」 (ハイフン)、 「.」(ピリオド)、及び「・」 (中点) を用いることができる。
→(3)の符号は、字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限り用
いることができる。 したがって、会社の種類を表す部分を除いた商号の先頭又は末尾
に使用することはできない。
→ピリオドについては、省略を表すものとして会社の種類を表す部分を除いた商号の末
尾にも用いることができる。
なお、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、単語間の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできる。
数字だけの商号を登記することも可能。
「株式会社」を「k.k.」「company incorporated」「Co.,Inc.」「Co.,Ltd.」等に変えることはできない。株式会社や合同会社などの種類を表す文字は使用が義務付けられている。

2改正省令の施行前から定款上の商号にローマ字その他の符号を用いている場合には、登
記の更正の手続(商業登記法(昭和38年法律第125号) 第107条 〈現行: 第132条〉)に準
じて、当事者の申請により登記上の商号を訂正することができる
→この場合の更正の申請書には、 定款 (同条第2項本文 〈現行:第132条第2項本文〉)
及び代理人により申請をする場合にはその権限を証する書面(同法第18条)を添付し
なければならない。

3会社を除くその他の法人等の名称の登記に関する取扱いについても、 1、2の取扱いと
同様とする。(法人登記規則(昭和39年法務省令第46号)第9条 〈現行: 第7条〉、特定
目的会社登記規則 (平成10年法務省令第37号) 第4条 (現行: 第3条〉、 中小企業等投
資事業有限責任組合契約登記規則(平成10年法務省令第47号) 第9条、 投資法人登記規
則(平成10年法務省令第51号)第4条(現行:第3条〉
(登研656・241)

会社(法人)本店と行政区画等の変更についてまとめています。
原則として、登記官が職権で変更の登記をする。
(商登法第26条、 同規則第42条、 同準則第69条)
〈準則につき現行: 商業登記等事務取扱手続準則第56条〉
※行政区画等の変更で本店所在の表示が変更された会社(法人)
登記官に対して、これらの記載の変更を促す申出をすることができる。
(昭39926民四308回答)
この申出による登記の記載は、職権に準ずる。
支店所在地および代表取締役等の住所の場合にも適用される。

登記記載例です。
A. 行政区画変更またはそれらの名称変更の場合
申請のとき「年月日町名変更」「年月日登記」
・職権のとき「年月日変更」「年月日修正」
Bこれらの変更に伴い地番号の変更もある場合
「年月日町名地番号変更」「年月日登記」
必ず、その変更の登記をしなければならない。
(昭4・9・18民8379回答)
C 土地改良事業または土地区画整理事業の施行に伴う地番号の変更の場合
「年月日土地改良(または区画整理)による地番号変更」「年月日登記」
(以上、昭42・10・17民甲2676通達)
(民四5661依命通知、平6・11・30民三8198通達)

[不動産登記レアケース10] 区分建物と名変

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

敷地権付区分建物と名変・登録免許税

敷地権付区分建物と名変

※不動産登記法第100条第2項 〈現行: 第74条第2項〉 の規定により転得者が所有権保存の 登記を申請する場合には、 原始取得者の氏名・住所等の表示の変更または更正登記は省略することができる。 ただし、 変更または更正を証する書面の添付を要求している。(昭58年度全国首席登記官会同協議問題に対する本省回答No.73)

※同一棟内の二戸の敷地権付区分建物(敷地権の目的の土地:2筆)を所有している者が、 これらにつき登記名義人表示変更(更正)の登記を1件の申請書で申請する場合の登録免許稅(区分建物専有部分の個数2 + 敷地権の目的となっている土地の筆数2) × 1,000円 = 4,000円 (昭58・11・10民三6400通達第15第2項3号)権利の抹消登記の場合も同様の取扱である。数回に分けて取得された敷地権の共有持分権についても、 全体として1個の共有持分権として解釈すべきであるとする。

※既存の区分建物で、一体化作業により敷地権化されたものにつき、その後、所有権移転登記をする前提として、住所移転等の原因による表示変更(更正)の登記をする場合の「登記の目的」 の判断基準は、 あくまでも区分建物を基準として判断すればよい。(昭59年神戸地方法務局首席登記官電話回答)

※所有権が敷地権である区分建物所有者が住所を変更した場合、 敷地権が生じた日以前の日 を登記原因の日とする土地または建物のみの所有権に関する仮登記、 質権または抵当権設 定の登記を申請するときには、その前提として所有権登記名義人表示変更登記を要する。(登研454・132)

[不動産登記レアケース9] 抵当権、根抵当権と名変

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・債権者と債務者を互い違いにしてしまった場合の更正・取扱店の追加、変更、更正・抵当権(根抵当権)の追加設定の局面で表示変更登記を省略できるか否か・抵当権者(根抵当権者)、債務者の表示の変更・抵当権の債務者AとBが、異なる日に住所移転した場合・債務者の住所変更登記の一括申請

債権者と債務者を互い違いにしてしまった場合

「債権者を乙・債務者を甲」とする抵当権設定登記の申請書に添付された登記原因証書には、『債権者甲・債務者乙』と記載ミスがあったがそれを看過して登記を完了し、後日当該登記につき錯誤を原因として抵当権登記名義人の更正登記の申請があった場合には、申請を受理して差し支えない(昭35・6・3民甲1355回答)

(根)抵当権設定登記の登記義務者 (設定者)の表示に変更を生じているため、その表示が登記簿上の表示と異なっている場合には、予め登記名義人の表示変更の登記を申請する必要がある。(登研269・73)

取扱店の表示について

※住宅金融公庫の代理人である銀行を取扱店とする場合、 取扱店の表示を「○○銀行 本店営業部」とすることはできない。 (注: 平成19年4月に住宅金融公庫から独立行政法人住 宅金融支援機構へ権利義務承継)(登研453124)

※抵当権の移転登記の際に、 新抵当権者の表示に取扱支店を記載することは差し支えない。(登研370・74)

※委任状に取扱店の表示があれば、 登記原因証書に取扱店の記載がない場合でも、申請書に取扱店の表示をすることができる。(登研535・177)

各金融機関の取扱店

※労働金庫が抵当権者の場合も、 取扱店名 (取扱事務所何支店) の併記が認められている。(昭36・9・18民甲2320通達)(登研6355)

※全国信用金庫連合会が抵当権者でその貸付業務を信用金庫に委託する場合、 取扱店名を併記してその登記をも受けることができる。 (昭37.9.29民甲2781通達)(登研6355) (注:「全国信用金庫連合会」 は、 平成12年10月1日より 「信金中央金庫」に名称変更)

※全国信用協同組合連合会が抵当権者でその貸付業務を信用組合に委託する場合、 取扱店名 を併記してその登記をも受けることができる。(昭62・2・27民三896通達)(登研6355) (注:「全国信用協同組合連合会 (全信組連)」は、 平成19年1月1日現在もその名称で存続)

※中小企業金融公庫を抵当権者とする取扱店の表示について、 「営業第一部」として申請することができる。(昭57.4.28民三3238回答) (登研688265)

※外国会社を抵当権者とする抵当権設定登記を申請する場合に、 申請書及び登記原因証明情報に外国会社の取扱店として日本における営業所が記載されている時でも、当該営業所が登記されていることを証する登記簿謄本等の提供は要しない。(登研633・175)

取扱店の表示の追加について

※既存の(根)抵当権の設定登記に取扱支店の表示がない場合に、これにつき取扱支店を表示する登記は、(根) 抵当権登記名義人の表示変更の登記に準じ、便宜認めて差し支えない。(昭36・9・14民甲2277回答)

※取扱店の記載のない担保権の登記に取扱店を付記する登記は、当該抵当権等の担保権の変更(更正を含む 但し処分の登記を除く) の登記の申請をする場合に限り、併せて申請することができる。(昭36・11・30民甲2983通達)

  • 登記の目的:「昭和○年○月○日受付第何号順位×番抵当権に次の取扱支店の附記」と記載し、取扱支店の名称を記載する。(昭36・11・30民甲2983通達)
  • 登記原因およびその日付 : 何らの記載を要しない。
  • 登録免許税:抵当権の変更と併せて申請する場合には、取扱店の付記の分を改めて徴収することを要しない。

※登記名義人(抵当権者)のみによる単独申請で、登記済証をはじめ印鑑証明書、そしてその存在を証する会社の支店に関する登記簿謄抄本の添付を要しない。 (登研182・162)
→登記原因証明情報の添付は必要(登研689・291)

取扱店自体の変更について

※取扱支店等若しくはその表示の変更、又は取扱支店等を登記する抵当権の変更登記を申請する場合には、登記原因証明情報を提供する必要がある。(登研689・291)

※抵当権者の取扱支店を甲支店から乙支店に変更した場合は、抵当権登記名義人表示変更登記に準じて単独で、抵当権の変更登記申請ができる。(登研352・101385・80)

  • 登記の目的:「抵当権変更登記」
  • 登記の原因:何らの記載を要しない。
  • 変更後の事項 : 「取扱店 乙支店」
取扱店の表示の変更・更正・抹消について

登記の目的:「抵当権変更(または更正)」

登記の原因
 a.遺漏の場合:「遺漏」 / 「追加すべき事項」
 b. 誤記の場合:「錯誤」/「更正すべき事項」
 c. 取扱支店の名称の変更の場合: 「年月日 取扱店名称変更」 / 「変更後の名称」

取扱店の表示の抹消について
登記の目的: 「抵当権変更」
変更後の事項: 取扱店の表示抹消
(登研595・135)

【取扱支店として登記できる例】

金融機関の支店名等を取扱店として登記することが可能なケースです。

  • 「取扱店 東京営業部」 金融機関が自ら「東京営業部」を支店であるとして申請すれば、登記可能です。「支店」という文字が付されていなくても問題ありません。
  • 「取扱店 何信用金庫」 信金中央金庫が貸付業務を信用金庫に委託して行った場合の抵当権設定登記において、取り扱いをした信用金庫を取扱支店として登記することができます(例:信金中央金庫(取扱店 何信用金庫))。

【取扱支店として登記できない例】

以下のケースでは取扱支店として登記(または申請)することができません。

  • 「取扱店 本店営業部」「取扱店 首都圏」「取扱店 東京公務部」「取扱店 本店不動産課」など 名称から判断して明らかに業務分野の1つにすぎず、支店の名称として付したのではないことが明白である場合は登記できません。
  • 信用金庫の支店 信用金庫の支店を取扱店として登記することはできません。
  • 信用保証協会・信用組合の支店 信用保証協会や信用組合の支店を取扱店として登記することはできません。また、信用保証協会を抵当権者とする登記で、取扱店を「○○銀行○○支店」とすることも認められません。
  • 本店の支配人からの申請(他支店扱い) 「A銀行本店」の支配人から、「取扱店 B支店」とする抵当権設定登記の申請は受理されません。本店の支配人は、B支店の営業に関する代理権限を有しないためです。
  • 支店の支配人からの申請(他支店扱い) 「甲銀行A支店」の支配人は、取扱店を「同銀行B支店」とする抵当権設定登記申請の委任をすることはできません。A支店の支配人は、B支店の営業に関する代理権限を有していないためです。
追加設定について

※根抵当権者の表示変更があった後に当該根抵当権について他の不動産を『追加担保』とす る登記の申請をするときは、前提として根抵当権者の表示変更の登記を省略することはできない。 (411 84, 422 104, 475 131)

→たとえその不一致の原因が 『行政区画の変更等』 であっても、不動産登記法第59条 〈現行: 不動産登記規則第92条第1項〉 [変更看做規定] の適用はなく、 従って、 先に設定登記 がされている根抵当権と追加する根抵当権とが形式的に同一性を欠くことになるため

根抵当権の登記名義人の表示変更登記の一括申請

※登記名義人の本店の表示に関して、

●甲土地については 「平成元年2月1日 住居表示実施」
●乙土地については 「昭和59年○月○日 本店移転」 および 「平成元年2月1日住居表示実施」

を登記原因とする甲・乙両不動産についての根抵当権の登記名義人の表示変更登記は、同 一の申請書で申請することはできない。(登記原因が異なるから / 登研516・197)

※根抵当権につき共同担保として追加担保の設定登記を申請する場合に、 根抵当権者の「取扱店の表示」 が既登記根抵当権のそれと異なる場合でも受理される。(377 141, 382 81、 383 · 93)

  • 既登記 : 取扱店の表示なし、 追加設定/取扱店の表示あり。
  • 既登記 : 取扱店の表示あり、 追加設定/取扱店の表示なし。
  • 既登記 : 取扱店Aの表示、 追加設定/取扱店B の表示。

(以上、 いずれの場合も受理される。 / 登研548166)

抵当権追加設定の局面で、表示変更登記の省略の可否

※既登記抵当権の抵当権者の氏名または本店等の表示が変更されている場合には、変更を証する書面を申請書に添付すれば、 前提たる抵当権者の表示の変更登記を省略しても、追加設定の登記申請は受理される。(登研547146、560・136)

※根抵当権設定または変更登記の利害関係人等の表示が登記簿のそれらと相違する場合で も、その者の承諾書に表示の変更(更正)を証する書面を添付すれば、利害関係人の表示 の変更(更正) 登記は省略することができる。(登研36283、419.87)

※有限会社の社員総会議事録や株式会社の取締役会議事録を添付するときにこれに添付する 印鑑証明書の住所または氏名と当該会社の商業登記簿謄本のそれらの記載とが一致しない 場合でも、当該議事録に変更証明書を添付すれば足りる。(登研531・121)

(根)抵当権追加設定の局面で、表示変更登記の省略の可否

※追加設定登記申請書に記載すべき債務者の住所が、 従前の登記以後の住所移転等により既登記における債務者の住所と一致しない場合に、前提としての 『債務者の表示の変更登記』 の申請を

  • 根抵当権の場合→要する。 (登研32572、422105)
  • 普通抵当権の場合→要しない。 (登研425125、643・177)
債務者の住所変更登記の一括申請

※根抵当権者・債務者および設定者を同じくする数個の根抵当権が同一不動産上に設定されている場合の『債務者の住所変更の登記』は一括して申請することができる。(登研357・81)

※行政区画の変更または名称変更による債務者の住所の不一致の場合は、 不動産登記法第59 条 〈現行: 不動産登記規則第92条第1項〉 の規定により、 新住所に変更したものとみなさ れるので、 追加設定の際、 住所の変更を証する書面を添付すれば、 根抵当権の変更の登記を省略することができる。(従来の登記省略否定説 (登研422105、44285)から変更された (登研536177))

※行政区画の変更または名称変更に伴い地番号も変更されたときは、 変更の登記を省略できないものと解される。(昭4・9・18民8379回答参照)

※根抵当権の追加設定においては、住居表示実施による不一致の場合には、債務者の住所変更の登記を省略することは認められない。(登研545・154)

※既登記抵当権の債務者の住所が住居表示実施により変更されている場合に、 住居表示実施証明書を添付してする変更後の債務者の住所を表示した抵当権の追加設定の登記は受理さ れる。(登研572・152)

※債務者兼設定者の住所が変更して登記簿上の表示と異なるときには、 (根) 抵当権の債務者の表示変更の登記の前提として所有権登記名義人の表示変更の登記を申請しなければな らない。(登研425・126)

※既登記の(根) 抵当権者が代位によって所有権登記名義人の表示変更登記をする場合にお ける〈代位原因〉は、「年月日変更契約に基づく〇番抵当権変更登記請求権」と記載す れば足りる。(登研376・38)

※抵当権の登記における債務者の表示の変更の登記を債権者代位によるものとして抵当権者が単独で申請することはできない。(昭36・8・30民三717回答)

債務者の表示の変更の登記について

申請人:(根)抵当権者と設定者による共同申請
登記の目的: 「(根) 抵当権変更」
登記の原因: 「年月日住所移転」「年月日氏名変更」「年月日住居表示実施」
変更後の事項

○根抵当権の場合
「A市B町C 番地 債務者 甲野一郎」
○普通抵当権の場合
「債務者 何某の住所 ○×△」
◎添付書類の特例
A 設定者の権利の登記済証を添付することを要する。
(登研178・70、397.84) (登研456・128) (登研214・71)
B 原則としては、変更を証する書面の添付を要しないが、 ただし、 住居表示実施に伴う住所変更の場合にその実施証明書を添付すれば、登録免許税法第5条第4項の規定により非課税となる。
C設定者の印鑑証明書
○根抵当権の場合→添付を要する。
○普通抵当権の場合→添付を要しない。
(登研432・129)
(登研334・73、36481)

※抵当権の債務者AおよびBが、 それぞれ異なる日に住所移転した場合でも、同一の申請書で申請することができる。
登記の原因 「年月日 A 住所移転」「年月日 B 住所移転」(登研507・198)

抵当権の債務者(A・B・C・D)のうち、 AおよびBについて住所移転による変更があった場合、根抵当権変更の登記の事項は、住所移転したAおよびBのほか、 CおよびDをも記載することを要する。(登研530・148)

  • 登記原因 「年月日 変更」
  • 変更後の事項 債務者 住所 A 住所 B 住所 C 住所 D

※債務者が二人の根抵当権につき、その一人につき 「住所移転」、他の一人につき「本店移転」がなされた場合に、この根抵当権の変更登記を一括して申請することはできない。(大阪法務局決議)

※(根) 抵当権の債務者の表示変更・ 更正(例:債務者の氏名の更正および住所移転)による根抵当権設定登記の変更および更正の登記は、[登記の目的および登記原因を異にするが]便宜、同一の申請書で申請することができる。

登録免許税:不動産1個につき金2,000円
(登研41396) (登研391・111)

※根抵当権の債務者 『A会社』 が下記のごとく変更した場合、当該根抵当権の変更登記を一件で申請することはできない。(登研363・167)

  • A会社→B会社に吸収合併される。
  • B会社→ 『C会社』と商号変更

→不動産登記法第57条 〈現行: 不動産登記規則第150条〉 には、 「権利ノ変更ノ登記ヲ為ストキハ変更シタル登記事項ヲ朱抹スルコトヲ要ス」と規定しているが、 先例には『合併により債務者が変更した場合における根抵当権の変更登記については従前の債務者の表
示は朱抹しない。』 とされ (昭46・12・27民三960通知)、 その取り扱いを異にすることになるからである。

※抵当権の債務引受等による債務者変更登記を申請するに当たり、登記簿上の変更前の債務 者の住所氏名に変更が生じている場合は、その表示変更登記を省略する扱いは認められな い。 なお、 根抵当権の債務者の変更登記を申請する場合も同様に考えて差し支えない。(登研452・115)

※住宅金融公庫等の非課税法人が抵当権者である場合の債務者表示変更登記の登録免許税は、登録免許税法の規定により非課税とされる。(注:住宅金融公庫は平成19年4月に独立行政法人住宅金融支援機構へ権利義務承継がな されている)(登研360・94)

※抵当権の債務者が所有権の登記名義人と同一人で当該所有権の登記名義人につき、 住居表 示実施による住所変更の登記がされている場合であっても、 住居表示実施による根抵当権 の債務者の住所の変更登記申請書には、 非課税証明書を添付しなければならない。(登研421・108)

根抵当権元本確定

※根抵当権の変更の一種であり、登記権利者 (根抵当権設定者) および登記義務者(根抵当 権者)ともに、その表示に変更または更正の事由が生じているときは、 前提としての登記 名義人の表示変更 (更正) の登記を省略することはできない。(根) 抵当権の抹消

※抵当権抹消登記申請書の登記権利者 [抵当権設定者である所有権登記名義人] の表示 (住所等)が、登記簿の所有者の表示と一致しない場合

  • 表示の変更を証する書面を添付しても、受理されない。不動産登記法第49条第4号 〈現行: 第25条第5号〉により却下される。(355 90. 371 · 76, 512 · 157)
  • 住居表示実施による変更で既に不動産の所在欄は変更されているときでも、表示変更 の登記を省略できない。(登研430・173)

※抵当権者の表示の変更(更正)証明書を添付すれば、抵当権の抹消を前提とする抵当権の登記名義人の表示変更 (更正) 登記は省略できる。(昭28・12・17民甲2407、 昭31・9・20民甲2202各通達) (登研360・91)(登研445・109)

→申請書には、変更後の表示を記載する。

改正民法における債務引受(「併存的債務引受」と「免責的債務引受」)があった場合の担保権(抵当権・根抵当権)の登記手続

1. 併存的債務引受(旧:重畳的債務引受)の場合

第三者(引受人)が元の債務者と連帯して同一の債務を負担する引受です。

  • 登記の目的と登記原因 引受人が負担する新債務をも担保するための担保権の変更登記を行います。登記原因は新たに定められた「併存的債務引受」とします(従来の「重畳的債務引受」として申請された場合でも受理されます)。
  • 登記原因証明情報と日付 被担保債権の変更について、担保権の設定者と債権者との「合意」があったことを証する情報を提供します。 登記原因の日付は、原則として当該合意の効力が生じた日です。ただし、債務者と引受人との契約による場合は、債権者が引受人に対して承諾をした時に効力が生じるため、承諾の意思表示が引受人に到達した日となります。
  • 根抵当権の場合の特則
    • 元本確定前:引受人が引き受けた債務は当然には根抵当権で担保されません。そのため、引受人を債務者に追加するだけでなく、「債権の範囲」も変更して引受に係る債務を加える必要があります。申請書の債務者欄には新旧債務者を並記し(連帯債務者とはしません)、債権の範囲には従前の範囲に加えて「令和〇年〇月〇日債務引受(旧債務者乙某)に係る債権」のように記載します。
    • 元本確定後:引受人の債務も担保されるため、債務者を追加する変更登記のみで足ります。

2. 免責的債務引受の場合

第三者(引受人)が債務を引き受け、元の債務者が自己の債務を免れる引受です。

  • 登記の目的と登記原因 旧債務者の債務を担保していた担保権を新債務に移転するための登記は、担保権の移転登記ではなく「抵当権変更」又は「根抵当権変更」として行います。登記原因は「免責的債務引受」です。
  • 登記原因証明情報と要件 免責的債務引受と担保権移転の要件を満たすことを証する情報が必要です。具体的には以下の内容が含まれている必要があります。
    1. 免責的債務引受契約が成立したこと
    2. 債権者からの通知(債権者・引受人間で契約した場合)または債権者の承諾(債務者・引受人間で契約した場合)があったこと
    3. 債権者が、引受人に対して担保権移転の意思表示(あらかじめ又は同時)をしたこと
    4. 引受人以外の担保権設定者(物上保証人など)がいる場合は、その者の承諾があったこと
  • 登記原因の日付 担保の移転は免責的債務引受の効力発生と同時に生じるため、当事者に別段の意思表示がなければ、債権者と引受人の契約の場合は「債権者による通知が債務者に到達した時」、債務者と引受人の契約の場合は「債権者の承諾通知が引受人に到達した時」の日付となります。担保権移転に設定者の承諾を条件とするなどの特約があれば、全ての条件が満たされた日が日付となります。
  • 根抵当権の場合の特則
    • 元本確定前:確定前に免責的債務引受があった場合、法律上、根抵当権を引受人の債務に移すことができません。引受債務を担保させるためには、債務者の変更(旧債務者から引受人へ)と併せて「債権の範囲」の変更を行う必要があります。申請書の債権の範囲には、従前の範囲に加えて「令和〇年〇月〇日債務引受(旧債務者乙某)に係る債権」のように記載します。
    • 元本確定後:引受人の債務も当然に担保されるため、債務者を変更する根抵当権の変更登記のみで足ります。

相続による抵当権の債務者の変更

【質問】 抵当権の債務者がお亡くなりになり、相続人のうちの1人がその相続債務を引き受けることになりました。この場合、抵当権の変更登記はどのような方法で進めればよいでしょうか。

【回答】 相続人全員で遺産分割協議を行い、特定の相続人が債務を引き継ぐ旨を定め、さらに抵当権者(金融機関等の債権者)の同意を得ている場合は、最初から「その債務を引き継ぐ相続人のみ」を債務者とする変更登記を行うことができます。いったん共同相続人全員を債務者とする変更登記を挟む必要はありません。

一方で、債務を引き継ぐ者を定める遺産分割協議がまだ行われていない段階で登記を進める場合は、原則どおり「共同相続人全員」を債務者とする変更登記を最初に行います。その後、引き継ぐ者が決まった段階で、改めて「債務引受」を原因とする変更登記を行うという2段階の手順になります。

【実務上の解説】 手続きの進め方は、遺産分割協議の有無やタイミングによって以下の区分に応じて判断されます。

1. 遺産分割協議によって特定の相続人が債務を引き受けた場合 まだ共同相続人全員への債務者変更登記がされていない状態であれば、債務を引き受ける相続人(例えばAさん)が抵当権者の同意を得ることで、直接Aさん単独を債務者とする抵当権変更登記を申請することが実務上認められています。この方法は、登記費用や手続きの手間を省くことができるため合理的です。

2. 遺産分割協議がされていない場合 まだ誰が債務を引き継ぐか決まっていない場合は、共同相続人全員が債務を引き継いだものとして登記を行います。その後、特定の相続人が債務を引き受けることになった際に、後述する免責的債務引受等の手続きへ移行します。

相続による債務者変更登記の具体的な申請情報と添付書類

【質問】 抵当権の債務者が死亡し、相続による債務者の変更登記を申請する場合、申請書の記載方法や必要となる添付書類はどのようになりますか。

【回答】 債務者の死亡に伴い、共同相続人全員を債務者とする変更登記を行う場合の基本的な申請情報と添付書類は以下のとおりです。

1.申請情報の主な記載事項

登記の目的:何番抵当権変更 登記原因:令和何年何月何日(債務者の死亡日)相続

変更後の事項: 債務者 何市何町何番地 A(相続人) 何市何町何番地 B(相続人)

権利者:抵当権者(金融機関等)

義務者:抵当権設定者(不動産の所有者)

2.必要となる添付書類

(1)登記原因証明情報 債務者が死亡した事実および相続人が誰であるかを証明するため、被相続人の出生から死亡までの除籍謄本等、および相続人の戸籍謄本(または法定相続情報一覧図の写し)を提供します。

(2)登記識別情報または登記済証 登記義務者である抵当権設定者(不動産所有者)の所有権取得時のものを提供します。

(3)代理権限証明情報 抵当権者および抵当権設定者からの委任状を提供します。

3.登録免許税 不動産1個につき1,000円を納付します。

【解説】 債務者の相続による抵当権変更登記におけるポイントは、登記の申請人が「権利者である抵当権者」と「義務者である抵当権設定者」の共同申請になるという点です。亡くなった債務者の相続人自身は、抵当権設定者(不動産の所有者)を兼ねていない限り、この変更登記の申請当事者にはなりません。

したがって、登記原因証明情報として必要となる債務者の戸籍謄本等の収集にあたっても、申請人である抵当権設定者や抵当権者側で準備して手続を進めることになります。また、登記義務者である抵当権設定者の印鑑証明書は、原則として提供を要しません(登記識別情報を提供できない場合などを除きます)。

遺産分割協議等により特定の相続人が債務を引き受けた場合の実務対応(免責的債務引受)

【質問】 共同相続人全員を債務者とする抵当権の変更登記をした後、遺産分割協議などにより特定の相続人が他の相続人の債務を引き受けることになりました。この場合、どのような登記手続きが必要になりますか。

【回答】 「免責的債務引受」を原因とする抵当権の変更登記を行います。これにより、債務を引き受けた特定の相続人のみを新たな債務者とする登記手続が完了します。

【実務上の解説】 共同相続人全員への債務者変更登記がすでに完了している状態で、債権者(抵当権者である金融機関等)の同意を得て、特定の相続人(例えば相続人A)が他の相続人(例えば相続人B)の債務を免責的に引き受けた場合、以下の要領で登記を申請します。

1.申請情報の主な記載事項

登記の目的:何番抵当権変更

登記原因:令和何年何月何日(債務引受契約の日) Bの債務引受

変更後の事項:債務者 何市何町何番地 A

権利者:抵当権者 義務者:抵当権設定者

2.手続きのポイントと必要書類 この登記は、抵当権者(登記権利者)と抵当権設定者(登記義務者)の共同申請によって行います。免責的債務引受の契約が成立したことにより、以降、債権者は債務を引き受けたAのみに対して相続債務の履行を請求できるようになります。

申請に必要な主な添付情報は以下のとおりです。

(1)登記原因証明情報 免責的債務引受契約書など、債務引受の事実を証明する書類を提供します。

(2)登記識別情報または登記済証 登記義務者である抵当権設定者のものを提供します。

(3)代理権限証明情報 当事者双方からの委任状などを提供します。

なお、この変更手続においても、登記義務者の印鑑証明書の提供は原則として不要とされています。

【相続による根抵当権の債務者変更】相続開始から6か月経過後、特定の相続人が債務を承継する登記手続き

【質問】 根抵当権の設定者兼債務者が死亡し、何もせず6か月が経過した。法定相続人は4人(A・B・C・D)いるが、そのうち2人(A・B)が対象不動産の所有権を相続し、今後の被担保債務もこの2人で弁済していきたいという意向である。 この場合、実体上どのような契約を締結し、どのような登記手続きを行えばよいか。

【回答】

根抵当権の債務者に相続が開始し、何もしないまま6か月が経過すると、担保すべき元本は法律上当然に確定する。 被担保債務については、法定相続割合に応じて4人の相続人に分割して承継されることになり、債権者は各相続人に対して承継した金額の範囲内でしか請求ができなくなる。

これを特定の2人(A・B)の連帯債務とするためには、実体法上の契約と、それに伴う3段階の根抵当権変更登記が必要となる。

1. 締結すべき契約の内容

AとBが連帯して被担保債務の全額を負担し、債権者がA・Bのいずれに対しても全額を請求できるようにするためには、以下の2段階の契約を締結する。

  1. 免責的債務引受契約 債務を承継するA・Bが、債務を承継しないC・Dの債務を免責的に引き受ける契約。
  2. 重畳的(併存的)債務引受契約 債務を承継するA・B間で、相互に負担する債務を重畳的(併存的)に引き受ける契約。

2. 登記手続きの具体的な流れ

前提として、対象不動産についてA・Bへの「相続による所有権移転登記」を完了させておく必要がある。 なお、次に申請する相続による債務者変更登記の登記原因日付から、相続開始後6か月が経過して元本が確定していることが明白であるため、事前に「元本確定の登記」を申請する必要はない。

具体的な根抵当権変更登記は、以下の「3連件」で申請する。

① 1件目:相続による債務者の変更登記

特定の相続人2人へ直接債務者を変更する登記は受理されないため、まずは法定相続分どおりに共同相続人全員が債務を承継した状態を登記する。

  • 登記の目的:何番根抵当権変更
  • 登記原因:〇年○月○日相続(※被相続人の死亡日)
  • 変更後の事項: 債務者 A、B、C、D(※4名全員の住所・氏名を記載)
  • 申請人:権利者(金融機関等)、義務者(設定者A・B)
  • 添付情報:登記原因証明情報(戸籍謄本等一式)、登記識別情報、代理権限証書など

② 2件目:免責的債務引受による債務者の変更登記

次に、CとDが法定相続により負担した債務を、AとBが免責的に引き受けた登記を行う。

  • 登記の目的:何番根抵当権変更
  • 登記原因:〇年○月○日 AはC及びDの、BはC及びDの債務引受 (※免責的債務引受契約の日)
  • 変更後の事項: 債務者 A、B
  • 申請人:権利者(金融機関等)、義務者(設定者A・B)
  • 添付情報:登記原因証明情報(免責的債務引受契約書等)、登記識別情報、代理権限証書など

③ 3件目:重畳的(併存的)債務引受による債務者の変更登記

最後に、AとBが連帯債務者となるための登記を行う。

  • 登記の目的:何番根抵当権変更
  • 登記原因:〇年○月○日 AはBの、BはAの債務を重畳的債務引受 (※重畳的債務引受契約の日。なお現行民法下では「併存的債務引受」と記載することも可)
  • 変更後の事項: 連帯債務者 A、B
  • 申請人:権利者(金融機関等)、義務者(設定者A・B)
  • 添付情報:登記原因証明情報(重畳的債務引受契約書等)、登記識別情報、代理権限証書など

3. 実務上の留意点

  • 登記義務者の印鑑証明書:根抵当権の変更登記においては、原則として登記義務者(設定者)の印鑑証明書の提供は不要である(ただし、事前通知等を利用する場合を除く)。
  • 登記原因証明情報:2件目および3件目の登記原因証明情報(各債務引受契約書)には、戸籍等の相続証明書一式のコピーを合綴して提供する実務上の扱いがある。

管轄を異にする根抵当権追加設定と極度額変更の同日申請 について

先日、売買・融資決済案件において実務上の重要論点が生じましたので、事前に管轄法務局へ書面照会を行い、認められる旨の回答を得ましたのでご報告します。


案件の概要

同一の決済日に、以下の登記を異なる2つの法務局管轄に対して同時に申請する必要がありました。

【先行申請:A法務局】

  • 既存根抵当権の極度額変更登記(増額:7,000万円 → 2億4,000万円)

【同日申請:B法務局(後登記)】

  • 抵当権抹消登記
  • 所有権移転登記
  • 共同根抵当権追加設定登記(上記の変更後の根抵当権に基づく)

実務上の問題点

共同根抵当権の追加設定登記を申請する際には、前登記の登記事項証明書を添付書類として提出する必要があります。

ところが本件では、A局とB局への申請を同日に行う構造のため、B局への申請時点ではA局での極度額変更登記がまだ完了していません

そのため、変更後の内容が反映された登記事項証明書を取得して添付することができないという問題が生じました。


照会した内容

追加設定申請書に「前登記(極度額変更)の受付年月日・受付番号」をあらかじめ明記した上で同日申請を行い、前登記完了後に速やかに登記事項証明書を追完(補正提出)する取扱いは可能か?


法務局の回答

→ 可能である旨の回答を得ました。

すなわち、

  1. B局への追加設定申請書に、A局での極度額変更登記の受付情報(受付日・受付番号)を明記する
  2. A局での登記完了後、速やかに登記事項証明書を追完提出(補正)する

という手順で申請を進めることが、実務上認められるとの確認が取れました。ただし、必ず事前に管轄法務局に確認されることをお勧めします。

[不動産登記レアケース8] 添付書類で迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・名変の添付書類・住民票の除票と現住所の印鑑証明書・氏名変更・住民票の記載だけで氏名変更の事実が分かる・相続財産管理人選任審判書の記載では、不十分な場合・取扱店・国民金融公庫から国民生活金融公庫への変更・登記名義人の住所が誤って本籍地をもって登記されている場合・誤って旧住所で登記を受けた後、更正登記をする・更正の前後で町名が異なる場合・名変の非課税証明書・外何名という記載で共同人名票が不存在の場合・区画整理・土地改良事業による場合の非課税証明書・換地処分による登記前に既に住所移転していた場合・

住居表示や町名地番変更

住居表示実施や町名地番変更により住所が変わった場合の住所変更の登記には、市区町村役場で発行された、住居表示実施証明書、町名地番変更証明書などを添付することにより、登録免許税が非課税となる(登録免許税法5条4号)。

個人の場合の住所移転の変更証明

※登記名義人が個人の場合の住所移転の変更証明

  • 住民票の謄抄本
  • 戸籍の附票の写しを変更を証する書面とすることもできる。 (登研86・40)
  • 旧住所地の住民票除票の謄抄本 [転居先として現在の住所地が記載されているもの]ではなく、現住所地の住民票謄抄本の提出を要する。 (登研146.42、494122)
  • 住民票の写しに代えて前住所地の住民票除票および現住地の市区町村長の発給する印鑑証明書を添付しても差し支えない。 (登研375・80)
複数回移転している場合の変更証明書

※登記上の所有者の住所をA地からB地、 B地からA地、 A地からC地と移転している場合には、その間の各変更を証する書面全部の添付を要する。(登研470・98)

※所有者の登記記録上の住所Aから、その後B→A→Cと住所を移転した場合、A→Cへの変更証明書では足りず、A→B→A→Cの変更証明書を添付する必要がある(「登記研究」第470号)。

※中間省略→中間の変更を省略した登記名義人の住所変更の登記を申請する場合に、 申請書に 添付した書面をもって中間の各変更の事実が推認でき、 登記名義人の同一性が認められると きは、中間の変更を証する書面の添付を省略して差し支えない。 (登研175・66、179・67)

※自己所有の他の不動産における登記名義人表示変更登記の登記簿謄本→変更を証する書面にはならない(登研476・141)

氏名変更(婚姻または離婚を原因とする)の「変更証明書」

※氏名変更(婚姻または離婚を原因とする)の「変更証明書」
戸籍謄抄本+ 住民票の写し [本籍の表示のあるもの]
→住民票の記載の氏名・住所・生年月日および本籍の表示により、 登記簿上の登記名義人と氏名を変更する者との同一性を明らかにするため(登研490・145、536・175)

※氏名の変更(更正)の登記申請につき、住民票の記載で変更(更正)事項が明らかである場合は、戸籍謄抄本の添付は要せず、住民票だけで足りる。(昭40・9・24民甲2824回答) (登研490・146)

※住所を移転した後、婚姻により氏を変更した場合の登記名義人の表示変更登記申請につき、住民票の写しで氏の変更が明らかな場合には、住所および氏の変更を証する書面として住民票の写しを提出するのみでよい。(登研374・84、392・105)

添付書類の援用の可否

※不動産および申請人を異にする登記名義人の表示変更の登記に添付する変更を証する書面(住民票謄本)は、仮にその申請が連件でなされた場合でも、 援用できない。
(事例):甲物件の所有者Aと乙物件の所有者Bが同一世帯員であり、同時に住所移転している理由から所有権登記名義人の表示変更登記を連件で申請するとき
→前件に添付し、それを原本還付し後件に添付すれば足りる。 (登研506149、514・193)

※相続財産管理人選任審判書〔変更証明書兼代理権限証書〕の記載によって、該当相続財産管理人の選任が相続人不存在の場合であることおよび死亡者の死亡年月日が明らかでないときは、これらを証する戸籍(除籍)の謄抄本の添付を要する。 (昭39.2.28民甲422通達)

住民票の除票及び戸籍の附票もない

※登記名義人が住所を数次移転した後に、登記名義人の表示変更の登記を申請する場合、住民票の除票及び戸籍の附票もないときは、従前地における不在を証明する書面あるいは登記済証等を提出するなど、可能な限り登記官において変更の事実を推認し得るに足りる資料を添付すべきである。(「登記研究」第366号85頁)上申書(印鑑証明書付)を添付することも有効。

登記名義人が会社(法人)である場合の商号・本店所在地の変更証明書
○会社(法人)の登記簿謄抄本
当該会社(法人) の登記の管轄登記所と不動産の管轄登記所とが同一であるとき (法務大臣が指定した登記所を除く) は、変更を証する書面としての会社(法人)の登記簿謄抄本の添付を省略することができる。(昭38・12・17民甲3237通達)

取扱支店変更、追加の際の登記原因証明情報

登記原因証明情報の要否
※抵当権の取扱支店等もしくはその表示の変更または取扱支店等を登記する場合、抵当権の変更登記には登記原因証明情報を提供する必要がある。(登研689・291)

国民生活金融公庫への名称変更

※国民金融公庫と環境衛生金融公庫との統合により国民金融公庫から国民生活金融公庫への名称変更を証する書面は、名称変更の事実が国民金融公庫法の一部を改正する法律(平成11年法律第56号) 附則第2条の規定により明らかであるので添付を省略できる。
(注:国民金融公庫と環境衛生金融公庫は、 平成11年10月1日をもって統合され、国民生活金融公庫となった)(平11.9.14民三1965依命通知)(登研625・169)

登記名義人の住所が誤って本籍地をもって登記されている場合

A. 当該登記が、 住民票に記載された住定日 (住所を定めた日) 以前になされたものであるとき

  • 登記名義人の表示変更登記として申請すべきである。
  • 登記原因およびその日付「(住民票記載の住定日) 年月日住所移転」

B,住定日以後になされたものであるとき

  • →登記名義人の表示更正登記として申請することになる。『更正証明書』/不在証明書不要
  • →現在の住所を証する書面(本籍地記載ある住民票の写し 戸籍附票の謄本) に記載されている本籍地と符合しているときは、当該書面のみを添付すれば足りる。
  • →もし本籍地の記載が符合しないときは、 本籍地の変更を証する戸籍(除籍) の謄抄本を添付してすることになる。(昭32・10・4民三882回答)現在のように、登記の申請書に登記権利者の 『住所を証する書面』を添付するようになっ たのは、【昭和32年4月1日】 からである。

※登記名義人の表示更正の登記を嘱託する場合でも、その更正を証する書面の添付を要する。(昭36・7・22民甲1752回答)

誤って旧住所で登記をした後の更正登記

※誤って旧住所で登記を受けた後の登記名義人の住所更正の登記に添付すべき書面は、登記簿上の住所(旧住所)に登記名義人がいない旨の不在証明書および旧住所から新住所に移転した旨の住所証明書である。(登研428・135)(実務取扱) : 添付されている住所証明書に、旧住所・旧住所から新住所へ移動した旨、 移動年月日および新住所が明記されているときは、不在証明書の添付を要しないとされている。

※登記名義人の表示更正登記の申請書に添付する不在証明書の内 「住民票除票に記載のないこと」の証明書が入手できないときは、 戸籍の附票を添付しなければならず、いずれの添付もないときは却下事由に該当する。
(昭32・10・4民三881回答)

更正の前後で町名が異なる住所更正登記

※更正の前後で町名の異なる登記名義人の住所更正登記の申請書には、住民票・不在証明書の他、戸籍またはその附票の謄抄本、および、 更正すべき登記が “権利の移転の登記”であるときは、その登記義務者の証明書または登記済証(原本還付) 等その同一性を認め得る書面を添付させるのが相当である。(登研170・86)

※売買により所有権を取得した所有権登記名義人の住所の更正登記申請書に、売主(前所有者)が、「その者は登記名義人と同一人であること」を証明した書面〔印鑑証明書付〕 およびその者の住民票抄本を添付したときは、これを受理して差し支えない。(登研253.69)

錯誤を証する書面として登記済証を添付

※登記名義人の表示更正の登記を申請するには、申請書に錯誤を証する書面を添付するべきであるが、登記済証によって錯誤が明らかな場合には、代用した 「登記済証」を添付してすることができる。(登研127・45、15249)

※住所を更正する書面として印鑑証明書のみを添付した申請書は受理すべきでない。(登研414・75)

共同人名票不存在、共有者の一人から更正の登記申請

※共有不動産の登記名義人が「何某外何名」とのみ記載 (共同人名票不存在)とされている物件につき、当該物件の登記済証の写しを添付して共有者の一人から登記名義人の表示更正の登記申請がなされた場合に、その写しにより錯誤が明らかであることが確認できるときは、そのままこれを受理して差し支えない。(登研373・86)

※所有権移転登記申請の際に、 正しい氏名の住民票を添付しながら申請書に誤った氏名を記載したために、そのまま登記を受けた後の氏名更正登記

  • →登録免許税法第5条第12号 (職権更正登記による非課税)の適用は受けられない。
  • 『更正を証する書面』としては、現住民票の他、不在証明書、 登記済証、上申書および所有權移転契約書等(登研434148)

※売買による所有権移転登記申請書に添付した印鑑証明書
→その前提たる登記名義人の表示変更 (更正) 登記の住所証明書として援用することができる。

※登記名義人の表示変更(更正)を関連づける市区町村長の証明が得られない場合

  • →可能な限り、登記官が変更(更正)の事実を推認し得る資料を添付すべきである。
  • 具体的には勤務先の証明書・その他の登記の登記済証・地区の公職者(自治会長・民生委員・警察官)の証明書・源泉徴収票・納税証明書・公的機関からの郵便 公証人の認証を受けた定款(発起人)等
非課税の場合

1 住居表示実施等による場合(登録免許税法第5条第4号)
※住居表示が実施された場合
→登記原因 「年月日住居表示実施」
※住居表示が一旦実施された後、 その表示が変更された場合
→登記原因 「年月日住居表示変更」
(登研289・65)

※登記名義人の表示変更の最終の登記原因が 「住居表示実施等」 である場合には、登録免許税は登録免許税法第5条第4号の規定により非課税となる。(昭40・10・11民甲2915回答)

※住所移転(転入届出) と住居表示実施とが同一日付でなされた場合

  • 登記の原因→「年月日住所移転」
  • 変更後の事項→ 「変更後の住所」として “住居表示実施後の表示” をもって記載することになる。
  • 登録免許税→免除されず、課税されることになる(あたかも実施後の住所に移転したものと解される。)

※住居表示実施に伴う変更登記または実施された住居表示の変更に伴う変更登記がなされた後に、その登記が誤っていたことを理由とする「更正」の登記の場合に、当該変更登記が市区町村の変更証明書の錯誤により生じたものであることが確認できる限り非課税となる (昭40・12・9民甲3410、 昭41414民甲1112各回答)「民事月報号外283頁」(昭42年全国登記課長会同決議)

※所有権取得時には既に住居表示が実施されていたにもかかわらず、住居表示実施前の住所 で所有権取得の登記を受けた登記名義人の住所を、住居表示実施後の住所に更正する登記 には、登録免許税が課せられる。(登研425・129)

※住居表示実施後において、 (商業登記簿の本店変更が未登記であったため) 実施前の本店 所在地で登記した事項を住居表示実施後による本店所在地に改める場合の原因は錯誤と し、登録免許税を必要とする。(登研452・113)

※住居表示の実施により、 登記簿表題部の不動産の所在地欄は変更されているが、 所有権登記名義人の表示が変更されていない場合には、その前提としての所有権登記名義人の表示変更登記を省略して当該不動産に設定されている抵当権の抹消登記を申請することは許されない。(登研430・173、512157)

非課税証明書について

※市町村の長発行の「住居表示実施通知書」または関係人の申請による 「住居表示実施証明書」を添付すれば足り、他に現在の住民票の写しを添付することは要しない。(昭37・10・9民甲2854通達) (登研401・160)

※住民票の写しの備考欄に住居表示実施により変更した旨およびその実施年月日が記載されている場合は、これを “非課税証明書” として取り扱って差し支えない。(昭37・8・29民甲2470通達)

※住所欄の旧住所が棒線で抹消され、次の行に新住所とともに「年月日住居表示実施(または変更)」と記載されている市区町村長発行の印鑑証明書を、便宜、「住所の変更証明書兼 非課税証明書」として取り扱うことが認められた。(登研516・196)

行政区画等の名称の変更の場合

◎行政区画・字またはその名称
「行政区画」
都・道・府・県・市・区・町・村のような行政機関が、その権限を及ぼし得る行政上の単位である一定範囲の地域
「字」
大字小字のような行政区画内の一定範囲の地域
→これらの管轄範囲の拡大・縮小による変更またはこれらの名称自体のみの変更があった場合でも、登記簿に記載されたそれらの表示は当然にこれを変更したとみなされる。 (不動産登記規則第92条第1項)ただし、変更前の住所に「甲・乙・丙」の表記があり、大字小字の変更とともに「甲・乙・丙」の表記が外れる場合、表示変更登記が省略できない場合がある(甲乙丙は地番の一部とみなされるため)。

※不動産の表示に関するものであると、 登記名義人の表示に関するものであるとを問わず同様の取り扱いであり特に変更の登記をすることを要しないが、 形式的に現在の表示と一致させるために変更の登記を申請することもできる。(明38・5・8民刑局長回答) (登研464・117)

住所移転した後に行政区画のみ変更

※登記名義人の住所移転の登記の申請をする場合において、 住所移転した後に当該地の行政区画のみ変更が行われていたとしても、 同一の申請書で申請する限り

  • 申請書に記載すべき登記原因
    →「(住所移転の年月日)住所移転」のみで足り、行政区画変更の旨を併記する必要はない。
    ・変更後の事項として記載すべき住所
    →行政区画変更後のもの (新住所)を記載する。
  • 登録免許税
    →登録免許税法第5条第5号に該当せず、非課税とされない。
    (昭48・11・1民三8187、 昭50・3・23民三2692、 昭56・3・5民三1433各回答)

※政令指定都市の区制施行に伴い登記名義人の表示中 「住所」について変更を生じた場合には、その変更の登記をすることなく、他の登記を申請し得る。(登研301・69)

※登録免許税法第5条第5号の字には『小字』も含まれる。 (昭43・4・18民三354回答)

※『小字』名追記による登記名義人表示変更の登記には、登録免許税法第5条第5項の適用がある。(昭43・6・27名古屋直轄管轄内所長会決議 )

行政区画等の変更に伴い、地番の変更が行われた場合

※登記名義人の表示変更の登記を申請しないと、「住所」は当然には変更されない。

※町村合併に伴い地番変更があっても、所有権の登記名義人の表示について変更されたもの とはみなされず、 その表示変更の登記をしなければならないが、 登記官は、一定の要件の 下に職権で登記名義人の表示の変更の登記をすることができる。(昭31・12・14民事三1421回答) (登研6289)

※A地からB地に住所移転した後、 B地が行政区画の変更に伴い地番も変更された場合
登記原因 : 「年月日住所移転」「年月日町名変更および地番変更」 と併記することになる。 登録免許税:登録免許税法第5条第5号の規定が適用される。 (大阪法務局決議)

※字地域の変更に伴う地番変更による登記名義人の表示変更の登記は、登録免許税法第5条第5号の条項に該当する。(昭46.2.9民三34回答)

土地改良事業または土地区画整理事業の施行に伴って地番の変更がなされた場合

※区画整理により町名のみが変更された後、住所移転がなされた場合の登記名義人表示変更登記の申請書に記載する登記原因は、「年月日住所移転」 のみである。 (登研38393)

※土地区画整理登記令第13条第3項 〈現行: 第11条第1項〉〔従前の土地が数筆で換地が一筆の場合に関する規定〕 による所有権登記の登記名義人の住所地番が当該登記前既に区画整理事業の施行に伴い変更されていた場合に、変更後の住所地番に是正するには、登記名義人表示変更として取り扱われる。 登録免許税法第5条5号の規定が適用される。(昭44・5・12民三562回答)

※土地区画整理により住所地番が変更されたが、 住民票の記載が修正されていなかったため従前換地前の住所地で所有権取得の登記を受けた登記名義人の住所を変更後の住所に是正する登記は、登記名義人表示更正の登記による。登録免許税法第5条第5号の規定が適用され、非課税である。(昭49・12・28民三6678回答)

※換地処分による単一の登記前に既に住所移転していた場合の所有権登記名義人の住所の是正は、更正の登記によるべきである。(登研599・167)により(同44081) が変更

※土地改良法による換地処分により地番が変更した場合に、 土地改良区が組合員たる登記名義人に代位してその名義人表示の変更登記を申請することはできない。

  • 登記原因「年月日土地改良法換地処分による地番変更」
  • 登録免許税法第5条5号の規定が適用される。
    (昭34・1 • 19民甲56回答)
    ※重複地番の解消等のために登記官が職権により地番を変更した場合の、当該地番変更を原因としてする登記名義人の表示変更の登録免許税は、登録免許税法第5条第5号の規定による取り扱いに準じて非課税とされる。「非課税証明書」として、 不動産登記法第62条 〈現行:不動産登記規則第183条第1項第1号、 同条第2項〉の通知書または地番変更された登記簿謄抄本を添付すれば足りる。
行政区画等の変更およびその名称変更の場合の非課税証明書や当該変更に係る市区町村等の行政機関の長の証明書
(登録免許税法施行規則第1条第2号)
  • ※その備考欄に、次のとおり記載された住民票の写し
  •  「年月日土地の名称 (行政区画等)および地番変更により年月日記載」
  •  「年月日土地の名称 (または地番) 変更につき年月日住所更正」
  • →地番の変更が行政区画等の変更に伴わないものであることが明白でない限り、「非課税証明書」として取り扱って差し支えない。(昭42・7・26民三794通知) (登研28273、396・107)
  • ※行政区画の変更の旨の記載のある市区町村等発行に係る広報をもって代用することはできない。
土地区画整理または土地改良事業による場合 の非課税証明書

イ. 施行者の書類
当該施行者発行の証明書
当該事業に係る換地処分通知書
ロ.知事の証明
・知事発行の証明書
・土地区画整理法第4条または第14条による知事の許可書の写し(昭42・12・14民甲3484通達)

※払下げによる所有権移転の登記の嘱託書の誤記に基づき所有者の住所・氏名を誤って登記された後の、本人からの表示更正登記についての登録免許税は、 免除されない。(登研427・105)

※国土調査の実施の際に土地の番号を変更したことによる登記名義人の表示変更登記については、登録免許税を徴収すべきである。(昭43・3・12民三235回答)

会社(法人)と非課税証明書

その変更を証する書面および代表者の資格を証する書面として添付した会社の登記簿謄抄本等において、 住居表示実施・行政区画等変更またはその名称変更により本店(主たる事務所)の表示が変更されていることが明らかである場合には、住居表示実施または行政区画等の変更による登記名義人たる会社 (法人)の本店 (主たる事務所)の表示変更の登記申請書に添付する 「非課税証明書」として代用できる。(住居:昭38・9・13民甲2608通達、昭42.9行政 : 昭42・10・17民甲2676通達、 昭56 37民三850回答/ 5民三1433回答)

商業登記簿記載例

住居表示実施の場合
「年月日住居表示実施」「年月日登記」

行政区画等の変更の場合
登記官により職権でなされるが、 申請して変更しても差し支えない。
「年月日変更」「年月日修正」

※不動産の登記義務者たる会社の住居表示実施または行政区画等の変更による本店の表示変更による登記名義人表示変更の登記を申請する場合に会社の登記管轄登記所と不動産登記の管轄登記所が同一であるときには、変更を証する書面 「非課税証明書」 の添付を基本的には省略す ることができる。(上記昭42年、昭56年各回答) (登研230・71)

被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が提供された場合

※被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が提供された場合における相続による所有権の移転の登記の可否 (平29・3・23 民二175)
[照会] 「相続による所有権の移転の登記(以下「相続登記」と いう。)の申請において、所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合 には、相続を証する市区町村長が職務上作成した情報 (不動産 登記令(平成16年政令第379号) 別表の22の項添付情報欄) の一 部として、被相続人の同一性を証する情報の提出が必要である ところ、当該情報として、住民票の写し (住民基本台帳法 (昭 和42年法律第81号) 第7条第5号 第12条。 ただし、本籍及び登記記録上の住所が記載されているものに限る。)、戸籍の附票の写し(同法第17条、第20条。 ただし、登記記録上の住所が記載されているものに限る。)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証 (改正前の不動産登記法 (明治32年法律第24号) 第60 条第1項) の提供があれば、不在籍証明書及び不在住証明書など 他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認 ることができ、当該申請に係る登記をすることができると考 えますが、いささか疑義がありますので照会します。」
[回答] 「本月7日付け不登第51号をもって照会のありました標 記の件については、貴見のとおり取り扱われて差し支えありま せん。」

相続人不存在

※相続財産清算人選任の審判に基づき、不動産の所有者を「相続財産」法人名義にするための登記をする場合の添付書類

相続財産清算人選任審判書を登記原因証明情報とすることができる(ただし、次の場合は相続人不存在を明らかにする戸籍等が必要)。相続財産清算人選任書の記載によって、当該相続財産清算人の選任が相続人不存在の場合であること及び死亡者の死亡年月日が明らかでないときは、右事項を証する書面として戸籍(除籍)の謄本若しくは抄本の添付を要する(昭和39年2月28日 民事甲422)。

審判書に「相続人が不存在である場合」とは明記されていないが、「民法952条1項により次のとおり審判する」旨が書かれていた場合に、審判書のみで受理されました(筆者個人的経験なので確認をおすすめします)。

[不動産登記レアケース7] 名変ができるのか迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・権利能力なき社団・認可地縁団体・組織変更・合併・代位できるか・職権更正の対象を申請で更正できるか

法人格なき社団

※法人格のない社団の登記名義人である代表者が変更 [交代] した場合には、「委任の終了」を登記原因として所有権移転登記をすべきである。(登研312・67)

※構成員全員の名義で登記されている法人格のない社団の所有する不動産について、新たに 選任された同社団の代表者名義にするには、『委任の終了』を登記原因とする所有権移転 登記による。(登研539・153)

※認可に係る地縁団体の場合、団体名称で登記することが出来るようになった。「(法人格取得の日=市町村長の認可の日) 委任の終了」(平3・4・2民三2246通達)

※法人格なき社団の代表者名義の不動産につき同代表者が死亡した場合、新代表者への変更する登記は、亡き代表者の相続人と新代表者との共同申請による所有権移転登記による。所有権登記名義人表示変更登記によるべきではない(登研476.139)

※有限(または株式) 会社が組織変更により株式 (または有限) 会社となった場合に、当該会社所有の不動産の所有名義を株式会社とするには、所有権移転の登記によらず登記名義人の表示変更登記による。(昭29・11・16民甲2404回答)

※被合併会社を表示するときに、会社登記簿と登記簿上の登記名義人としての表示が相違[商号変更等]する場合でも、 “合併”は相続登記の一種と解されているので、申請書には登記簿上の表示どおり記載し、 ただし、 その表示の変更を証 する書面(被合併会社の閉鎖登記簿謄本)を添付すれば、 前提として登記名義人たる 「被相続人」の表示の変更登記をすることを要しない。

土地改良法による換地処分

※土地改良法による換地処分により地番が変更した場合に、土地改良区が組合員たる所有権登記名義人に代ってその名義人表示の変更登記を申請することはできない。(昭34・1・19民甲56回答)

※既登記の抵当権者は、抵当権の変更契約に基づき、 代位によって所有権登記名義人の表示変更登記をすることができる。

〈代位原因〉の記載例
「年月日 変更契約に基づく○番抵当権変更登記請求権」として差し支えない。(登研376・88)

※破産管財人は、破産者所有の不動産を任意売却するにあたり、破産者の現在の住所と登記
簿上の住所が相違する場合には、登記名義人表示変更(更正)の登記を申請することがで
きる。
(登研454・133)

※現に効力を有しない前所有権登記名義人からする自己の登記名義人表示変更登記申請は、受理できない。(登研346・91)

※合併による所有権の登記がある場合の登記名義人の表示の変更の登記は、当該合併による所有権の登記のみについてすれば足りる。
(登研41185)

職権で更正されるべき登記名義人の表示の相違

※職権で更正されるべき登記名義人の表示の相違
例:法務局側のタイプミス移記ミス等
→登記名義人より表示更正の登記を申請しても差し支えない。(登研170・100)
:申請書の[登録免許税額]の欄に“適用免除条項” を記載してすれば、免除される。(登録免許税法第5条第12号) (「民事月報号外285頁」)

[不動産登記レアケース6] 在日外国人・在外日本人で迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・在日外国人・在外日本人の場合の添付書類・廃止前の外国人登録制度・通称名・在留証明書に住所を定めた日付の記載がない場合・A土地は本国名でB土地は通称名の場合・外国人登録原票・

通称名での登記

※外国人の場合、その者の本国における氏名(本名)を表示するのが原則であるが、外国人登録証明書に本国の氏名と共に日本において使用している氏名 (通称名) が併記されているときは、この通称名を登記名義人として登記しても差し支えないとされている。(昭38・9・25民三660回答)

※韓国人を登記義務者とする抵当権設定登記の申請書に添付された印鑑証明書に記載の氏名が登記名義人の表示と異なっている場合においても、外国人登録証明書の記載から両者が本国名と通称名の関係にあることが判断できる場合には、この抵当権設定登記申請は受理して差し支えない。(昭40・11・6民甲3182回答)

※登記されている本国(韓国)における氏名を、日本において使用している通称名に更正する登記は、外国人登録証明書等によりその同一性が確認できる場合であれば、便宜、申請することができる。(登41185)

※通称名「A」を通称名 「B」と変更したときの登記原因
「年月日 氏名変更」
(登研582・185)

A土地は本国名、B土地は通称名

※A土地は本国名で、B土地は通称名で登記されている外国人が、A・B両土地を同時に一括して担保提供や売買する場合に、添付された印鑑証明書等により“同一人であること”が確認できるときは、前提の氏名の表示変更・更正の登記を省略して差し支えない。

※外国(韓国)人が本国における氏名で所有権登記登記を受けた場合、日本で使用している通称名に更正する所有権登記名義人表示更正登記の申請は同一性が証明書で確認できるときは便宜受理される。(「登記研究」第411号)

※市区町村から行政証明として外国人登録法廃止後に発行された旧外国人登録原票の記載事項に関する書面に、外国人の住所の移転の履歴及びその移転日が記載されている場合は、当該書面を当該外国人の住所の変更を証する情報として取り扱って差し支えない。(登記研究779)

※平成24年7月9日に外国人登録制度が廃止され,外国人も住民票が交付される。この住民票には,外国人登録原票に記載されている最後の住所が最初の住所として記載され、それ以前の住所(前住所)は住民票には記載されない。
 1 平成24年7月9日以前に住所移転
添付書面は,外国人登録原票記載事項証明書(住所の変更履歴があるもの)
 2 平成24年7月9日以降に住所移転し
添付書類は、住民票の写し(住所の変更履歴があるもの)
 3 平成24年7月9日前後にかけて住所移転
添付書類は、外国人登録原票記載事項証明書(住所の変更履歴があるもの)等と住民票の写し(住所の変更履歴があるもの)
平成24年7月9日以降の外国人登録原票開示請求先
法務省大臣官房秘書課個人情報保護係

※帰化者に対して法務局 (地方法務局) 長が発行する帰化者の身分証明書 [戸籍への帰化届未済]は、登記名義人表示変更登記の変更証明書に該当しない。(登研350・75)

登録原票や住民票で住所の記載が不十分の時

※登記簿上の「居住地」の表示
A市→B市→C市→D市→E市
(当該地点では、 「A→B→C」 の記載のある原票が回収)
E市役所→ 『C→D→E』 の証明しか出せない
そこで申請人からの依頼があれば (A~E)の経緯につき法務省に照会し、回答があれ ば、その事項の証明を発給(登記済証明書の備考欄に居住地変更経過として記載)してくれる。
ただし、発行されるまでに約1か月程度の期間を要する。
外国人の住所または氏名の更正登記申請に添付すべき「更正証明書」とされる不在証明書 (本来は発行しない取扱い)としては、登記済証、前所有者の証明書、第三者(民生委員等) の証明書、納税証明書、 上申書等信憑力のあるもので代用すべきである。
(大阪法務局決議)

※変更(更正)証明書としては在外公館の『在留証明書』を提出する。

住所移転が不明な場合

(参考)在留証明には「〇年〇月以来居住」の記載しかないので、原因の記載は「〇年〇月日不詳住所移転」、本人の申出による「〇年〇月〇日住所移転」など登記所により取扱が異なるが、本人からの申出書(上申書)又は委任状等で「日」まで特定されていれば日付まで記載し、特定されていなければ「日不詳」として記載することもやむを得ない。
(平成8.9.12二庶統2第372号東京法務局総務部長了承)

住所証明書

※国外移住者の不動産登記法細則第41条ノ2 〈現行: 不動産登記令別表2、4、12、13、28、29、30等〉の書面(住所証明書)としては、その者の住所地を管轄する在外公館の証明を得た書面『在留証明書』を提出すべきである。(昭33・1・22民甲205回答)

※財団法人交流協会在外事務所長が台湾在住の日本人に対して発給する在留証明書、印鑑証明書若しくはこれに代わる署名証明書は、便宜、 不動産登記法細則 〈現行:不動産登記令〉に規定する住所証明書、印鑑証明書若しくはこれに代わる書面として取扱って差し支えない。(昭48・8・11民三6365通達)

※在アメリカ日本人の住所を証する書面としては、本国官憲の証明に係る書面が相当である が、アメリカの公証人の証明に係るものでも差し支えない。(昭40・6・18民甲1096回答)

※在外邦人の中間の住所移転の経緯について在外公館の証明を得ることができない場合にお いて、在留証明書と消除住民票若しくは戸籍の謄抄本等により本人の同一性が確認できる ときには、この各書面に加えて、中間の住所移転の経緯およびこれについての証明書を得 ることができない旨の本人の上申書を提出すれば足りる。 (昭48・11・17民三852通知)

外国の住民票や戸籍制度

◎住居関係登録制度を有する国
 韓国、ドイツ、イタリア、 オランダ、スウェーデン、フィンランド等
◎戸籍制度を有する国
 韓国(平成20年1月1日より変更予定あり)、台湾
 中華人民共和国 (この国の戸籍は、 警察による治安、 公安を目的とした居住管理(戸口登録〔住居台帳〕) として機能している)

[不動産登記レアケース5] 判決や調停調書等で迷う

レアケース:ご利用にあたって
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誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
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皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・判決正本、調停調書の記載と当事者の記載が食い違う場合・差押等・判決・調停調書・和解調書と登記簿上の記載に誤り(変更)がある

判決記載の登記義務者の住所が登記簿上と相違

※判決等により所有権移転の登記を単独で申請する場合において、 登記簿における「登記義務者」の表示が判決正本等のそれと相違する場合には、たとえ、判決正本等に登記簿上の 住所が併記しているときでも、前提として登記名義人の表示変更(更正)の登記を省略することはできない。(登記研究276・69, 429・120、 611 · 171、 638 · 89)

※判決等に揚げられた登記義務者(被告・相手方) の住所が、 登記簿上の登記義務者の住所と相違するときは、判決等に基づく登記の申請は受理されない。(不動産登記法第49条第6号 〈現行: 第25条第7号〉 /却下事由)

A 判決等の記載が明白な誤記である場合

具体的には、訴訟提起時後に、被告である登記義務者の住所が移転し、その登記も完了していたときや判決言渡等後に、被告が住所を移転し、その登記を完了していたとき

→裁判所へ『更正決定』の申出をなし、 これを受けて処理する (判決等の住所を登記簿のそれに符合させる)ことになる。

B判決等の記載が正しい場合

具体的には、被告が訴提起時には登記簿に記載された住所を移転していたが、その登記が未了であるとき

→ 実務上は、登記簿上の住所と現住所を併記している事例が多い。原告は、判決書等を代位原因証書として、債権者代位により登記義務者の住所の変 更登記をしなければならない。

判決、調停調書、和解調書と名変の省略の可否

※時効取得による所有権移転の登記をするにあたり、 登記名義人 (当該所有権移転登記の登記義務者) の登記簿上の住所と判決書の住所が相違する場合は、勝訴者(当該所有権移転登記の登記権利者) が代位により、 その表示の変更登記をすることになる。(登研455・92)

※和解調書に基づき登記権利者単独で所有権移転の登記申請をする場合に、本件調書上には 登記名義人(登記義務者) の表示として登記簿上の住所とこれと異なる現在の住所とが併 記されている場合であっても、前提としての登記名義人の表示変更の登記は、省略するこ とができない。(登研476・140)

※調停調書により所有権移転登記の申請をする際に、 調書記載の「登記義務者」の住所が登記簿の表示と符号しない場合において

  • A.調書記載の住所が正しいときは、住所の変更または更正登記の申請を要する。(登研383・91)
  • B.調書記載の住所が誤っている時は、 当該住所についての更正決定書を添付して登記申請する。

※調停による所有権移転登記の抹消登記の申請をする場合に調書記載の「登記義務者」 の住所および氏名が登記簿の登記名義人の表示と符号しないときは、住所および氏名の変更証明書が添付されていても、登記名義人の住所および氏名の変更登記を省略することはできない。(350 75、 546 · 152)

※和解調書に基づき抵当権抹消の登記を申請する場合に、その和解調書に抵当権者「当該登記の登記義務者」 の登記簿上の住所と現住所が併記されているときは、本件調書を“住所の変更を証する書面” とすれば足りる。(登研398・94)〈表示変更(更正) の登記は、 省略できる。(昭31・10・17民甲2370通達)〉

和解調書の更正決定の要否

※「和解」を原因とする所有権移転登記の申請に当たって、和解調書上の 『登記権利者』の住所として旧住所が記載されている場合には、 更正決定を受けなくとも、住所の変更を証する書面を添付すれば足りる。(登研523・137)

※仮差押の登記等の処分の制限の登記の名義人から、 登記名義人の表示の変更の登記の申請がなされた場合には、便宜、受理してよい。なお、名義人表示変更の登記をした旨を仮差押等の登記の嘱託裁判所に通知するのが相当である。(昭42・6・19民甲1787回答)

※差押えの登記名義人である債権者(法人)に合併による承継が生じた場合には、承継人から差押登記の移転又は登記名義人の変更の登記を申請することはできない。

(登記名義人の主体そのものに変更が生じている為に、昭和42年6月19日付先例の様な便宜的取り扱いは相当ではない)なお、この場合、 債務名義に承継執行文の付与を受ければ、執行文及び債権者が提出した承継を証する文書の謄本も債務者に送達されるので、 変更の登記をしなくても当事者間に おいては承継の事実を確認できる。(登研627・189)

※仮差押登記嘱託書に記載された権利者の表示を登記官の過誤により誤記した場合、 第三者 に所有権移転がなされた後であっても、当該仮差押権利者の表示を不動産登記法第64条〈現 行: 第67条第2項〉により更正することができる。(昭41・5・16民甲1202回答)

※抵当権実行による競売申立登記後に、 当該抵当権付債権が譲渡されても、競売申立人の表 示を債権譲受人とする変更の登記をすることはできない。 (昭35・9・1民甲2146通達)

※強制競売申立登記の嘱託に基づき、 当該登記を記入するに先立ち、職権によりなした所有 権保存の登記の名義人の表示更正の登記の嘱託が裁判所からなされたときは、 法第49条3 号 〈現行:第25条第4号〉 により却下すべきである。(登研228・63)

※仮登記仮処分命令正本〈現行: 仮登記を命じる処分の決定書正本>の「仮登記義務者」の住所の表示が登記簿上の表示と異なる場合には、 前提として名義人の表示変更の登記をしなければならない。(登研214・72)たとえ新住所が仮処分命令正本に併記されていても、省略することはできない。(登研226・75)

相続財産清算人からの売却

裁判所書記官作成の印鑑証明書は作成後3カ月以内である必要はない。
不在者財産管理人、成年後見人も同様
(「登記研究」平成28年1月号)

相続財産清算人選任審判書の謄本は、不動産登記令第17条第1項の規定により
作成後三カ月以内であることを要するが、作成後三カ月が経過した審判書の謄本と合わせて
三か月以内の権限外行為許可審判書の謄本を添付すれば、適法な書面が添付されているものとして
処理して差し支えない。(登記研究806号163頁)

[不動産登記レアケース4] 一括申請ができるのか迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

一括申請が可能か・登記の受付年月日が異なる数個の不動産の場合・数回にわたり変更がある場合・共有の場合・共有持分を数回にわたって取得した場合・一括申請をした場合の登録免許税

数個の権利(所有権や抵当権等)がある場合や数個の不動産がある場合の一括申請の可否

※所有権の登記のある不動産についての当該登記名義人の表示の更正登記と、所有権の登記のない不動産についての表題部の所有者の表示の更正登記とを同一申請書で申請することはできない。(登研182・160)

※登記名義人(法人)の本店の表示の変更原因が、 甲不動産につき 「年月日 住居表示実施」、乙不動産につき「年月日 本店移転」・「年月日 住居表示実施」 の場合、登記の原因が異なるので甲・乙不動産につき同一の申請書で申請することはできない。

  • 甲については 登記原因:「年月日 住居表示実施」(登研516・197)
  • 乙地については 登記原因: 「年月日 本店移転」
  • →変更後の住所として、 住居表示実施後の新しい表示を記載する。

※同一人所有に係るA、B二個の不動産について、Aについては氏名のみ、Bについては住所のみに誤りがある場合の所有権登記名義人の表示更正の登記の申請は、別件ですべきである。(登研486・133)

※登記年月日を異にする数個の不動産に関する所有権登記名義人の表示更正登記は、 更正前の事項が同一であれば同一の申請書により申請することができる。(登研147・46)

※所有権または抵当権の登記名義人の名義人表示変更の登記については、当該所有権または抵当権の取得の時期が異なる場合および権利の客体が多数である場合でも、 1個の申請書によることができる。(昭8・8・19民甲1229回答)

※同一の不動産上に設定登記のある抵当権者を同じくする数個の抵当権がある場合に、 各抵当権につき抵当権者の住所変更登記をするときは、便宜、同一申請書ですることができる。(登研286・77)

※登記名義人の表示が数回にわたって変更 (更正) されている場合には、1個の申請により、直ちに現在の表示に変更 (更正) の登記をすることができる。この場合には、申請書に登記原因およびその日付を併記 〔ただし、 同種の登記原因が数個存するときは、便宜、その最後のもののみを記載しても差し支えない〕 し、各変更(更正) を証する書面を添付すべきである。(昭32.3.22民三423通達)

※順位一番で甲が住所をAとして所有権保存の登記をした後、 順位二番で乙に対して所有権 一部移転の登記をしたが、 甲が再び当該持分を取得し順位三番で住所をBとしてその旨の 登記を経由した後、 さらに住居表示実施による住所の変更があった場合には、順位一番お よび順位三番について登記名義人表示変更の登記を一件の申請書ですることは、 登記原因が相違するので許されない。(登研38394)

※同一人が、甲土地については所有権登記名義人、 乙土地については所有権仮登記名義人である場合の住所移転による名義人表示変更登記は、同一の申請書で申請することはできない(登研453・124)

※二個の不動産の登記名義人の住所につき、一物件については表示の変更を、他の物件については表示の更正と変更を要する場合は、これを同一の申請書で一括して申請することはできない。(登研413・97)

※各別に持分を取得して所有権の登記名義人となった者が、 ある登記については住所変更登記または住所更正登記をするには、 各別の申請書によりすべきである。(登研193・72)

※同一不動産の抵当権者と賃借権者が同一人である場合における住所変更の登記は一括申請できる。登録免許税:不動産1個につき、 金1,000円(登研246・70)

共有の場合の一括申請の可否

※共有持分を数回にわたって取得した者が登記名義人の表示変更または更正の登記を申請する場合

  • 登記の目的: 「○番・×番・・登記名義人表示変更(更正)」
  • 登録免許税: 不動産1個につき、1,000円

→上記の登記の記載は、順位番号欄に「○番・×番付記~号」 と記載され、 事項欄に1個の登記でなされる。(登研191・71)(昭42・7・26民三249依命通知)(登研525211)

※A単有名義とAB共有名義の各不動産についての登記名義人Aに関する表示変更の登記は、一件の申請書で申請することができる。(登研360・92)

  • 変更後の事項:「所有者および共有者Aの住所」

※A単有名義、 およびAB共有名義の各不動産について、 A、B両名の住所移転による登記名義人の表示変更の登記は、 例え登記の原因および日付が同一であっても、申請人適格が同一でないから、同一の申請書によってすることはできず、各別の申請書により申請すべ
きである。(登研519・187)

※ABの共有とする取得の登記の際、 申請の錯誤によりAについてはBの住所を、BについてはAの住所を表示して登記した物件につき、上記両名の名義人の表示更正の登記を一括して申請することができる。(昭38・9・25民甲2654回答)

  • 変更後の事項: 「共有者全員の住所」

※共有者甲・乙の住所を誤って逆に登記した。その場合、共有者甲及び乙の各住所の更正は、一件の申請書で申請することができる。(昭38・9・25民甲2654回答)

※登記名義人の住所移転による変更と住居表示実施による変更は、一件の申請で登記することができる。(昭40・10・11民甲2915回答)

※登記簿上の住所が同一である共有者AおよびBが、 同時に同一の地に住所を変更した場合には、 AおよびBの登記名義人表示変更登記は一括申請できる。 (登研40985、440・80)
数名の共有者の登記名義の住所更正の登記を一括して同一申請書で申請してさしつかえない。
(昭38・9・25民甲2654回答) (登研628・9)
登録免許税:不動産1個につき、金1,000円
(昭42・7・26民三794依命通知)(登研455・91)
→共有者の一人から登記申請代理の授権を受けて共有者全員のための登記申請をするこ
とはできない。(登研45894)

持分にのみ抵当権設定登記がある場合の共有者全員持分全部移転

1. 事案の概要

同一の不動産について、次のような登記がされている。

  • 甲区1番:A・Bの共有(各持分2分の1)
  • 乙区1番:Aの持分のみに抵当権が設定されている(抵当権者丙)
  • 甲区2番:共有者全員持分全部移転により、C・Dの共有(各持分2分の1)となっている

この状態で、Aの持分に設定された抵当権を実行したいが、登記上、Aの持分がCとDのどちらに移転したかが分からない。この場合に差押えの登記が可能かどうか、という問題である。

2. 原則:一件一申請主義とその例外

登記は本来、1個の権利ごとに申請するのが原則である(一件一申請主義)。しかし、これを厳格に貫くと申請人に過重な負担を強いることになるため、登記原因が同一であるなどの一定の要件を満たせば、数人の共有不動産を第三者へ移転する場合や、数人の第三者へ移転する場合であっても、便宜上、1件の申請書で一括して登記申請することが認められている。

3. 持分上に第三者の権利がある場合の一括申請の制限

上記のような一括申請の例外には、重要な制限がある。 共有者の持分のうちの一部に、第三者の権利に関する登記(抵当権や処分制限の登記など)が設定されている場合には、一括申請の例外は適用されず、別個の申請により各別に持分移転登記をしなければならないとされている。 これを一括で申請して混然一体とさせてしまうと、今回のように誰の持分が誰に移転したのかが不明確になり、権利関係が錯綜して公示上好ましくないからである。

4. 結論:本件事案への対応

本件は、共有者の一人であるAの持分にのみ抵当権が設定されている状態であった。したがって、本来であれば「共有者全員持分全部移転」という形で一括して所有権移転登記をすることは許されない事案であった。

この誤った登記状態のままでは、Aの持分に対する差押えの登記を受理することはできない。 差押えの登記を入れるためには、前提として、現在されている「共有者全員持分全部移転」の登記を更正し、Aの持分の移転とBの持分の移転が明確になるよう(誰の持分が誰にどれだけ移転したかが分かるよう)に正す必要がある。

「登記情報 <471号> 41巻 2号」

住所移転の経緯が異なる場合
  • (ア) 現在の登記簿上の住所が相違している共有者AおよびBが、 今回偶然同時に同じ住所に移転した場合
  • (イ)登記簿上の住所が同一であるAおよびBであるが、 Aはその後住所を (甲→乙→丙)を経て丁に、 一方Bは登記簿上の住所から直接丁に、 双方同時に住所を移したとき( 移転の途中経過が相違)

→同一の申請書では、申請できないとされていた (登研521174、524168) が、他方、単純かつ形式的に「“登記の目的、 登記の原因、 変更後の事項が同一である”という理由からと推測されるが、便宜、同一申請書による申請を認めて差し支えない。」とする質疑応答(登研575・122) が出た。

※甲地についてA、 乙地についてBを住所として所有権の登記を受けた者がCに住所移転した場合、甲・乙両地についての登記名義人の住所変更登記は1個の申請ですることができる(同一管轄)。(登研283・71)

※商号変更および住居表示の実施による登記名義人の表示変更の登記の登録免許税は、住居表示実施証明書を添付したときに限り、原因日付の前後に関わらず、不動産1個につき金1,000円である。(登研243.75)

一括申請をした場合の登録免許税

※同一不動産について共有登記名義人が、 同一の原因および日付でもって、 同一の申請により登記名義人の表示変更の登記申請をする場合の登録免許税は、変更する人数に関係なく不動産1個につき、金1,000円である。(昭42全国登記所長合同決議、 昭42726民三794通知)

住所更正と住所移転または氏名更正と氏名変更

※同一物件に関して、錯誤による住所更正登記と住所移転による変更登記とを一件で申請することができる。(昭32・3・22民甲423通達)

  • 登記としては、一種の中間省略の登記に該当するものとして「変更」の登記1個と考えられる。
  • 登記の目的:「登記名義人表示変更」
  • 登記原因: 「錯誤」「年月日・住所移転」を併記する。(161 43, 171 66, 547 147, 567 165)
  • 登録免許税:不動産1個につき、金1,000円(昭42・7・26民三794通知)

※氏名錯誤 + 住所移転による登記名義人の表示更正および変更の登記は、同一の申請書で一括申請することができる。(昭32.3.22民甲423通達) (登研396・103)(昭42・7・26民三794号通知)
登録免許税:不動産1個につき金2,000円
「更正」の登記と 「変更」の登記という2個の区分に属する登記がされることになり、 それぞれにつき登録免許税が課せられる。

氏名変更及び住所移転または氏名更正及び住所更正の組み合わせの場合

※同一区分(「変更」 または 「更正」 の登記) に属する登記であるとして取り扱うべきであり、 従って、不動産1個につき金1,000円となる。

※氏名錯誤 + 住所移転 + 住居表示実施による登記名義人の表示 「更正」 及び 「変更」 の登記は、同一申請書で一括申請することができる。登録免許税 : 不動産1個につき、 金1,000円(住所に付き [住居表示実施]により非課税)(登研241・68)

※氏名錯誤 + 住所錯誤 + 住所移転による登記名義人の表示「更正」および「変更」 の登記は、同一申請書で一括申請することができる。(登研381・90)

  • 登記原因: 「氏名および住所 錯誤」「年月日 住所移転」と併記すべきである。 登録免許税 : 不動産1個につき、 金2,000円

※住所錯誤 + 住所移転+氏名変更による登記名義人の表示「更正」 および 「変更」 の登記は、同一申請書で一括申請することができる。登録免許税:不動産1個につき、 金1,000円(登研353・118)

※住所移転した後に住居表示実施があり、 その後、婚姻により氏名を変更した場合に、この 登記を1件の申請ですることができるが、 この登録免許税は氏名変更のみに課税され、 不 動産1個につき、 金1,000円である。(登研452・116)

所有権移転(持分移転)の場合

※同一の被相続人名義となっている不動産の共有持分と、他の不動産の所有権について、相続を登記原因として同一の申請書で申請することができる。この場合の登記目的は「何某持分全部移転・所有権移転」とし、持分は不動産の表示中に記載すれば足りる。(登研353・115)

※持分の異なる二個の不動産(例:甲物件持分4分の1、乙物件持分4分の2)について、登記原因、日付、申請当事者が同一である持分全部移転の登記は、同一の申請書で申請できる。(登研6339)

※甲・乙・丙が共有する物件について、乙が持分全部、丙が持分の一部を同一人に移転する場合、登記の目的を「乙持分全部、丙持分○分の○移転」として一括申請できる。(登研437)

※各共有者が持分のうち一部をそれぞれ同一契約で別の譲受人に移転する場合、登記の目的は「共有者全員持分一部移転」ではなく、「甲持分○分の○、乙持分○分の○、丙持分○分の○移転」とするのが相当である。(登研546・152)

 →申請書の記載方法としては、権利者欄に「持分後記のとおり」と記載し、各不動産の表示の末尾に「(持分○分の○)」と付記する形で受理された実務例がある。

※甲・乙各2分の1の共有で、乙持分のみを目的とする抵当権が設定されている場合、「共有者全員持分全部移転」として一括申請することはできない。「甲持分全部移転」「乙持分全部移転」として別々の申請書による必要がある。

※所有権移転登記と所有権一部移転登記は、同一の申請書ですることができない。(登研423・125)

※当事者・登記原因日付が同一でも登記目的が異なる場合(例:甲物件は所有権移転、乙物件は所有権一部移転)は一括申請できない。(登研6203) 同様に、甲物件が所有権移転登記、乙物件が共有持分全部移転登記となる組み合わせも一括申請できないものと考えられる。(登研6541)

抵当権の設定・移転の場合

※土地及びその土地上の地上権を共同担保とする抵当権の設定は、同一の申請書ですることができる。(登研177・73)

※取得の原因及び内容が異なる複数の抵当権の移転登記であっても、移転原因及び目的が同一であれば、同一の申請書によることができる。(昭28.4.6民事甲547号通達)

※担保する債権が異なる数個の抵当権の移転登記についても、移転原因及び目的が同一であれば同一の申請書で申請することができる。(昭28.4.6民事甲547号通達)

※甲・乙2物件を共同担保とし、債権額の異なる甲・乙2つの抵当権を有する抵当権者(会社)が、合併を原因として両抵当権の移転登記を同一申請書で申請する場合の登録免許税額は、各抵当権の債権額に応じて計算した金額の合計額となる。(登研370)

順位変更の場合

※順位変更の登記の申請は、原則として不動産ごとに各別の申請書によるべきであるが、共同担保の場合で、各不動産についての順位変更にかかる抵当権の順位番号及び変更後の順位がまったく同一であるときは、同一の申請書ですることができる。(昭46.12.27民三960号通知)

根抵当権の設定・変更・元本確定の場合

※同一の変更契約による根抵当権の極度額の増額と、債務者の交替的変更及び債権の範囲の変更の登記は、同一の申請書で一括申請することができる。(登研451・126)
 →登録免許税は、極度額増額分として増額分の1000分の4、債務者の交替的変更及び債権の範囲の変更分として不動産1個につき1,000円となる。

※所有者を異にする共同(根)抵当権の変更登記は、同一の申請書で申請することができる。(登研427・103)

※所有者を異にする共同根抵当権についてする元本確定の登記は、同一の申請書ですることができる。

※根抵当権の複数の債務者が日を異にして住所移転した場合も、同一申請書で申請することができる。

抹消登記(抵当権・根抵当権)の場合

※同一不動産に同一抵当権者が数個の抵当権を設定している場合、同一原因による抵当権抹消登記は同一の申請書ですることができる。

※抵当権と根抵当権の抹消登記は、登記原因及びその日付、権利者と義務者が同一であれば、同一申請書で申請することができる。登記の目的は「何番抵当権・何番根抵当権抹消」とする。(登研564・69)

※設定者が異なる根抵当権設定仮登記の抹消は、根抵当権者及び抹消原因が同一であっても、同一の申請書ですることはできない。(登研594・246)

 →抹消登記の申請人については、甲不動産(所有者甲)と乙不動産(所有者乙)の場合、甲または乙のみでは申請人になれず、甲・乙双方が申請人となって同一申請書で申請する必要がある。これに対し、甲不動産(甲・乙共有)と乙不動産(甲・乙共有)の場合は、甲または乙のみが申請人となることも可能であり、甲不動産(甲・乙共有)と乙不動産(甲のみ)の場合は甲のみが申請人となることも可能である。