「親が亡くなってから何年も経つけれど、実家の名義はそのまま……。」

「固定資産税は払っているから問題ないと思っていた。」

このようなケースは、決して珍しいことではありません。これまでは、相続した不動産の名義変更(相続登記)を後回しにしてしまう方も少なくありませんでした。

しかし、2024年4月1日から相続登記が義務化されたことで、「いつかやろう」が通用しなくなりました。今回は、相続を考え始める40代から70代の皆さまに向けて、相続登記の義務化の内容と、今すぐ確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。

1.相続登記が義務化!2024年4月から何が変わったの?

相続登記とは、亡くなった方が所有していた土地や建物の名義を、相続人へ変更する手続きのことです。

これまでは申請の期限や罰則がなかったため、「手続きが面倒だから」「急いで困ることがないから」と、長年放置されている不動産も多くありました。

⚠ 2024年4月1日からの変更点

相続登記の申請が法律上の義務となり、正当な理由なく期限内に手続きをしなかった場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。「知らなかった」では済まされない制度になったことを、まず知っておきましょう。

2.なぜ今、相続登記が必要なのか?

相続登記が義務化された背景には、「所有者不明土地問題」があります。所有者不明土地とは、登記簿を見ても現在の所有者がわからない土地のことです。実は、その大きな原因の約3分の2が「相続登記の未了」といわれています。

所有者がわからない土地は、以下のような社会問題につながっています。

  • 災害時の復旧工事が進まない
  • 空き家の解体ができない
  • 土地の売買や有効活用ができない

📌 東日本大震災や熊本地震、能登半島地震などでも、所有者不明の不動産が復旧の妨げになったことが指摘されています。相続登記の義務化は、個人の問題だけではなく、社会全体の課題を解決するための制度でもあるのです。

3.「親名義の実家」のまま放置していると起こるリスクとは?

「親が亡くなっても、兄弟で話がまとまっているから大丈夫。」そう思っている方も多いかもしれません。しかし、相続登記をしないまま年月が経つと、思わぬトラブルにつながることがあります。

リスク①

相続人の一人が亡くなり、さらに相続人が増えてしまった

リスク②

実家を売却したいのに手続きができない

リスク③

相続人全員の協力が必要になり、話し合いがまとまらない

リスク④

相続関係が複雑になり、手続きの負担が大きくなる

📌 相続の手続きは、時間が経てば経つほど複雑になる傾向があります。「まだ大丈夫」と思っているうちに、家族に大きな負担を残してしまうこともあるのです。

4.相続登記とは?不動産の名義変更をわかりやすく解説

相続登記は、法務局に申請して不動産の名義を変更する手続きです。一般的には、以下の流れで進めます。

1
戸籍謄本などの必要書類を集める
2
相続人を確認する
3
遺産分割協議を行う
4
登記申請書を作成する
5
法務局へ申請する

📌 不動産の数や相続人の人数によって必要な書類も異なるため、早めに確認しておくことが大切です。

5.相続登記の期限は3年!いつから数えるの?

相続登記には期限があります。

2024年4月1日以降に相続した場合

不動産を相続したことを知った日から
3年以内

2024年4月1日より前に相続した場合

2027年3月31日
までに手続きが必要

⚠ 例えば、2021年に親が亡くなり、実家を相続していたにもかかわらず、まだ名義変更をしていない場合でも、義務化の対象になります。「昔の相続だから関係ない」というわけではありませんので注意しましょう。

6.2024年4月以前の相続も義務化の対象です

実は、「何十年も前の相続」がそのままになっているケースも少なくありません。祖父名義のままの土地を、父が相続し、その後さらに子どもが相続するというように、相続が何代にもわたって発生していることもあります。

このような場合は以下のような問題が生じます。

  • 戸籍の収集に時間がかかる
  • 相続人が全国に散らばっている
  • 面識のない親族との話し合いが必要になる

📌 だからこそ、早めに確認し、必要な手続きを進めることが大切なのです。

7.相続登記をしないとどうなる?10万円以下の過料について

期限内に相続登記を行わなかった場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。過料は刑事罰ではありませんので前科にはなりませんが、法律上の義務違反に対する行政上の制裁です。

⚠ 不動産ごとに過料が科される可能性があります

例えば、土地1筆・建物1棟の場合は、それぞれ対象となります。土地が複数に分かれている場合には、その分だけ対象となることもありますので注意が必要です。

8.実家の土地や建物が複数ある場合の注意点

地方の実家などでは、以下のような複数の不動産を所有していることがあります。

宅地 山林 駐車場 建物

「実家はひとつ」と思っていても、登記上は複数の不動産として扱われているケースも少なくありません。

📌 まずは、固定資産税の納税通知書などを確認し、ご家族がどのような不動産を所有しているのか把握することが重要です。

9.今すぐできる!ご家庭で確認しておきたい3つのポイント

相続登記の準備として、次の3つを確認してみてください。

1
不動産の名義は誰になっていますか?

親名義なのか、祖父母名義なのかを確認しましょう。

2
相続人は誰になりますか?

配偶者や子どもだけでなく、場合によっては兄弟姉妹や甥・姪が相続人になることもあります。

3
固定資産税の納税通知書は誰宛ですか?

納税通知書の宛名と登記名義人が異なるケースもあります。固定資産税を払っているからといって、名義変更が済んでいるとは限りません。

10.家族が困らないために、今から始める相続準備

相続は、「その時が来たら考えるもの」ではありません。元気なうちから家族で話し合い、不動産の名義を確認しておくことで、将来のトラブルを防ぐことができます。

👨‍👩‍👧
40代・50代の方へ

ご両親の実家について確認する良いタイミングです。

🏡
60代・70代の方へ

ご自身の不動産をどのように次の世代へ引き継ぐかを考えてみてください。

まとめ

相続登記の義務化によって、不動産の名義変更は「後回しにしてもよい手続き」ではなくなりました。親名義の実家をそのままにしている場合は、まず名義を確認し、いつ相続が発生したのかを整理することから始めましょう。

相続は、早めに準備をしておくことで、ご自身の負担を減らし、大切なご家族を守ることにつながります。

「うちは大丈夫かな?」と思った今が、確認を始めるベストタイミングです。
小さな一歩が、将来の安心につながります。

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