今回はいよいよ実際の準備に入ります。「何を確認して、何を揃えればいいのか」を順番に解説します。また、「銀行からの書類をなくしてしまった!」という方向けの対処法も紹介します。
ステップ①:まずは対象不動産の「登記情報」を確認しよう!
登記申請の第一歩は、現在の正確な情報を把握すること
抵当権抹消登記の申請書を作成するには、対象となる不動産の正確な情報が必要です。具体的には以下の内容を確認します。
- ✓ 不動産の所在・地番・家屋番号(住所とは異なる場合があります)
- ✓ 現在の登記名義人(所有者)の氏名・住所
- ✓ 登記簿に記録されている抵当権の内容(債権者名・受付番号など)
これらの情報は、登記申請書に正確に記載する必要があります。記憶や古い書類だけで判断せず、必ず最新の登記情報を確認しましょう。
法務局に行かなくてもOK!自宅から確認できる「登記情報提供サービス」
登記情報を確認する方法はいくつかありますが、一番手軽なのが「登記情報提供サービス」(https://www1.touki.or.jp/)というオンラインサービスです。法務省が運営する公式サービスで、自宅のパソコンから24時間確認できます。
📌 登記情報提供サービスの特徴
- 法務局の窓口に行かずに、自宅から確認できる
- 土地・建物それぞれ330円(税込)で閲覧可能
- クレジットカードで即時支払いができる
- ただし、取得できるのは「PDFの閲覧データ」のみ(公的な証明書とはならない)
クレジットカードですぐに見られる「一時利用」の使い方
登記情報提供サービスは、利用者登録をしなくても「一時利用」として使えます。手順は以下のとおりです。
トップページの「一時利用の方はこちら」をクリックします。利用者登録は不要です。
「土地」または「建物」を選び、都道府県・市区町村・地番(または家屋番号)を入力して検索します。
1件330円をクレジットカードで支払います。土地と建物が別々の場合は2件分(660円)かかります。
表示されたPDFに「所在・地番」「抵当権の受付番号」などが記載されています。申請書作成に使うので印刷またはメモしておきましょう。
あくまで「情報確認用」の閲覧データです。登記申請の添付書類としては使えません。公的な証明書が必要な場合は、法務局の窓口またはオンライン申請で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得してください(600円程度)。
ステップ②:銀行からの書類など、必要書類を準備しよう
銀行(金融機関)から送られてくる書類一覧
住宅ローン完済後、銀行から書類が郵送されてきます。封筒の中に入っているのは主に以下の3種類です。
「解除証書」「弁済証書」「放棄証書」などとも呼ばれます。「ローンが完済されたので抵当権を解除します」という内容が書かれた書類です。抹消登記に必ず必要な最重要書類です。
抵当権を設定したときに法務局から銀行に交付されたものです。古い書類の場合は「登記済証(朱色の印のある書類)」、平成17年以降は「登記識別情報通知(12桁の英数字が記載された書類)」の形式です。
「あなた(所有者)が代わりに抹消登記の手続きをしてよい」と銀行が委任する書類です。抵当権者(銀行)の代わりに申請するために必要です。有効期限が設けられている場合があるので必ず確認してください。
自分で用意しなければならない書類
銀行からの書類に加えて、自分で準備するものもあります。
- ✓ 登記申請書(法務局のホームページからダウンロード・自分で作成)
- ✓ 登録免許税分の収入印紙(不動産1個につき1,000円・郵便局やコンビニで購入可能)
- ✓ 返信用封筒(郵送で申請する場合・完了書類の返送に使用)
特に「委任状」は、銀行によって有効期限(3ヶ月〜1年程度)が設定されていることがあります。書類が届いたら、まず有効期限を確認し、期限内に手続きを完了させましょう。期限が切れてしまった場合は銀行に再発行を依頼する必要があります。
【重要】銀行からの書類を紛失した場合はどうする?
「完済後に書類が届いたけど、どこかにしまい込んで見つからない」というご相談は非常に多いです。書類の種類によって対応が異なります。
銀行に連絡して再発行を依頼してください。多くの銀行では再発行に応じてもらえますが、手数料がかかる場合があります。また再発行に数週間かかることもあるため、早めに連絡することが大切です。
こちらは再発行ができません。ただし、紛失していても登記申請は可能です。「事前通知制度」または「資格者代理人による本人確認情報の提供」という方法で代替できます。ただし手続きが複雑になるため、この場合は司法書士への相談をおすすめします。
💡 まず銀行に電話を 書類が見つからない場合は、まず完済した銀行のローン担当窓口に電話してみましょう。どの書類が必要で、再発行できるかどうかをその場で確認できます。
ステップ③:要注意!申請前の落とし穴チェック
書類が揃ったからといって、すぐに申請できるとは限りません。申請前に必ず以下の2点を確認してください。見落とすと申請が却下されてしまう重要なポイントです。
落とし穴①:あなたの住所・氏名は登記簿と一致していますか?
登記情報提供サービスで確認した登記簿の「所有者の住所・氏名」と、現在のあなたの住所・氏名を照らし合わせてください。
ローンを組んだときから住所や氏名が変わっている場合、抵当権抹消登記の前提として「所有権登記名義人の住所・氏名変更登記」が必要になります。
この変更登記を先に行わないと、抵当権抹消の申請が受け付けられません。変更登記は別途申請が必要で、住民票や戸籍謄本などの書類も追加で必要になります。
📌 確認方法 登記情報提供サービスで取得したPDFの「所有者」欄の住所・氏名と、現在の住民票の住所・氏名を比較してください。一字一句同じであればOKです。
落とし穴②:銀行の社名・住所が変わっていませんか?
次に、登記簿に記録されている「抵当権者(銀行)の名称・住所」と、現在の銀行の名称・住所を確認します。
たとえば、ローンを借りた当時の銀行名が合併などで変わっている場合、登記簿上の抵当権者名と現在の銀行名が異なります。この場合、抵当権抹消登記の前提として「抵当権移転登記」や「抵当権者の名称・住所変更登記」が必要になることがあります。
この手続きは一般の方には難易度が高いため、このケースに該当する場合は無理をせず司法書士へのご相談をおすすめします。
📌 よくある例 「〇〇銀行」が「△△銀行」に合併・統合されたケースや、銀行の本店所在地が移転しているケースがこれに当てはまります。銀行から届いた書類の名称と、登記簿上の抵当権者名を必ず照合してください。
次回予告:実践編
第2回では、登記情報の確認方法・必要書類の準備・申請前の落とし穴チェックをお伝えしました。
次回の第3回「実践編」では、いよいよ登記申請書の具体的な書き方から、法務局への提出方法、完了後の確認作業まで、実際の手順をステップごとに解説します。
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- 第1回|知識編:抵当権抹消登記の基本と、自分でやるかの判断
- 第2回|準備編:登記情報の確認・必要書類の準備・落とし穴チェック(この記事)
- 第3回|実践編:申請書の書き方・法務局への提出・完了確認
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