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[不動産登記レアケース5] 判決や調停調書等で迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば
大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・判決正本、調停調書の記載と当事者の記載が食い違う場合・差押等・判決・調停調書・和解調書と登記簿上の記載に誤り(変更)がある

判決記載の登記義務者の住所が登記簿上と相違

※判決等により所有権移転の登記を単独で申請する場合において、 登記簿における「登記義務者」の表示が判決正本等のそれと相違する場合には、たとえ、判決正本等に登記簿上の 住所が併記しているときでも、前提として登記名義人の表示変更(更正)の登記を省略することはできない。(登記研究276・69, 429・120、 611 · 171、 638 · 89)

※判決等に揚げられた登記義務者(被告・相手方) の住所が、 登記簿上の登記義務者の住所と相違するときは、判決等に基づく登記の申請は受理されない。(不動産登記法第49条第6号 〈現行: 第25条第7号〉 /却下事由)

A 判決等の記載が明白な誤記である場合

具体的には、訴訟提起時後に、被告である登記義務者の住所が移転し、その登記も完了していたときや判決言渡等後に、被告が住所を移転し、その登記を完了していたとき

→裁判所へ『更正決定』の申出をなし、 これを受けて処理する (判決等の住所を登記簿のそれに符合させる)ことになる。

B判決等の記載が正しい場合

具体的には、被告が訴提起時には登記簿に記載された住所を移転していたが、その登記が未了であるとき

→ 実務上は、登記簿上の住所と現住所を併記している事例が多い。原告は、判決書等を代位原因証書として、債権者代位により登記義務者の住所の変 更登記をしなければならない。

判決、調停調書、和解調書と名変の省略の可否

※時効取得による所有権移転の登記をするにあたり、 登記名義人 (当該所有権移転登記の登記義務者) の登記簿上の住所と判決書の住所が相違する場合は、勝訴者(当該所有権移転登記の登記権利者) が代位により、 その表示の変更登記をすることになる。(登研455・92)

※和解調書に基づき登記権利者単独で所有権移転の登記申請をする場合に、本件調書上には 登記名義人(登記義務者) の表示として登記簿上の住所とこれと異なる現在の住所とが併 記されている場合であっても、前提としての登記名義人の表示変更の登記は、省略するこ とができない。(登研476・140)

※調停調書により所有権移転登記の申請をする際に、 調書記載の「登記義務者」の住所が登記簿の表示と符号しない場合において

  • A.調書記載の住所が正しいときは、住所の変更または更正登記の申請を要する。(登研383・91)
  • B.調書記載の住所が誤っている時は、 当該住所についての更正決定書を添付して登記申請する。

※調停による所有権移転登記の抹消登記の申請をする場合に調書記載の「登記義務者」 の住所および氏名が登記簿の登記名義人の表示と符号しないときは、住所および氏名の変更証明書が添付されていても、登記名義人の住所および氏名の変更登記を省略することはできない。(350 75、 546 · 152)

※和解調書に基づき抵当権抹消の登記を申請する場合に、その和解調書に抵当権者「当該登記の登記義務者」 の登記簿上の住所と現住所が併記されているときは、本件調書を“住所の変更を証する書面” とすれば足りる。(登研398・94)〈表示変更(更正) の登記は、 省略できる。(昭31・10・17民甲2370通達)〉

和解調書の更正決定の要否

※「和解」を原因とする所有権移転登記の申請に当たって、和解調書上の 『登記権利者』の住所として旧住所が記載されている場合には、 更正決定を受けなくとも、住所の変更を証する書面を添付すれば足りる。(登研523・137)

※仮差押の登記等の処分の制限の登記の名義人から、 登記名義人の表示の変更の登記の申請がなされた場合には、便宜、受理してよい。なお、名義人表示変更の登記をした旨を仮差押等の登記の嘱託裁判所に通知するのが相当である。(昭42・6・19民甲1787回答)

※差押えの登記名義人である債権者(法人)に合併による承継が生じた場合には、承継人から差押登記の移転又は登記名義人の変更の登記を申請することはできない。

(登記名義人の主体そのものに変更が生じている為に、昭和42年6月19日付先例の様な便宜的取り扱いは相当ではない)なお、この場合、 債務名義に承継執行文の付与を受ければ、執行文及び債権者が提出した承継を証する文書の謄本も債務者に送達されるので、 変更の登記をしなくても当事者間に おいては承継の事実を確認できる。(登研627・189)

※仮差押登記嘱託書に記載された権利者の表示を登記官の過誤により誤記した場合、 第三者 に所有権移転がなされた後であっても、当該仮差押権利者の表示を不動産登記法第64条〈現 行: 第67条第2項〉により更正することができる。(昭41・5・16民甲1202回答)

※抵当権実行による競売申立登記後に、 当該抵当権付債権が譲渡されても、競売申立人の表 示を債権譲受人とする変更の登記をすることはできない。 (昭35・9・1民甲2146通達)

※強制競売申立登記の嘱託に基づき、 当該登記を記入するに先立ち、職権によりなした所有 権保存の登記の名義人の表示更正の登記の嘱託が裁判所からなされたときは、 法第49条3 号 〈現行:第25条第4号〉 により却下すべきである。(登研228・63)

※仮登記仮処分命令正本〈現行: 仮登記を命じる処分の決定書正本>の「仮登記義務者」の住所の表示が登記簿上の表示と異なる場合には、 前提として名義人の表示変更の登記をしなければならない。(登研214・72)たとえ新住所が仮処分命令正本に併記されていても、省略することはできない。(登研226・75)

相続財産清算人からの売却

裁判所書記官作成の印鑑証明書は作成後3カ月以内である必要はない。
不在者財産管理人、成年後見人も同様
(「登記研究」平成28年1月号)

相続財産清算人選任審判書の謄本は、不動産登記令第17条第1項の規定により
作成後三カ月以内であることを要するが、作成後三カ月が経過した審判書の謄本と合わせて
三か月以内の権限外行為許可審判書の謄本を添付すれば、適法な書面が添付されているものとして
処理して差し支えない。(登記研究806号163頁)

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RARE CASE REPORTS

こちらのレアケースレポートは、同業者様向けへの情報発信のコンテンツです。不動産・土地相続の業務を続けていると想定を大きく外れるレアなケースがあり、どう進行させれば良いか悩む司法書士は少なくないと思います。その様なレアケースの対処方法を発信して参りますので、少しでも司法書士の皆様のお役に立つことと同時に、エンドユーザー様の不動産・土地の登記等が円滑に処理されることを望みます。

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