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[不動産登記レアケース9] 抵当権、根抵当権と名変

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば
大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・債権者と債務者を互い違いにしてしまった場合の更正・取扱店の追加、変更、更正・抵当権(根抵当権)の追加設定の局面で表示変更登記を省略できるか否か・抵当権者(根抵当権者)、債務者の表示の変更・抵当権の債務者AとBが、異なる日に住所移転した場合・債務者の住所変更登記の一括申請

債権者と債務者を互い違いにしてしまった場合

「債権者を乙・債務者を甲」とする抵当権設定登記の申請書に添付された登記原因証書には、『債権者甲・債務者乙』と記載ミスがあったがそれを看過して登記を完了し、後日当該登記につき錯誤を原因として抵当権登記名義人の更正登記の申請があった場合には、申請を受理して差し支えない(昭35・6・3民甲1355回答)

(根)抵当権設定登記の登記義務者 (設定者)の表示に変更を生じているため、その表示が登記簿上の表示と異なっている場合には、予め登記名義人の表示変更の登記を申請する必要がある。(登研269・73)

取扱店の表示について

※住宅金融公庫の代理人である銀行を取扱店とする場合、 取扱店の表示を「○○銀行 本店営業部」とすることはできない。 (注: 平成19年4月に住宅金融公庫から独立行政法人住 宅金融支援機構へ権利義務承継)(登研453124)

※抵当権の移転登記の際に、 新抵当権者の表示に取扱支店を記載することは差し支えない。(登研370・74)

※委任状に取扱店の表示があれば、 登記原因証書に取扱店の記載がない場合でも、申請書に取扱店の表示をすることができる。(登研535・177)

各金融機関の取扱店

※労働金庫が抵当権者の場合も、 取扱店名 (取扱事務所何支店) の併記が認められている。(昭36・9・18民甲2320通達)(登研6355)

※全国信用金庫連合会が抵当権者でその貸付業務を信用金庫に委託する場合、 取扱店名を併記してその登記をも受けることができる。 (昭37.9.29民甲2781通達)(登研6355) (注:「全国信用金庫連合会」 は、 平成12年10月1日より 「信金中央金庫」に名称変更)

※全国信用協同組合連合会が抵当権者でその貸付業務を信用組合に委託する場合、 取扱店名 を併記してその登記をも受けることができる。(昭62・2・27民三896通達)(登研6355) (注:「全国信用協同組合連合会 (全信組連)」は、 平成19年1月1日現在もその名称で存続)

※中小企業金融公庫を抵当権者とする取扱店の表示について、 「営業第一部」として申請することができる。(昭57.4.28民三3238回答) (登研688265)

※外国会社を抵当権者とする抵当権設定登記を申請する場合に、 申請書及び登記原因証明情報に外国会社の取扱店として日本における営業所が記載されている時でも、当該営業所が登記されていることを証する登記簿謄本等の提供は要しない。(登研633・175)

取扱店の表示の追加について

※既存の(根)抵当権の設定登記に取扱支店の表示がない場合に、これにつき取扱支店を表示する登記は、(根) 抵当権登記名義人の表示変更の登記に準じ、便宜認めて差し支えない。(昭36・9・14民甲2277回答)

※取扱店の記載のない担保権の登記に取扱店を付記する登記は、当該抵当権等の担保権の変更(更正を含む 但し処分の登記を除く) の登記の申請をする場合に限り、併せて申請することができる。(昭36・11・30民甲2983通達)

  • 登記の目的:「昭和○年○月○日受付第何号順位×番抵当権に次の取扱支店の附記」と記載し、取扱支店の名称を記載する。(昭36・11・30民甲2983通達)
  • 登記原因およびその日付 : 何らの記載を要しない。
  • 登録免許税:抵当権の変更と併せて申請する場合には、取扱店の付記の分を改めて徴収することを要しない。

※登記名義人(抵当権者)のみによる単独申請で、登記済証をはじめ印鑑証明書、そしてその存在を証する会社の支店に関する登記簿謄抄本の添付を要しない。 (登研182・162)
→登記原因証明情報の添付は必要(登研689・291)

取扱店自体の変更について

※取扱支店等若しくはその表示の変更、又は取扱支店等を登記する抵当権の変更登記を申請する場合には、登記原因証明情報を提供する必要がある。(登研689・291)

※抵当権者の取扱支店を甲支店から乙支店に変更した場合は、抵当権登記名義人表示変更登記に準じて単独で、抵当権の変更登記申請ができる。(登研352・101385・80)

  • 登記の目的:「抵当権変更登記」
  • 登記の原因:何らの記載を要しない。
  • 変更後の事項 : 「取扱店 乙支店」
取扱店の表示の変更・更正・抹消について

登記の目的:「抵当権変更(または更正)」

登記の原因
 a.遺漏の場合:「遺漏」 / 「追加すべき事項」
 b. 誤記の場合:「錯誤」/「更正すべき事項」
 c. 取扱支店の名称の変更の場合: 「年月日 取扱店名称変更」 / 「変更後の名称」

取扱店の表示の抹消について
登記の目的: 「抵当権変更」
変更後の事項: 取扱店の表示抹消
(登研595・135)

追加設定について

※根抵当権者の表示変更があった後に当該根抵当権について他の不動産を『追加担保』とす る登記の申請をするときは、前提として根抵当権者の表示変更の登記を省略することはできない。 (411 84, 422 104, 475 131)

→たとえその不一致の原因が 『行政区画の変更等』 であっても、不動産登記法第59条 〈現行: 不動産登記規則第92条第1項〉 [変更看做規定] の適用はなく、 従って、 先に設定登記 がされている根抵当権と追加する根抵当権とが形式的に同一性を欠くことになるため

根抵当権の登記名義人の表示変更登記の一括申請

※登記名義人の本店の表示に関して、

●甲土地については 「平成元年2月1日 住居表示実施」
●乙土地については 「昭和59年○月○日 本店移転」 および 「平成元年2月1日住居表示実施」

を登記原因とする甲・乙両不動産についての根抵当権の登記名義人の表示変更登記は、同 一の申請書で申請することはできない。(登記原因が異なるから / 登研516・197)

※根抵当権につき共同担保として追加担保の設定登記を申請する場合に、 根抵当権者の「取扱店の表示」 が既登記根抵当権のそれと異なる場合でも受理される。(377 141, 382 81、 383 · 93)

  • 既登記 : 取扱店の表示なし、 追加設定/取扱店の表示あり。
  • 既登記 : 取扱店の表示あり、 追加設定/取扱店の表示なし。
  • 既登記 : 取扱店Aの表示、 追加設定/取扱店B の表示。

(以上、 いずれの場合も受理される。 / 登研548166)

抵当権追加設定の局面で、表示変更登記の省略の可否

※既登記抵当権の抵当権者の氏名または本店等の表示が変更されている場合には、変更を証する書面を申請書に添付すれば、 前提たる抵当権者の表示の変更登記を省略しても、追加設定の登記申請は受理される。(登研547146、560・136)

※根抵当権設定または変更登記の利害関係人等の表示が登記簿のそれらと相違する場合で も、その者の承諾書に表示の変更(更正)を証する書面を添付すれば、利害関係人の表示 の変更(更正) 登記は省略することができる。(登研36283、419.87)

※有限会社の社員総会議事録や株式会社の取締役会議事録を添付するときにこれに添付する 印鑑証明書の住所または氏名と当該会社の商業登記簿謄本のそれらの記載とが一致しない 場合でも、当該議事録に変更証明書を添付すれば足りる。(登研531・121)

(根)抵当権追加設定の局面で、表示変更登記の省略の可否

※追加設定登記申請書に記載すべき債務者の住所が、 従前の登記以後の住所移転等により既登記における債務者の住所と一致しない場合に、前提としての 『債務者の表示の変更登記』 の申請を

  • 根抵当権の場合→要する。 (登研32572、422105)
  • 普通抵当権の場合→要しない。 (登研425125、643・177)
債務者の住所変更登記の一括申請

※根抵当権者・債務者および設定者を同じくする数個の根抵当権が同一不動産上に設定されている場合の『債務者の住所変更の登記』は一括して申請することができる。(登研357・81)

※行政区画の変更または名称変更による債務者の住所の不一致の場合は、 不動産登記法第59 条 〈現行: 不動産登記規則第92条第1項〉 の規定により、 新住所に変更したものとみなさ れるので、 追加設定の際、 住所の変更を証する書面を添付すれば、 根抵当権の変更の登記を省略することができる。(従来の登記省略否定説 (登研422105、44285)から変更された (登研536177))

※行政区画の変更または名称変更に伴い地番号も変更されたときは、 変更の登記を省略できないものと解される。(昭4・9・18民8379回答参照)

※根抵当権の追加設定においては、住居表示実施による不一致の場合には、債務者の住所変更の登記を省略することは認められない。(登研545・154)

※既登記抵当権の債務者の住所が住居表示実施により変更されている場合に、 住居表示実施証明書を添付してする変更後の債務者の住所を表示した抵当権の追加設定の登記は受理さ れる。(登研572・152)

※債務者兼設定者の住所が変更して登記簿上の表示と異なるときには、 (根) 抵当権の債務者の表示変更の登記の前提として所有権登記名義人の表示変更の登記を申請しなければな らない。(登研425・126)

※既登記の(根) 抵当権者が代位によって所有権登記名義人の表示変更登記をする場合にお ける〈代位原因〉は、「年月日変更契約に基づく〇番抵当権変更登記請求権」と記載す れば足りる。(登研376・38)

※抵当権の登記における債務者の表示の変更の登記を債権者代位によるものとして抵当権者が単独で申請することはできない。(昭36・8・30民三717回答)

債務者の表示の変更の登記について

申請人:(根)抵当権者と設定者による共同申請
登記の目的: 「(根) 抵当権変更」
登記の原因: 「年月日住所移転」「年月日氏名変更」「年月日住居表示実施」
変更後の事項

○根抵当権の場合
「A市B町C 番地 債務者 甲野一郎」
○普通抵当権の場合
「債務者 何某の住所 ○×△」
◎添付書類の特例
A 設定者の権利の登記済証を添付することを要する。
(登研178・70、397.84) (登研456・128) (登研214・71)
B 原則としては、変更を証する書面の添付を要しないが、 ただし、 住居表示実施に伴う住所変更の場合にその実施証明書を添付すれば、登録免許税法第5条第4項の規定により非課税となる。
C設定者の印鑑証明書
○根抵当権の場合→添付を要する。
○普通抵当権の場合→添付を要しない。
(登研432・129)
(登研334・73、36481)

※抵当権の債務者AおよびBが、 それぞれ異なる日に住所移転した場合でも、同一の申請書で申請することができる。
登記の原因 「年月日 A 住所移転」「年月日 B 住所移転」(登研507・198)

抵当権の債務者(A・B・C・D)のうち、 AおよびBについて住所移転による変更があった場合、根抵当権変更の登記の事項は、住所移転したAおよびBのほか、 CおよびDをも記載することを要する。(登研530・148)

  • 登記原因 「年月日 変更」
  • 変更後の事項 債務者 住所 A 住所 B 住所 C 住所 D

※債務者が二人の根抵当権につき、その一人につき 「住所移転」、他の一人につき「本店移転」がなされた場合に、この根抵当権の変更登記を一括して申請することはできない。(大阪法務局決議)

※(根) 抵当権の債務者の表示変更・ 更正(例:債務者の氏名の更正および住所移転)による根抵当権設定登記の変更および更正の登記は、[登記の目的および登記原因を異にするが]便宜、同一の申請書で申請することができる。

登録免許税:不動産1個につき金2,000円
(登研41396) (登研391・111)

※根抵当権の債務者 『A会社』 が下記のごとく変更した場合、当該根抵当権の変更登記を一件で申請することはできない。(登研363・167)

  • A会社→B会社に吸収合併される。
  • B会社→ 『C会社』と商号変更

→不動産登記法第57条 〈現行: 不動産登記規則第150条〉 には、 「権利ノ変更ノ登記ヲ為ストキハ変更シタル登記事項ヲ朱抹スルコトヲ要ス」と規定しているが、 先例には『合併により債務者が変更した場合における根抵当権の変更登記については従前の債務者の表
示は朱抹しない。』 とされ (昭46・12・27民三960通知)、 その取り扱いを異にすることになるからである。

※抵当権の債務引受等による債務者変更登記を申請するに当たり、登記簿上の変更前の債務 者の住所氏名に変更が生じている場合は、その表示変更登記を省略する扱いは認められな い。 なお、 根抵当権の債務者の変更登記を申請する場合も同様に考えて差し支えない。(登研452・115)

※住宅金融公庫等の非課税法人が抵当権者である場合の債務者表示変更登記の登録免許税は、登録免許税法の規定により非課税とされる。(注:住宅金融公庫は平成19年4月に独立行政法人住宅金融支援機構へ権利義務承継がな されている)(登研360・94)

※抵当権の債務者が所有権の登記名義人と同一人で当該所有権の登記名義人につき、 住居表 示実施による住所変更の登記がされている場合であっても、 住居表示実施による根抵当権 の債務者の住所の変更登記申請書には、 非課税証明書を添付しなければならない。(登研421・108)

根抵当権元本確定

※根抵当権の変更の一種であり、登記権利者 (根抵当権設定者) および登記義務者(根抵当 権者)ともに、その表示に変更または更正の事由が生じているときは、 前提としての登記 名義人の表示変更 (更正) の登記を省略することはできない。(根) 抵当権の抹消

※抵当権抹消登記申請書の登記権利者 [抵当権設定者である所有権登記名義人] の表示 (住所等)が、登記簿の所有者の表示と一致しない場合

  • 表示の変更を証する書面を添付しても、受理されない。不動産登記法第49条第4号 〈現行: 第25条第5号〉により却下される。(355 90. 371 · 76, 512 · 157)
  • 住居表示実施による変更で既に不動産の所在欄は変更されているときでも、表示変更 の登記を省略できない。(登研430・173)

※抵当権者の表示の変更(更正)証明書を添付すれば、抵当権の抹消を前提とする抵当権の登記名義人の表示変更 (更正) 登記は省略できる。(昭28・12・17民甲2407、 昭31・9・20民甲2202各通達) (登研360・91)(登研445・109)

→申請書には、変更後の表示を記載する。

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