[不動産登記レアケース2] 登記原因と日付を迷う 

レアケース:ご利用にあたって
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目次

・商号変更や組織変更があった場合の原因日付・離婚や離縁など氏名変更がある場合・胎児の登記の改正・複数回、変更がある場合・複数回、更正がある・住居表示と住所移転・地番訂正・町名変更と地番変更が同日付・相続財産・被相続人の死亡時の氏名住所と登記簿上の氏名住所とが異なる・会社分割/通称名の変更・屋敷番変更

商号変更

※会社の商号変更による抵当権の登記名義人の表示変更の登記原因日付は、 商号変更の効力を生じた日、即ち、その商号変更が官庁の許可を要する場合にはその許可の日、官庁の許可を要しない場合には商号変更の決議の日である。(登研14・30)

組織変更

※有限「株式」会社から株式 「有限」会社へ組織変更 (旧商法)したことによる登記名義人表示変更の登記の原因日付は

  • 原則→組織変更の効力が生じた日 社員[株主] 総会決議の日
  • 減資を伴う場合→債権者保護手続終了の日(平成2・12・25民四5666通達)
原因日付
  • 住所については→住民票の写しに記載された日
  • 氏名変更については→戸籍の届出の日
  • 裁判上の離婚、離縁または縁組の取消しの場合→裁判確定の日 : 戸籍に記載されている
  • 法人については→法人登記簿に記載された変更の日 (商号名称変更 本店移転等)
胎児の登記

◎胎児を含む共同相続の登記を完了した後、

●胎児が生まれた場合→登記名義人表示変更登記をすべきである。 (昭54・3・31民三2112通達)

登記原因 「年月日 出生」
変更後の事項「共有者 乙何某胎児の氏名住所」
添付書類
1戸籍謄抄本: 胎児の出生と母の各記載事項のあるもの
2住民票の写し
3親権者〔法定代理人] の代理権限証書

●胎児が死亡した場合→所有権更正登記

胎児の登記 令和5年改正情報

胎児を相続人とする相続による所有権移転登記手続きの見直し

(1)胎児を相続人とする相続による所有権の移転の登記の申請において、申請情報の内容とする申請人たる胎児の表示は「何某(母の氏名)胎児」とする。

(2)登記の記録はつぎのとおり

A.胎児名義の相続 共有者 持分2分の1乙某 2分の1乙某胎児
B.胎児が生きて生まれた場合 
 目的 〇番登記名義人住所、氏名変更
 原因 年月日出生 
 共有者乙某胎児の氏名住所 住所 氏名
C.胎児が死体で生まれた場合
 目的 〇番所有権更正
 原因 錯誤
 共有者 持分2分の1乙某 2分の1丙某
(法務省民二第538号)

複数回、住所移転や氏名の変更がある場合の原因

※登記名義人の表示が数回にわたり変更(更正も包含する)されている場合には、1個の申 請により、直ちに現在の表示に変更(更正)の登記をすることができる。この場合には、 申請書に登記の原因およびその日付を併記(ただし、 同種の登記原因が数個存するときは 便宜その最後のもののみを記載してもさしつかえない)し、各変更 (更正)を証する書面 を添付すべきである。
(昭32・3・22民甲423通達)

複数回、変更と更正がある場合

※登記名義人の表示に変更および更正をなすべき原因が複数ある場合には、変更・ 更正別に最終の各原因を記載する。(登研349・85)

住居表示と住所移転

※登記名義人の住所が住居表示実施により変更された後、さらに住所移転した場合の表示変更登記の登記原因は、「年月日住居表示実施」「年月日住所移転」と併記すべきである。(昭40・10・11民甲2915回答)「年月日住所移転」でもよく、住居表示実施の旨を併記しなくてもよい。

※住所移転の後、 住居表示実施により住所の変更を生じた場合「年月日住所移転」 「年月日住居表示実施」 と併記することを要する。→非課税(大阪法務局決議)(登研32672)

※住所移転の後、 住居表示実施により住所の変更を生じ、さらに他に住所移転をしている場合→「年月日住居表示実施」 「年月日 (後の方) 住所移転」(登研38187)

地番訂正

※「年月日(A)住所移転、年月日 (B)地番訂正」と記載された住民票の写しを添付して登記名義人の表示変更の登記を申請する場合の登記原因は、「年月日 (A)住所移転」と記載すれば足りる。(登研372・81)→変更後の住所は、訂正後の地番をもって記載すべきである。

町名変更と地番変更が同日付

※町名変更および地番変更が同日付けでされた場合の登記名義人の表示変更登記申請書には、登記原因を「年月日町名変更、地番変更」 と併記するのが相当である。(登研524・168)

※『住居表示変更」と住民票等に記載があるときは、登記原因として「年月日住居表示変更」と記載するのが相当である。(登研289・65)

土地の分筆により住所の地番が変更

※土地の分筆により登記名義人の住所の地番が変更した場合の登記名義人表示変更登記の登記原因は、「年月日地番変更」 と記載するのが相当である。(登研561・151)

相続財産法人名義に変更 氏名住所が異なる場合

※相続人不存在を登記原因として 「相続財産」 たる法人名義に変更する場合において、 被相続人の死亡時の氏名住所と登記簿上の氏名住所とが異なるときは、 申請書に、その氏名住所の変更についての登記原因及びその日付を併記すべきである。 被相続人が死亡してから相続人不存在による登記名義人の表示の変更の登記を申請するまでの間に町名または地番の変更や住居表示が実施された場合も同様である。(昭32・3・22民甲423通達) (登研665・165)

※会社法等の施行に伴い、 特例有限会社となった不動産の登記名義人がその商号を変更することにより通常の株式会社に移行した場合には、登記名義人表示変更登記の登記原因を「年月日商号変更」と記載する。(登研700・199)

※抵当権者である共同受託者のうちの一社に会社分割があり、吸収分割承継会社が共同受託 者となった場合、合有名義人の変更登記の登記原因は 「年月日会社分割」とすべきである。(登研696・277)

屋敷番が地番に変更した場合

※戸籍の改正等により屋敷番が地番に変更した場合
イ. 登記名義人の表示変更の登記をしなければならない。 (昭23・9・16民甲224回答) 口,登記→以前は登記官が職権でしていたが、 先例が変更され、当事者の申請によるものとなった。(昭43・4・11民甲887通達にて変更)
ハ,登記原因、 およびその日付→「(新戸籍編成、戸籍改正または本籍更正の申出をした)年月日呼称変更」(昭43・6・26民三613、 昭44・7・26民三332各回答) 二登録免許税 非課税ではなく、 不動産1個につき1,000円である。(昭42・9・29民甲2538回答)

氏名や通称名の変更

※氏名の変更による登記名義人表示変更登記の申請書に記載すべき登記原因は、婚姻、養子 縁組、離婚、離縁、婚氏・縁氏続称、帰化、通称名の変更等氏名の変更理由の如何を問わず、(昭54・3・31民三2112通達)
「年月日(戸籍届出または裁判確定の日) 氏名変更」 帰化の場合/「年月日 (帰化の届出の日) 氏名変更」
(大阪法務局決議)(登研170・94、350・75、501・154)

※本国名で登記されているのを通称名に、あるいは、通称名で登記されているのを本国名にそれぞれ登記をし直す場合は、表示の更正登記による。(登研411・85)

※通称名「A」で登記されている外国人である登記名義人が、その通称名を「B」と変更した場合の登記名義人表示変更の登記原因は、 「年月日氏名変更」と記載する。(登研582・185)

※登記名義人が、婚姻によって 「氏」を改めた後、 離婚届と共に離婚の際に称していた「氏」を称する旨の届出をした場合の登記名義人表示変更登記・登記原因→ 「氏名変更」その日付→婚姻の日(登研534・130)

[不動産登記レアケース1] 登記の目的を迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば
大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・名変事態に錯誤(誤り)がある場合・所有権移転登記と同日付で住所変更している場合・国土調査での合併による所有権登記で住所に誤りがある場合・戸籍法上の訂正や更正・親子関係不存在確認

名変自体に錯誤(誤り)がある場合

※登記名義人表示変更登記に錯誤があった場合の訂正手続は、登記名義人表示更正(主登記の附記登記) の登記による。

※登記名義人の住所を、 申出による地番訂正を登記原因として登記名義人の表示を是正する登記の目的は、 更正登記である。 (登研348 89, 364 81, 369 81)

※所有権保存又は移転登記を受けた日と同日付で住所を変更している場合の所有権の登記名義人の表示の是正方法は変更登記による。(登記実務取扱)変更及び更正登記のいずれでも差し支えない。(登研346・92)

·※登記名義人表示更正登記が錯誤であった場合の回復手続は、 再度、 登記名義人表示更正登記の手続きによる。(登研147・41)

※住居表示実施後において、 実施前の本店所在地で登記した事項を住居表示実施による本店所在地に改める場合には、
表示更正登記によることになり、 登録免許税を必要とする。(登452・113)

※所有権取得時に既に住居表示が実施されていたにもかかわらず、 住居表示実施前の住所で 所有権取得の登記を受けた登記名義人の住所を住居表示実施後の住所に是正する登記は、 表示更正登記であり登録免許税を課せられる。(登研425・129)

国土調査があった場合

※国土調査法による単一の所有権登記前に住所移転がされていた場合の所有権登記名義人の住所の是正の登記は、 更正登記による。
(登研599・167)により (登研467・104)の回答 〔変更登記による〕 が変更された。換地処分による単一の所有権の登記” の場合も同様。

※所有権の登記名義人の住所に錯誤があり、その後住所移転により住所が変更している場合は一種の中間省略の登記とみなされ、 「変更」 登記1個と考えられている。(昭42・7・26民三794通知)
・登記の目的 「登記名義人表示変更」
・登記原因 「錯誤、 年月日住所移転」
(登研547・147、567・165)

※親子関係不存在確認判決により「姓」が変更したためにする所有権の登記名義人の表示是正の方法は、登記原因を「錯誤」として登記名義人表示更正登記による。 (登研213・67)

数回にわたって持分を取得し単独所有者となった場合

※数回にわたって持分を取得した後(単独所有者となった後)に、住所を変更(更正) する場合の登記名義人表示変更 (更正)登記の“登記の目的” の記載方法 「1番2番3番所有権登記名義人表示変更(更正)」(登研525・211)
変更後の事項は、「住所 〇〇〇」と記載する。
「共有者及び所有者〇の住所 〇〇」 とは記載しない。

※共有名義人(共有者)の一人についての表示変更登記申請書に記載すべき登記の目的は次のとおり記載するのが相当である。
登記の目的 「所有権登記名義人表示変更」
変更後の事項 共有者甲何某の住所(登研318・75)

※相続人不存在による「相続財産」たる法人名義に変更する場合の登記の目的は「何番登記名義人氏名変更」とするのが相当である。

戸籍法上の「訂正」・「更正」と登記実務について

◎戸籍法上の「訂正」→登記実務取扱上は『更正』(登研707・193)
戸籍の記載に当初から不適法又は真実に合致しない記載があるときに、これを適法かつ真実に合致する記載に改めること
◎戸籍法上の「更正」→登記実務取扱上は『変更』
戸籍の記載がその記載当時においては正しいものであったが、その後に発生した原因により戸籍の記載事実と反することになったため、それを正しくすること。