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第9回【朗報!】もう住所変更登記で困らない?!令和8年4月からの新制度「スマート変更登記」について司法書士が徹底解説!

こんにちは!司法書士の時任です。

今回は、令和8年4月1日から始まる不動産の住所等変更登記の義務化と、その負担を軽減する画期的な新制度「スマート変更登記」、そしてこの制度を利用するために重要な「検索用情報」の申出について、一般の方向けに分かりやすく解説いたします。

「え、住所が変わったら登記もしないといけないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。これまで、不動産の所有者の氏名や住所が変更になった場合、登記の変更は義務ではありませんでした。しかし、令和8年4月1日からは、変更日から2年以内に変更登記をすることが義務付けられます

「なんだか面倒くさいな…」と感じた方もご安心ください!今回の法改正では、この義務化に伴い、所有者の負担を大きく軽減する「スマート変更登記」という新しい仕組みが導入されるのです。

登記官が代わりにやってくれる?!夢のような(笑)「スマート変更登記」とは?

「スマート変更登記」とは、所有者がご自身で変更登記の申請をしなくても、登記官が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の情報を検索し、その情報に基づいて職権で(職務権限で)登記を行ってくれるという、非常に便利な制度です。

しかし!この「スマート変更登記」を利用するためには、事前に所有者の方から「検索用情報」というものを提供していただく必要があるのです。

なぜ「検索用情報」の申出が必要なの?

登記官が住基ネットで正確に所有者の方の情報を検索するためには、氏名や住所だけでなく、生年月日などの情報が必要になります。これらの情報を事前に登記所に申し出ていただくことで、スムーズな職権による登記が可能になるというわけです。

この「検索用情報」の申出をしておけば、住所等の変更登記が義務化された後も、2年以内の登記を忘れて義務違反に問われる心配がなくなるというメリットがあります。

「検索用情報」の申出方法はこの2種類!

「検索用情報」の申出には、大きく分けて以下の2つの方法があります。

1.登記申請と同時に行う「同時申出」

令和7年4月21日以降に、所有権の保存登記、移転登記、合体による登記等(所有権の登記がある場合に限る)、所有権の更正登記(登記によって新たに所有権の登記名義人となる人がいる場合に限る)の申請をする際には、必ず所有権の登記名義人となる方(日本国内に住所を有する自然人に限ります)の「検索用情報」を申請情報と併せて申し出る必要があります。

申し出る必要がある「検索用情報」の具体的な内容は以下の通りです

  • 氏名
  • 氏名の振り仮名(日本国籍を有しない方は、氏名のローマ字表記(※申請情報の内容とされた場合に登記記録に氏名と併記されます))
  • 住所
  • 生年月日
  • メールアドレス(※登記官が職権で住所等変更登記を行うことの可否を確認する際に送信するメールアドレスです。原則としてご本人様が利用しているものをご記載ください。もしお持ちでない場合は、その旨を申請情報に記載します。その場合、登記官からの確認は書面で行われることが想定されています。)

以下の場合は、「同時申出」をすることができません

  • 所有権の登記名義人となる方が法人の場合
  • 所有権の登記名義人となる方が海外に居住している場合
  • 登記の申請人ではない場合(例えば、債権者代位による登記の場合など)

「同時申出」の方法は、オンライン申請の場合は所定の入力欄に、書面申請の場合は申請書に記載します。

申出手続が完了すると、申し出たメールアドレスに、手続完了の旨、立件年月日と立件番号、不動産番号、認証キー(メールアドレス変更時に必要)、申出先の登記所の表示が記載された電子メールが送信されます。

なお、「同時申出」の対象となる不動産は、その登記申請をした不動産のみです。

2.既に登記簿に記録されている方が行う「単独申出」

令和7年4月21日時点で既に不動産の所有者として登記簿に記録されている方(日本国内に住所を有する自然人に限ります)は、登記申請とは別に、ご自身が所有する全ての不動産を「スマート変更登記」の対象とするために、「検索用情報」を単独で申し出ることができます。

また、令和7年4月21日以降に所有権の登記名義人となった方でも、その登記申請の際に申請人とならなかった等の理由で「検索用情報」を申し出ていない場合にも、この「単独申出」をすることができます。

「単独申出」には以下のような特徴があります

  • 押印や電子署名は不要です。
  • 専用のソフトウェアは不要で、Webブラウザ上で手続きが可能です(かんたん登記申請の利用が可能)。
  • 必要な添付書類は、多くの場合、身分証明書(運転免許証、個人番号カードなど)の写しのみです(個人番号カードは表面のみ)。
  • 登録免許税などの費用はかかりません

「単独申出」の方法は、以下のいずれかを選択できます:

  • オンラインで申し出る(かんたん登記申請を利用)
  • 申出書を管轄登記所に提出(郵送または持参)する(郵送の場合は書留郵便等で、「検索用情報申出書」または「検索用情報申出添付書面」在中と明記してください)

複数の不動産を所有している場合、それらの不動産のいずれかの所在地を管轄する登記所に対して、まとめて申し出ることができます。ただし、管轄外の登記所に申し出ることはできません。

「単独申出」に必要な主な情報は以下の通りです:

  • 所有権の登記名義人の氏名、振り仮名(ローマ字氏名)、住所、生年月日、メールアドレス
  • 代理人が申し出る場合は、代理人の情報
  • 申出の目的(「検索用情報の申出」と記載し、ご自身の登記記録上の情報を表示します)
  • 申し出る不動産の所在事項(不動産番号があれば不要)
  • 申出人または代理人の電話番号などの連絡先
  • 添付情報(身分証明書の写しなど)の表示
  • 申出の年月日
  • 申出情報を提供する登記所の表示

申出手続が完了すると、「同時申出」と同様に、申し出たメールアドレスに手続完了の連絡が届きます。

注意しておきたいこと

  • 「スマート変更登記」の対象となるのは、「検索用情報」を申し出た不動産のみです。
  • 登記簿に記録されている氏名や住所から変更があり、その経緯を住基ネットで確認できない場合は、戸籍の附票や住民票の写しなど、変更の経緯がわかる書類の提出が必要になる場合があります。ただし、変更日が平成22年10月5日以降であれば、原則として不要です。
  • もし、提出した申出情報や添付情報に不備があった場合、申出は却下されることがあります。しかし、補正可能な不備であれば、登記官が定めた期間内に補正することで再度手続きを進めることができます。

まとめ

令和8年4月からの住所等変更登記の義務化と、それをサポートする「スマート変更登記」は、不動産をお持ちの皆様にとって非常に重要な改正です。「検索用情報」の申出を済ませておくことで、将来的な登記手続きの負担を減らし、義務違反のリスクを回避することができます。

当事務所では、令和7年4月21日以降に不動産の登記を申請されるお客様につきましては、無料で、「同時申出」を行います。また、既に不動産をお持ちの方は、「単独申出」を積極的にご検討いただければと思います。

【重要ポイントまとめ】

  • 令和8年4月1日から不動産の住所等変更登記が義務化されます。
  • 「スマート変更登記」は、登記官が職権で住所等変更登記を行う便利な制度です。
  • 「スマート変更登記」を利用するには、事前に「検索用情報」の申出が必要です。
  • 「検索用情報」の申出には、登記申請と同時に行う「同時申出」と、既に登記されている方が行う「単独申出」の2種類があります。
  • 「検索用情報」を申し出ておけば、義務化後の登記忘れによるペナルティを回避できます。
  • 「単独申出」はオンラインで簡単に行うことができ、費用もかかりません

【関連情報】

  • 法務省:検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)
  • 不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和7年法務省令第1号)

【キーワード】

不動産登記、住所変更登記、義務化、スマート変更登記、検索用情報、同時申出、単独申出、司法書士


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