第4回 家族信託—メリットとデメリット

第4回

家族信託—メリットとデメリット

 家族信託は、生前対策として非常に汎用性の高い仕組みです。本日は、主なメリットとデメリットをご紹介します。

メリットその1 資産凍結リスクに対応できる 

予め契約で決めた目的に沿っていれば、親が判断能力を喪失してしまったあとでも受託者の判断で資産の運用が可能です。

メリットその2 名義は移転するが権利はそのまま

お父様の資産を息子さんに信託するという例の場合に、息子の名義にするには早いなあと言われる方がいます。そのお気持ちよくわかります。けれども名義だけ息子さんにするだけで、権利はお父様のままです。権利をお父様のままである以上、贈与税も不動産取得税もかかりません。ただ、受益者という実質的な権利を持っている人を、お父様以外にするとその人への課税は発生してしまいます。税務上は、贈与という扱いになってしまいます。

メリットその3 遺言ではできないことができる 

例えば、長男夫婦に子供がいない場合に長男には資産を承継させたいが、長男が旅立ったあとに長男の配偶者に承継させることは避けたいと希望される方がいます。民法の原則だと長男の配偶者が他界してしまうと子がいない場合には、配偶者の兄弟に相続されてしまいます。つまり考え方によっては資産が他家に流出してしまうことになります。信託を使うと、長男が旅立ったあとは次男に承継させるということも可能です。

遺言では父親自身が先の相続人の他界後の承継者を決めることはできません。また年金のように毎月定額を渡したい、相手が一定の年齢になったら渡したい、特定の使用目的(ex教育資金)に限定して渡したい、そのようなことも可能です。

デメリットその1 損益通算の禁止と損失の繰り越しの禁止

受益者が個人の場合、信託から生じた損失は原則として損金になりますが、信託不動産から生じた損益は、なかったものとされるので、他の所得と損益通算できず、また翌年以降に損失を繰り越すこともできません。また不動産を信託財産とする信託契約を複数実行する場合、収支計算は契約ごとに完結するため相互の損益通算もできません。

例えば、A賃貸不動産:信託財産 B賃貸不動産:信託していない財産

A賃貸不動産は赤字 B賃貸不動産は黒字の場合の損益通算は不可になります。

この場合には、ABまとめて信託不動産とするか、または大規模修繕で赤字が予想されるのであれば修繕が終わってから信託をする形になります。

デメリットその2 有価証券の類は信託が難しい(特に上場株式)

 信託できる財産は不動産・現金・未上場株式が中心です。金融実務が家族信託に対応できておらず、上場株式を信託財産に入れることに対応してくれる証券会社が少ない状況です。大手証券会社では扱うところもありますが、①特定口座の利用ができない可能性②受託者名義に移管する際に株主優待の保有期間はリセット③法人受託者や受益者連続型が不可というデメリットがあります。受益者連続型とは資料6のように一人目の受益者は父親自身、父親が他界したあとは長男に承継させて、長男が他界したあとは次男に承継させるというように一代限りで信託が終了せずに連続して続いていく信託のことを言います。

上場株式がある場合には、実務上は証券会社の代理人制度を利用することが多いです。ただし代理人制度には遺言機能がないため、資産承継は別途遺言で対応する必要があります。

デメリットその3 初期費用がかかる

専門職のコンサルティング費用、公証役場手数料・司法書士の登記手続き費用・登録免許税等が初期費用としてかかります。おおまかには、信託する財産の価格の1.5%から2%が初期費用の目安です。例5000万の資産だと75万から100万円が目安です。高額ですが、その分ランニングコストはほとんど発生しないため、永続的にランニングコストがかかる後見制度と比較することが大切です。ただし家族信託の場合でも信託監督人に専門家を選定した場合にはランニングコストがかかります。信託監督人とは平たく言うと信託を見守ってくれる人。

デメリットその4 身上監護権がない

資産と管理の承継のシステムなので、身上監護権はありません。身上監護権とは、施設の入所や入院の手続き、介護認定の申請やケアプラン策定等の身体にまつわることをする権利です。ご家族内で済むことが望ましいですが、適任者がいない場合やご家族内で介護方針が対立する懸念がある場合には、任意後見を併用する形がおすすめです。

ここまでは、事前の対策のお話をしてきました。次は、もう認知症が進んでしまっていて判断能力が落ちてしまっているご家庭はどうしたらいいのでしょうか?というところをお話ししていきます。

第3回 家族信託—大切な財産を守る仕組み

第3回

家族信託—大切な財産を守る仕組み

本日、ご説明する生前対策は家族信託という手続きになります。信託というと投資信託のように投資とか運用的な商品をイメージされる方もいるかもしれませんが全く違います。後見と対照的なのは、裁判所は関与せず基本的には家族内で完結させることができる仕組みです。

そもそも信託とは何ですか?

信託とは、信じて財産を預けることです。簡単に言うと、自分の財産を信頼できる人に預けて、その人が約束通りに管理するようにすることを指します。これには主に3人の登場人物が関わります。以下のイラストをご覧ください。

「財産を預ける人」「財産を預かる人」、さらに「預けられた財産から利益を受け取る人」この3人が信託の登場人物であり、信託法ではそれぞれに名前が付けられています。「財産を預ける人」は「委託者」、「財産を預かる人」は「受託者」、そして「利益を受け取る人」は「受益者」と呼ばれます。

家族信託の歴史

理解を深めるために、少し昔のお話しをします。どれくらい昔かというと中世です(笑)

信託の発祥は、戦乱が絶えない中世ヨーロッパに遡ります。当時、財産を持つ者が戦争に従事する際、信頼できる人物に財産を託して戦場へと向かったことが始まりです。

例として、Aさんのケースを挙げます。Aさんは小さい子供と奥さんと平和に暮らしていました。しかし、戦争に行かなければならなくなりました。Aさんの財産は不動産や金融資産で構成されており、奥さんや子供には管理が難しい状況でした。そこでAさんは信頼する人物Bさんに財産を委ね、その収益を家族に渡すように取り決め、戦場に赴く前にその準備を整えました。

財産を預かるBさんは、Aさんの指示に従い、財産を管理します。BさんはAさんに代わり、賃貸契約や不動産の売買などを行います。財産名義がAさんのままでは、これらの取引が円滑には行えません。

契約の都度、戦場に契約書を送りAさんのサインをもらうことは現実的ではないですよね。そのため、戦争に出発する前に、財産の名義をすべてBさんに変更しました。これにより、財産の管理と契約がスムーズに行えるようになります。

Aさんの財産を預かるBさんは、その財産を誠実に管理し運用する責任があります。財産が自分の名義になっても、勝手に使うことは許されません。Aさんの指示に従い、適切に管理し家族に利益をもたらすことが信託の本質です。

生前対策の中では、最も汎用性が高い制度になります。ただ医療でいうと先進医療のようなものなので専門家ですら適切に理解している方は多くはないというのが実情です。

この受託者に金融機関等が就任するのが商事信託で、家族や身内が就任して基本的に家族内で完結するのが家族信託と呼ばれます。

親が元気なうちから始める生前の財産管理の仕組みですが、将来財産の承継先を指定できる遺言の機能もあります。

 それでは家族信託を利用した具体例を見ていきたいと思います。

家族信託のポイント

・契約ですから親の認知症が進んでいると手遅れです。ただ、信託の仕組み自体は、特定の財産の管理や処分を特定の方に任せるという非常にシンプルな仕組みです。従いまして、親がある程度弱ってしまっていても「自分がどんな財産を持っていて(=信託財産)」「その財産を誰に託すか(=受託者)」「管理や処分を任せることで何が実現できるか(=信託目的)」について概要を理解して納得できていれば、契約が可能なケースもあります。

・受託者となる子は、財産の管理処分を担当するだけです。財産は引き続き親のものであることには変わりません。→贈与税や不動産取得税は基本的にはかかりません。

 家族信託を活用して老後の財産管理と生活支援の仕組みを作ることは、会社経営や家業の事業承継と同じように「まだちょっと早いかな」と思うタイミングで始めて、時間をかけて徐々に後継者を育てるという気持ちを持つことが大切ですし、任せてみる覚悟も必要だと思います。

それができれば、自分の希望や方針を伝えつつ法務・税務などの煩わしい手続きは全て後継者に任せて自分は今まで通りの生活をより気楽に楽しく過ごせるのではないでしょうか。次回は家族信託のメリットとデメリットをお伝えさせていただきます。

第2回 「任意後見の活用とその魅力」

第2回

家族が安心できる未来を築くために:任意後見の活用とその魅力

家族の将来を見据えて財産管理や法的な準備を整えることは、安心な生活を送るうえで非常に重要です。今回は、その中でも「任意後見契約」という仕組みについて詳しくご紹介します。この制度は、判断能力が低下した場合でも自分の希望に沿った生活を続けるための強力なサポートとなるものです。


任意後見とは何か?

任意後見契約は、自分が元気なうちに信頼できる人と契約を結び、判断能力が低下した将来のために代理してもらいたい事項や希望を事前に取り決めておく制度です。契約の内容は多岐にわたり、生活費の管理から施設入所時の希望まで幅広く対応可能です。

任意後見の大きなポイント
この契約の効力が発生するのは、本人の判断能力が低下した後に、家庭裁判所が後見監督人を選任してからです。これにより、家族だけでなく専門的な管理が入るため、安心して運用ができます。


任意後見で可能なこととは?

任意後見契約を通じて任意後見人にお願いできることは以下の通りです:

  • 銀行口座の管理や保険金の受領
  • 日常生活に必要な費用の支払い
  • 不動産の管理や処分(必要に応じた対応)
  • 介護や福祉サービス利用の契約
  • 施設入所時の希望の反映(ライフプランに基づく指示)

また、法律行為の委任とは別にライフプラン(指示書)という文書を作成することで、趣味や食事の好み、旅行の希望などの細かな生活スタイルまで伝えることができます。これにより、自分らしい生活を長く続けることが可能になります。


任意後見の注意点と限界

任意後見契約にはできること・できないことがあります。例えば、医療同意や延命治療に関する決定は任意後見人では対応できませんが、事前に自分の意思を伝えておくことで、医師へその内容を引き継ぐことは可能です。

さらに、以下の点にも注意が必要です:

  • 費用がかかる
    後見監督人の報酬が毎月発生します。一般的に月額2万円前後(令和6年目安)が目安となり、長期的なコスト負担を考慮する必要があります。
  • 途中での解除が難しい
    契約が開始された後、正当な理由がなければ途中でやめることができません。慎重に計画を立ててから契約を結ぶことが大切です。
  • 裁判所の管理が入る
    任意後見契約では、家庭裁判所による厳格な監督が求められます。この管理が信頼性を高める一方で、柔軟な対応が難しい場合もあります。

任意後見と家族信託の違い

最後に、任意後見と並ぶ生前対策として「家族信託」をご紹介します。家族信託は裁判所の関与を必要とせず、基本的には家族内で完結する仕組みです。不動産の管理運用や相続税対策の遂行などの資産管理に適しており、任意後見と組み合わせることでさらに幅広い対応が可能になります。


まとめ

任意後見契約は、信頼できる人に自分の将来を託すための素晴らしい仕組みです。判断能力が低下した場合でも、自分の希望に基づいた生活を送るために大いに役立つと思います。一方で、コストや制度の制約についても理解し、専門家と相談しながら準備を進めることが重要です。

将来に不安を抱える前に、ぜひ一度任意後見契約を検討してみてください。家族の安心と自分らしい人生をまっとうするために、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?

第1回「認知症が進むとどうなる?お金と資産管理の課題を知る」

第1回

「認知症が進むとどうなる?お金と資産管理の課題を知る」

このブログをお読みくださっている皆さんの中には、老後について既に考えておられ具体的に対策を取られている方もいれば、まだ漠然とされている方、様々だと思います。人間ですので当然いつかは相続を迎えます。そして、相続の直前まで健康でいること、これは誰もが望むところではありますが、残念ながらそうとは限らないのが現実なのですね。

人生100年時代といわれますが、今日は老後にまつわるリスクのご説明とその対応策のお話しをしていきたいと思います。

高齢化社会が示す現実

令和6年6月21日、内閣府から令和6年版の高齢社会白書が公表されました。

この白書は、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況等について明らかにしているものです。

今回の白書で報告されている高齢化の状況は、次のとおりです。


・我が国の総人口は、令和5年10月1日現在、1億2,435万人です。

・65歳以上人口は、3,623万人で総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は「29.1%」。ちなみに24年前の2000年当時の高齢化率は17.2%です。

・令和52(2070)年には、2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になっていると推計。つまり38.4%です。急速に進んできています。

老後に潜む「資産凍結」のリスク

このような状況で、老後には、大きなリスクが潜んでいます。それは「資産凍結」というリスクです。言い換えると「認知症などになって、自分の財産が使えなくなってしまう」というリスクです。

平均寿命と健康寿命の差の統計表 

健康寿命というのは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を表します。平均寿命と健康寿命の年齢の差部分は、誰かのお世話にならないといけない年数を表しています。男性で8.96年、女性で12.36年つまり人生の後半10年間は誰かの介助が必要になるというのが現実なのです。相続の直前まで健康でいること、これは誰もが望むところではありますが、残念ながら必ずしもそうとは限らないのが現実ということがこちらの資料からお分かりいただけると思います。

次に認知症の有病率について見ていきます。 

横軸は年齢層を、縦軸は認知症の有病率を表しています。例えば、80歳から84歳の年齢層の場合、男性の認知症の有病率は16.8%、女性は24.2%になります。特に80歳代以降、認知症の発症リスクが急激に高まることがわかります。あくまで統計上のお話しです。

では認知症になった場合、どんな不自由が出てくるのでしょうか。

判断能力低下による法的行為の制限

民法という法律上、認知症を発症して判断能力が低下してしまうと法律行為が制限されてしまう可能性があります。

例えば

・不動産を売却したり、賃貸不動産のオーナーさんであれば大規模修繕が難しくなったり、銀行から多額のお金を引き出すことも難しくなります。賃貸不動産をお持ちでなかったとしても、例えば自宅を所有されていて、将来自分たちが高齢になって自宅に住むことが難しくなったきた場合にはどこか施設に入ることを考えているというケース。結構多いんじゃないかなと思いますが、その時にその自宅は、売却するとか賃貸に出して施設の費用に当てたい。このようなことも認知症になってしまうと難しくなります。つまり活用できる資産があったとしても使えなくなってしまいます。

・相続税対策をとっていくこともできなくなります。相続税対策として生命保険に加入するとか、アパートを建築して資産を圧縮するとかそのようなこともできません。

 ・また金融資産も凍結されてしまいますので基本的には、口座も凍結されてしまいます。基本的にと申し上げたのは、引き出す方法がないわけではないんですね。既に介護されているご家庭ではやってらっしゃる方もいるかもしれません。親の口座からキャッシュカードで引き出すという方法ですね。これは法的に正しいことなのですか?と聞かれると非常に難しいですね。私が司法書士ではなくて皆さんと同じ立場だったらやると思います。いややるかもしれませんくらいにしておきます。法的にはこの行為は無権代理という行為になり正しい行為ではないですね。民法上はアウトすれすれですが、ただ刑事罰の対象ではないです。

ただキャッシュカードというのは一定確率で磁気不良を起こすのですね。再発行手続きには本人確認が必須で、認知症が銀行にばれてしまうと凍結です。

また銀行によっては代理人届というものがあります。代理人届とは、銀行に予め代理人として親族を届けておくもので、代理人が預金の入出金や振込等一部の取引ができるようになります。ただ、この代理人届も、本人の意思確認が困難な場合には利用することができず、何かのタイミングで本人の判断能力低下が銀行に把握されてしまうと取引を継続することができなくなる可能性があります。

キャッシュカードも代理人登録もどちらも、ある日突然使えなくなるというリスクがあるということを知っておいて頂きたいと思います。

長生きの喜びと背中合わせのリスク

長生きをされるということは本当に喜ばしいことなのですが、このようなリスクをはらんでいることは事実です。それに伴い生活費や介護費、入院費も確保しなければなりません。いつお迎えが来るかということは誰にも分からないので、その費用がどれだけ必要になるか、予測することが難しくなっています。

ここで認知症になってしまうとどれくらいのお金がかかってくるのか?ということを見ていきたいと思います。

認知症になってしまった場合の、医療費と介護費の目安について

どこで介護するかによって費用は変わりますが、いくつか例をあげます。

大体の方は、親も子も自分の財産は自分のために使いたいと思っていると思います。そうした場合、 認知症で自分の意思でお金が使えなくなったときに、 自分の意思に沿った形で誰がサポートしてくれるかということは非常に重要な問題です。支える側の子供にとってみても、親の資産状況というのは何か触れてはいけないような感覚になっている方もいると思います。

けれでも先ほどの資料のようなお金が現実としてかかってくる未来があります。

そうであれば、 自分が元気なうちに老後の希望と資産をできるだけ家族(子だけでなく孫の代まで)にオープンにして、 老後の生活設計の収支シミュレーションを踏まえた財産管理の仕組みを構築する必要があります。お元気な時にこの仕組みを整えておく、これが非常に大切です。

家族全員で支える仕組みづくりの重要性

 シミュレーションの結果、毎月の収入だけでは赤字になるのであれば、資産の売却を検討する必要もありますし、売却できる資産がないのであれば子の援助や公的な支援も模索していかなければなりません。

そのため、 家族一人の負担に頼るのではなく、 家族全員が結束して長生きを応援することが理想です。老後のリスクに備えるために、本人はもちろん家族の負担も軽減できる仕組みを作ることが大事だと考えます。

具体的な対策:「任意後見」と「家族信託」

ここまでで、認知症や要介護に事前に備えておかないと困ったことになるかもしれないということはお分かり頂けたかと思います。そしてお元気な間に財産を管理する仕組みを作っておくことが大事ということもお話ししました。では次回以降は、その事前の対策として具体的には、どんなことができるのか?についてお話ししていきたいと思います。ご紹介するのは「任意後見」という手続きと「家族信託」という手続きになります。はじめに任意後見からです。

【相続登記DIY】相続登記を自分でやる方法 第3回目

第3回目の今回は、(続)STEP4 登記申請書を作るということで
前回作って頂いた申請書を印刷して法務局に提出するために体裁を整える工程と
STEP5 書類を提出する STEP6 登記が完了して書類を受け取る
ここまでを一気に解説していきます。

え!?そんなに一気に?
もっと優しくして!
いえいえ、安心して下さい。
もう山は越えていますから。

(続)STEP4 登記申請書を作る

まずは、登記申請書を印刷します。

★印刷する際は、片面印刷
★申請書の後ろにA4の白紙の紙をつける
→これは先ほど計算した登録免許税は収入印紙で納めるので貼り付ける台紙にします。
★印刷したら登記申請書と白紙の台紙の左側をホッチキス止めする
★登記の申請人となる人の氏名の右側に認印を押す
→申請書が2ページ以上の場合、ホッチキス止めしてまたがる部分にも印鑑を押します。

次は添付書面といって、申請書に付ける付属書類を準備する工程です。

戸籍・遺産分割協議書・印鑑証明書、住民票等は、希望すれば法務局から返してもらうことができます。原本還付請求といいます。苦労して集めた書類はできるだけ返却してもらいましょう。

やり方は簡単です。コピーを取って、どこでもよいので「原本と相違ありません」と手書きします。そして申請人の名前を書いて認印をおします。何枚にもなると思うので、左側をホッチキス止めして、ページの間に契印を押します。原本と相違ありませんという記載は、最初のページだけで大丈夫です。

戸籍が大量でコピーするのが大変、という場合には相続関係説明図という書類を作れば戸籍のコピーを省略できます。

次に登録免許税として収入印紙を準備します。収入印紙は郵便局か法務局で買えます。
郵便局には、予め希望する印紙が置いてあるか、電話で聞いたほうがいいと思います。法務局に申請書を直接持ち込もうとお考えの方は、法務局で買ってそのまま登記申請という流れでもよいかと思います。
手に入れた収入印紙は申請書につけた白紙の台紙に糊付けします。注意点としまして、この時、収入印紙の消印を絶対にしないで下さい。消印をしてしまうと無効になってしまいます。

完成した登記申請書と添付書面、戸籍などを原本還付請求した場合はその原本をまとめて
クリップ止めをすれば書類の完成!

さあ、これでいよいよ整いました。
次は法務局へ登記を申請します。

STEP5 書類を提出する

登記申請には、1直接法務局へ持ち込む2郵送すると2通りありますが、法務局は平日の5:15までしか開いていませんので郵送をおすすめします。
※法務局の対応時間は今後短縮の可能性があります。

郵送する際には、無事に届いたか追跡することができるレターパックプラスで送る事をおすすめします。
赤色のものです。
収入印紙を買うついでに郵便局で買っていただければと思います。

登記を申請したあとは大体1週間から2週間程度で完了します。目安となる完了予定日は法務局のホームページで公開されています。法務局の方からは終わったという連絡は来ません。書類の訂正がある場合にのみ連絡がきます。
(ですのでプロでも法務局からの電話にはドキドキします)

STEP6 登記が完了して書類を受け取る

法務局から発行される書類は3種類あります。

★登記完了証
→その名のとおり、登記が終わりましたという報告の文書 あまり重要ではない

★登記識別情報通知
→いわゆる権利証 売却など不動産を処分する場合に必要になる重要書類

★原本還付請求をした戸籍等

書類を受け取る方法は2つの方法があります。

★法務局の窓口で受け取る
→窓口で受け取る場合ですが、法務局へ行かれる前に登記が完了しているか電話で確認した方がいいです。受け取る際には、申請書に押した印鑑と同じ印鑑が必要です。

★郵送で受け取る
→郵送で受け取る場合ですが、返信用封筒を申請書や添付書面と一緒に法務局へ提出します
返信用封筒は本人限定受取郵便になります。添付書面がおらずに余裕を持って入る大きめの封筒を用意します。角2の封筒がおすすめです。

郵便切手の料金ですが、重さによって変わりますので郵便局の方に聞くといいです。実際に返送してもらう添付書面も持って行って、重さを計ってもらうとより正確な料金が出してもらえるかと思います。法務局から郵送されてくるのは添付書面以外に登記識別情報通知や完了証もあるので少し余裕をもった方がいいかもしれません。。その際に返信用封筒も持っていけば、本人限定受取郵便という印鑑も押してもらえると思います。

郵便局でやることが色々出てきましたのでをまとめてみました。
気が利きますか?
いえいえとんでもございません!

完了した書類を受け取ったら、ステップ2で出てきた登記情報提供サービスで登記情報を取得してきちんと登記がされているか確認してみてもいいかも知れません。

以上で、相続登記を自分でやる方法の解説は終りです。

いかがでしたでしょうか。
迷える相続登記DIYチャレンジャーの皆様の一助となることができたら、
幸甚でございます。

重ねてのCMで恐縮ですが、
私たちは、司法書士に丸投げのプランから、
書類は集めてみたけどその先が、、、という方向けのリーズナブルプランまで
ご用意しております。

一度ホームページをご覧いただければと思います。

今回ご紹介した各書類のひな形もホームページで公開しています。
登録免許税の計算式(エクセル)も載せています。

最後までご覧いただきありがとうございました。

次回は、「法定相続情報一覧図」について解説を考えています。
銀行口座の解約や自動車の名義変更等、幅広く使える書類です。

それではまた

【相続登記DIY】相続登記を自分でやる方法 第2回目

第2回目の今回は、STEP4 登記申請書を作る方法について解説していきます。

この登記申請書の作成が山場かもしれません。
もし内容が間違っていると補正といって、法務局から訂正を指示されてしまいます。。

遠方だと結構しんどいことになるので、よくよく確認しながら進めていただければと思います。

登記申請書も、私たちのホームページからダウンロードできます。
よろしければご利用ください。

『申請書式ダウンロード』

『不動産の相続登記で必要な書式一覧』

『相続登記 申請書』

STEP4 登記申請書を作る

以下、法務省が公開している登記申請書のひな形にそって解説していきます。

「登記の目的」「原因」「相続人」この記載を見ていきましょう。



まず最初に登記申請書の一番上には5.6センチ以上のスペースをあけておきます。
ここは法務局が受付シールを後ほどはるスペースになります。

被相続人をAさん、不動産の名義を取得する方をBさんとします。

「登記の目的」
登記簿をみて頂き、被相続人がお一人で所有者として記載されている場合には
所有権移転と記載します。
被相続人が共有者として記載されている場合、例えばほかの方との共有であったり、道路の持分を持っている場合、その場合には、A持分全部移転と記載します。

「原因」
亡くなられた日にちを書いて相続と記載します。
和暦で記載します。

「相続人と被相続人」
ここでいう相続人とは不動産の名義を取得する方Bさんになります。名義を取得しない方は記載しません。

そして、Bさんのお名前の右横に認印を押します。
連絡先の記載は、不備があった場合に、平日の日中に法務局から電話が来ます。
ですので携帯電話等を記載します。

もし不動産を相続人のBさんとCさんで2分の1づつで相続するという場合には、
氏名の前に持分2分の1と記載します。

続いて「添付情報」「申請日」「法務局」の記載です。



「添付情報」
これは登記原因証明情報と住所証明情報と記載します。
なにも考えずこの記載だけでOKです。

次に「□登記識別情報の通知を希望しません。」という項目があります。
登記識別情報とはいわゆる権利証と呼ばれているものです。
これは希望した方が良いと思います。不動産を売却する場面で必要になります。
チェックボックスにチェックを入れると発行されなくなりますのでこの項目ごと削除しましょう。

「登記を申請する日付」
登記を申請する日付は、直接法務局に持ち込む場合にはその持ち込む日付を書きます。
郵送の場合には、郵便を出す日を書きます。

「申請先の法務局」
申請先の法務局は管轄といって、不動産の所在地ごとに決まっています。調べる方法ですが
「法務局 管轄」と検索をすると「管轄のご案内 法務局 法務省」とかかれたページが出てきます。クリックして頂くと「管轄一覧から探す」「地図から探す」というページが開きますので目的の都道府県から検索をしてください。

次に「課税価格」「登録免許税」を記載します。



「課税価格」

課税価格とは評価額のことです。

ステップ1で取得して頂いた課税明細書か評価証明書を見ながら、評価額という欄に書かれている金額の合計を記載します。評価額は「価格」または「評価額」と書かれている金額になります。「課税標準額」と書かれている金額ではありません。

課税明細書の場合、色々な数字が書いてあり見づらいですが、大抵一番大きい金額が評価額になります。不動産が複数ある場合には、それらの金額を合計した金額を記載します。
下三桁は切り捨てになります。↓の画像だと11,752,650と6,935,695が評価額です。

「登録免許税」

登録免許税とは、登記を申請するために必要な税金の金額になります。
これは収入印紙で納めます。
計算した課税価格に0.4%をかけた金額を100円未満、下二桁は切り捨てになります。

注意点ですが、令和7年3月31日までではありますが、財産に評価額が100万円以下の土地がある場合にはその土地に関しては登録免許税が非課税になります。
その場合、その旨を申請書に記載します。


評価額が100万円以下の土地がある場合には、非課税の適用を受ける旨を
 記載する 
 例 登録免許税 金2万円
 「 一部の土地(○○市大字○○字○○34番地の土地)について
  租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」


それでは、具体的に登録免許税を計算してみましょう。

aとbの合計を計算して、下三桁を切り捨てます。
その金額に0.4%をかけて、下二桁を切り捨てます。

続いて、100万円以下の土地がある場合も見ていきましょう。

abcの合計を計算しますが、bは非課税になるため0円として計上します。

続いて不動産の表示の部分になります。



ここはステップ1で取得して頂いた登記簿謄本または登記情報をみながら、記載します。
評価証明書や課税明細書と記載が違う場合もありますが、登記申請書は登記簿のとおりに記載した方がいいです。

まれに附属建物というものが登記簿謄本に書かれている場合があります。車庫や物置等が多いですが、附属建物も申請書には記載します。記載の仕方はこんな感じです。


不動産の表示
  附属建物

  符    号  1

  種    類  物置

  構    造  木造草葺平家建
  
  床  面  積 41.32平方メートル


以上で登記申請書の作成は終了です。

今回はここまでです。
いかがでしたでしょうか。
一番大きな山は越えたはずです。
ご安心ください。

次回は、(続)STEP4 登記申請書を作る
申請書を印刷して、法務局に提出するために体裁を整える工程を解説していきます。

ここまでお読み頂き、出来そうかと思ったけど、
ミスも怖いしやっぱりプロに任せたいという方がいらっしゃいましたら
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必要書類が揃っていれば、料金がお安くなるリーズナブルプランも
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詳しくはホームページをご確認下さい。

ではまた

【相続登記DIY】相続登記を自分でやる方法 第1回目

令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。

そうだやらねば、、という方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
今までは、任意だった相続登記がいよいよ義務化になります。
しかも過料の制裁もあります。
過料!? なにそれ怖っ!

当ブログでは相続登記DIY(?)と題して、
相続登記を自分でやる方法について解説していきます。
私どもは司法書士なので身を切る思いですが(笑)、
きっとお困りの方やチャレンジ精神豊富な方がいるのではと思い執筆に至りました。

一口に相続登記と言ってもケースにより千差万別で、
手間なくやるには司法書士に依頼することをオススメしますが、
中には自分でやることに向いているものもあります。

どんなケースか?といいますと次のようなケースです。
一番多いケースかもしれません。

★被相続人は父親又は母親で、法定相続人は配偶者や子供のみ
★法定相続人間で争いがなく、遺産分割の話し合いがスムーズにできる
★パソコン(Word等)で文書作成ができる

具体的にどんな場合かと言いますと、

相続登記には、6つのステップがあります。

STEP1 書類を集める
STEP2 不動産を把握する 
STEP3 遺産分割協議書を作る
STEP4 登記申請書を作る
STEP5 書類を提出する
STEP6 登記が完了して書類を受け取る

第1回目の今回は、STEP1 書類を集めるからSTEP3 遺産分割協議書を作るまでを解説していきます。

STEP1 書類を集める

↓必要書類一覧です。

被相続人の生まれてから亡くなるまでの除籍謄本

本籍地の市役所で取得できます。生まれた時は通常、祖父母や両親の戸籍にいますが、結婚や子供の誕生で新しいその人だけの戸籍ができるので、これらの戸籍は複数必要になるケースがほとんどです。 もし本籍地が分からない場合には、被相続人の住所地の市役所で住民票の除票という書類を、本籍地の記載有と指定して取ることで調べられます。
 
遠方の場合には、郵送で取れます。
郵送での戸籍の取り方は、こんな感じです。

課税明細書または評価証明書

課税明細書とは毎年4月ごろに市役所から送られてくる固定資産税の納税通知書に同封されている書類です。被相続人がお持ちの不動産とその評価額が載ってます。この評価額がステップ3の申請書の作成で必要な情報になります。非課税の場合には評価額の記載がありません。その場合には市役所で評価証明書を発行してもらいます。注意点として、この書類は毎年4月1日で年度が切り替わるので最新年度のものを用意します。例えば令和6年3月31日までに登記申請する場合には、令和5年度の課税明細書等が必要です。

被相続人の戸籍の附票

住所の履歴が一覧で記載されている書類です。戸籍と同じく本籍地の市役所で取れます。住民票の除票でもいいのですが、住所の異動が繰り返されている場合には、除票では記載が足りない場合があるので戸籍の附票の方がおすすめです。

配偶者やそのお子さんたちの戸籍謄本と印鑑証明書

戸籍謄本は全く同じものは重複しては必要にはなりません。お子さんが未婚で親と同じ戸籍にいる場合には、1通あれば十分です。

不動産を相続する相続人の住民票

マイナンバー(個人番号)は省略したものです。

STEP2 不動産を把握する 

step1で用意した評価証明書や課税明細書に記載されている不動産について、登記簿謄本に書かれている内容を調べます。これはstep3で登記申請書を作る時に、登記簿の記載どおりに作らないといけないからです。

これには登記情報提供サービスが便利です。法務局に行って登記簿謄本を取る方法もありますが、ご自宅にいながらインターネットで即取れて安いのでおすすめです。支払いはクレジットカードになります。

利用の仕方ですが、インターネットで登記情報提供サービスと検索して頂き、中ほどの一時利用をクリックします。

注意点

・利用できる時間が決まっている

・初回ログインしてから1日しか利用できない

→ログインしたらすぐ取得してしまうことをおすすめします。どうでもいいですが、このインターネットで取得した登記簿謄本のことを登記情報といいます。

STEP3 遺産分割協議書を作る

こちらでは、ステップ1.2で集めた情報を元に、どの不動産をどなたが相続するかを決めていただき、文書にします。

遺産分割協議書のひな型は、私たちのホームページからダウンロードできます。
よろしければご利用ください。

『申請書式ダウンロード』

『不動産の相続登記で必要な書式一覧』

『遺産分割協議書ひな型』

記載内容をみていきます。

一番上に遺産分割協議書とタイトルを記載します
続いて被相続人の記載です。
氏名と亡くなられた日付を記載します。
最後の本籍は亡くなった記載のある戸籍に書かれている本籍地を記載します。
最後の住所は、戸籍の附票に書かれている最後の住所を記載します。

続いてどなたがどの不動産を取得するのかを記載します。
不動産の表示は、登記簿を見ながらそのとおりに記載します。

また後から財産が発見された場合は、誰が相続するかを事前に決めておくことができます。あとから協議書を作り直す必要もないですし、トラブルも回避できるのでおすすめです。
書き方は「本協議書記載以外の一切の財産」これでOKです。

遺産分割協議書が作成できたら、相続人全員の方に署名押印して頂きます。
印鑑は実印になります。
このとき、実印があっているか印鑑証明書と見比べる事をおすすめします。
押し間違えてしまった場合には、重ならないように近くにおし直せば大丈夫です。

2ページ以上にまたがる場合にはホッチキス止めをしてまたがる部分に契印を押します。
もちろん実印です。

今回はここまでです。
いかがでしたでしょうか。

私たちのホームページでは、動画でも解説しています。
文章よりも分かりやすいかもしれません。
第2回では、STEP4 登記申請書を作る方法を解説していきます。
次回は少しボリュームがあるかもしれません。

ここまでお読み頂き、出来そうかと思ったけど、
これはちょっと難しいな、時間もないしなという方がいらっしゃいましたら
私たちはいつでもご依頼をお待ちしております(笑)。

必要書類が揃っていれば、料金がお安くなるリーズナブルプランもご用意しております。
書類を集めた労力も無駄にならないお得なプランです。
詳しくはホームページをご確認下さい。
ではまた

[不動産登記レアケース15] 外国人が日本の不動産を売却(購入)する場合(令和6年4月1日改正)

1853年「黒船が来た!」から時は流れ、外国人の方が日本国の不動産を売買する場面も増えてきました。安全保障上の議論は別として、我々司法書士が外国人の不動産売買登記に当たり、様々な問題に直面することも珍しくありません。外国人が売る場合、買う場合、または海外居住日本人が売る場合、買う場合についてまとめています。ここでご紹介するのは私見もあり、皆様におかれましては事前に法務局へ照会をされることを前提としております。

A日本に居住している外国人が売主の場合

中長期在留者、特別永住者は住民登録がなされている市町村において印鑑登録することができ、当該印鑑に係る印鑑証明書の交付を受けることができる。この印鑑証明書をもって登記義務者の印鑑証明書として用いることができる。

外国人が印鑑証明書を添付した場合、別途、署名証明書の添付は不要。印鑑を使用している外国人が、申請書又は委任状等に署名捺印の上、日本における居住地市町村発行の印鑑証明書を添付して登記の申請があった場合、署名証明書の提出がなくても受理するのが相当である。(昭和35・4・2民甲787号民事局長回答)

B海外に居住している外国人又は外国企業が売主の場合

問題になるのは印鑑証明書の代替措置(印鑑登録制度がある国は、ほぼない)

先例(前提)
(ア)外国人が登記義務者として登記を申請する場合には印鑑証明書に代えて, 申請書又は 委任状の署名が本人のものであることの本邦の所属国大使館等の発行した証明書を提出 して差し支えない。(昭和59年8月6日民三3992号民事局第三課長依命通知)
(イ)所有権移転登記の義務者が外国人の場合,印鑑証明書に代えて委任状の署名が本人の 者である旨の外国の官憲 (在日公館, 本国の官公署等)の署名証明書を提出させるのが 相当である。(昭和34年11月24日民事甲2542号民事局長回答 )

B(a) 海外居住売主が来日する場合

海外居住の外国人売主が来日していれば、当該外国の在日大使館(売主母国を管轄する日本にある大使館)は、日本国内で使用する目的であればサイン証明書を発行に応じてくれる。 事前に登記委任状を作成して外国人売主に渡し、 外国人売主はこれを当該国在日大使館で認証を受け印鑑証明書の代替とすることができる。

売主が外国企業の場合、事前に登記委任の内容と法人の資格証明書の内容を一体として宣誓供述書の形式で作成しておき、そのひな形を予め当該会社代表者に渡しておき,当該代表者が会社準拠法国の在日大使館で認証してもらうことにより,会社資格証明書, 会社代表者印鑑証明書,登記委任状全てがこの宣誓供述書でまかなうことができる。

B(b) 海外居住売主が来日しない場合

外国人売主が売却の際に来日しない場合、事前に宣誓供述書素案を作成してEメールで委任状等を送り、 現地の公証人の面前で署名を認証してもらったものを返送してもらう。通常、売買日付を空白にして認証してもらうのが登記実務上一般的だと思われるが、事前に必ず管轄法務局へ確認して下さい。

B(c) 海外居住売主が外国法人の場合

外国法人が設立されている国の公証人の面前で当該会社代表者が1当該会社内容2自分に代表権があること3登記申請を司法書士に委任することを宣誓供述してその認証を受けることによって、資格証明書と印鑑証明書, 代理権限証書並びに登記申請委任状を兼ねることができる。

代表者の国籍が当該法人準拠法国以外の国籍である場合に、例えば、 ケイマン(イギリス領)を準拠法とする会社の代表者がアメリカに居住するイギリス人(イギリス国籍)であった場合の宣誓供述書は?

上記123を盛り込んだ宣誓供述書を作成し、ケイマンの公証人の認証があれば当該国(イギリス)の権限ある官公庁又は官憲の認証があるということで適格性を有する。

一方代表者のイギリス人がケイマンまで行けない場合には?

アメリカ在住の代表者たるイギリス人は、上記123を盛り込んだ宣誓供述書をイギリス国公証人又はソリシターの面前で認証すれば,これを会社代表者の印鑑証明書を代替するものとして適格性を有する(ただソリシターが認証権限を持っているのかどうかは諸説あるため、管轄法務局へご確認ください。)

代表者たるイギリス人が、アメリカ国内の公証人 (ノータリーパブリック) の面前で認証したときに、代表者としての印鑑証明書の代替として適格性があるか?
→法務局により適格性ありというケースと適格性がありと判断されたケースがある模様。 日本人がアメリカで印鑑証明書の代替としての宣誓供述書についてアメリカの公証人の面前で認証した場合には認める旨の先例があるが, 外国人が当該国以外の公証人の認証は原則的に否定的なようである。その理由として当該国の官公庁又は官憲の証明又は認証を要求しているため。

「 参考先例」
外国人が、本国の法制上の理由等のやむを得ない事情から、署名証明書を取得できない場合は、その旨の登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及び当該署名が本人のものであることの日本の公証人又は当該外国人が現に居住している国の官憲の作成した証明書の添付をもって、市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。

なお署名が本人のものであることの証明書を日本における領事若しくは日本における権限がある官憲が発行していないため当該証明書を取得することができない場合又は日本に当該外国人の本国官憲がない場合には、日本以外の国における本国官憲において当該証明書を取得することが可能であっても、やむを得ない事情があるものとして取り扱ってよい。(平成28年6月28日付け法務省民商第100号民事局長通達 改正平成29年2月10日法務省民商第15号 抜粋)

外国在住の日本人が登記義務者として登記を申請する場合の委任状については,本人の署名であり、かつ自己の面前で宣誓した旨の現地公証人の証明があれば,領事その他日本の出先機関の証明がなくても、受理してよい。( 昭和33年8月27日民事甲1738号民事局長通達)

外国人が印鑑証明書を添付できないときは、印鑑証明書に代えて、申請書又は委任状の署名が本人のものであることを証する、当該外国官公署の署名証明書又は当該外国の公証人による署名証明書を添付する。なお、印鑑証明書と違い、署名証明書には作成後3か月以内の有効期限の制限は受けない。

「帰化した元日本人の場合」
元日本人である外国人が登記義務者として登記を申請する場合において本人の自署であることについて所属国駐在の日本大使館又は領事館において証明した場合は、その証明書を印鑑証明書に代えることができる。

「参考実例(ドイツ在住の日本人が売主)」
ドイツ在住の日本人が売主→在ドイツの日本領事館にて、委任事項を詳細に記載した委任状にサイン証明書をもらう。
・委任事項中の売買日付は空欄でOK
・委任状の委任日が、売買日より前でもOK
・委任者の住所は当然ドイツ語になるため訳文をつける

「参考実例(中国人と未成年者)」
前提 
:売買による所有権移転登記を申請する
:所有者は、未成年者(日本国籍)、親権者は中国籍の母親、父親は日本人で他界している
:所有者も親権者も中国在住

所有者 日本名 畑野禎芳(仮称):中国名 王禎芳(仮称)

所有者も親権者も中国在住であるため、親権を証する書面を公証書で作成を依頼したところ、公証書では家族関係書類(戸口簿)の記載に基づく為、日本名の「畑野禎芳(仮称)」の記載が出来ず、中国名の「王禎芳(仮称)」の記載しか出来ないとのこと。理由は、出生証明書には日本人である父親の氏名の記載はあるが、戸口簿に日本名である「畑野禎芳(仮称)」の氏名を登録しなかったためとのことでした。法務局との調整の結果、中国名の「王禎芳」での公証書と畑野禎芳の日本の戸籍(母として中国籍の母親の氏名の記載有)の二つで親権を証する書面として添付しました。もちろん翻訳文もです。

「翻訳文」
外国語で書かれた添付書類がある場合、訳文を添付する。誰が訳しても差し支えなく、翻訳者が訳文に「相違ない」旨を記載して署名押印するか登記権利者・登記義務者が訳文に相違ない旨を記載して署名押印すればよい。翻訳者の印鑑証明書は必要ない。当然、申請代理人でもさしつかえない。(昭和33.8.27民事甲第1738)(昭和40.6.18民事甲第1096号)

買主(登記権利者)は登記申請の添付書類として市町村等の作成に係る住所を証する情報(住所証明情報)を提供する必要がある。

①日本に住所を有する外国人の場合
長期在留者、特別永住者は住民登録がなされている市町村において、外国人住民票の発行を受けることができ、当該書面が住所を証する情報になる。

②日本に住所を有しない外国人の場合
当該所属国の公証人、在日領事館の認証がある住所に関する宣誓供述書

・韓国籍の場合
韓国住民登録証明書が住所証明情報になる。

・台湾籍の場合
戸政事務所(公的機関)発行の戸籍謄本が住所証明情報になる。

外国人による所有権移転登記の新しいルールについて

令和6年4月1日から不動産登記法が改正され、外国にお住まいの方や外国籍の方が日本の不動産を購入して所有権移転登記(名義変更)をする際のルールが大きく変わりました。新しいルールの主なポイントは以下の3つです。

1. 国内の連絡先を登記すること

2. 氏名にローマ字を併記すること

3. 住所を証明する書類のルールが変わったこと

「国内連絡先の登録」

これまで、海外にお住まいの方が日本の不動産を買うと、税金や管理の面で連絡が取りにくくなる問題がありました。そこで、外国に住所がある方が不動産の持ち主になる場合は、日本国内での連絡窓口となる人や会社の名前、住所などを登記簿に記録することが義務付けられました。

・連絡窓口になれるのは誰か 日本国内に住所がある個人や、日本の会社などが連絡先になれますが、登録できるのは1名(または1社)のみです。

・どのような書類が必要か 連絡先となる人には「私が国内の連絡先になります」という承諾書を書いてもらう必要があります。この承諾書には実印を押し、印鑑証明書を一緒に提出します。また、連絡先となる人の住民票なども必要になります。

・頼める人が誰もいない場合 もし日本国内に連絡窓口を頼める人がいない場合は、「国内連絡先となる者がない」という上申書(申告書)を提出することで、「連絡先なし」として登記することも可能です。

このように、海外にお住まいでも日本の不動産に関する連絡がスムーズに取れるような仕組みが作られました。

氏名への「ローマ字氏名」の併記

令和6年4月1日の改正により、外国籍の方が所有権の登記名義人になる場合、本来の氏名と一緒にローマ字で氏名を併記するよう申し出ることができるようになりました。

・ローマ字の表記ルール

ローマ字の書き方には、いくつかの細かな決まりがあります。

1.すべて「大文字」で表記します。

2.「氏」と「名」の間にはスペース(空白)を入れます。中点(・)などの記号は使えません。

3.ミドルネームは、本来の氏名として登記される場合のみローマ字でも併記できます。

・漢字圏の方とそれ以外の方の表記 アメリカやイギリスなど、漢字を使わない国の方の場合は、「カタカナの氏名」にローマ字を併記します(例:シャーロック ホームズ/SHERLOCK HOLMES)。 中国や韓国など、漢字圏の方で日本の漢字を使って氏名を表示できる場合は、「漢字の氏名」にローマ字を併記します。もし日本の漢字で表示できない文字が含まれている場合は、カタカナの氏名にローマ字を併記することになります。

・添付書類について

ローマ字のつづりが正しいことを証明するために、以下のいずれかの書類を提出する必要があります。

1.ローマ字氏名が記載された日本の住民票の写し

2.パスポートのコピー(有効期限内で、顔写真とローマ字氏名があるページ。本人が「原本と相違ない」と記入し、署名やサインをしたもの)

3.パスポートがない場合は、自分で「このローマ字氏名に間違いありません」と書いた申告書(上申書)

・注意点 日本で「通称名」を使って生活しており、その通称名で登記をする場合には、ローマ字氏名を併記することはできません。

住所を証明する書類のルールの見直し

日本にお住まいの方が不動産の登記をする場合、住所を証明する書類として「住民票の写し」や「印鑑証明書」などを提出します。しかし、海外にお住まいの外国籍の方の場合、国によっては日本のような住民登録の制度がないため、住所の証明が難しいケースがありました。

これまでも、本国の公証人(事実を証明する公的な権限を持つ人)が作成した「宣誓供述書」などを提出する実務がありましたが、令和6年4月1日の改正により、どのような書類を出せばよいかのルールがより明確になりました。なお、このルール変更は「外国にお住まいの外国籍の方」が対象であり、外国にお住まいでも日本国籍の方(日本人)のルールはこれまで通りです。

主なルールは以下の通りです。

1.原則となる書類 韓国やドイツの一部など、日本のように住民登録の制度がある国の場合は、その国の政府(領事館を含みますが、公証人は除きます)が作成した、住所を証明する書類を提出します。

2.政府の証明書が取れない場合(公証人の書類とパスポート) 住民登録制度がないなど、政府発行の証明書が取れない場合は、以下の2点セットを提出します。 ・本国の公証人が作成した住所を証明する書類(宣誓供述書など) ・本人のパスポートのコピー

3.パスポートのコピーの注意点 提出するパスポートのコピーには、以下の条件があります。 ・登記を申請する日、または住所証明書が作成された日の時点で有効なものであること ・氏名、有効期間、顔写真のページが含まれていること ・公証人の書類とパスポートのコピーが「つづり合わさって一体」になっていない場合は、パスポートのコピーの余白に「原本と相違ありません」と記入し、本人が署名(サイン)または記名押印をすること

4.パスポートを持っていない場合 パスポートがない場合は、公証人が作成した住所証明書に加えて、「パスポートを持っていないことを本人が書いた申告書(上申書)」と、「本国の政府が作成した氏名が分かる書類のコピー(原本と相違ない旨の記入と署名が必要)」を提出します。

5.その他の救済措置 やむを得ない事情で、本国の公証人から書類をもらうこともできない場合は、日本の公証人に「この住所で間違いありません」と宣誓して作ってもらった書類と、パスポートのコピー、そして「本国の公証人の書類が取れないことの申告書(上申書)」を提出する方法も認められています。

6.外国語の書類についての注意 これら海外で作成された書類が外国語で書かれている場合は、必ず日本語の「訳文(翻訳)」を一緒に提出する必要があります。

ア 事前通知 (不登法23条1項)
申請人が外国に居住しているときは、その外国の住所に宛てて発送することになる。本人が航空郵便の郵送料を納付した場合に限り、航空郵便による (昭和35年6月2日民事甲1369号民事局長通達)。 法人が申請人である場合、 法人の主たる事務所に宛てて送付すること を原則とするが,申請人から法人の代表者の個人の住所宛に送付されたい旨の申し出があったときは、代表者個人の住所に宛てて送付すること になる(現準則43条2項)。

イ 海外など遠隔地居住者が登記義務者である場合
管理処分等一切の権限を授権された者が存し, かつその授権が公正証書等によって明らかにされており,その者からの申出があるときは, 保証通知を当該代理人に対して発して差し支えないとしている (昭和35年 6月16日民事甲1411号民事局長通達)。

外国に住所を有する外国人についての住所証明情報の見直し
2024年(令和6年)4月1日施行

・従前の実務 外国に住所を有する外国人が所有権登記名義人となる場合に提出する住所証明情報としては、同国の官公署の証明に係る書面又は同国の公証人の証明に係る書面等を提供することとされている(昭和40年6月18日付法務省民事甲第1096号民事局長回答参照)。
・従前の実務の問題点 登記先例による実務上の取扱いにとどまり、実際にどのような書面が必要になるか、またその正確性がどの程度のものであるかについては必ずしも明確でない部分があり、運用上の幅が広くなっている(中間試案の補足説明)。
・見直しの対象は外国に住所を有する「外国人」‐日本人は対象外‐ 外国に住所を有する日本人が所有権の登記名義人となる場合には、住所証明情報として、住所地を管轄する在外公館から発給された在留証明書等を提供することとされている(昭和33年1月22日付法務省民事甲第205号民事局長心得回答)。在留証明書は、在外公館が発給するものであり、住所は正確であると考えられ、かつ、その者が実在することを証明するに足りるものと考えられるため、外国に住所を有する日本人に関する取扱いは従来どおりである(部会資料35参照)。
・令和5年12月15日法務省民二第1596号(通達) 「外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて(通達)」が発出された。この通達による取扱いは、令和6年4月1日以後にされる登記の申請について実施される。通達では、「第1」において外国に住所を有する外国人(自然人)が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合について解説したのち、「第2」において法人のパターンについて解説されている。

・自然人の場合

第1 外国に住所を有する外国人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合
1 外国に住所を有する外国人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の当該登記名義人となる者の住所証明情報については、次の(1)又は(2)のいずれかと
するものとする。
(1) 登記名義人となる者の本国又は居住国(本国又は居住国の州その他の地域を含む。以下「本国等」という。)の政府(本国等の領事を含み、公証人を除く。以下「本国等政府」という。)の作成に係る住所を証明する書面(これと同視できるものを含む。)
(2) 登記名義人となる者の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面及び次のア又はイに掲げる区分に応じ当該ア又はイに定める書面
ア 登記名義人となる者が旅券を所持しているとき次の要件を満たす旅券の写し(ア) 当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な旅券の写しであること。
(イ) 登記名義人となる者の氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示のあるページの写しが含まれていること。
(ウ) 当該住所を証明する書面と一体となっていない旅券の写しにあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がされていること。
イ 登記名義人となる者が旅券を所持していないとき登記名義人となる者の作成に係る旅券を所持していない旨の上申書及び登記名義人となる者の本国等政府の作成に係る書面又は電磁的記録(以下「書面等」という。)の写し等(写し又は電磁的記録の内容を書面に出力したものをいう。以下同じ。)であって、次の要件を満たすもの
(ア) 登記名義人となる者の氏名の記載又は記録がある書面等の写し等であること。
(イ) 当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な書面等の写し等であること。
(ウ) 当該住所を証明する書面と一体となっていない書面等の写し等にあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がされていること。

2 前記1(2)にかかわらず、所有権の登記名義人となる者の本国等の法制上の理由等のやむを得ない事情から、登記名義人となる者の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができないときは、日本の公証人の作成に係る住所を証明する書面等(登記名義人となる者がその住所が真実であることを宣誓した書面等について、公証人法(明治41年法律第53号)第58条ノ2第1項又は第62条ノ6第2項(令和5年法律第53号による改正後の公証人法第53条第1項又は第59条第3項)の規定に基づく認証がされたものをいう。)並びに次のア及びイに掲げる書面を住所証明情報とすることができるものとする。
ア 前記1(2)アに定める書面
イ 登記名義人となる者の作成に係る本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができない旨の上申書
3 登記所に提供する前記1又は2の情報のうち、外国語で作成されたものについては、その訳文を添付しなければならない。

・【第1‐1(1)】本国等政府の作成に係る住所を証明する書面 住民登録法等の根拠法令が存在する国に住所を有する外国人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合には、通達に基づき「本国等の政府の作成に係る住所を証明する書面」を提供することが考えられる。韓国、スウェーデン、フィンランド、ドイツ(ベルリン州)
では住民登録法等の根拠法令が存在する。
・【第1‐1(2)ア】本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面等 従来から、本国等の政府作成に係る住所証明情報の提供が困難な国に住所を有する外国人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合には、本国政府ではなく、本国公証人
(ノータリー、ノータリーパブリックオフィス)による宣誓供述書
を住所を証する情報として提供することが実務上許容されてきた。上記の通達の発出により、従来の実務上の取扱いが追認されたともいえる。もっとも、通達では「登記名義人となる者の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面」に加えて、登記名義人となる者が旅券を所持しているときには、前記ア(ア)(イ)(ウ)の要件を満たす旅券の写しが必要となるなど、従来の登記実務とは異なる点があるため注意を要する。
最大のポイントは、旅券の写しが公証人作成の住所証明書と一体となっていない場合には、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がされている旅券の写しを用意しなければならない点である。

・【第1‐1(2)イ】登記名義人となる者が旅券を所持していないとき この場合は、

①「本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面」、②「旅券を所持していない旨の上申書」、③「登記名義人となる者の本国等政府の作成に係る書面の写し等」が必要になる。
③は公証人作成の住所証明書と一体となっていない場合には、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がなされた当該写し等を用意しなければならない。
・【第1‐2】やむを得ない事情により本国等の公証人作成書面を取得できない場合の救済措置 一定の要件を満たせば、日本の公証人の作成に係る住所を証明する書面でも良いものとされた。この場合、登記名義人となる者の旅券、上申書が必要となる。

・法人の場合

第2 外国に住所を有する法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合
1 外国に住所を有する法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の当該登記名義人となる者の住所証明情報については、次の(1)又は(2)のいずれかとするものとする。
(1) 登記名義人となる者の設立に当たって準拠した法令を制定した国(州その他の地域を含む。以下「設立準拠法国」という。)の政府(設立準拠法国の領事を含み、公証人を除く。以下「設立準拠法国政府」という。)の作成に係る住所を証明する書面(これと同視できるものを含む。)
(2) 登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面及び登記名義人となる者の設立準拠法国政府の作成に係る書面等の写し等であって、次の要件を満たすもの
ア 登記名義人となる者の名称の記載又は記録がある書面等の写し等であること。
イ 当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な書面等の写し等であること。
ウ 当該住所を証明する書面と一体となっていない書面等の写し等にあって
は、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の代表者その他の当該住所を証明する書面の作成に当たって宣誓供述を行う権限のある者(以下「代表者等」という。)の署名又は記名押印がされていること。

2 前記1(2)にかかわらず、所有権の登記名義人となる者の設立準拠法国の法制上の理由等のやむを得ない事情から、登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができないときは、登記名義人となる者の代表者等の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面又は日本の公証人の作成に係る住所を証明する書面等(当該代表者等がその住所が真実であることを宣誓した書面等について、公証人法第58条ノ2第1項又は第62条ノ6第2項(令和5年法律第53号による改正後の公証人法第53条第1項又は第59条第3項)の規定に基づく認証がされたものをいう。)並びに次のア及びイに掲げる書面を住所証明情報とすることができるものとする。
ア 登記名義人となる者の設立準拠法国政府の作成に係る書面等の写し等であって、前記1(2)アからウまでの要件を満たすもの
イ 当該代表者等の作成に係る設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができない旨の上申書
3 登記所に提供する前記1又は2の情報のうち、外国語で作成されたものについては、その訳文を添付しなければならない。

・【第2‐1(1)】設立準拠法国政府作成に係る住所を証明する書面 外国に住所を有する法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合、当該登記名義人となる者の住所証明情報として、設立準拠法国の政府(設立準拠法国の領事を含み、公証人を除く)作成に係る住所を証明する書面(これと同視できるものを含む)を用いることができるものとされた。なお、設立準拠法国以外の政府が作成した証明書では要件を満たさない。
・【第2‐1(2)】登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面等 ➊「登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面」に加えて、➋「登記名義人となる者の設立準拠法国政府の作成に係る書面等の写し等」であって、通達第2‐1(2)アイウの要件を満たすものが必要となる。
具体的には、➊に該当するものとして「宣誓供述書等」、➋に該当するものとして「日本の商業登記事項証明書に相当する内容が記載されているが、住所の記載や記載事項を証明する旨の記載のない政府作成の書面等」が該当すると解説されている(月報司法書士・第626号 日本司法書士会連合会理事齋藤毅「相続登記の実務−近年の改正を中心に」31頁)。
・【第2‐2】やむを得ない事情により設立準拠法国の公証人作成書面を取得することができないの救済措置 一定の要件を満たせば、登記名義人となる者の代表者等の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面又は日本の公証人の作成に係る住所を証明する書面等でも良いものとされた。この場合、「登記名義人となる者の設立準拠法国政府の作成に係る書面等の写し等」であって、通達第2‐1(2)アイウの要件を満たすもの、上申書が必要となる。

[不動産登記レアケース14] 不備がある遺産分割調停調書を使用した相続登記

今回は、不備がある遺産分割調停調書を使用した相続登記についてご紹介します。

前提

  • 既に法定相続分で相続登記がされている
  • 遺産分割調停調書には、具体的な登記手続きについて書かれていない。(いわゆる登記手続条項の記載がない)
  • 相続人間でガチでもめているので共同申請は現実的ではない。

弁護士さんが介入した遺産分割調停の案件です。

相続人全員であるABC名義で法定相続登記がされている不動産(甲とします)について、遺産分割調停でAが単独で取得するという内容で調停が成立しました。

登記申請の局面になりましたが遺産分割調停調書には「甲不動産をAは単独で取得する」という記載しかありません。

→このままではBCを登記義務者、Aを登記権利者とするBC持分全部移転登記は申請できません。そこで担当された弁護士さん経由で裁判所にお願いをして更正決定を出してもらいました。はたして裁判所が更正決定で対応してくれるかドキドキでしたが、事前に裁判所の担当書記官の方にこのままでは登記申請ができないため、対応してもらいたい旨を説明しておきました。

無事に、こんな内容の更正決定を出してもらいました。

「年月日遺産分割を原因とするBC持分全部移転登記手続きをする」

念のため、更正決定の確定証明書も添付しましたが

何事もなく登記完了に至りました。

[不動産登記レアケース13] 数次相続と代襲相続が繰り返されている

不動産登記

相続登記義務化に伴い、過去の手つかずの相続が掘り起こされる中で増えてくるかと思います。
相続登記をしないままに次々と相続が発生する。代襲相続と数次相続の連続。
このようなケースに遭遇される方もいるのではないでしょうか。

今回ご紹介するケースがご参考になれば幸いです。

登場人物

被相続人Aは昭和48年に他界された後、被相続人Aの配偶者がB、子がD。Dの配偶者はC、子がEとF、Cには養子Gがいます。GはDとは縁組をしていません。FGは夫婦です。FGには、子HとIがいます。

ご依頼者様の要望は、A名義の不動産をG名義にしたい。

相続関係

Aは、昭和48年に他界
Bは、昭和63年に他界
Dは、昭和54年に他界
Fは、平成27年に他界
Cは、令和5年に他界

各相続での相続人

それぞれの相続を整理すると、
被相続人Aの相続人 BとD
被相続人Bの相続人 EとF
被相続人Dの相続人 CとEとF
被相続人Fの相続人 GとHとI
被相続人Cの相続人 EとGとHとI
この5つの相続に分けられます。

問題点

厳密に、登記手続きを行うとすると
Aにつき、亡B亡Dへの相続登記
亡Bにつき、E亡Fへの相続登記
亡Dにつき、亡CE亡Fへの相続登記、、、、。
このように続けていく形かと思います。
これはあまりにご依頼者様への負担が大きく現実的ではないと考えました。

解決

そこで相続人全員の方から聞き取りさせて頂いた結果、
それぞれの相続に関して、生前に遺産分割協議があったことが判明しました。

その結果、遺産分割証明書を作成して、過去に遺産分割協議は成立していたが
相続登記に至ることなく、現在に至ってしまったという事実を証明する書類を作成しました。

具体的には
被相続人Aが他界した時、Dが単独で相続する旨の協議が成立していた。
またDが他界した時、Cが単独で相続する旨の協議が成立していた。
Cが他界した時、Gが単独で相続する旨の協議が成立していた。

こういう内容の遺産分割証明書を作成し、現在生存しているEGHIに署名捺印を頂きました。

遺産分割証明書も公開しておりますので、ご参考にして下さい。