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商業登記、法人登記で役員の氏名変更や住所変更は必要か/取締役が死亡した場合、死亡を証する書面上の住所と登記簿上の住所が相違/商号に使える文字/
レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、そんなWEBが欲しくて立ち上げました。あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、法務局へ照会されることを前提としております。誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?というご質問や却下になったじゃないか!という苦情には対応しておりません。皆様の業務が円滑に進むことを願います。
代表司法書士 時任裕
商業登記、法人登記の場面で、前提としての名変(役員の氏名変更や住所変更)は必要か?
※従前の取り扱いについては、名変 (名更)に関する先例等は見当たらず、(登記研究)の
質疑応答によると、【株式会社】 代表取締役の再任に際して、登記簿上の 「住所」と議事 録記載のそれとが相違していても、 “同一人であることを証する書面”の添付すら要せず (登研254・73、25169、329・67、375・82) 【有限会社】の場合も同様に、その差異が 軽微で同一人と認められる限り、変更・更正を証する書面の添付も不要 (登研25269、 33974、34778) で、 再任の登記申請を受理して差し支えないとしていた。
※重任の登記の前提として取締役の住所の変更(または更正) の登記がなされなくとも、実
体に符合する住所で取締役の重任の登記がなされるのであるから、 公示上はこれをもって足りるとする考えによるものと解せられ、 仮に住所変更の登記をするとしても、住所の変更・更正を証する書面の添付を要しないのであるから、 前提の登記を省略する場合でも、 これらの添付を必要とする規定上の根拠・理由がないと考えられる。
「改正商業登記規則の施行による事務取扱いについて」
〈民事局第四課 平野・吉田 両課長補佐/昭48年 (登研第306号抜粋)〉
ただし、このような先例もあるので注意!
※株式会社の役員が重任した場合において、当該役員の登記してある氏名が新たに登記すべ き氏名と相違しているときは、議事録その他の書類により同一人であることが明らかでも、
重任の登記の前提として、氏名の変更または更正の登記をしなければならないと、 当該質疑応答により従来の取扱いを変更した。
(登研390・94 / 昭和55年6月)
※株式会社の役員が重任した場合において、当該役員の登記をしてある氏名が新たに登記す べき氏名と相違している場合に、議事録その他の書類により同一人であることが明らかで あり、かつ、登記用紙と同一の用紙に登記すべき事項を記載する場合 [全員改選時] に限り、氏名の変更または更正の登記をしないまま、 直接改名後の氏名で重任の登記をすることができる。
(実務)議事録にその旨を記載している例が多い。
[有限会社の場合の取扱い]
(登研409・86)
※株式会社の役員全員の変更で役員欄の用紙と同一の用紙に登記すべき事項を記載する場合 に限り、住所等の変更または更正の登記を省略することができるとする質疑応答が前述の
とおりなされた (登研40986) 、 有限会社については監査役がないことが多く、 その 場合には、取締役の全員について変更されることが一般的であるが、 この場合にも改正前 の商登法規則第80条第2項の「取締役および監査役の全員につき変更の登記を申請する場 合」に該当するとして、 従来から役員欄の用紙と同一の用紙を用いて申請されており、この取扱いに変更はないとしている。
(民事月報/平成6年3月号 「平成5年商法等の改正に伴う商業登記事務の取扱いについて:17頁」)
※代表取締役の住所変更等も同様の取扱いで差し支えない。
一方で役員の死亡の場合、前提として変更登記が必要なようです。
※登記簿に住所の登記のある役員の死亡による変更登記の申請に当たり、死亡を証する書面
と登記上の住所または氏名の記載が異なる場合には、表示変更または更正の登記をしない
限り、当該申請は受理されない。
(登研412・167)
※有限会社の取締役が死亡した場合に、死亡を証する書面上の住所と登記簿上の住所が相違
するときは、上記同様、 まず、当該取締役の表示の変更 (更正) の登記をすることを前提
としない限り、住所の移転を証する書面を添付しても本件変更登記は受理されない。
(登研427・106)
※株式会社(有限会社)の取締役、監査役の氏名の更正または代表取締役(取締役・監査役)
の住所・氏名の更正等の表示の (更正) の登記の登録免許税は、 金2万円である。
(登研365・79、415・121)
※更正を証する書面の添付は不要である。
(商登法第107条ただし書)〈現行:第132条第2項ただし書〉
※有限会社を株式会社に組織変更し、有限会社の取締役が株式会社の代表取締役に就任した
場合に、有限会社の取締役の住所が変更していたときは、 その変更後の住所により直接代
表取締役就任の登記ができる。
(登研421・109)
※商業登記簿の本店の所在として 『A市B町1番地 Cビル』 と登記している会社が、この
うち「Cビル」 だけを削除する変更登記を完了した後に、 当該変更登記前に取得した不動
産(当然「Cビル」の記載有り)を売却し、その所有権移転登記をする際には、その本店
の表示の変更による登記名義人の表示変更登記をする必要はない。
(登研453125)
※有限会社の社員総会議事録を添付しなければならない不動産登記申請において、議事録に
添付する取締役の印鑑証明書の住所と商業登記簿のそれとが相違する場合には、当該議事
録に変更(更正)を証する書面を添付するれば足りる。
(登研531・121)
※日本電信電話株式会社の再編成に伴い、 本店移転に伴う所有権登記名義人表示変更登記と
各承継会社への所有権移転登記は、同時申請により行うことを要する。
[会社(法人)登記と住居表示実施 ]
(平11・8・23民三1740依命通知)(登研626・177)
※住居表示実施地区に支店を移転した場合において、 住居番号の付定を受けずに建物の所在地番を支店所在地としてその移転登記を行ったときは、その後住居番号の付定を受けても、 それは住居表示に関する法律第4条の変更に該当せず、これによる変更登記について、登 録免許税法第5条第4号の規定の適用はない。
(昭45・3・4民甲930回答)
※株式会社の本店を移転した後または代表取締役が住所を移転した後、その登記前に移転後 の本店所在地または住所につき住居表示が実施された場合には、その本店所在地または住所の変更の登記申請は非課税とはならない。(中間省略登記は認められない)
(昭39.4.21民甲1590回答)
※本店において住居表示実施による変更登記をなし、 その抄本を添付して支店において住居表示実施による変更登記をする場合には、この抄本をもって非課税証明書に代えることが できる。 (昭37・9・11民甲2609通達)
※株式会社の代表取締役の住所について住居表示の実施があったが、 その事実を看過ごして 旧住所のまま重任の登記がなされた後その住所を住居表示実施後の住所に更正する場合には、登録免許税法第5条第4号の適用はない。
(昭42・11・16民甲3434通達)
※市区町村長の誤った証明書に基づいて住居表示の実施による株式会社の本店の変更登記を した後、改めて当該市区町村長の証明書を添付して、 その登記の更正の申請があったとき は、登録免許税を免除して差し支えない。
(昭40・9・24民四294回答)
商号に使える文字についてまとめています。
※商業登記において、 商号中に外国語を片仮名で表示する場合だけではなく、 漢字や平仮名
を用いる場合であっても、誤読を防止するため、 商号中に「なかてん (・)」 を用いて差
し支えない。
(昭54・2・9民四837回答) (登研655・175)
※平仮名で表記した商号に長音符号 「一(オンビキ)」 を用いることについて、 これを認め
ても差し支えない。
(登研658・203)
※商業登記規則等の一部を改正する省令(平成14年法務省令第47号。以下「改正省令」という)
及び商業登記規則第51条の2第1項 〈現行: 第50条〉の規定に基づき商号の登記に用いる
ことのできる符号に関する件(平成14年法務省告示第315号。以下「告示」という)の施
行に伴う登記事務の取扱いについては以下のとおり。
1 商号の登記に、 (1) ローマ字(大文字及び小文字)、 (2) アラビア数字、 (3) 「&」 (アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」 (コンマ)、「-」 (ハイフン)、 「.」(ピリオド)、及び「・」 (中点) を用いることができる。
→(3)の符号は、字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限り用
いることができる。 したがって、会社の種類を表す部分を除いた商号の先頭又は末尾
に使用することはできない。
→ピリオドについては、省略を表すものとして会社の種類を表す部分を除いた商号の末
尾にも用いることができる。
なお、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、単語間の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできる。
数字だけの商号を登記することも可能。
「株式会社」を「k.k.」「company incorporated」「Co.,Inc.」「Co.,Ltd.」等に変えることはできない。株式会社や合同会社などの種類を表す文字は使用が義務付けられている。
2改正省令の施行前から定款上の商号にローマ字その他の符号を用いている場合には、登
記の更正の手続(商業登記法(昭和38年法律第125号) 第107条 〈現行: 第132条〉)に準
じて、当事者の申請により登記上の商号を訂正することができる
→この場合の更正の申請書には、 定款 (同条第2項本文 〈現行:第132条第2項本文〉)
及び代理人により申請をする場合にはその権限を証する書面(同法第18条)を添付し
なければならない。
3会社を除くその他の法人等の名称の登記に関する取扱いについても、 1、2の取扱いと
同様とする。(法人登記規則(昭和39年法務省令第46号)第9条 〈現行: 第7条〉、特定
目的会社登記規則 (平成10年法務省令第37号) 第4条 (現行: 第3条〉、 中小企業等投
資事業有限責任組合契約登記規則(平成10年法務省令第47号) 第9条、 投資法人登記規
則(平成10年法務省令第51号)第4条(現行:第3条〉
(登研656・241)
会社(法人)本店と行政区画等の変更についてまとめています。
原則として、登記官が職権で変更の登記をする。
(商登法第26条、 同規則第42条、 同準則第69条)
〈準則につき現行: 商業登記等事務取扱手続準則第56条〉
※行政区画等の変更で本店所在の表示が変更された会社(法人)
登記官に対して、これらの記載の変更を促す申出をすることができる。
(昭39926民四308回答)
この申出による登記の記載は、職権に準ずる。
支店所在地および代表取締役等の住所の場合にも適用される。
登記記載例です。
A. 行政区画変更またはそれらの名称変更の場合
申請のとき「年月日町名変更」「年月日登記」
・職権のとき「年月日変更」「年月日修正」
Bこれらの変更に伴い地番号の変更もある場合
「年月日町名地番号変更」「年月日登記」
必ず、その変更の登記をしなければならない。
(昭4・9・18民8379回答)
C 土地改良事業または土地区画整理事業の施行に伴う地番号の変更の場合
「年月日土地改良(または区画整理)による地番号変更」「年月日登記」
(以上、昭42・10・17民甲2676通達)
(民四5661依命通知、平6・11・30民三8198通達)
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