[不動産登記レアケース15] 外国人が日本の不動産を売却(購入)する場合

1853年「黒船が来た!」から時は流れ、外国人の方が日本国の不動産を売買する場面も増えてきました。安全保障上の議論は別として、我々司法書士が外国人の不動産売買登記に当たり、様々な問題に直面することも珍しくありません。外国人が売る場合、買う場合、または海外居住日本人が売る場合、買う場合についてまとめています。ここでご紹介するのは私見もあり、皆様におかれましては事前に法務局へ照会をされることを前提としております。

A日本に居住している外国人が売主の場合

中長期在留者、特別永住者は住民登録がなされている市町村において印鑑登録することができ、当該印鑑に係る印鑑証明書の交付を受けることができる。この印鑑証明書をもって登記義務者の印鑑証明書として用いることができる。

外国人が印鑑証明書を添付した場合、別途、署名証明書の添付は不要。印鑑を使用している外国人が、申請書又は委任状等に署名捺印の上、日本における居住地市町村発行の印鑑証明書を添付して登記の申請があった場合、署名証明書の提出がなくても受理するのが相当である。(昭和35・4・2民甲787号民事局長回答)

B海外に居住している外国人又は外国企業が売主の場合

問題になるのは印鑑証明書の代替措置(印鑑登録制度がある国は、ほぼない)

先例(前提)
(ア)外国人が登記義務者として登記を申請する場合には印鑑証明書に代えて, 申請書又は 委任状の署名が本人のものであることの本邦の所属国大使館等の発行した証明書を提出 して差し支えない。(昭和59年8月6日民三3992号民事局第三課長依命通知)
(イ)所有権移転登記の義務者が外国人の場合,印鑑証明書に代えて委任状の署名が本人の 者である旨の外国の官憲 (在日公館, 本国の官公署等)の署名証明書を提出させるのが 相当である。(昭和34年11月24日民事甲2542号民事局長回答 )

B(a) 海外居住売主が来日する場合

海外居住の外国人売主が来日していれば、当該外国の在日大使館(売主母国を管轄する日本にある大使館)は、日本国内で使用する目的であればサイン証明書を発行に応じてくれる。 事前に登記委任状を作成して外国人売主に渡し、 外国人売主はこれを当該国在日大使館で認証を受け印鑑証明書の代替とすることができる。

売主が外国企業の場合、事前に登記委任の内容と法人の資格証明書の内容を一体として宣誓供述書の形式で作成しておき、そのひな形を予め当該会社代表者に渡しておき,当該代表者が会社準拠法国の在日大使館で認証してもらうことにより,会社資格証明書, 会社代表者印鑑証明書,登記委任状全てがこの宣誓供述書でまかなうことができる。

B(b) 海外居住売主が来日しない場合

外国人売主が売却の際に来日しない場合、事前に宣誓供述書素案を作成してEメールで委任状等を送り、 現地の公証人の面前で署名を認証してもらったものを返送してもらう。通常、売買日付を空白にして認証してもらうのが登記実務上一般的だと思われるが、事前に必ず管轄法務局へ確認して下さい。

B(c) 海外居住売主が外国法人の場合

外国法人が設立されている国の公証人の面前で当該会社代表者が1当該会社内容2自分に代表権があること3登記申請を司法書士に委任することを宣誓供述してその認証を受けることによって、資格証明書と印鑑証明書, 代理権限証書並びに登記申請委任状を兼ねることができる。

代表者の国籍が当該法人準拠法国以外の国籍である場合に、例えば、 ケイマン(イギリス領)を準拠法とする会社の代表者がアメリカに居住するイギリス人(イギリス国籍)であった場合の宣誓供述書は?

上記123を盛り込んだ宣誓供述書を作成し、ケイマンの公証人の認証があれば当該国(イギリス)の権限ある官公庁又は官憲の認証があるということで適格性を有する。

一方代表者のイギリス人がケイマンまで行けない場合には?

アメリカ在住の代表者たるイギリス人は、上記123を盛り込んだ宣誓供述書をイギリス国公証人又はソリシターの面前で認証すれば,これを会社代表者の印鑑証明書を代替するものとして適格性を有する(ただソリシターが認証権限を持っているのかどうかは諸説あるため、管轄法務局へご確認ください。)

代表者たるイギリス人が、アメリカ国内の公証人 (ノータリーパブリック) の面前で認証したときに、代表者としての印鑑証明書の代替として適格性があるか?
→法務局により適格性ありというケースと適格性がありと判断されたケースがある模様。 日本人がアメリカで印鑑証明書の代替としての宣誓供述書についてアメリカの公証人の面前で認証した場合には認める旨の先例があるが, 外国人が当該国以外の公証人の認証は原則的に否定的なようである。その理由として当該国の官公庁又は官憲の証明又は認証を要求しているため。

「 参考先例」
外国人が、本国の法制上の理由等のやむを得ない事情から、署名証明書を取得できない場合は、その旨の登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及び当該署名が本人のものであることの日本の公証人又は当該外国人が現に居住している国の官憲の作成した証明書の添付をもって、市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。

なお署名が本人のものであることの証明書を日本における領事若しくは日本における権限がある官憲が発行していないため当該証明書を取得することができない場合又は日本に当該外国人の本国官憲がない場合には、日本以外の国における本国官憲において当該証明書を取得することが可能であっても、やむを得ない事情があるものとして取り扱ってよい。(平成28年6月28日付け法務省民商第100号民事局長通達 改正平成29年2月10日法務省民商第15号 抜粋)

外国在住の日本人が登記義務者として登記を申請する場合の委任状については,本人の署名であり、かつ自己の面前で宣誓した旨の現地公証人の証明があれば,領事その他日本の出先機関の証明がなくても、受理してよい。( 昭和33年8月27日民事甲1738号民事局長通達)

外国人が印鑑証明書を添付できないときは、印鑑証明書に代えて、申請書又は委任状の署名が本人のものであることを証する、当該外国官公署の署名証明書又は当該外国の公証人による署名証明書を添付する。なお、印鑑証明書と違い、署名証明書には作成後3か月以内の有効期限の制限は受けない。

「帰化した元日本人の場合」
元日本人である外国人が登記義務者として登記を申請する場合において本人の自署であることについて所属国駐在の日本大使館又は領事館において証明した場合は、その証明書を印鑑証明書に代えることができる。

「参考実例(ドイツ在住の日本人が売主)」
ドイツ在住の日本人が売主→在ドイツの日本領事館にて、委任事項を詳細に記載した委任状にサイン証明書をもらう。
・委任事項中の売買日付は空欄でOK
・委任状の委任日が、売買日より前でもOK
・委任者の住所は当然ドイツ語になるため訳文をつける

「参考実例(中国人と未成年者)」
前提 
:売買による所有権移転登記を申請する
:所有者は、未成年者(日本国籍)、親権者は中国籍の母親、父親は日本人で他界している
:所有者も親権者も中国在住

所有者 日本名 畑野禎芳(仮称):中国名 王禎芳(仮称)

所有者も親権者も中国在住であるため、親権を証する書面を公証書で作成を依頼したところ、公証書では家族関係書類(戸口簿)の記載に基づく為、日本名の「畑野禎芳(仮称)」の記載が出来ず、中国名の「王禎芳(仮称)」の記載しか出来ないとのこと。理由は、出生証明書には日本人である父親の氏名の記載はあるが、戸口簿に日本名である「畑野禎芳(仮称)」の氏名を登録しなかったためとのことでした。法務局との調整の結果、中国名の「王禎芳」での公証書と畑野禎芳の日本の戸籍(母として中国籍の母親の氏名の記載有)の二つで親権を証する書面として添付しました。もちろん翻訳文もです。

「翻訳文」
外国語で書かれた添付書類がある場合、訳文を添付する。誰が訳しても差し支えなく、翻訳者が訳文に「相違ない」旨を記載して署名押印するか登記権利者・登記義務者が訳文に相違ない旨を記載して署名押印すればよい。翻訳者の印鑑証明書は必要ない。当然、申請代理人でもさしつかえない。(昭和33.8.27民事甲第1738)(昭和40.6.18民事甲第1096号)

買主(登記権利者)は登記申請の添付書類として市町村等の作成に係る住所を証する情報(住所証明情報)を提供する必要がある。

①日本に住所を有する外国人の場合
長期在留者、特別永住者は住民登録がなされている市町村において、外国人住民票の発行を受けることができ、当該書面が住所を証する情報になる。

②日本に住所を有しない外国人の場合
当該所属国の公証人、在日領事館の認証がある住所に関する宣誓供述書

・韓国籍の場合
韓国住民登録証明書が住所証明情報になる。

・台湾籍の場合
戸政事務所(公的機関)発行の戸籍謄本が住所証明情報になる。

ア 事前通知 (不登法23条1項)
申請人が外国に居住しているときは、その外国の住所に宛てて発送することになる。本人が航空郵便の郵送料を納付した場合に限り、航空郵便による (昭和35年6月2日民事甲1369号民事局長通達)。 法人が申請人である場合、 法人の主たる事務所に宛てて送付すること を原則とするが,申請人から法人の代表者の個人の住所宛に送付されたい旨の申し出があったときは、代表者個人の住所に宛てて送付すること になる(現準則43条2項)。

イ 海外など遠隔地居住者が登記義務者である場合
管理処分等一切の権限を授権された者が存し, かつその授権が公正証書等によって明らかにされており,その者からの申出があるときは, 保証通知を当該代理人に対して発して差し支えないとしている (昭和35年 6月16日民事甲1411号民事局長通達)。

[不動産登記レアケース14] 不備がある遺産分割調停調書を使用した相続登記

今回は、不備がある遺産分割調停調書を使用した相続登記についてご紹介します。

前提

  • 既に法定相続分で相続登記がされている
  • 遺産分割調停調書には、具体的な登記手続きについて書かれていない。(いわゆる登記手続条項の記載がない)
  • 相続人間でガチでもめているので共同申請は現実的ではない。

弁護士さんが介入した遺産分割調停の案件です。

相続人全員であるABC名義で法定相続登記がされている不動産(甲とします)について、遺産分割調停でAが単独で取得するという内容で調停が成立しました。

登記申請の局面になりましたが遺産分割調停調書には「甲不動産をAは単独で取得する」という記載しかありません。

→このままではBCを登記義務者、Aを登記権利者とするBC持分全部移転登記は申請できません。そこで担当された弁護士さん経由で裁判所にお願いをして更正決定を出してもらいました。はたして裁判所が更正決定で対応してくれるかドキドキでしたが、事前に裁判所の担当書記官の方にこのままでは登記申請ができないため、対応してもらいたい旨を説明しておきました。

無事に、こんな内容の更正決定を出してもらいました。

「年月日遺産分割を原因とするBC持分全部移転登記手続きをする」

念のため、更正決定の確定証明書も添付しましたが

何事もなく登記完了に至りました。

[不動産登記レアケース13] 数次相続と代襲相続が繰り返されている

不動産登記

相続登記義務化に伴い、過去の手つかずの相続が掘り起こされる中で増えてくるかと思います。
相続登記をしないままに次々と相続が発生する。代襲相続と数次相続の連続。
このようなケースに遭遇される方もいるのではないでしょうか。

今回ご紹介するケースがご参考になれば幸いです。

登場人物

被相続人Aは昭和48年に他界された後、被相続人Aの配偶者がB、子がD。Dの配偶者はC、子がEとF、Cには養子Gがいます。GはDとは縁組をしていません。FGは夫婦です。FGには、子HとIがいます。

ご依頼者様の要望は、A名義の不動産をG名義にしたい。

相続関係

Aは、昭和48年に他界
Bは、昭和63年に他界
Dは、昭和54年に他界
Fは、平成27年に他界
Cは、令和5年に他界

各相続での相続人

それぞれの相続を整理すると、
被相続人Aの相続人 BとD
被相続人Bの相続人 EとF
被相続人Dの相続人 CとEとF
被相続人Fの相続人 GとHとI
被相続人Cの相続人 EとGとHとI
この5つの相続に分けられます。

問題点

厳密に、登記手続きを行うとすると
Aにつき、亡B亡Dへの相続登記
亡Bにつき、E亡Fへの相続登記
亡Dにつき、亡CE亡Fへの相続登記、、、、。
このように続けていく形かと思います。
これはあまりにご依頼者様への負担が大きく現実的ではないと考えました。

解決

そこで相続人全員の方から聞き取りさせて頂いた結果、
それぞれの相続に関して、生前に遺産分割協議があったことが判明しました。

その結果、遺産分割証明書を作成して、過去に遺産分割協議は成立していたが
相続登記に至ることなく、現在に至ってしまったという事実を証明する書類を作成しました。

具体的には
被相続人Aが他界した時、Dが単独で相続する旨の協議が成立していた。
またDが他界した時、Cが単独で相続する旨の協議が成立していた。
Cが他界した時、Gが単独で相続する旨の協議が成立していた。

こういう内容の遺産分割証明書を作成し、現在生存しているEGHIに署名捺印を頂きました。

遺産分割証明書も公開しておりますので、ご参考にして下さい。

[不動産登記レアケース12] 表示登記と名変

こんな内容を掲載しています
不動産の表示に関する登記と住所変更・/土地・建物の表示変更の登記/建物滅失/地目変更/相続

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、そんなWEBが欲しくて立ち上げました。あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、法務局へ照会されることを前提としております。誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?というご質問や却下になったじゃないか!という苦情には対応しておりません。皆様の業務が円滑に進むことを願います。

代表司法書士 時任裕

土地家屋調査士さんの分野になりますが知っておいて損はないと思います。ご参考までに。

※土地・建物の表示変更の登記は、その所有者に不動産登記法による申請義務が課せられて
おり、所有者の表示が登記簿上のそれと符合しない場合でも、原則として所有者の表示の
変更(更正)証明書を添付すれば、前提としての登記名義人の表示変更 (更正) 登記をす
ることなく、土地・建物の表示変更の登記申請をすることができる。

※地目変更の登記を申請するに当たって、 申請者の住所が登記簿上のそれと異なる場合でも、
申請者は名義人の表示変更または更正の登記をすることなく、変更(更正)を証する書面
を添付して地目変更の登記をすることができる。
(302 71, 394 253)

※建物滅失(または土地滅失)の登記を申請する場合に、所有者の住所が変更して登記簿と
符合しないときでも、その変更または更正を証する書面を添付すれば、直接、滅失の登記
ができる。
(登研13・28)

※表題部に記載された所有者または所有権の登記名義人から “住所の変更を証する書面”を
添付して、(名変) 登記を省略して直接分筆の登記の申請があった場合、 便宜、受理して
差し支えない。
(登研581・146)
◎従来は登記必要説(登研429124) が有力であったが、 後掲示する最近の論説等は、かな
り“名変更登記省略肯定” の傾向にあり、しかも、上記質疑応答がその直後に発表され
たことからしても、当局の実務取扱は当該質疑応答のとおり変更されたものと判断して差
し支えないと思う。
民事法務 「登記のページ」 平成3年11月号
登記研究「カウンター相談」 平成7年10月号
登記研究「実務座談会 (1)」 平成8年1月号
【実務取扱】
変更を証する書面を添付すれば、 新住所を記載した委任状を以って直接、分筆の登記の申
請をすることができる。
ただし、分筆した土地への転写事項としては、あくまでも分筆される土地=元番に記載さ
れている住所【旧住所】が転写される。
名義人の表示変更 (更正) の登記と土地分筆の登記とを併せて申請する場合には、名義人
の表示変更(更正) 登記を先にすべきである。

※不動産の合併合筆の登記を申請する場合に、当該登記名義人の表示が住所移転等により
変更しているときは、 前提として、 登記名義人の表示変更の登記をすべきである。
(登研364・79、380・80)

※被相続人名義の土地で、登記簿上の住所の表示がそれぞれ異なる土地の 『合筆』 の登記申 請をする場合には、その前提として、 相続人全員からの被相続人の表示変更 (更正) 登記
を省略できない。
(登研423・127)

※土地の合筆の登記申請を行う際に添付する(印鑑証明書)の住所が、合筆する土地の所有
権の登記名義人の住所と異なる場合
【事例】: H市からW市へ平成3年4月10日住所移転による登記名義人の表示変更の登記を 完了している甲氏所有のA及びBの土地について合筆の登記申請がなされたとき
H市の住所が記載されているH市発給の印鑑証明書(発行年月日/平成3年4月1日) ・H市からW市への住所の変更を証する書面が一緒に添付書類として添付されれば、 受理して差し支えない。
(登研523・137)

[不動産登記レアケース11] 商業登記と名変

こんな内容を掲載しています
商業登記、法人登記で役員の氏名変更や住所変更は必要か/取締役が死亡した場合、死亡を証する書面上の住所と登記簿上の住所が相違/商号に使える文字/

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば大体の知識は得られる、そんなWEBが欲しくて立ち上げました。あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、法務局へ照会されることを前提としております。誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?というご質問や却下になったじゃないか!という苦情には対応しておりません。皆様の業務が円滑に進むことを願います。

代表司法書士 時任裕

商業登記、法人登記の場面で、前提としての名変(役員の氏名変更や住所変更)は必要か?
※従前の取り扱いについては、名変 (名更)に関する先例等は見当たらず、(登記研究)の
質疑応答によると、【株式会社】 代表取締役の再任に際して、登記簿上の 「住所」と議事 録記載のそれとが相違していても、 “同一人であることを証する書面”の添付すら要せず (登研254・73、25169、329・67、375・82) 【有限会社】の場合も同様に、その差異が 軽微で同一人と認められる限り、変更・更正を証する書面の添付も不要 (登研25269、 33974、34778) で、 再任の登記申請を受理して差し支えないとしていた。

※重任の登記の前提として取締役の住所の変更(または更正) の登記がなされなくとも、実
体に符合する住所で取締役の重任の登記がなされるのであるから、 公示上はこれをもって足りるとする考えによるものと解せられ、 仮に住所変更の登記をするとしても、住所の変更・更正を証する書面の添付を要しないのであるから、 前提の登記を省略する場合でも、 これらの添付を必要とする規定上の根拠・理由がないと考えられる。
「改正商業登記規則の施行による事務取扱いについて」
〈民事局第四課 平野・吉田 両課長補佐/昭48年 (登研第306号抜粋)〉

ただし、このような先例もあるので注意!
※株式会社の役員が重任した場合において、当該役員の登記してある氏名が新たに登記すべ き氏名と相違しているときは、議事録その他の書類により同一人であることが明らかでも、
重任の登記の前提として、氏名の変更または更正の登記をしなければならないと、 当該質疑応答により従来の取扱いを変更した。
(登研390・94 / 昭和55年6月)

※株式会社の役員が重任した場合において、当該役員の登記をしてある氏名が新たに登記す べき氏名と相違している場合に、議事録その他の書類により同一人であることが明らかで あり、かつ、登記用紙と同一の用紙に登記すべき事項を記載する場合 [全員改選時] に限り、氏名の変更または更正の登記をしないまま、 直接改名後の氏名で重任の登記をすることができる。
(実務)議事録にその旨を記載している例が多い。
[有限会社の場合の取扱い]
(登研409・86)

※株式会社の役員全員の変更で役員欄の用紙と同一の用紙に登記すべき事項を記載する場合 に限り、住所等の変更または更正の登記を省略することができるとする質疑応答が前述の
とおりなされた (登研40986) 、 有限会社については監査役がないことが多く、 その 場合には、取締役の全員について変更されることが一般的であるが、 この場合にも改正前 の商登法規則第80条第2項の「取締役および監査役の全員につき変更の登記を申請する場 合」に該当するとして、 従来から役員欄の用紙と同一の用紙を用いて申請されており、この取扱いに変更はないとしている。
(民事月報/平成6年3月号 「平成5年商法等の改正に伴う商業登記事務の取扱いについて:17頁」)

※代表取締役の住所変更等も同様の取扱いで差し支えない。

一方で役員の死亡の場合、前提として変更登記が必要なようです。
※登記簿に住所の登記のある役員の死亡による変更登記の申請に当たり、死亡を証する書面
と登記上の住所または氏名の記載が異なる場合には、表示変更または更正の登記をしない
限り、当該申請は受理されない。
(登研412・167)

※有限会社の取締役が死亡した場合に、死亡を証する書面上の住所と登記簿上の住所が相違
するときは、上記同様、 まず、当該取締役の表示の変更 (更正) の登記をすることを前提
としない限り、住所の移転を証する書面を添付しても本件変更登記は受理されない。
(登研427・106)

※株式会社(有限会社)の取締役、監査役の氏名の更正または代表取締役(取締役・監査役)
の住所・氏名の更正等の表示の (更正) の登記の登録免許税は、 金2万円である。
(登研365・79、415・121)
※更正を証する書面の添付は不要である。
(商登法第107条ただし書)〈現行:第132条第2項ただし書〉

※有限会社を株式会社に組織変更し、有限会社の取締役が株式会社の代表取締役に就任した
場合に、有限会社の取締役の住所が変更していたときは、 その変更後の住所により直接代
表取締役就任の登記ができる。
(登研421・109)

※商業登記簿の本店の所在として 『A市B町1番地 Cビル』 と登記している会社が、この
うち「Cビル」 だけを削除する変更登記を完了した後に、 当該変更登記前に取得した不動
産(当然「Cビル」の記載有り)を売却し、その所有権移転登記をする際には、その本店
の表示の変更による登記名義人の表示変更登記をする必要はない。
(登研453125)

※有限会社の社員総会議事録を添付しなければならない不動産登記申請において、議事録に
添付する取締役の印鑑証明書の住所と商業登記簿のそれとが相違する場合には、当該議事
録に変更(更正)を証する書面を添付するれば足りる。
(登研531・121)

※日本電信電話株式会社の再編成に伴い、 本店移転に伴う所有権登記名義人表示変更登記と
各承継会社への所有権移転登記は、同時申請により行うことを要する。
[会社(法人)登記と住居表示実施 ]
(平11・8・23民三1740依命通知)(登研626・177)

※住居表示実施地区に支店を移転した場合において、 住居番号の付定を受けずに建物の所在地番を支店所在地としてその移転登記を行ったときは、その後住居番号の付定を受けても、 それは住居表示に関する法律第4条の変更に該当せず、これによる変更登記について、登 録免許税法第5条第4号の規定の適用はない。
(昭45・3・4民甲930回答)
※株式会社の本店を移転した後または代表取締役が住所を移転した後、その登記前に移転後 の本店所在地または住所につき住居表示が実施された場合には、その本店所在地または住所の変更の登記申請は非課税とはならない。(中間省略登記は認められない)
(昭39.4.21民甲1590回答)

※本店において住居表示実施による変更登記をなし、 その抄本を添付して支店において住居表示実施による変更登記をする場合には、この抄本をもって非課税証明書に代えることが できる。 (昭37・9・11民甲2609通達)

※株式会社の代表取締役の住所について住居表示の実施があったが、 その事実を看過ごして 旧住所のまま重任の登記がなされた後その住所を住居表示実施後の住所に更正する場合には、登録免許税法第5条第4号の適用はない。
(昭42・11・16民甲3434通達)

※市区町村長の誤った証明書に基づいて住居表示の実施による株式会社の本店の変更登記を した後、改めて当該市区町村長の証明書を添付して、 その登記の更正の申請があったとき は、登録免許税を免除して差し支えない。
(昭40・9・24民四294回答)

商号に使える文字についてまとめています。
※商業登記において、 商号中に外国語を片仮名で表示する場合だけではなく、 漢字や平仮名
を用いる場合であっても、誤読を防止するため、 商号中に「なかてん (・)」 を用いて差
し支えない。
(昭54・2・9民四837回答) (登研655・175)

※平仮名で表記した商号に長音符号 「一(オンビキ)」 を用いることについて、 これを認め
ても差し支えない。
(登研658・203)

※商業登記規則等の一部を改正する省令(平成14年法務省令第47号。以下「改正省令」という)
及び商業登記規則第51条の2第1項 〈現行: 第50条〉の規定に基づき商号の登記に用いる
ことのできる符号に関する件(平成14年法務省告示第315号。以下「告示」という)の施
行に伴う登記事務の取扱いについては以下のとおり。

1 商号の登記に、 (1) ローマ字(大文字及び小文字)、 (2) アラビア数字、 (3) 「&」 (アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」 (コンマ)、「-」 (ハイフン)、 「.」(ピリオド)、及び「・」 (中点) を用いることができる。
→(3)の符号は、字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限り用
いることができる。 したがって、会社の種類を表す部分を除いた商号の先頭又は末尾
に使用することはできない。
→ピリオドについては、省略を表すものとして会社の種類を表す部分を除いた商号の末
尾にも用いることができる。
なお、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、単語間の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできる。
数字だけの商号を登記することも可能。
「株式会社」を「k.k.」「company incorporated」「Co.,Inc.」「Co.,Ltd.」等に変えることはできない。株式会社や合同会社などの種類を表す文字は使用が義務付けられている。

2改正省令の施行前から定款上の商号にローマ字その他の符号を用いている場合には、登
記の更正の手続(商業登記法(昭和38年法律第125号) 第107条 〈現行: 第132条〉)に準
じて、当事者の申請により登記上の商号を訂正することができる
→この場合の更正の申請書には、 定款 (同条第2項本文 〈現行:第132条第2項本文〉)
及び代理人により申請をする場合にはその権限を証する書面(同法第18条)を添付し
なければならない。

3会社を除くその他の法人等の名称の登記に関する取扱いについても、 1、2の取扱いと
同様とする。(法人登記規則(昭和39年法務省令第46号)第9条 〈現行: 第7条〉、特定
目的会社登記規則 (平成10年法務省令第37号) 第4条 (現行: 第3条〉、 中小企業等投
資事業有限責任組合契約登記規則(平成10年法務省令第47号) 第9条、 投資法人登記規
則(平成10年法務省令第51号)第4条(現行:第3条〉
(登研656・241)

会社(法人)本店と行政区画等の変更についてまとめています。
原則として、登記官が職権で変更の登記をする。
(商登法第26条、 同規則第42条、 同準則第69条)
〈準則につき現行: 商業登記等事務取扱手続準則第56条〉
※行政区画等の変更で本店所在の表示が変更された会社(法人)
登記官に対して、これらの記載の変更を促す申出をすることができる。
(昭39926民四308回答)
この申出による登記の記載は、職権に準ずる。
支店所在地および代表取締役等の住所の場合にも適用される。

登記記載例です。
A. 行政区画変更またはそれらの名称変更の場合
申請のとき「年月日町名変更」「年月日登記」
・職権のとき「年月日変更」「年月日修正」
Bこれらの変更に伴い地番号の変更もある場合
「年月日町名地番号変更」「年月日登記」
必ず、その変更の登記をしなければならない。
(昭4・9・18民8379回答)
C 土地改良事業または土地区画整理事業の施行に伴う地番号の変更の場合
「年月日土地改良(または区画整理)による地番号変更」「年月日登記」
(以上、昭42・10・17民甲2676通達)
(民四5661依命通知、平6・11・30民三8198通達)

[不動産登記レアケース10] 区分建物と名変

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば
大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

敷地権付区分建物と名変・登録免許税

敷地権付区分建物と名変

※不動産登記法第100条第2項 〈現行: 第74条第2項〉 の規定により転得者が所有権保存の 登記を申請する場合には、 原始取得者の氏名・住所等の表示の変更または更正登記は省略することができる。 ただし、 変更または更正を証する書面の添付を要求している。(昭58年度全国首席登記官会同協議問題に対する本省回答No.73)

※同一棟内の二戸の敷地権付区分建物(敷地権の目的の土地:2筆)を所有している者が、 これらにつき登記名義人表示変更(更正)の登記を1件の申請書で申請する場合の登録免許稅(区分建物専有部分の個数2 + 敷地権の目的となっている土地の筆数2) × 1,000円 = 4,000円 (昭58・11・10民三6400通達第15第2項3号)権利の抹消登記の場合も同様の取扱である。数回に分けて取得された敷地権の共有持分権についても、 全体として1個の共有持分権として解釈すべきであるとする。

※既存の区分建物で、一体化作業により敷地権化されたものにつき、その後、所有権移転登記をする前提として、住所移転等の原因による表示変更(更正)の登記をする場合の「登記の目的」 の判断基準は、 あくまでも区分建物を基準として判断すればよい。(昭59年神戸地方法務局首席登記官電話回答)

※所有権が敷地権である区分建物所有者が住所を変更した場合、 敷地権が生じた日以前の日 を登記原因の日とする土地または建物のみの所有権に関する仮登記、 質権または抵当権設 定の登記を申請するときには、その前提として所有権登記名義人表示変更登記を要する。(登研454・132)

[不動産登記レアケース9] 抵当権、根抵当権と名変

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目次

・債権者と債務者を互い違いにしてしまった場合の更正・取扱店の追加、変更、更正・抵当権(根抵当権)の追加設定の局面で表示変更登記を省略できるか否か・抵当権者(根抵当権者)、債務者の表示の変更・抵当権の債務者AとBが、異なる日に住所移転した場合・債務者の住所変更登記の一括申請

債権者と債務者を互い違いにしてしまった場合

「債権者を乙・債務者を甲」とする抵当権設定登記の申請書に添付された登記原因証書には、『債権者甲・債務者乙』と記載ミスがあったがそれを看過して登記を完了し、後日当該登記につき錯誤を原因として抵当権登記名義人の更正登記の申請があった場合には、申請を受理して差し支えない(昭35・6・3民甲1355回答)

(根)抵当権設定登記の登記義務者 (設定者)の表示に変更を生じているため、その表示が登記簿上の表示と異なっている場合には、予め登記名義人の表示変更の登記を申請する必要がある。(登研269・73)

取扱店の表示について

※住宅金融公庫の代理人である銀行を取扱店とする場合、 取扱店の表示を「○○銀行 本店営業部」とすることはできない。 (注: 平成19年4月に住宅金融公庫から独立行政法人住 宅金融支援機構へ権利義務承継)(登研453124)

※抵当権の移転登記の際に、 新抵当権者の表示に取扱支店を記載することは差し支えない。(登研370・74)

※委任状に取扱店の表示があれば、 登記原因証書に取扱店の記載がない場合でも、申請書に取扱店の表示をすることができる。(登研535・177)

各金融機関の取扱店

※労働金庫が抵当権者の場合も、 取扱店名 (取扱事務所何支店) の併記が認められている。(昭36・9・18民甲2320通達)(登研6355)

※全国信用金庫連合会が抵当権者でその貸付業務を信用金庫に委託する場合、 取扱店名を併記してその登記をも受けることができる。 (昭37.9.29民甲2781通達)(登研6355) (注:「全国信用金庫連合会」 は、 平成12年10月1日より 「信金中央金庫」に名称変更)

※全国信用協同組合連合会が抵当権者でその貸付業務を信用組合に委託する場合、 取扱店名 を併記してその登記をも受けることができる。(昭62・2・27民三896通達)(登研6355) (注:「全国信用協同組合連合会 (全信組連)」は、 平成19年1月1日現在もその名称で存続)

※中小企業金融公庫を抵当権者とする取扱店の表示について、 「営業第一部」として申請することができる。(昭57.4.28民三3238回答) (登研688265)

※外国会社を抵当権者とする抵当権設定登記を申請する場合に、 申請書及び登記原因証明情報に外国会社の取扱店として日本における営業所が記載されている時でも、当該営業所が登記されていることを証する登記簿謄本等の提供は要しない。(登研633・175)

取扱店の表示の追加について

※既存の(根)抵当権の設定登記に取扱支店の表示がない場合に、これにつき取扱支店を表示する登記は、(根) 抵当権登記名義人の表示変更の登記に準じ、便宜認めて差し支えない。(昭36・9・14民甲2277回答)

※取扱店の記載のない担保権の登記に取扱店を付記する登記は、当該抵当権等の担保権の変更(更正を含む 但し処分の登記を除く) の登記の申請をする場合に限り、併せて申請することができる。(昭36・11・30民甲2983通達)

  • 登記の目的:「昭和○年○月○日受付第何号順位×番抵当権に次の取扱支店の附記」と記載し、取扱支店の名称を記載する。(昭36・11・30民甲2983通達)
  • 登記原因およびその日付 : 何らの記載を要しない。
  • 登録免許税:抵当権の変更と併せて申請する場合には、取扱店の付記の分を改めて徴収することを要しない。

※登記名義人(抵当権者)のみによる単独申請で、登記済証をはじめ印鑑証明書、そしてその存在を証する会社の支店に関する登記簿謄抄本の添付を要しない。 (登研182・162)
→登記原因証明情報の添付は必要(登研689・291)

取扱店自体の変更について

※取扱支店等若しくはその表示の変更、又は取扱支店等を登記する抵当権の変更登記を申請する場合には、登記原因証明情報を提供する必要がある。(登研689・291)

※抵当権者の取扱支店を甲支店から乙支店に変更した場合は、抵当権登記名義人表示変更登記に準じて単独で、抵当権の変更登記申請ができる。(登研352・101385・80)

  • 登記の目的:「抵当権変更登記」
  • 登記の原因:何らの記載を要しない。
  • 変更後の事項 : 「取扱店 乙支店」
取扱店の表示の変更・更正・抹消について

登記の目的:「抵当権変更(または更正)」

登記の原因
 a.遺漏の場合:「遺漏」 / 「追加すべき事項」
 b. 誤記の場合:「錯誤」/「更正すべき事項」
 c. 取扱支店の名称の変更の場合: 「年月日 取扱店名称変更」 / 「変更後の名称」

取扱店の表示の抹消について
登記の目的: 「抵当権変更」
変更後の事項: 取扱店の表示抹消
(登研595・135)

追加設定について

※根抵当権者の表示変更があった後に当該根抵当権について他の不動産を『追加担保』とす る登記の申請をするときは、前提として根抵当権者の表示変更の登記を省略することはできない。 (411 84, 422 104, 475 131)

→たとえその不一致の原因が 『行政区画の変更等』 であっても、不動産登記法第59条 〈現行: 不動産登記規則第92条第1項〉 [変更看做規定] の適用はなく、 従って、 先に設定登記 がされている根抵当権と追加する根抵当権とが形式的に同一性を欠くことになるため

根抵当権の登記名義人の表示変更登記の一括申請

※登記名義人の本店の表示に関して、

●甲土地については 「平成元年2月1日 住居表示実施」
●乙土地については 「昭和59年○月○日 本店移転」 および 「平成元年2月1日住居表示実施」

を登記原因とする甲・乙両不動産についての根抵当権の登記名義人の表示変更登記は、同 一の申請書で申請することはできない。(登記原因が異なるから / 登研516・197)

※根抵当権につき共同担保として追加担保の設定登記を申請する場合に、 根抵当権者の「取扱店の表示」 が既登記根抵当権のそれと異なる場合でも受理される。(377 141, 382 81、 383 · 93)

  • 既登記 : 取扱店の表示なし、 追加設定/取扱店の表示あり。
  • 既登記 : 取扱店の表示あり、 追加設定/取扱店の表示なし。
  • 既登記 : 取扱店Aの表示、 追加設定/取扱店B の表示。

(以上、 いずれの場合も受理される。 / 登研548166)

抵当権追加設定の局面で、表示変更登記の省略の可否

※既登記抵当権の抵当権者の氏名または本店等の表示が変更されている場合には、変更を証する書面を申請書に添付すれば、 前提たる抵当権者の表示の変更登記を省略しても、追加設定の登記申請は受理される。(登研547146、560・136)

※根抵当権設定または変更登記の利害関係人等の表示が登記簿のそれらと相違する場合で も、その者の承諾書に表示の変更(更正)を証する書面を添付すれば、利害関係人の表示 の変更(更正) 登記は省略することができる。(登研36283、419.87)

※有限会社の社員総会議事録や株式会社の取締役会議事録を添付するときにこれに添付する 印鑑証明書の住所または氏名と当該会社の商業登記簿謄本のそれらの記載とが一致しない 場合でも、当該議事録に変更証明書を添付すれば足りる。(登研531・121)

(根)抵当権追加設定の局面で、表示変更登記の省略の可否

※追加設定登記申請書に記載すべき債務者の住所が、 従前の登記以後の住所移転等により既登記における債務者の住所と一致しない場合に、前提としての 『債務者の表示の変更登記』 の申請を

  • 根抵当権の場合→要する。 (登研32572、422105)
  • 普通抵当権の場合→要しない。 (登研425125、643・177)
債務者の住所変更登記の一括申請

※根抵当権者・債務者および設定者を同じくする数個の根抵当権が同一不動産上に設定されている場合の『債務者の住所変更の登記』は一括して申請することができる。(登研357・81)

※行政区画の変更または名称変更による債務者の住所の不一致の場合は、 不動産登記法第59 条 〈現行: 不動産登記規則第92条第1項〉 の規定により、 新住所に変更したものとみなさ れるので、 追加設定の際、 住所の変更を証する書面を添付すれば、 根抵当権の変更の登記を省略することができる。(従来の登記省略否定説 (登研422105、44285)から変更された (登研536177))

※行政区画の変更または名称変更に伴い地番号も変更されたときは、 変更の登記を省略できないものと解される。(昭4・9・18民8379回答参照)

※根抵当権の追加設定においては、住居表示実施による不一致の場合には、債務者の住所変更の登記を省略することは認められない。(登研545・154)

※既登記抵当権の債務者の住所が住居表示実施により変更されている場合に、 住居表示実施証明書を添付してする変更後の債務者の住所を表示した抵当権の追加設定の登記は受理さ れる。(登研572・152)

※債務者兼設定者の住所が変更して登記簿上の表示と異なるときには、 (根) 抵当権の債務者の表示変更の登記の前提として所有権登記名義人の表示変更の登記を申請しなければな らない。(登研425・126)

※既登記の(根) 抵当権者が代位によって所有権登記名義人の表示変更登記をする場合にお ける〈代位原因〉は、「年月日変更契約に基づく〇番抵当権変更登記請求権」と記載す れば足りる。(登研376・38)

※抵当権の登記における債務者の表示の変更の登記を債権者代位によるものとして抵当権者が単独で申請することはできない。(昭36・8・30民三717回答)

債務者の表示の変更の登記について

申請人:(根)抵当権者と設定者による共同申請
登記の目的: 「(根) 抵当権変更」
登記の原因: 「年月日住所移転」「年月日氏名変更」「年月日住居表示実施」
変更後の事項

○根抵当権の場合
「A市B町C 番地 債務者 甲野一郎」
○普通抵当権の場合
「債務者 何某の住所 ○×△」
◎添付書類の特例
A 設定者の権利の登記済証を添付することを要する。
(登研178・70、397.84) (登研456・128) (登研214・71)
B 原則としては、変更を証する書面の添付を要しないが、 ただし、 住居表示実施に伴う住所変更の場合にその実施証明書を添付すれば、登録免許税法第5条第4項の規定により非課税となる。
C設定者の印鑑証明書
○根抵当権の場合→添付を要する。
○普通抵当権の場合→添付を要しない。
(登研432・129)
(登研334・73、36481)

※抵当権の債務者AおよびBが、 それぞれ異なる日に住所移転した場合でも、同一の申請書で申請することができる。
登記の原因 「年月日 A 住所移転」「年月日 B 住所移転」(登研507・198)

抵当権の債務者(A・B・C・D)のうち、 AおよびBについて住所移転による変更があった場合、根抵当権変更の登記の事項は、住所移転したAおよびBのほか、 CおよびDをも記載することを要する。(登研530・148)

  • 登記原因 「年月日 変更」
  • 変更後の事項 債務者 住所 A 住所 B 住所 C 住所 D

※債務者が二人の根抵当権につき、その一人につき 「住所移転」、他の一人につき「本店移転」がなされた場合に、この根抵当権の変更登記を一括して申請することはできない。(大阪法務局決議)

※(根) 抵当権の債務者の表示変更・ 更正(例:債務者の氏名の更正および住所移転)による根抵当権設定登記の変更および更正の登記は、[登記の目的および登記原因を異にするが]便宜、同一の申請書で申請することができる。

登録免許税:不動産1個につき金2,000円
(登研41396) (登研391・111)

※根抵当権の債務者 『A会社』 が下記のごとく変更した場合、当該根抵当権の変更登記を一件で申請することはできない。(登研363・167)

  • A会社→B会社に吸収合併される。
  • B会社→ 『C会社』と商号変更

→不動産登記法第57条 〈現行: 不動産登記規則第150条〉 には、 「権利ノ変更ノ登記ヲ為ストキハ変更シタル登記事項ヲ朱抹スルコトヲ要ス」と規定しているが、 先例には『合併により債務者が変更した場合における根抵当権の変更登記については従前の債務者の表
示は朱抹しない。』 とされ (昭46・12・27民三960通知)、 その取り扱いを異にすることになるからである。

※抵当権の債務引受等による債務者変更登記を申請するに当たり、登記簿上の変更前の債務 者の住所氏名に変更が生じている場合は、その表示変更登記を省略する扱いは認められな い。 なお、 根抵当権の債務者の変更登記を申請する場合も同様に考えて差し支えない。(登研452・115)

※住宅金融公庫等の非課税法人が抵当権者である場合の債務者表示変更登記の登録免許税は、登録免許税法の規定により非課税とされる。(注:住宅金融公庫は平成19年4月に独立行政法人住宅金融支援機構へ権利義務承継がな されている)(登研360・94)

※抵当権の債務者が所有権の登記名義人と同一人で当該所有権の登記名義人につき、 住居表 示実施による住所変更の登記がされている場合であっても、 住居表示実施による根抵当権 の債務者の住所の変更登記申請書には、 非課税証明書を添付しなければならない。(登研421・108)

根抵当権元本確定

※根抵当権の変更の一種であり、登記権利者 (根抵当権設定者) および登記義務者(根抵当 権者)ともに、その表示に変更または更正の事由が生じているときは、 前提としての登記 名義人の表示変更 (更正) の登記を省略することはできない。(根) 抵当権の抹消

※抵当権抹消登記申請書の登記権利者 [抵当権設定者である所有権登記名義人] の表示 (住所等)が、登記簿の所有者の表示と一致しない場合

  • 表示の変更を証する書面を添付しても、受理されない。不動産登記法第49条第4号 〈現行: 第25条第5号〉により却下される。(355 90. 371 · 76, 512 · 157)
  • 住居表示実施による変更で既に不動産の所在欄は変更されているときでも、表示変更 の登記を省略できない。(登研430・173)

※抵当権者の表示の変更(更正)証明書を添付すれば、抵当権の抹消を前提とする抵当権の登記名義人の表示変更 (更正) 登記は省略できる。(昭28・12・17民甲2407、 昭31・9・20民甲2202各通達) (登研360・91)(登研445・109)

→申請書には、変更後の表示を記載する。

[不動産登記レアケース8] 添付書類で迷う

レアケース:ご利用にあたって
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目次

・名変の添付書類・住民票の除票と現住所の印鑑証明書・氏名変更・住民票の記載だけで氏名変更の事実が分かる・相続財産管理人選任審判書の記載では、不十分な場合・取扱店・国民金融公庫から国民生活金融公庫への変更・登記名義人の住所が誤って本籍地をもって登記されている場合・誤って旧住所で登記を受けた後、更正登記をする・更正の前後で町名が異なる場合・名変の非課税証明書・外何名という記載で共同人名票が不存在の場合・区画整理・土地改良事業による場合の非課税証明書・換地処分による登記前に既に住所移転していた場合・

住居表示や町名地番変更

住居表示実施や町名地番変更により住所が変わった場合の住所変更の登記には、市区町村役場で発行された、住居表示実施証明書、町名地番変更証明書などを添付することにより、登録免許税が非課税となる(登録免許税法5条4号)。

個人の場合の住所移転の変更証明

※登記名義人が個人の場合の住所移転の変更証明

  • 住民票の謄抄本
  • 戸籍の附票の写しを変更を証する書面とすることもできる。 (登研86・40)
  • 旧住所地の住民票除票の謄抄本 [転居先として現在の住所地が記載されているもの]ではなく、現住所地の住民票謄抄本の提出を要する。 (登研146.42、494122)
  • 住民票の写しに代えて前住所地の住民票除票および現住地の市区町村長の発給する印鑑証明書を添付しても差し支えない。 (登研375・80)
複数回移転している場合の変更証明書

※登記上の所有者の住所をA地からB地、 B地からA地、 A地からC地と移転している場合には、その間の各変更を証する書面全部の添付を要する。(登研470・98)

※所有者の登記記録上の住所Aから、その後B→A→Cと住所を移転した場合、A→Cへの変更証明書では足りず、A→B→A→Cの変更証明書を添付する必要がある(「登記研究」第470号)。

※中間省略→中間の変更を省略した登記名義人の住所変更の登記を申請する場合に、 申請書に 添付した書面をもって中間の各変更の事実が推認でき、 登記名義人の同一性が認められると きは、中間の変更を証する書面の添付を省略して差し支えない。 (登研175・66、179・67)

※自己所有の他の不動産における登記名義人表示変更登記の登記簿謄本→変更を証する書面にはならない(登研476・141)

氏名変更(婚姻または離婚を原因とする)の「変更証明書」

※氏名変更(婚姻または離婚を原因とする)の「変更証明書」
戸籍謄抄本+ 住民票の写し [本籍の表示のあるもの]
→住民票の記載の氏名・住所・生年月日および本籍の表示により、 登記簿上の登記名義人と氏名を変更する者との同一性を明らかにするため(登研490・145、536・175)

※氏名の変更(更正)の登記申請につき、住民票の記載で変更(更正)事項が明らかである場合は、戸籍謄抄本の添付は要せず、住民票だけで足りる。(昭40・9・24民甲2824回答) (登研490・146)

※住所を移転した後、婚姻により氏を変更した場合の登記名義人の表示変更登記申請につき、住民票の写しで氏の変更が明らかな場合には、住所および氏の変更を証する書面として住民票の写しを提出するのみでよい。(登研374・84、392・105)

添付書類の援用の可否

※不動産および申請人を異にする登記名義人の表示変更の登記に添付する変更を証する書面(住民票謄本)は、仮にその申請が連件でなされた場合でも、 援用できない。
(事例):甲物件の所有者Aと乙物件の所有者Bが同一世帯員であり、同時に住所移転している理由から所有権登記名義人の表示変更登記を連件で申請するとき
→前件に添付し、それを原本還付し後件に添付すれば足りる。 (登研506149、514・193)

※相続財産管理人選任審判書〔変更証明書兼代理権限証書〕の記載によって、該当相続財産管理人の選任が相続人不存在の場合であることおよび死亡者の死亡年月日が明らかでないときは、これらを証する戸籍(除籍)の謄抄本の添付を要する。 (昭39.2.28民甲422通達)

住民票の除票及び戸籍の附票もない

※登記名義人が住所を数次移転した後に、登記名義人の表示変更の登記を申請する場合、住民票の除票及び戸籍の附票もないときは、従前地における不在を証明する書面あるいは登記済証等を提出するなど、可能な限り登記官において変更の事実を推認し得るに足りる資料を添付すべきである。(「登記研究」第366号85頁)上申書(印鑑証明書付)を添付することも有効。

登記名義人が会社(法人)である場合の商号・本店所在地の変更証明書
○会社(法人)の登記簿謄抄本
当該会社(法人) の登記の管轄登記所と不動産の管轄登記所とが同一であるとき (法務大臣が指定した登記所を除く) は、変更を証する書面としての会社(法人)の登記簿謄抄本の添付を省略することができる。(昭38・12・17民甲3237通達)

取扱支店変更、追加の際の登記原因証明情報

登記原因証明情報の要否
※抵当権の取扱支店等もしくはその表示の変更または取扱支店等を登記する場合、抵当権の変更登記には登記原因証明情報を提供する必要がある。(登研689・291)

国民生活金融公庫への名称変更

※国民金融公庫と環境衛生金融公庫との統合により国民金融公庫から国民生活金融公庫への名称変更を証する書面は、名称変更の事実が国民金融公庫法の一部を改正する法律(平成11年法律第56号) 附則第2条の規定により明らかであるので添付を省略できる。
(注:国民金融公庫と環境衛生金融公庫は、 平成11年10月1日をもって統合され、国民生活金融公庫となった)(平11.9.14民三1965依命通知)(登研625・169)

登記名義人の住所が誤って本籍地をもって登記されている場合

A. 当該登記が、 住民票に記載された住定日 (住所を定めた日) 以前になされたものであるとき

  • 登記名義人の表示変更登記として申請すべきである。
  • 登記原因およびその日付「(住民票記載の住定日) 年月日住所移転」

B,住定日以後になされたものであるとき

  • →登記名義人の表示更正登記として申請することになる。『更正証明書』/不在証明書不要
  • →現在の住所を証する書面(本籍地記載ある住民票の写し 戸籍附票の謄本) に記載されている本籍地と符合しているときは、当該書面のみを添付すれば足りる。
  • →もし本籍地の記載が符合しないときは、 本籍地の変更を証する戸籍(除籍) の謄抄本を添付してすることになる。(昭32・10・4民三882回答)現在のように、登記の申請書に登記権利者の 『住所を証する書面』を添付するようになっ たのは、【昭和32年4月1日】 からである。

※登記名義人の表示更正の登記を嘱託する場合でも、その更正を証する書面の添付を要する。(昭36・7・22民甲1752回答)

誤って旧住所で登記をした後の更正登記

※誤って旧住所で登記を受けた後の登記名義人の住所更正の登記に添付すべき書面は、登記簿上の住所(旧住所)に登記名義人がいない旨の不在証明書および旧住所から新住所に移転した旨の住所証明書である。(登研428・135)(実務取扱) : 添付されている住所証明書に、旧住所・旧住所から新住所へ移動した旨、 移動年月日および新住所が明記されているときは、不在証明書の添付を要しないとされている。

※登記名義人の表示更正登記の申請書に添付する不在証明書の内 「住民票除票に記載のないこと」の証明書が入手できないときは、 戸籍の附票を添付しなければならず、いずれの添付もないときは却下事由に該当する。
(昭32・10・4民三881回答)

更正の前後で町名が異なる住所更正登記

※更正の前後で町名の異なる登記名義人の住所更正登記の申請書には、住民票・不在証明書の他、戸籍またはその附票の謄抄本、および、 更正すべき登記が “権利の移転の登記”であるときは、その登記義務者の証明書または登記済証(原本還付) 等その同一性を認め得る書面を添付させるのが相当である。(登研170・86)

※売買により所有権を取得した所有権登記名義人の住所の更正登記申請書に、売主(前所有者)が、「その者は登記名義人と同一人であること」を証明した書面〔印鑑証明書付〕 およびその者の住民票抄本を添付したときは、これを受理して差し支えない。(登研253.69)

錯誤を証する書面として登記済証を添付

※登記名義人の表示更正の登記を申請するには、申請書に錯誤を証する書面を添付するべきであるが、登記済証によって錯誤が明らかな場合には、代用した 「登記済証」を添付してすることができる。(登研127・45、15249)

※住所を更正する書面として印鑑証明書のみを添付した申請書は受理すべきでない。(登研414・75)

共同人名票不存在、共有者の一人から更正の登記申請

※共有不動産の登記名義人が「何某外何名」とのみ記載 (共同人名票不存在)とされている物件につき、当該物件の登記済証の写しを添付して共有者の一人から登記名義人の表示更正の登記申請がなされた場合に、その写しにより錯誤が明らかであることが確認できるときは、そのままこれを受理して差し支えない。(登研373・86)

※所有権移転登記申請の際に、 正しい氏名の住民票を添付しながら申請書に誤った氏名を記載したために、そのまま登記を受けた後の氏名更正登記

  • →登録免許税法第5条第12号 (職権更正登記による非課税)の適用は受けられない。
  • 『更正を証する書面』としては、現住民票の他、不在証明書、 登記済証、上申書および所有權移転契約書等(登研434148)

※売買による所有権移転登記申請書に添付した印鑑証明書
→その前提たる登記名義人の表示変更 (更正) 登記の住所証明書として援用することができる。

※登記名義人の表示変更(更正)を関連づける市区町村長の証明が得られない場合

  • →可能な限り、登記官が変更(更正)の事実を推認し得る資料を添付すべきである。
  • 具体的には勤務先の証明書・その他の登記の登記済証・地区の公職者(自治会長・民生委員・警察官)の証明書・源泉徴収票・納税証明書・公的機関からの郵便 公証人の認証を受けた定款(発起人)等
非課税の場合

1 住居表示実施等による場合(登録免許税法第5条第4号)
※住居表示が実施された場合
→登記原因 「年月日住居表示実施」
※住居表示が一旦実施された後、 その表示が変更された場合
→登記原因 「年月日住居表示変更」
(登研289・65)

※登記名義人の表示変更の最終の登記原因が 「住居表示実施等」 である場合には、登録免許税は登録免許税法第5条第4号の規定により非課税となる。(昭40・10・11民甲2915回答)

※住所移転(転入届出) と住居表示実施とが同一日付でなされた場合

  • 登記の原因→「年月日住所移転」
  • 変更後の事項→ 「変更後の住所」として “住居表示実施後の表示” をもって記載することになる。
  • 登録免許税→免除されず、課税されることになる(あたかも実施後の住所に移転したものと解される。)

※住居表示実施に伴う変更登記または実施された住居表示の変更に伴う変更登記がなされた後に、その登記が誤っていたことを理由とする「更正」の登記の場合に、当該変更登記が市区町村の変更証明書の錯誤により生じたものであることが確認できる限り非課税となる (昭40・12・9民甲3410、 昭41414民甲1112各回答)「民事月報号外283頁」(昭42年全国登記課長会同決議)

※所有権取得時には既に住居表示が実施されていたにもかかわらず、住居表示実施前の住所 で所有権取得の登記を受けた登記名義人の住所を、住居表示実施後の住所に更正する登記 には、登録免許税が課せられる。(登研425・129)

※住居表示実施後において、 (商業登記簿の本店変更が未登記であったため) 実施前の本店 所在地で登記した事項を住居表示実施後による本店所在地に改める場合の原因は錯誤と し、登録免許税を必要とする。(登研452・113)

※住居表示の実施により、 登記簿表題部の不動産の所在地欄は変更されているが、 所有権登記名義人の表示が変更されていない場合には、その前提としての所有権登記名義人の表示変更登記を省略して当該不動産に設定されている抵当権の抹消登記を申請することは許されない。(登研430・173、512157)

非課税証明書について

※市町村の長発行の「住居表示実施通知書」または関係人の申請による 「住居表示実施証明書」を添付すれば足り、他に現在の住民票の写しを添付することは要しない。(昭37・10・9民甲2854通達) (登研401・160)

※住民票の写しの備考欄に住居表示実施により変更した旨およびその実施年月日が記載されている場合は、これを “非課税証明書” として取り扱って差し支えない。(昭37・8・29民甲2470通達)

※住所欄の旧住所が棒線で抹消され、次の行に新住所とともに「年月日住居表示実施(または変更)」と記載されている市区町村長発行の印鑑証明書を、便宜、「住所の変更証明書兼 非課税証明書」として取り扱うことが認められた。(登研516・196)

行政区画等の名称の変更の場合

◎行政区画・字またはその名称
「行政区画」
都・道・府・県・市・区・町・村のような行政機関が、その権限を及ぼし得る行政上の単位である一定範囲の地域
「字」
大字小字のような行政区画内の一定範囲の地域
→これらの管轄範囲の拡大・縮小による変更またはこれらの名称自体のみの変更があった場合でも、登記簿に記載されたそれらの表示は当然にこれを変更したとみなされる。 (不動産登記規則第92条第1項)ただし、変更前の住所に「甲・乙・丙」の表記があり、大字小字の変更とともに「甲・乙・丙」の表記が外れる場合、表示変更登記が省略できない場合がある(甲乙丙は地番の一部とみなされるため)。

※不動産の表示に関するものであると、 登記名義人の表示に関するものであるとを問わず同様の取り扱いであり特に変更の登記をすることを要しないが、 形式的に現在の表示と一致させるために変更の登記を申請することもできる。(明38・5・8民刑局長回答) (登研464・117)

住所移転した後に行政区画のみ変更

※登記名義人の住所移転の登記の申請をする場合において、 住所移転した後に当該地の行政区画のみ変更が行われていたとしても、 同一の申請書で申請する限り

  • 申請書に記載すべき登記原因
    →「(住所移転の年月日)住所移転」のみで足り、行政区画変更の旨を併記する必要はない。
    ・変更後の事項として記載すべき住所
    →行政区画変更後のもの (新住所)を記載する。
  • 登録免許税
    →登録免許税法第5条第5号に該当せず、非課税とされない。
    (昭48・11・1民三8187、 昭50・3・23民三2692、 昭56・3・5民三1433各回答)

※政令指定都市の区制施行に伴い登記名義人の表示中 「住所」について変更を生じた場合には、その変更の登記をすることなく、他の登記を申請し得る。(登研301・69)

※登録免許税法第5条第5号の字には『小字』も含まれる。 (昭43・4・18民三354回答)

※『小字』名追記による登記名義人表示変更の登記には、登録免許税法第5条第5項の適用がある。(昭43・6・27名古屋直轄管轄内所長会決議 )

行政区画等の変更に伴い、地番の変更が行われた場合

※登記名義人の表示変更の登記を申請しないと、「住所」は当然には変更されない。

※町村合併に伴い地番変更があっても、所有権の登記名義人の表示について変更されたもの とはみなされず、 その表示変更の登記をしなければならないが、 登記官は、一定の要件の 下に職権で登記名義人の表示の変更の登記をすることができる。(昭31・12・14民事三1421回答) (登研6289)

※A地からB地に住所移転した後、 B地が行政区画の変更に伴い地番も変更された場合
登記原因 : 「年月日住所移転」「年月日町名変更および地番変更」 と併記することになる。 登録免許税:登録免許税法第5条第5号の規定が適用される。 (大阪法務局決議)

※字地域の変更に伴う地番変更による登記名義人の表示変更の登記は、登録免許税法第5条第5号の条項に該当する。(昭46.2.9民三34回答)

土地改良事業または土地区画整理事業の施行に伴って地番の変更がなされた場合

※区画整理により町名のみが変更された後、住所移転がなされた場合の登記名義人表示変更登記の申請書に記載する登記原因は、「年月日住所移転」 のみである。 (登研38393)

※土地区画整理登記令第13条第3項 〈現行: 第11条第1項〉〔従前の土地が数筆で換地が一筆の場合に関する規定〕 による所有権登記の登記名義人の住所地番が当該登記前既に区画整理事業の施行に伴い変更されていた場合に、変更後の住所地番に是正するには、登記名義人表示変更として取り扱われる。 登録免許税法第5条5号の規定が適用される。(昭44・5・12民三562回答)

※土地区画整理により住所地番が変更されたが、 住民票の記載が修正されていなかったため従前換地前の住所地で所有権取得の登記を受けた登記名義人の住所を変更後の住所に是正する登記は、登記名義人表示更正の登記による。登録免許税法第5条第5号の規定が適用され、非課税である。(昭49・12・28民三6678回答)

※換地処分による単一の登記前に既に住所移転していた場合の所有権登記名義人の住所の是正は、更正の登記によるべきである。(登研599・167)により(同44081) が変更

※土地改良法による換地処分により地番が変更した場合に、 土地改良区が組合員たる登記名義人に代位してその名義人表示の変更登記を申請することはできない。

  • 登記原因「年月日土地改良法換地処分による地番変更」
  • 登録免許税法第5条5号の規定が適用される。
    (昭34・1 • 19民甲56回答)
    ※重複地番の解消等のために登記官が職権により地番を変更した場合の、当該地番変更を原因としてする登記名義人の表示変更の登録免許税は、登録免許税法第5条第5号の規定による取り扱いに準じて非課税とされる。「非課税証明書」として、 不動産登記法第62条 〈現行:不動産登記規則第183条第1項第1号、 同条第2項〉の通知書または地番変更された登記簿謄抄本を添付すれば足りる。
行政区画等の変更およびその名称変更の場合の非課税証明書や当該変更に係る市区町村等の行政機関の長の証明書
(登録免許税法施行規則第1条第2号)
  • ※その備考欄に、次のとおり記載された住民票の写し
  •  「年月日土地の名称 (行政区画等)および地番変更により年月日記載」
  •  「年月日土地の名称 (または地番) 変更につき年月日住所更正」
  • →地番の変更が行政区画等の変更に伴わないものであることが明白でない限り、「非課税証明書」として取り扱って差し支えない。(昭42・7・26民三794通知) (登研28273、396・107)
  • ※行政区画の変更の旨の記載のある市区町村等発行に係る広報をもって代用することはできない。
土地区画整理または土地改良事業による場合 の非課税証明書

イ. 施行者の書類
当該施行者発行の証明書
当該事業に係る換地処分通知書
ロ.知事の証明
・知事発行の証明書
・土地区画整理法第4条または第14条による知事の許可書の写し(昭42・12・14民甲3484通達)

※払下げによる所有権移転の登記の嘱託書の誤記に基づき所有者の住所・氏名を誤って登記された後の、本人からの表示更正登記についての登録免許税は、 免除されない。(登研427・105)

※国土調査の実施の際に土地の番号を変更したことによる登記名義人の表示変更登記については、登録免許税を徴収すべきである。(昭43・3・12民三235回答)

会社(法人)と非課税証明書

その変更を証する書面および代表者の資格を証する書面として添付した会社の登記簿謄抄本等において、 住居表示実施・行政区画等変更またはその名称変更により本店(主たる事務所)の表示が変更されていることが明らかである場合には、住居表示実施または行政区画等の変更による登記名義人たる会社 (法人)の本店 (主たる事務所)の表示変更の登記申請書に添付する 「非課税証明書」として代用できる。(住居:昭38・9・13民甲2608通達、昭42.9行政 : 昭42・10・17民甲2676通達、 昭56 37民三850回答/ 5民三1433回答)

商業登記簿記載例

住居表示実施の場合
「年月日住居表示実施」「年月日登記」

行政区画等の変更の場合
登記官により職権でなされるが、 申請して変更しても差し支えない。
「年月日変更」「年月日修正」

※不動産の登記義務者たる会社の住居表示実施または行政区画等の変更による本店の表示変更による登記名義人表示変更の登記を申請する場合に会社の登記管轄登記所と不動産登記の管轄登記所が同一であるときには、変更を証する書面 「非課税証明書」 の添付を基本的には省略す ることができる。(上記昭42年、昭56年各回答) (登研230・71)

被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が提供された場合

※被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が提供された場合における相続による所有権の移転の登記の可否 (平29・3・23 民二175)
[照会] 「相続による所有権の移転の登記(以下「相続登記」と いう。)の申請において、所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合 には、相続を証する市区町村長が職務上作成した情報 (不動産 登記令(平成16年政令第379号) 別表の22の項添付情報欄) の一 部として、被相続人の同一性を証する情報の提出が必要である ところ、当該情報として、住民票の写し (住民基本台帳法 (昭 和42年法律第81号) 第7条第5号 第12条。 ただし、本籍及び登記記録上の住所が記載されているものに限る。)、戸籍の附票の写し(同法第17条、第20条。 ただし、登記記録上の住所が記載されているものに限る。)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証 (改正前の不動産登記法 (明治32年法律第24号) 第60 条第1項) の提供があれば、不在籍証明書及び不在住証明書など 他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認 ることができ、当該申請に係る登記をすることができると考 えますが、いささか疑義がありますので照会します。」
[回答] 「本月7日付け不登第51号をもって照会のありました標 記の件については、貴見のとおり取り扱われて差し支えありま せん。」

[不動産登記レアケース7] 名変ができるのか迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば
大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・権利能力なき社団・認可地縁団体・組織変更・合併・代位できるか・職権更正の対象を申請で更正できるか

法人格なき社団

※法人格のない社団の登記名義人である代表者が変更 [交代] した場合には、「委任の終了」を登記原因として所有権移転登記をすべきである。(登研312・67)

※構成員全員の名義で登記されている法人格のない社団の所有する不動産について、新たに 選任された同社団の代表者名義にするには、『委任の終了』を登記原因とする所有権移転 登記による。(登研539・153)

※認可に係る地縁団体の場合、団体名称で登記することが出来るようになった。「(法人格取得の日=市町村長の認可の日) 委任の終了」(平3・4・2民三2246通達)

※法人格なき社団の代表者名義の不動産につき同代表者が死亡した場合、新代表者への変更する登記は、亡き代表者の相続人と新代表者との共同申請による所有権移転登記による。所有権登記名義人表示変更登記によるべきではない(登研476.139)

※有限(または株式) 会社が組織変更により株式 (または有限) 会社となった場合に、当該会社所有の不動産の所有名義を株式会社とするには、所有権移転の登記によらず登記名義人の表示変更登記による。(昭29・11・16民甲2404回答)

※被合併会社を表示するときに、会社登記簿と登記簿上の登記名義人としての表示が相違[商号変更等]する場合でも、 “合併”は相続登記の一種と解されているので、申請書には登記簿上の表示どおり記載し、 ただし、 その表示の変更を証 する書面(被合併会社の閉鎖登記簿謄本)を添付すれば、 前提として登記名義人たる 「被相続人」の表示の変更登記をすることを要しない。

土地改良法による換地処分

※土地改良法による換地処分により地番が変更した場合に、土地改良区が組合員たる所有権登記名義人に代ってその名義人表示の変更登記を申請することはできない。(昭34・1・19民甲56回答)

※既登記の抵当権者は、抵当権の変更契約に基づき、 代位によって所有権登記名義人の表示変更登記をすることができる。

〈代位原因〉の記載例
「年月日 変更契約に基づく○番抵当権変更登記請求権」として差し支えない。(登研376・88)

※破産管財人は、破産者所有の不動産を任意売却するにあたり、破産者の現在の住所と登記
簿上の住所が相違する場合には、登記名義人表示変更(更正)の登記を申請することがで
きる。
(登研454・133)

※現に効力を有しない前所有権登記名義人からする自己の登記名義人表示変更登記申請は、受理できない。(登研346・91)

※合併による所有権の登記がある場合の登記名義人の表示の変更の登記は、当該合併による所有権の登記のみについてすれば足りる。
(登研41185)

職権で更正されるべき登記名義人の表示の相違

※職権で更正されるべき登記名義人の表示の相違
例:法務局側のタイプミス移記ミス等
→登記名義人より表示更正の登記を申請しても差し支えない。(登研170・100)
:申請書の[登録免許税額]の欄に“適用免除条項” を記載してすれば、免除される。(登録免許税法第5条第12号) (「民事月報号外285頁」)

[不動産登記レアケース6] 在日外国人・在外日本人で迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば
大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・在日外国人・在外日本人の場合の添付書類・廃止前の外国人登録制度・通称名・在留証明書に住所を定めた日付の記載がない場合・A土地は本国名でB土地は通称名の場合・外国人登録原票・

通称名での登記

※外国人の場合、その者の本国における氏名(本名)を表示するのが原則であるが、外国人登録証明書に本国の氏名と共に日本において使用している氏名 (通称名) が併記されているときは、この通称名を登記名義人として登記しても差し支えないとされている。(昭38・9・25民三660回答)

※韓国人を登記義務者とする抵当権設定登記の申請書に添付された印鑑証明書に記載の氏名が登記名義人の表示と異なっている場合においても、外国人登録証明書の記載から両者が本国名と通称名の関係にあることが判断できる場合には、この抵当権設定登記申請は受理して差し支えない。(昭40・11・6民甲3182回答)

※登記されている本国(韓国)における氏名を、日本において使用している通称名に更正する登記は、外国人登録証明書等によりその同一性が確認できる場合であれば、便宜、申請することができる。(登41185)

※通称名「A」を通称名 「B」と変更したときの登記原因
「年月日 氏名変更」
(登研582・185)

A土地は本国名、B土地は通称名

※A土地は本国名で、B土地は通称名で登記されている外国人が、A・B両土地を同時に一括して担保提供や売買する場合に、添付された印鑑証明書等により“同一人であること”が確認できるときは、前提の氏名の表示変更・更正の登記を省略して差し支えない。

※外国(韓国)人が本国における氏名で所有権登記登記を受けた場合、日本で使用している通称名に更正する所有権登記名義人表示更正登記の申請は同一性が証明書で確認できるときは便宜受理される。(「登記研究」第411号)

※市区町村から行政証明として外国人登録法廃止後に発行された旧外国人登録原票の記載事項に関する書面に、外国人の住所の移転の履歴及びその移転日が記載されている場合は、当該書面を当該外国人の住所の変更を証する情報として取り扱って差し支えない。(登記研究779)

※平成24年7月9日に外国人登録制度が廃止され,外国人も住民票が交付される。この住民票には,外国人登録原票に記載されている最後の住所が最初の住所として記載され、それ以前の住所(前住所)は住民票には記載されない。
 1 平成24年7月9日以前に住所移転
添付書面は,外国人登録原票記載事項証明書(住所の変更履歴があるもの)
 2 平成24年7月9日以降に住所移転し
添付書類は、住民票の写し(住所の変更履歴があるもの)
 3 平成24年7月9日前後にかけて住所移転
添付書類は、外国人登録原票記載事項証明書(住所の変更履歴があるもの)等と住民票の写し(住所の変更履歴があるもの)
平成24年7月9日以降の外国人登録原票開示請求先
法務省大臣官房秘書課個人情報保護係

※帰化者に対して法務局 (地方法務局) 長が発行する帰化者の身分証明書 [戸籍への帰化届未済]は、登記名義人表示変更登記の変更証明書に該当しない。(登研350・75)

登録原票や住民票で住所の記載が不十分の時

※登記簿上の「居住地」の表示
A市→B市→C市→D市→E市
(当該地点では、 「A→B→C」 の記載のある原票が回収)
E市役所→ 『C→D→E』 の証明しか出せない
そこで申請人からの依頼があれば (A~E)の経緯につき法務省に照会し、回答があれ ば、その事項の証明を発給(登記済証明書の備考欄に居住地変更経過として記載)してくれる。
ただし、発行されるまでに約1か月程度の期間を要する。
外国人の住所または氏名の更正登記申請に添付すべき「更正証明書」とされる不在証明書 (本来は発行しない取扱い)としては、登記済証、前所有者の証明書、第三者(民生委員等) の証明書、納税証明書、 上申書等信憑力のあるもので代用すべきである。
(大阪法務局決議)

※変更(更正)証明書としては在外公館の『在留証明書』を提出する。

住所移転が不明な場合

(参考)在留証明には「〇年〇月以来居住」の記載しかないので、原因の記載は「〇年〇月日不詳住所移転」、本人の申出による「〇年〇月〇日住所移転」など登記所により取扱が異なるが、本人からの申出書(上申書)又は委任状等で「日」まで特定されていれば日付まで記載し、特定されていなければ「日不詳」として記載することもやむを得ない。
(平成8.9.12二庶統2第372号東京法務局総務部長了承)

住所証明書

※国外移住者の不動産登記法細則第41条ノ2 〈現行: 不動産登記令別表2、4、12、13、28、29、30等〉の書面(住所証明書)としては、その者の住所地を管轄する在外公館の証明を得た書面『在留証明書』を提出すべきである。(昭33・1・22民甲205回答)

※財団法人交流協会在外事務所長が台湾在住の日本人に対して発給する在留証明書、印鑑証明書若しくはこれに代わる署名証明書は、便宜、 不動産登記法細則 〈現行:不動産登記令〉に規定する住所証明書、印鑑証明書若しくはこれに代わる書面として取扱って差し支えない。(昭48・8・11民三6365通達)

※在アメリカ日本人の住所を証する書面としては、本国官憲の証明に係る書面が相当である が、アメリカの公証人の証明に係るものでも差し支えない。(昭40・6・18民甲1096回答)

※在外邦人の中間の住所移転の経緯について在外公館の証明を得ることができない場合にお いて、在留証明書と消除住民票若しくは戸籍の謄抄本等により本人の同一性が確認できる ときには、この各書面に加えて、中間の住所移転の経緯およびこれについての証明書を得 ることができない旨の本人の上申書を提出すれば足りる。 (昭48・11・17民三852通知)

外国の住民票や戸籍制度

◎住居関係登録制度を有する国
 韓国、ドイツ、イタリア、 オランダ、スウェーデン、フィンランド等
◎戸籍制度を有する国
 韓国(平成20年1月1日より変更予定あり)、台湾
 中華人民共和国 (この国の戸籍は、 警察による治安、 公安を目的とした居住管理(戸口登録〔住居台帳〕) として機能している)