こんにちは。私は日々、生前対策や相続のご相談をお受けしております。
「親が亡くなったら、銀行口座はすぐに止まってしまうんですか?」 「葬儀費用も引き出せなくなると聞いて不安で……」
このようなご相談を、40代から70代の幅広い世代の方々からよくいただきます。
大切な家族を見送った後、悲しみに暮れる間もなく押し寄せるのが、さまざまなお金の手続きです。特に銀行口座の「凍結」は、日常生活に直結する大きな問題。準備をしていないと、窓口で「お引き出しできません」と言われ、途方に暮れてしまうことも少なくありません。
でも、安心してください。 仕組みを正しく知り、元気なうちに少しだけ動いておけば、こうしたトラブルは防ぐことができます。
今回は、銀行口座が凍結される理由から、もしもの時の引き出し方、そして「思い立ったが吉日」で今日から始められる対策まで、分かりやすくお伝えします。
【1.なぜ亡くなった人の口座は「凍結」されるのか?】
・銀行が口座を止める本当の理由とタイミング 銀行は、名義人が亡くなったことを知った時点で口座を凍結します。これは、亡くなった方の預金が「相続人全員の共有財産」になるからです。勝手に誰か一人がお金を引き出し、後から他の親族とトラブルになるのを防ぐため、銀行がガードをかけて守ってくれている……というのが本来の理由です。
ちなみに、役所に死亡届を出した瞬間に銀行へ通知がいくわけではありません。多くの場合、ご家族が銀行へ連絡したり、新聞の悔やみ欄を銀行員が確認したりすることで凍結されます。
・「凍結」されると具体的に何ができなくなる? 口座が凍結されると、預金の引き出しはもちろん、公共料金やクレジットカードの引き落とし、年金の受け取りもすべてストップします。葬儀費用や当面の生活費が必要な時に、自分のお金なのに1円も動かせないという不自由さが、残されたご家族にとって大きな負担となってしまうのです。
【2.【法改正で変わった】凍結後でもお金を引き出す方法】
・遺産分割協議が終わる前でも「150万円」までは引き出せる? 以前は、相続人全員のハンコが揃うまで1円も引き出せないのが原則でした。しかし、現在は法改正により「遺産分割前でも一定額なら引き出せる制度(預貯金の仮払い制度)」がスタートしています。
具体的には、「亡くなった時の預金残高 × 3分の1 × その人の法定相続分」という計算式で算出された金額が引き出せます。ただし、一つの銀行でもらえる上限は150万円までとなっています。
・「仮払い制度」を利用する際の注意点と必要書類 「150万円までなら簡単におろせる」と思われがちですが、実は手続きには手間がかかります。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や、引き出す人の印鑑証明書など、揃えるべき書類が山ほどあります。
悲しみの中、役所を何度も往復して書類を集めるのは、想像以上に心身の負担になります。そのため、制度に頼るよりも「凍結させない工夫」を事前にしておくことが、実は一番の近道なのです。
【3.「凍結」で慌てないために。元気なうちにできる3つの生前対策】
「万が一の時、家族が困らないようにしたい」 そう思った時が、行動すべきタイミングです。銀行口座の凍結リスクを最小限にするための、3つの賢い備えをご紹介します。
・遺言書を作成しておく 最も確実な方法は「遺言書」を残すことです。特に「公正証書遺言」を作成しておけば、亡くなった後の銀行手続きが格段にスムーズになります。遺言書があれば、銀行は「この人に預金を相続させる」という故人の意思をすぐに確認できるため、他の相続人全員のハンコを待たずに手続きを進められるケースが多いのです。
・「家族信託」を活用して、認知症による凍結も防ぐ 実は、口座が凍結されるのは「亡くなった時」だけではありません。親御さんが認知症などで判断能力を失った場合も、銀行は本人の財産を守るために口座を凍結することがあります。 これを防ぐのが「家族信託」です。お元気なうちに、信頼できるお子さんなどに預金の管理権限を託しておくことで、もし認知症になっても、あるいは亡くなった直後でも、生活費や介護費用を滞りなく支払うことが可能になります。
・ネット銀行やサブスク。見落としがちな「デジタル遺産」の整理 最近増えているのが、通帳のないネット銀行や、毎月引き落とされるサブスクリプション(定額サービス)のトラブルです。家族がその存在を知らないと、凍結の手続きすらできず、亡くなった後も会費が引き落とされ続ける……なんてことも多々あります。 まずは「どこの銀行に口座があるか」を一覧にまとめることから始めてみましょう。これだけでも、ご家族にとっては立派な「贈り物」になります。
【4.プロに頼むメリット:司法書士がサポートできること】
「手続きが大事なのはわかったけれど、何から手をつければいいのか……」 そう感じて立ち止まってしまうのは、決してあなただけではありません。私たちは、そんな時のためのパートナーです。
・煩雑な戸籍収集から銀行解約手続きまで丸ごと代行 相続の手続きには、驚くほど大量の書類が必要です。お仕事や家事で忙しい中、平日に役所や銀行を回るのは大変な重労働。司法書士にお任せいただければ、戸籍の収集から銀行への連絡、名義変更まで、すべてをワンストップで代行いたします。
・親族間の「争族」を防ぐためのアドバイス 「うちは仲が良いから大丈夫」と思っていても、お金が絡むとボタンの掛け違いが起こることもあります。公平で法的に間違いのない対策を立てることで、大切な家族が将来「争族」にならないよう、第3者の立場から寄り添い、守ります。
【5.まとめ:「いつか」ではなく「今」。思い立ったが吉日】
「終活」や「生前対策」という言葉を聞くと、少し寂しい気持ちになるかもしれません。
「いつか、そのうち」と先延ばしにするのではなく、少しでも不安を感じた「今」こそが、最善のタイミングです。
「何を聞けばいいのかわからない」という状態でも構いません。まずはその不安な気持ちを、私たちに聞かせていただけませんか?ご相談をお待ちしております。