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第47回 1円でも売れない「負動産」を合法的に手放す方法 相続土地国庫帰属制度の落とし穴と、プロが教える現実的な解決策

「親が残してくれた土地だから、大切にしなければ……」

そう思っていたはずなのに、気づけば毎年の固定資産税や草むしりの管理費用、そして「もし何かあったら」という心理的な重荷に。

今、こうした**「負動産(ふどうさん)」**に悩む方が増えています。

特に2023年からスタートした**「相続土地国庫帰属制度」は、「いらない土地を国が引き取ってくれる」という夢のような制度として期待されました。しかし、いざ蓋を開けてみると、そこには一般の方が一人で突破するには高すぎる壁**がいくつも存在しています。

「国が引き取ってくれると思っていたのに、審査で落とされた」

「結局、手放すために数百万円の持ち出しが必要になった」

そんな後悔をしないために、まずはこの制度の「残酷な真実」を知ることから始めてください。


1. 「相続土地国庫帰属制度」は救世主か? 制度の基本を整理

これまで、一度相続した土地は「いらないから捨てる」という選択肢がありませんでした。それを、一定の条件を満たせば国に返還できる(所有権を移転できる)ようにしたのが、この制度です。

背景には、2024年4月から始まった**「相続登記の義務化」**があります。

「放置しておけばいい」という逃げ道が事実上なくなり、過料(罰金)のリスクが発生する中で、国もようやく「手放すための出口」を用意した形です。

2. 【衝撃の現実】なぜ、あなたの土地は「国に拒否」されるのか?

YouTubeやSNSでも話題になっていますが、この制度は**「どんな土地でも引き取ってくれる」わけではありません。** むしろ、国は「管理に手間がかかる土地」は徹底的に排除しようとしています。

特に注意すべき**「3つの拒絶理由」**がこちらです。

拒絶される主な理由内容の詳細
建物が立っている建物は100%NGです。古家がある場合は、自費で解体して更地にする必要があります。
境界が不明確隣地との境界がハッキリしていない土地は審査すら受けられません。確定測量には多額の費用がかかることも。
崖地・担保権の設定一定以上の勾配がある崖地や、抵当権などがついたままの土地は引き取ってもらえません。

3. 「お金を払って」引き取ってもらうという矛盾

「土地を国に譲るのだから、タダ、あるいは少しはプラスになるのでは?」

そう考える方も多いですが、現実は逆です。

この制度を利用するには、審査手数料に加え、国が今後10年間管理するための**「負担金」**を支払う必要があります。

  • 審査手数料: 土地1筆につき14,000円
  • 負担金: 原則として20万円〜(宅地、農地、山林など種別による)

つまり、「更地にする解体費用」+「測量費用」+「負担金」を合わせると、手放すために100万円単位の支出が必要になるケースも珍しくないのです。

4. 国庫帰属がダメならどうする? プロが教える「負動産処分」の代替案

「うちの土地は国に引き取ってもらえそうにない……」と肩を落とすのはまだ早いです。国庫帰属制度はあくまで「手段の一つ」。司法書士の現場では、他にもいくつかの解決ルートを組み合わせて検討します。

  • ① 隣地所有者への「寄付・譲渡」の打診 国は厳しくても、隣の土地の持ち主なら「格安(あるいはタダ)なら、自分の土地を広げるために欲しい」と考えるケースは意外と多いものです。個人間の交渉はトラブルになりやすいため、我々のような専門家が「法的な道筋」を立てて交渉をサポートします。
  • ② 「負動産」専門の買取・処分業者への相談 近年、一般の不動産屋が扱わないような「売れない土地」を専門に引き取る業者が現れています。処分費用を支払う形にはなりますが、国庫帰属の厳しい条件をクリアする手間と時間を考えれば、トータルで安く、確実に手放せる場合があります。
  • ③ 「相続土地管理命令制度」の活用 特定の相続人が管理しきれない場合、裁判所に申し立てて管理人に委ねる新しい制度も始まっています。どの制度が最適かは、土地の状況や相続人の構成によって全く異なります。

5. 「何もしない」が最大のリスク。2024年からの義務化に備える

最もやってはいけないのが、**「放置」**です。

2024年4月から相続登記が義務化されました。放置し続けると最高10万円の過料(罰金)が科される可能性があるだけでなく、時が経てば経つほど、隣地との境界が分からなくなったり、相続人が枝分かれして権利関係が複雑になったりと、処分コストは膨れ上がる一方です。

「いつか誰かがやるだろう」の「いつか」は、残念ながら勝手にはやってきません。

6. まとめ:あなたの代で「負の連鎖」を断ち切るために

相続土地国庫帰属制度は、決して魔法の杖ではありません。しかし、法改正によって「いらない土地を手放すための選択肢」が確実に増えているのも事実です。

当事務所では、単に書類を作成するだけでなく、「負動産」の御相談もお受けしております。

  • あなたの土地が「国庫帰属」できる可能性の判定
  • 更地にする費用と、そのまま持ち続ける費用のシミュレーション
  • 国庫帰属が難しい場合の、次なる解決策の提示

「固定資産税の通知書を見るたびに溜息が出る」 そんな毎日は、もう終わりにしませんか?

まずは一度、あなたの手元にある資料を持ってご相談ください。プロの視点で、あなたの家族が将来にわたって笑顔でいられるための「出口戦略」を一緒に描き出します。

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