第26回 「警察です」その電話、その番号本物ですか?巧妙化するなりすまし詐欺から身を守るには

近年、特殊詐欺の手口はますます巧妙化し、私たちの身近に潜んでいます。
特に「警察を名乗る詐欺電話」による被害が急増しており、その手口は「自分は大丈夫」と思っている方でさえ騙されてしまうほど悪質化しています。

今回は、あなたの大切な財産を守るために、この新たな詐欺手口とその対策について詳しく解説します。


あなたを狙う新たな脅威:実在する警察署の番号からの電話

これまでの詐欺電話は、電話番号の冒頭に国際電話を示す「+」や国番号が表示されることが多く、不審な電話だと気づく手がかりがありました。

しかし、最近特に増えているのは、実在する警察署の代表電話番号がそのまま表示されるという、非常に悪質な手口です。

例えば、画面に「新宿警察署」の代表番号である「0110」などが現れるため、「警察からの電話だ」と信じ込んでしまい、冷静な判断ができなくなるケースが後を絶ちません。

実際の現役の警察官でさえ、電話を受けた際に「本物の警察官の可能性もある」と感じたと聞きました。東京都内の新宿警察署には、このような不審な電話に関する相談が、わずか7日間で約660件も寄せられています。


巧妙な詐欺の手口とは

このような警察を名乗る詐欺電話は、以下のような流れであなたを追い詰めます。

  1. 突然の連絡と脅迫
    電話口の人物は、**「あなたの口座が犯罪組織に悪用されている」「資金洗浄の疑いがある」「逮捕状が出ているため逮捕される可能性がある」**などと、いきなり強い言葉で脅してきます。
    彼らはあなたの氏名や住所といった個人情報を知っている場合もあり、その信憑性を高めようとします。
  2. 偽の証拠提示
    次に、あなたをSNSやビデオ通話に誘導し、**偽の「逮捕状」や「警察手帳」**を見せつけます。
    偽の逮捕状にはあなたの名前が記載されていることもあり、「本当に逮捕されるのでは」という強い不安を抱かせ、パニック状態に陥らせます。
  3. 金銭の要求
    最終的に「口座の調査が必要だ」「凍結を解除するためにはお金が必要だ」などと理由をつけ、あなたの財産を指定の口座へ振り込ませようと指示してきます。

警察を名乗る電話は、受けた方を極度の不安とパニック状態に陥らせるため、冷静な判断が非常に難しくなります。

この手口による昨年の東京都内での被害額は、特殊詐欺全体のおよそ108億円のうち、約70億円にも上ると報じられています。


なぜ本物の番号が表示されるのか?

この巧妙な手口の背景には、IP電話の技術を悪用した**発信者番号の偽装(スプーフィング)**があります。

特に海外には、登録のハードルが低く、契約者が指定した別の電話番号を相手に表示できるサービスを提供するインターネット会社が存在すると言われています。

詐欺グループはこうしたサービスを利用し、日本の実在する警察署の番号を装って電話をかけてくるのです。


あなたの身を守るための対策

では、このような巧妙な詐欺から身を守るために、私たちはどうすれば良いのでしょうか。
最も重要なのは、冷静になり、即座に行動しないことです。

  • 表示された電話番号を安易に信用しない
    電話番号は簡単に偽装できます。「警察からの電話だから本物だ」と鵜呑みにするのは危険です。
  • 一度電話を切り、正規の番号にかけ直す
    これが最も確実な対策です。相手の身元を少しでも疑ったら、**「一度電話を切って、こちらから正規の警察署の電話番号にかけ直します」**と伝えましょう。
    正規の番号は、ご自身でインターネット検索や電話帳などで確認してください。
  • 相手の情報を詳しく確認する
    不審な電話を受けた場合は、相手の氏名・所属部署・内線番号などを詳しく確認し、メモしておきましょう。
    本物の警察官であれば、これらの情報をためらわずに教えてくれるはずです。
  • 焦って答えない・個人情報を教えない
    警察官が電話でいきなり口座の情報や暗証番号を聞いたり、指定口座への送金を指示したりすることは絶対にありません。

たとえ相手が本物の警察官であっても、一度電話を切って確認することは決して失礼にあたりません。

今の時代は本物の警察官からの電話でさえ「疑うべき」だと思います。
むしろ、ご自身の財産と安全を守るために、当然取るべき行動です。


実は私にも詐欺電話が、、

実は、先日、私にも詐欺電話がかかってきました。

運転中だったため、ハンズフリーで出ましたが、「警視庁捜査二課の○○です」と若い女性の声で。

一瞬、ドキッとして、今運転なので折り返したい旨を伝えると「30分後にもう一度かけるので、絶対に出て下さい」と強い口調で。

そこで怪しいと気が付き、こちらから折り返すから電話番号を教えて欲しい旨を伝えると、そこで電話は切れました。

くれぐれもお気を付けください。


まとめ

巧妙化する警察なりすまし詐欺から身を守るためには、

  • 電話番号表示は安易に信用しない
  • 一度電話を切って、正規の番号にかけ直す

この二つのポイントを徹底することが重要です。

この記事が、皆様の詐欺被害防止の一助となれば幸いです。