[不動産登記レアケース5] 判決や調停調書等で迷う

レアケース:ご利用にあたって
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目次

・判決正本、調停調書の記載と当事者の記載が食い違う場合・差押等・判決・調停調書・和解調書と登記簿上の記載に誤り(変更)がある

判決記載の登記義務者の住所が登記簿上と相違

※判決等により所有権移転の登記を単独で申請する場合において、 登記簿における「登記義務者」の表示が判決正本等のそれと相違する場合には、たとえ、判決正本等に登記簿上の 住所が併記しているときでも、前提として登記名義人の表示変更(更正)の登記を省略することはできない。(登記研究276・69, 429・120、 611 · 171、 638 · 89)

※判決等に揚げられた登記義務者(被告・相手方) の住所が、 登記簿上の登記義務者の住所と相違するときは、判決等に基づく登記の申請は受理されない。(不動産登記法第49条第6号 〈現行: 第25条第7号〉 /却下事由)

A 判決等の記載が明白な誤記である場合

具体的には、訴訟提起時後に、被告である登記義務者の住所が移転し、その登記も完了していたときや判決言渡等後に、被告が住所を移転し、その登記を完了していたとき

→裁判所へ『更正決定』の申出をなし、 これを受けて処理する (判決等の住所を登記簿のそれに符合させる)ことになる。

B判決等の記載が正しい場合

具体的には、被告が訴提起時には登記簿に記載された住所を移転していたが、その登記が未了であるとき

→ 実務上は、登記簿上の住所と現住所を併記している事例が多い。原告は、判決書等を代位原因証書として、債権者代位により登記義務者の住所の変 更登記をしなければならない。

判決、調停調書、和解調書と名変の省略の可否

※時効取得による所有権移転の登記をするにあたり、 登記名義人 (当該所有権移転登記の登記義務者) の登記簿上の住所と判決書の住所が相違する場合は、勝訴者(当該所有権移転登記の登記権利者) が代位により、 その表示の変更登記をすることになる。(登研455・92)

※和解調書に基づき登記権利者単独で所有権移転の登記申請をする場合に、本件調書上には 登記名義人(登記義務者) の表示として登記簿上の住所とこれと異なる現在の住所とが併 記されている場合であっても、前提としての登記名義人の表示変更の登記は、省略するこ とができない。(登研476・140)

※調停調書により所有権移転登記の申請をする際に、 調書記載の「登記義務者」の住所が登記簿の表示と符号しない場合において

  • A.調書記載の住所が正しいときは、住所の変更または更正登記の申請を要する。(登研383・91)
  • B.調書記載の住所が誤っている時は、 当該住所についての更正決定書を添付して登記申請する。

※調停による所有権移転登記の抹消登記の申請をする場合に調書記載の「登記義務者」 の住所および氏名が登記簿の登記名義人の表示と符号しないときは、住所および氏名の変更証明書が添付されていても、登記名義人の住所および氏名の変更登記を省略することはできない。(350 75、 546 · 152)

※和解調書に基づき抵当権抹消の登記を申請する場合に、その和解調書に抵当権者「当該登記の登記義務者」 の登記簿上の住所と現住所が併記されているときは、本件調書を“住所の変更を証する書面” とすれば足りる。(登研398・94)〈表示変更(更正) の登記は、 省略できる。(昭31・10・17民甲2370通達)〉

和解調書の更正決定の要否

※「和解」を原因とする所有権移転登記の申請に当たって、和解調書上の 『登記権利者』の住所として旧住所が記載されている場合には、 更正決定を受けなくとも、住所の変更を証する書面を添付すれば足りる。(登研523・137)

※仮差押の登記等の処分の制限の登記の名義人から、 登記名義人の表示の変更の登記の申請がなされた場合には、便宜、受理してよい。なお、名義人表示変更の登記をした旨を仮差押等の登記の嘱託裁判所に通知するのが相当である。(昭42・6・19民甲1787回答)

※差押えの登記名義人である債権者(法人)に合併による承継が生じた場合には、承継人から差押登記の移転又は登記名義人の変更の登記を申請することはできない。

(登記名義人の主体そのものに変更が生じている為に、昭和42年6月19日付先例の様な便宜的取り扱いは相当ではない)なお、この場合、 債務名義に承継執行文の付与を受ければ、執行文及び債権者が提出した承継を証する文書の謄本も債務者に送達されるので、 変更の登記をしなくても当事者間に おいては承継の事実を確認できる。(登研627・189)

※仮差押登記嘱託書に記載された権利者の表示を登記官の過誤により誤記した場合、 第三者 に所有権移転がなされた後であっても、当該仮差押権利者の表示を不動産登記法第64条〈現 行: 第67条第2項〉により更正することができる。(昭41・5・16民甲1202回答)

※抵当権実行による競売申立登記後に、 当該抵当権付債権が譲渡されても、競売申立人の表 示を債権譲受人とする変更の登記をすることはできない。 (昭35・9・1民甲2146通達)

※強制競売申立登記の嘱託に基づき、 当該登記を記入するに先立ち、職権によりなした所有 権保存の登記の名義人の表示更正の登記の嘱託が裁判所からなされたときは、 法第49条3 号 〈現行:第25条第4号〉 により却下すべきである。(登研228・63)

※仮登記仮処分命令正本〈現行: 仮登記を命じる処分の決定書正本>の「仮登記義務者」の住所の表示が登記簿上の表示と異なる場合には、 前提として名義人の表示変更の登記をしなければならない。(登研214・72)たとえ新住所が仮処分命令正本に併記されていても、省略することはできない。(登研226・75)

[不動産登記レアケース4] 一括申請ができるのか迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
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名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば
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あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
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目次

一括申請が可能か・登記の受付年月日が異なる数個の不動産の場合・数回にわたり変更がある場合・共有の場合・共有持分を数回にわたって取得した場合・一括申請をした場合の登録免許税

数個の権利(所有権や抵当権等)がある場合や数個の不動産がある場合の一括申請の可否

※所有権の登記のある不動産についての当該登記名義人の表示の更正登記と、所有権の登記のない不動産についての表題部の所有者の表示の更正登記とを同一申請書で申請することはできない。(登研182・160)

※登記名義人(法人)の本店の表示の変更原因が、 甲不動産につき 「年月日 住居表示実施」、乙不動産につき「年月日 本店移転」・「年月日 住居表示実施」 の場合、登記の原因が異なるので甲・乙不動産につき同一の申請書で申請することはできない。

  • 甲については 登記原因:「年月日 住居表示実施」(登研516・197)
  • 乙地については 登記原因: 「年月日 本店移転」
  • →変更後の住所として、 住居表示実施後の新しい表示を記載する。

※同一人所有に係るA、B二個の不動産について、Aについては氏名のみ、Bについては住所のみに誤りがある場合の所有権登記名義人の表示更正の登記の申請は、別件ですべきである。(登研486・133)

※登記年月日を異にする数個の不動産に関する所有権登記名義人の表示更正登記は、 更正前の事項が同一であれば同一の申請書により申請することができる。(登研147・46)

※所有権または抵当権の登記名義人の名義人表示変更の登記については、当該所有権または抵当権の取得の時期が異なる場合および権利の客体が多数である場合でも、 1個の申請書によることができる。(昭8・8・19民甲1229回答)

※同一の不動産上に設定登記のある抵当権者を同じくする数個の抵当権がある場合に、 各抵当権につき抵当権者の住所変更登記をするときは、便宜、同一申請書ですることができる。(登研286・77)

※登記名義人の表示が数回にわたって変更 (更正) されている場合には、1個の申請により、直ちに現在の表示に変更 (更正) の登記をすることができる。この場合には、申請書に登記原因およびその日付を併記 〔ただし、 同種の登記原因が数個存するときは、便宜、その最後のもののみを記載しても差し支えない〕 し、各変更(更正) を証する書面を添付すべきである。(昭32.3.22民三423通達)

※順位一番で甲が住所をAとして所有権保存の登記をした後、 順位二番で乙に対して所有権 一部移転の登記をしたが、 甲が再び当該持分を取得し順位三番で住所をBとしてその旨の 登記を経由した後、 さらに住居表示実施による住所の変更があった場合には、順位一番お よび順位三番について登記名義人表示変更の登記を一件の申請書ですることは、 登記原因が相違するので許されない。(登研38394)

※同一人が、甲土地については所有権登記名義人、 乙土地については所有権仮登記名義人である場合の住所移転による名義人表示変更登記は、同一の申請書で申請することはできない(登研453・124)

※二個の不動産の登記名義人の住所につき、一物件については表示の変更を、他の物件については表示の更正と変更を要する場合は、これを同一の申請書で一括して申請することはできない。(登研413・97)

※各別に持分を取得して所有権の登記名義人となった者が、 ある登記については住所変更登記または住所更正登記をするには、 各別の申請書によりすべきである。(登研193・72)

※同一不動産の抵当権者と賃借権者が同一人である場合における住所変更の登記は一括申請できる。登録免許税:不動産1個につき、 金1,000円(登研246・70)

共有の場合の一括申請の可否

※共有持分を数回にわたって取得した者が登記名義人の表示変更または更正の登記を申請する場合

  • 登記の目的: 「○番・×番・・登記名義人表示変更(更正)」
  • 登録免許税: 不動産1個につき、1,000円

→上記の登記の記載は、順位番号欄に「○番・×番付記~号」 と記載され、 事項欄に1個の登記でなされる。(登研191・71)(昭42・7・26民三249依命通知)(登研525211)

※A単有名義とAB共有名義の各不動産についての登記名義人Aに関する表示変更の登記は、一件の申請書で申請することができる。(登研360・92)

  • 変更後の事項:「所有者および共有者Aの住所」

※A単有名義、 およびAB共有名義の各不動産について、 A、B両名の住所移転による登記名義人の表示変更の登記は、 例え登記の原因および日付が同一であっても、申請人適格が同一でないから、同一の申請書によってすることはできず、各別の申請書により申請すべ
きである。(登研519・187)

※ABの共有とする取得の登記の際、 申請の錯誤によりAについてはBの住所を、BについてはAの住所を表示して登記した物件につき、上記両名の名義人の表示更正の登記を一括して申請することができる。(昭38・9・25民甲2654回答)

  • 変更後の事項: 「共有者全員の住所」

※共有者甲・乙の住所を誤って逆に登記した。その場合、共有者甲及び乙の各住所の更正は、一件の申請書で申請することができる。(昭38・9・25民甲2654回答)

※登記名義人の住所移転による変更と住居表示実施による変更は、一件の申請で登記することができる。(昭40・10・11民甲2915回答)

※登記簿上の住所が同一である共有者AおよびBが、 同時に同一の地に住所を変更した場合には、 AおよびBの登記名義人表示変更登記は一括申請できる。 (登研40985、440・80)
数名の共有者の登記名義の住所更正の登記を一括して同一申請書で申請してさしつかえない。
(昭38・9・25民甲2654回答) (登研628・9)
登録免許税:不動産1個につき、金1,000円
(昭42・7・26民三794依命通知)(登研455・91)
→共有者の一人から登記申請代理の授権を受けて共有者全員のための登記申請をするこ
とはできない。(登研45894)

住所移転の経緯が異なる場合
  • (ア) 現在の登記簿上の住所が相違している共有者AおよびBが、 今回偶然同時に同じ住所に移転した場合
  • (イ)登記簿上の住所が同一であるAおよびBであるが、 Aはその後住所を (甲→乙→丙)を経て丁に、 一方Bは登記簿上の住所から直接丁に、 双方同時に住所を移したとき( 移転の途中経過が相違)

→同一の申請書では、申請できないとされていた (登研521174、524168) が、他方、単純かつ形式的に「“登記の目的、 登記の原因、 変更後の事項が同一である”という理由からと推測されるが、便宜、同一申請書による申請を認めて差し支えない。」とする質疑応答(登研575・122) が出た。

※甲地についてA、 乙地についてBを住所として所有権の登記を受けた者がCに住所移転した場合、甲・乙両地についての登記名義人の住所変更登記は1個の申請ですることができる(同一管轄)。(登研283・71)

※商号変更および住居表示の実施による登記名義人の表示変更の登記の登録免許税は、住居表示実施証明書を添付したときに限り、原因日付の前後に関わらず、不動産1個につき金1,000円である。(登研243.75)

一括申請をした場合の登録免許税

※同一不動産について共有登記名義人が、 同一の原因および日付でもって、 同一の申請により登記名義人の表示変更の登記申請をする場合の登録免許税は、変更する人数に関係なく不動産1個につき、金1,000円である。(昭42全国登記所長合同決議、 昭42726民三794通知)

住所更正と住所移転または氏名更正と氏名変更

※同一物件に関して、錯誤による住所更正登記と住所移転による変更登記とを一件で申請することができる。(昭32・3・22民甲423通達)

  • 登記としては、一種の中間省略の登記に該当するものとして「変更」の登記1個と考えられる。
  • 登記の目的:「登記名義人表示変更」
  • 登記原因: 「錯誤」「年月日・住所移転」を併記する。(161 43, 171 66, 547 147, 567 165)
  • 登録免許税:不動産1個につき、金1,000円(昭42・7・26民三794通知)

※氏名錯誤 + 住所移転による登記名義人の表示更正および変更の登記は、同一の申請書で一括申請することができる。(昭32.3.22民甲423通達) (登研396・103)(昭42・7・26民三794号通知)
登録免許税:不動産1個につき金2,000円
「更正」の登記と 「変更」の登記という2個の区分に属する登記がされることになり、 それぞれにつき登録免許税が課せられる。

氏名変更及び住所移転または氏名更正及び住所更正の組み合わせの場合

※同一区分(「変更」 または 「更正」 の登記) に属する登記であるとして取り扱うべきであり、 従って、不動産1個につき金1,000円となる。

※氏名錯誤 + 住所移転 + 住居表示実施による登記名義人の表示 「更正」 及び 「変更」 の登記は、同一申請書で一括申請することができる。登録免許税 : 不動産1個につき、 金1,000円(住所に付き [住居表示実施]により非課税)(登研241・68)

※氏名錯誤 + 住所錯誤 + 住所移転による登記名義人の表示「更正」および「変更」 の登記は、同一申請書で一括申請することができる。(登研381・90)

  • 登記原因: 「氏名および住所 錯誤」「年月日 住所移転」と併記すべきである。 登録免許税 : 不動産1個につき、 金2,000円

※住所錯誤 + 住所移転+氏名変更による登記名義人の表示「更正」 および 「変更」 の登記は、同一申請書で一括申請することができる。登録免許税:不動産1個につき、 金1,000円(登研353・118)

※住所移転した後に住居表示実施があり、 その後、婚姻により氏名を変更した場合に、この 登記を1件の申請ですることができるが、 この登録免許税は氏名変更のみに課税され、 不 動産1個につき、 金1,000円である。(登研452・116)

[不動産登記レアケース3] 名変の要否を迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば
大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・判決と住所が異なる場合・調停調書と住所が異なる場合・行政区画の変更 甲乙丙の表記が外れた場合・所有権移転登記を更正・抹消する場合 登記簿との不一致・買戻特約の抹消登記をする場合、登記簿との不一致・所有権以外の権利の登記の抹消を申請する場合・中央省庁再編(大蔵省→財務省)・仮登記の前提として名変が必要か・登記上の利害関係人の承諾書に変更がある・相続 被相続人 登記簿と相違・レアな同名異人(名前が同じだが別人)・地役権設 要役地の所有権登記名義人の住所が変更・同名異人で住所が同じ・数回の住所移転 登記簿 同一の住所・住所に肩書(市営住宅〇号、ビルの名称)がある場合・共有の場合、持ち分放棄 名変 必要か・数回にわけて持分を取得し単独所有 持分の一部に住所変更有・ヱとエ・斎と斉・共同担保目録や信託原簿の変更更正について・共同担保目録や信託原簿の変更更正について

判決正本と住所が異なる

※判決による所有権移転の登記申請において、申請書に添付された判決正本に登記義務者である被告の住所が登記簿上の住所と現住所が記載されていても、前提登記として登記名義人表示変更の登記を省略できない。(登記研究第611号171頁)

調停調書と住所が異なる

※調停調書(和解調書)に基づき所有権移転登記の申請をする場合において、登記義務者の住所が調停調書に記載されたものと登記簿の記載が相違しているときは、調停調書(和解調書)に現在の住所と登記記録上の住所とが併記されていても、所有権移転登記を申請する前提として、所有権登記名義人表示変更登記をしなければならない。

行政区画の変更 甲乙丙の表記が外れた場合

※行政区画変更により町名のみが変更された場合、表示変更登記を要しない。(明38.5.8民刑局長)地番変更を伴う場合には表示変更登記を要する
◎行政区画・字またはその名称
地番または街区符号および住居番号を除いた都道府県市区町村および字、 およびその名称
「行政区画」
都・道・府・県・市・区・町・村のような行政機関が、その権限を及ぼし得る行政上の単位である一定範囲の地域
「字」
大字小字のような行政区画内の一定範囲の地域
→これらの管轄範囲の拡大・縮小による変更またはこれらの名称自体のみの変更があった場合でも、登記簿に記載されたそれらの表示は当然にこれを変更したとみなされる。 (不動産登記規則第92条第1項)
ただし、変更前の住所に「甲・乙・丙」の表記があり、大字小字の変更とともに「甲・乙・丙」の表記が外れる場合、表示変更登記が省略できない場合がある(甲乙丙は地番の一部とみなされるため)。

住所移転後に行政区画

※住所移転をした後に、地番変更を伴う行政区画変更があった場合、登記原因は「年月日住所移転、年月日町名地番変更」となり、登録免許税法第5条第5号の規定により登録免許税は非課税となる。

※住所移転をした後に、住居表示の実施があった場合、登記原因は「年月日住所移転、年月日住居表示実施」となり、登録免許税法第5条第4号の規定により登録免許税は非課税となる。

※住所移転をしたが、住所移転登記をしないうちに地番変更を伴わない行政区画変更があった場合、登記原因は「年月日住所移転、年月日行政区画変更」とする。
添付情報として、当該行政区画の変更に係る市区町村長等の証明書(登録免許税法施行規則第1条第1項第2号)が提供されたときは、登録免許税法第5条第5号の規定により登録免許税は非課税となる。

※権利移転等の前提たる登記名義人の表示の変更(更正)の登記は省略できない。
(昭43・5・7民甲1260回答)

所有権移転登記を更正・抹消する場合の登記簿との不一致

※所有権移転登記を更正(事例:全部移転を一部移転に、または登記原因の錯誤 等)あるいは抹消の登記をする場合
A,当該更正登記で、 前所有者が [登記権利者または登記義務者のいずれになるかを問わず] 登記申請当事者となる場合に、その氏名・住所につき登記簿上の表示と相違するとき(登記する方法がないから)
B,当該抹消登記で、登記権利者となる前所有者の氏名・住所につき登記簿上の表示と相違するとき
ABいずれの場合も、その同一性を証する書面を添付すれば、前提としての表示変更 (更正)の登記をすることを要しない。
(登研412・165、423124、435117、46383他多数)
→たとえ『新表示』で記載された委任状が出てきても、登記の申請書はあくまでも「旧表示=登記簿上の表示」で記載することになると思われる。

※更正登記の [上記同様に] 登記申請当事者、あるいは抹消登記の登記義務者となる現所有者の氏名・住所につき登記簿上の表示と相違するとき→前提として、表示変更 (更正) の登記をしなければならない。(登研350・75)

買戻特約の抹消登記をする場合、登記簿との不一致

※買戻特約の登記の抹消登記を申請する場合に、 申請書記載の登記義務者(買戻権者)
の表示が登記簿と符合しない場合でも、前提として表示変更(更正)の登記を申請するこ となしに変更(更正) を証する書面を添付して申請できる。

所有権以外の権利の登記の抹消を申請する場合

[A] 当該抹消登記の登記義務者の表示が登記簿上の表示と相違するとき(登研460・105)
→その変更(更正)を証する書面を添付すれば、その表示変更(更正)の登記を省略して、直ちに抹消登記を申請することができる。(大2.10.29民975回答、 昭31 ・10・17民甲2370通達)
→抵当権抹消の場合の抵当権者、 仮登記 ≪権利の種類不問≫ 抹消の場合の仮登記名義人も、同様に取り扱うものとされている。(昭28・12・17民甲2407、 昭31 ・9・20民甲2202各通達、 昭32・6・28民甲1249回答)
[B]当該抹消登記の登記権利者(所有権登記名義人等) の表示が登記簿の記載と一致しない場合
→変更(更正)証明書を添付しただけでは足りず、前提として登記名義人の表示変更(更正)の登記をしなければならない。
(登研355・90、371.76)

不動産の所在欄は変更されているが、所有権登記名義人の住所が変
更されていない

※住居表示の実施により不動産の所在欄は変更されているが、所有権登記名義人の住所が変
更されていない場合には、その変更登記を省略して、当該不動産に設定されている抵当権
の抹消の登記を申請することはできない。
(430 173, 512 · 157)

中央省庁再編(大蔵省→財務省)の場合

※平成13年1月16日に行われた中央省庁再編により、 不動産を所管している各省庁から新省
庁名とする登記名義人表示変更の登記を嘱託しなければならない。
→各省庁から嘱託があれば、 「平成13年1月16日所管換」を登記原因として登記名義人表示変更の登記をする。
→旧省庁で登記されている不動産について、売り渡し等の処分の登記の前提としての登記名義人表示変更の登記は、便宜、省略して差し支えない。(例)財務省から嘱託される、 公売による権利の移転の登記
差押等の登記の抹消
抵当権設定の登記がされている不動産について、その抵当権の処分としての差押登記→職権をもって旧省庁名を新省庁名に登記することはできない。(登研637・99)(昭11・5・18民甲564通牒、 昭31・9・20民甲2202通達、昭53・8・17民三4541通知)

※権利について否認の登記がされている場合に破産管財人から当該否認の登記に係る権利の
移転の登記が申請された時は、破産法第260条第3項の規定により1 「否認の登記につい
ての抹消登記」 2 「否認された行為を原因とする登記又は否認された登記に係る権利(権
利の持分)についての破産者への移転登記」 が登記官の職権でなされる。
この場合に、破産管財人からの当該登記が申請された時点で破産者の氏名等に変更があっ
ても、2の破産者への移転登記は添付情報として破産者の住所変更を証する情報が提供さ
れていれば、便宜、変更後の住所で登記して差し支えない。
(登研701・131)(平18.2.16民二414回答)

仮登記の前提として名変が必要かどうか

※仮登記の登記申請をする際に、 仮登記義務者の表示が登記簿上の表示と符合しない場合に
は、 仮登記の前提として、 仮登記義務者の表示の変更(更正) の登記をしなければならない
(登研215・68)

※仮登記に基づく本登記の登記を申請する際に、 仮登記権利者の住所または氏名に錯誤があ
る場合は、仮登記名義人の表示更正の登記は省略することができない。
(昭38・12・27民甲3315通達)

※仮登記名義人が単独で仮登記の抹消登記を申請する場合において、 登記権利者(所有権登 記名義人)の住所が住居表示実施により変更しているときは、あらかじめ所有権登記名義人の住所を変更する必要がある。
(登研471・135)
※仮登記抹消の場合の登記義務者 [仮登記名義人]の表示が登記簿上の表示と相違する場合 には、その変更(更正)を証する書面を添付すれば、 表示変更(更正) 登記を省略して、直ちに抹消登記を申請することができる。
(昭32.6.28民甲1249回答)

仮登記の前提として名変が必要かどうか

登記上の利害関係人の住所と氏名が変更している場合でも、その承諾書に変更を証する書面を添付すれば、登記名義人の表示変更登記を要しない)。(登研352)

相続の場合 

※相続登記を申請する際に、被相続人の死亡時の表示が登記簿のそれと相違 (例:住所や婚 姻等による氏の変更) するときは、同一人である旨を証する書面を添付すれば足り、 その 表示の変更(更正) の登記をすることを要しない。
(登研31・26、133・47)

※被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が提供された場合における相続による所有権の移転の登記の可否 (平29・3・23 民二175)
[照会] 「相続による所有権の移転の登記(以下「相続登記」と いう。)の申請において、所有権の登記名義人である被相続人の 登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合 には、相続を証する市区町村長が職務上作成した情報 (不動産 登記令(平成16年政令第379号) 別表の22の項添付情報欄) の一部として、被相続人の同一性を証する情報の提出が必要である ところ、当該情報として、 住民票の写し (住民基本台帳法 (昭 和42年法律第81号) 第7条第5号 第12条。 ただし、 本籍及び登記記録上の住所が記載されているものに限る。)戸籍の附票の 写し(同法第17条、 第20条。 ただし、 登記記録上の住所が記載 されているものに限る。)又は所有権に関する被相続人名義の 登記済証 (改正前の不動産登記法 (明治32年法律第24号) 第60 条第1項) の提供があれば、 不在籍証明書及び不在住証明書など 他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認 することができ、当該申請に係る登記をすることができると考 えますが、いささか疑義がありますので照会します。」
[回答] 「本月7日付け不登第51号をもって照会のありました標 記の件については、貴見のとおり取り扱われて差し支えありま せん。」

※被相続人の登記名義中の番戸が戸籍編成により 「番地」と変更していても、表示の変更登記をなさずして、家督相続による所有権移転登記をして差し支えない。(明32・11・21民刑2009回答)

※家督相続人が相続登記前に被相続人の名を襲名しているときは、その事実を証明して直接襲名名義に家督相続をすることができる。(明34・5・24民刑566回答)

※売買または贈与による所有権の移転登記を、その登記未了のうちに登記義務者(売主または贈与者)が死亡して、その相続人と共に申請する場合に、登記義務者(売主または贈与者)の登記簿上の表示と死亡時の表示が一致しない場合には、前提として、その表示変更(更正)の登記を要する。(登研401・160)

※遺贈による所有権移転登記を受遺者と遺言執行者または相続人と共同で申請する場合に、遺贈者の登記簿上の表示と死亡時の表示が一致しない場合には、前提として、その表示変更または更正の登記を申請しなければならない。(登研380・81、401・160)

※民法第951条の相続人のあることが明らかでない場合に、 相続財産たる『法人』 名義とするには、登記名義人表示変更登記による。
(昭10・1・14民甲39)
代理権限証書としては→家庭裁判所の相続財産管理人選任書
(作成後3か月以内/不動産登記法細則第44条 〈現行: 不動産登記令第17条第1項〉)

※相続人不存在の場合において、保存登記未了の不動産については、被相続人名義で保存登記の上、 登記名義人の表示変更の登記をすることなく、 直接、 相続財産たる法人名義に保 存登記をすることができる。
(登研399・82)

同名異人(名前が同じだが別人)で住所が同じ

※相続による共有持分移転登記の結果、 同一の不動産につき、住所を同じくする同名異人の共有者[相続人] が併存することとなるような場合に、既に登記されている住所を同じくする同名異人の登記名義につき、 「生年月日」 を付記する更正登記の申請があれば、 受理 して差し支えない。(昭45・4・11民甲1426回答)なお、相続による移転登記の申請と同時にこれら 「生年月日」の記載を申請することもできる。
【登記記載例】: 付記登記でなされる。
「番登記名義人生年月日表示」
平成年月日受付第号
共有者 何某の生年月日
昭和年月日生

同名異人(名前が同じだが別人)

※株式会社の取締役が同姓同名であるため、特定する方法として、その就任及び事後の変更登記申請書に、氏名のほか 「生年月日」 を記載して登記の申請があった場合には、当該申請を受理し、その登記の記載は役員の氏名の下に生年月日を括弧書きで記載する取り扱いによるのが相当である。
(昭56・11・9民四6427課長回答)

地役権設 要役地の所有権登記名義人の住所が変更している場合

※地役権設定の登記を申請する場合において、登記権利者たる要役地の所有権登記名義人の住所が変更している場合には、その変更を証する書面を添付し、登記名義人の表示変更の登記を経ることなく、 設定登記を申請することができる。(登研39386)
→要役地の権利者が主体となる権利設定ではなく、 土地そのものが主体となる権利の設定であるからである。

※数回の住所移転の結果、 登記簿に記載されている住所と同一の住所となった場合には、登記名義人の表示変更登記を要しない。
(登研379・91)

※表題部に記載した所有者の住所等の表示につき変更または錯誤がある場合には、その変更 または更正を証する書面を添付し、前提たる所有者の表示変更・更正の登記を省略し、直 ちに所有権保存の登記を申請することができる。
(登研21371、352103)

※登記名義人の住所が住民票によれば、「大字」 があるのに、登記簿には「大字」の記載がない場合でも、 登記名義人の表示更正の登記を要しない。(登研171・65)

住所に肩書(市営住宅〇号、ビルの名称)がある場合

※住民票の謄抄本の住所欄中に 「市営住宅〇号」 「○○アパート×棟△号」 等の肩書きがあ る場合には、これを申請書に記載し、登記簿にその旨を記載することができる。この場合後日、他の登記申請書に添付されたその者の印鑑証明書が上記の肩書きの記載がなく ても、その前提としての住所更正登記を要しない。(昭40・12・25民甲3710通達)

※商業登記簿の本店の所在「A市B町C番地 何々ビル」 のうち 「何々ビル」だけを削除変更登記をした会社が、 その変更前に取得した不動産を売却し、その移転登記を申請する場 合には、その本店変更による登記名義人表示変更登記はする必要がない。 (登研453125)

※有限会社の社員総会の議事録に添付する印鑑証明書の住所または氏名と同会社の商業登記 簿謄本の役員欄のそれらの記載とが一致しない場合でも、当該議事録に変更証明書を添付 すれば足りる。(登研531・121)

共有の場合

※甲乙共有の不動産について、「持分放棄」を原因として乙の持分を甲に移転する場合に甲の住所が従前の住所と相違するときは、前提として甲につき登記名義人表示変更登記をする必要がある。(登研473・151)

※甲乙共有の不動産について 「共有物分割」を登記原因として乙の持分を全部甲に移転する場合に、甲の住所が登記簿上の住所と符合しないときには、前提として、甲の登記名義人の表示変更の登記をする必要がある。(登研573・123)

数回にわけて持分を取得

※数回にわたって取得して単独所有となった不動産について、 そのうちの最後の取得登記についてのみ住所変更による登記名義人の表示変更の登記がされている場合に、当該不動産の所有権を第三者に移転する登記の前提として、他の取得の登記についても登記名義人の表示変更の登記申請をすることを要する。(登研38280)

※ある登記名義人が自分と同姓の者と婚姻し、その戸籍に入籍した場合には、『氏名変更』の登記を要しない。(登研182・165、392・108)

※民法第767条2項の規定に基づき離婚の際に称していた氏に改めた場合[婚氏続称]、登記簿上の名義人の氏が離婚の際に称していた氏であるときは、登記名義人表示変更登記を要しない(登研459・99)

※登記名義人の氏名中に「ヱ」と記載されているが、登記申請書の添付書類には「エ」と記載されている場合は、当該登記申請の前提として、登記名義人の表示更正の登記を必要とする。(「登記研究」第430号174頁)

※登記名義人の氏名中に「斎」と記載されているが、登記申請書の添付書類には「斉」と記載されているときは、「斎」は「サイ」、「斉」は「セイ」と読み、本来同一の文字ではなく、また、どちらかの一方が誤字、俗字でもないので、登記申請の前提として、登記名義人の表示更正の登記を必要とする。(「登記研究」第401号159頁)

※戸籍上の名に “傍訓” が付されている者について、 登記の申請書にその名を表示する場合には、常に傍訓を付すべき必要はない。(昭50・7・17民二3742通達)

共同担保目録や信託原簿の変更更正について

※共同担保の目的たる不動産の表示や登記当事者の表示を誤記した場合には、 更正登記に準じて是正することになる
登記の目的
「共同担保目録() 第何号更正」 または
「年月日受付第何号抵当権設定登記の共同担保目録更正」
登記の原因
「錯誤」
・更正後の事項
不動産の表示のとき 「番号何何市何町何番の土地」
登記当事者のとき
「登記権利者(登記義務者)何某」
・担保権者と設定者との共同申請による。
(登研533 156, 564 143)

※共同担保目録に記載する申請人たる登記権利者の表示を誤記した場合は、登記事項ではないので、その記載の更正を要しないとされている。(登研516195)

信託原簿受託者の記載の変更

※受託者の氏名または住所に変更があり、所有権の登記名義人表示変更の登記申請をする場合には、併せて、 不動産登記法第110条の10本文 〈現行: 第103条〉の規定による信託原簿 の記載(受託者の記載) の変更の申請を要する。
→受託者が辞任したことなどにより信託財産につき
受託者更迭を原因とする所有権移転登記を申請した場合については、信託原簿の受託者の記載は不動産登記法第110条の10ただし書〈現行: 第101条〉の規定により職権で変更される。(登研655・191)

[不動産登記レアケース2] 登記原因と日付を迷う 

レアケース:ご利用にあたって
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目次

・商号変更や組織変更があった場合の原因日付・離婚や離縁など氏名変更がある場合・胎児の登記の改正・複数回、変更がある場合・複数回、更正がある・住居表示と住所移転・地番訂正・町名変更と地番変更が同日付・相続財産・被相続人の死亡時の氏名住所と登記簿上の氏名住所とが異なる・会社分割/通称名の変更・屋敷番変更

商号変更

※会社の商号変更による抵当権の登記名義人の表示変更の登記原因日付は、 商号変更の効力を生じた日、即ち、その商号変更が官庁の許可を要する場合にはその許可の日、官庁の許可を要しない場合には商号変更の決議の日である。(登研14・30)

組織変更

※有限「株式」会社から株式 「有限」会社へ組織変更 (旧商法)したことによる登記名義人表示変更の登記の原因日付は

  • 原則→組織変更の効力が生じた日 社員[株主] 総会決議の日
  • 減資を伴う場合→債権者保護手続終了の日(平成2・12・25民四5666通達)
原因日付
  • 住所については→住民票の写しに記載された日
  • 氏名変更については→戸籍の届出の日
  • 裁判上の離婚、離縁または縁組の取消しの場合→裁判確定の日 : 戸籍に記載されている
  • 法人については→法人登記簿に記載された変更の日 (商号名称変更 本店移転等)
胎児の登記

◎胎児を含む共同相続の登記を完了した後、

●胎児が生まれた場合→登記名義人表示変更登記をすべきである。 (昭54・3・31民三2112通達)

登記原因 「年月日 出生」
変更後の事項「共有者 乙何某胎児の氏名住所」
添付書類
1戸籍謄抄本: 胎児の出生と母の各記載事項のあるもの
2住民票の写し
3親権者〔法定代理人] の代理権限証書

●胎児が死亡した場合→所有権更正登記

胎児の登記 令和5年改正情報

胎児を相続人とする相続による所有権移転登記手続きの見直し

(1)胎児を相続人とする相続による所有権の移転の登記の申請において、申請情報の内容とする申請人たる胎児の表示は「何某(母の氏名)胎児」とする。

(2)登記の記録はつぎのとおり

A.胎児名義の相続 共有者 持分2分の1乙某 2分の1乙某胎児
B.胎児が生きて生まれた場合 
 目的 〇番登記名義人住所、氏名変更
 原因 年月日出生 
 共有者乙某胎児の氏名住所 住所 氏名
C.胎児が死体で生まれた場合
 目的 〇番所有権更正
 原因 錯誤
 共有者 持分2分の1乙某 2分の1丙某
(法務省民二第538号)

複数回、住所移転や氏名の変更がある場合の原因

※登記名義人の表示が数回にわたり変更(更正も包含する)されている場合には、1個の申 請により、直ちに現在の表示に変更(更正)の登記をすることができる。この場合には、 申請書に登記の原因およびその日付を併記(ただし、 同種の登記原因が数個存するときは 便宜その最後のもののみを記載してもさしつかえない)し、各変更 (更正)を証する書面 を添付すべきである。
(昭32・3・22民甲423通達)

複数回、変更と更正がある場合

※登記名義人の表示に変更および更正をなすべき原因が複数ある場合には、変更・ 更正別に最終の各原因を記載する。(登研349・85)

住居表示と住所移転

※登記名義人の住所が住居表示実施により変更された後、さらに住所移転した場合の表示変更登記の登記原因は、「年月日住居表示実施」「年月日住所移転」と併記すべきである。(昭40・10・11民甲2915回答)「年月日住所移転」でもよく、住居表示実施の旨を併記しなくてもよい。

※住所移転の後、 住居表示実施により住所の変更を生じた場合「年月日住所移転」 「年月日住居表示実施」 と併記することを要する。→非課税(大阪法務局決議)(登研32672)

※住所移転の後、 住居表示実施により住所の変更を生じ、さらに他に住所移転をしている場合→「年月日住居表示実施」 「年月日 (後の方) 住所移転」(登研38187)

地番訂正

※「年月日(A)住所移転、年月日 (B)地番訂正」と記載された住民票の写しを添付して登記名義人の表示変更の登記を申請する場合の登記原因は、「年月日 (A)住所移転」と記載すれば足りる。(登研372・81)→変更後の住所は、訂正後の地番をもって記載すべきである。

町名変更と地番変更が同日付

※町名変更および地番変更が同日付けでされた場合の登記名義人の表示変更登記申請書には、登記原因を「年月日町名変更、地番変更」 と併記するのが相当である。(登研524・168)

※『住居表示変更」と住民票等に記載があるときは、登記原因として「年月日住居表示変更」と記載するのが相当である。(登研289・65)

土地の分筆により住所の地番が変更

※土地の分筆により登記名義人の住所の地番が変更した場合の登記名義人表示変更登記の登記原因は、「年月日地番変更」 と記載するのが相当である。(登研561・151)

相続財産法人名義に変更 氏名住所が異なる場合

※相続人不存在を登記原因として 「相続財産」 たる法人名義に変更する場合において、 被相続人の死亡時の氏名住所と登記簿上の氏名住所とが異なるときは、 申請書に、その氏名住所の変更についての登記原因及びその日付を併記すべきである。 被相続人が死亡してから相続人不存在による登記名義人の表示の変更の登記を申請するまでの間に町名または地番の変更や住居表示が実施された場合も同様である。(昭32・3・22民甲423通達) (登研665・165)

※会社法等の施行に伴い、 特例有限会社となった不動産の登記名義人がその商号を変更することにより通常の株式会社に移行した場合には、登記名義人表示変更登記の登記原因を「年月日商号変更」と記載する。(登研700・199)

※抵当権者である共同受託者のうちの一社に会社分割があり、吸収分割承継会社が共同受託 者となった場合、合有名義人の変更登記の登記原因は 「年月日会社分割」とすべきである。(登研696・277)

屋敷番が地番に変更した場合

※戸籍の改正等により屋敷番が地番に変更した場合
イ. 登記名義人の表示変更の登記をしなければならない。 (昭23・9・16民甲224回答) 口,登記→以前は登記官が職権でしていたが、 先例が変更され、当事者の申請によるものとなった。(昭43・4・11民甲887通達にて変更)
ハ,登記原因、 およびその日付→「(新戸籍編成、戸籍改正または本籍更正の申出をした)年月日呼称変更」(昭43・6・26民三613、 昭44・7・26民三332各回答) 二登録免許税 非課税ではなく、 不動産1個につき1,000円である。(昭42・9・29民甲2538回答)

氏名や通称名の変更

※氏名の変更による登記名義人表示変更登記の申請書に記載すべき登記原因は、婚姻、養子 縁組、離婚、離縁、婚氏・縁氏続称、帰化、通称名の変更等氏名の変更理由の如何を問わず、(昭54・3・31民三2112通達)
「年月日(戸籍届出または裁判確定の日) 氏名変更」 帰化の場合/「年月日 (帰化の届出の日) 氏名変更」
(大阪法務局決議)(登研170・94、350・75、501・154)

※本国名で登記されているのを通称名に、あるいは、通称名で登記されているのを本国名にそれぞれ登記をし直す場合は、表示の更正登記による。(登研411・85)

※通称名「A」で登記されている外国人である登記名義人が、その通称名を「B」と変更した場合の登記名義人表示変更の登記原因は、 「年月日氏名変更」と記載する。(登研582・185)

※登記名義人が、婚姻によって 「氏」を改めた後、 離婚届と共に離婚の際に称していた「氏」を称する旨の届出をした場合の登記名義人表示変更登記・登記原因→ 「氏名変更」その日付→婚姻の日(登研534・130)

[不動産登記レアケース1] 登記の目的を迷う

レアケース:ご利用にあたって
司法書士として必ず当たる壁が名変だと思います。
いざ調べると中々ピンポイントで出てこない。
名変の情報が集約されていて、ここをチェックすれば
大体の知識は得られる、
そんなWEBを自分自身が欲しくて立ち上げました。
あくまでご参考程度にお読み頂き、皆様にて裏を取ったり、
法務局へ照会されることを前提としております。
誤っている、先例変更がある等のご指摘は大歓迎です。
ただ上記趣旨から、この時はどうなるの?
というご質問や却下になったじゃないか!
という苦情には対応しておりません。
皆様の業務が円滑に進むことを願います。

目次

・名変事態に錯誤(誤り)がある場合・所有権移転登記と同日付で住所変更している場合・国土調査での合併による所有権登記で住所に誤りがある場合・戸籍法上の訂正や更正・親子関係不存在確認

名変自体に錯誤(誤り)がある場合

※登記名義人表示変更登記に錯誤があった場合の訂正手続は、登記名義人表示更正(主登記の附記登記) の登記による。

※登記名義人の住所を、 申出による地番訂正を登記原因として登記名義人の表示を是正する登記の目的は、 更正登記である。 (登研348 89, 364 81, 369 81)

※所有権保存又は移転登記を受けた日と同日付で住所を変更している場合の所有権の登記名義人の表示の是正方法は変更登記による。(登記実務取扱)変更及び更正登記のいずれでも差し支えない。(登研346・92)

·※登記名義人表示更正登記が錯誤であった場合の回復手続は、 再度、 登記名義人表示更正登記の手続きによる。(登研147・41)

※住居表示実施後において、 実施前の本店所在地で登記した事項を住居表示実施による本店所在地に改める場合には、
表示更正登記によることになり、 登録免許税を必要とする。(登452・113)

※所有権取得時に既に住居表示が実施されていたにもかかわらず、 住居表示実施前の住所で 所有権取得の登記を受けた登記名義人の住所を住居表示実施後の住所に是正する登記は、 表示更正登記であり登録免許税を課せられる。(登研425・129)

国土調査があった場合

※国土調査法による単一の所有権登記前に住所移転がされていた場合の所有権登記名義人の住所の是正の登記は、 更正登記による。
(登研599・167)により (登研467・104)の回答 〔変更登記による〕 が変更された。換地処分による単一の所有権の登記” の場合も同様。

※所有権の登記名義人の住所に錯誤があり、その後住所移転により住所が変更している場合は一種の中間省略の登記とみなされ、 「変更」 登記1個と考えられている。(昭42・7・26民三794通知)
・登記の目的 「登記名義人表示変更」
・登記原因 「錯誤、 年月日住所移転」
(登研547・147、567・165)

※親子関係不存在確認判決により「姓」が変更したためにする所有権の登記名義人の表示是正の方法は、登記原因を「錯誤」として登記名義人表示更正登記による。 (登研213・67)

数回にわたって持分を取得し単独所有者となった場合

※数回にわたって持分を取得した後(単独所有者となった後)に、住所を変更(更正) する場合の登記名義人表示変更 (更正)登記の“登記の目的” の記載方法 「1番2番3番所有権登記名義人表示変更(更正)」(登研525・211)
変更後の事項は、「住所 〇〇〇」と記載する。
「共有者及び所有者〇の住所 〇〇」 とは記載しない。

※共有名義人(共有者)の一人についての表示変更登記申請書に記載すべき登記の目的は次のとおり記載するのが相当である。
登記の目的 「所有権登記名義人表示変更」
変更後の事項 共有者甲何某の住所(登研318・75)

※相続人不存在による「相続財産」たる法人名義に変更する場合の登記の目的は「何番登記名義人氏名変更」とするのが相当である。

戸籍法上の「訂正」・「更正」と登記実務について

◎戸籍法上の「訂正」→登記実務取扱上は『更正』(登研707・193)
戸籍の記載に当初から不適法又は真実に合致しない記載があるときに、これを適法かつ真実に合致する記載に改めること
◎戸籍法上の「更正」→登記実務取扱上は『変更』
戸籍の記載がその記載当時においては正しいものであったが、その後に発生した原因により戸籍の記載事実と反することになったため、それを正しくすること。