第27回 40代~70代必見!親と自分の「もしも」に備える生前対策5選 ★完全版★

皆様、こんにちは。司法書士の時任です。

人生100年時代と言われる現代、ご自身の将来やご両親の今後について「相続」という言葉を意識し始める方も多いのではないでしょうか。特に40代から70代の方々にとって、親御様の相続はもちろん、ご自身の将来の相続についても、準備を進めておくことは非常に大切です。

「まだ早い」「何から手をつければいいか分からない」と感じているかもしれません。
しかし、適切な相続対策をせずにいると、残されたご家族が

  • 相続税の支払いに困る
  • 遺産を巡る深刻なトラブルに巻き込まれ

このような可能性が現実としてあります。

また、ご自身が認知症になった際、大切な財産が凍結され、必要な時に使えなくなるといった事態も想定されます。

そうならないために、元気なうちからできる限りの対策を講じておくことが、ご自身やご家族の安心につながります。
今回は、生前に準備すべき5つの対策について、分かりやすく解説いたします。


なぜ今、生前対策が必要なのか?3つの「もしも」に備える

相続対策と聞くと、「お金持ちがすること」や「亡くなった後のこと」と思われがちですが、決してそうではありません。
私たちに起こりうる3つの「もしも」に備えるために、生前対策は非常に重要です。

  1. もしも「遺産争い」が起きたら?【相続トラブル対策】
    遺産の分け方を巡って家族・親族間で争いが生じるケースは少なくありません。特に自宅などの不動産が遺産の大部分を占める場合、簡単に分割できないため、トラブルに発展しやすい傾向があります。事前の対策で、家族間の無用な争いを避けることができます。
  2. もしも「相続税が高額」だったら?【節税対策】
    相続が発生した際に、多額の相続税がかかることがあります。生前から計画的に対策を行うことで、相続税の負担を軽減し、より多くの財産を次世代に引き継ぐことが可能になります。
  3. もしも「相続税が払えない」状況になったら?【納税資金対策】
    相続税が発生しても、手元に現金や預金が十分になく、価値のある不動産ばかりという場合、相続税の支払いに困ってしまうことがあります。事前に納税資金を確保する対策をしておくことが重要です。
  4. もしも「認知症」になったら?【判断能力喪失対策】
    一般的に、認知症などで判断能力がなくなってしまうと、ご自身の意思に基づいた相続対策ができなくなります。銀行預金が引き出せなくなったり、介護施設の入居費用に充てるために不動産を売却しようとしても、そのままでは売れないといった問題が生じます。元気なうちからの対策が、結果手にご自身やご家族を助けることになります。

生前対策を始める上で押さえておきたい3つのポイント

相続対策を効果的に進めるためには、以下の3つのポイントを意識することが大切です。

  1. ご自身の「希望」を明確にする
    ご自身が老後をどのように過ごしたいか、残す財産をどのように相続させたいか、具体的な希望を明確にしましょう。この希望がなければ、適切な対策の方向性を見定めることができません。
  2. 様々な「対策」を検討し比較する
    相続対策には多種多様な方法があります。それぞれの方法のメリット・デメリットを事前に検討・比較し、ご自身の状況に最も適した対策を決定することが肝要です。
  3. 「元気なうち」から早めに始める
    認知症などで判断能力が低下してしまうと、できる対策が限られてしまいます。体が元気で判断能力があるうちに、余裕を持って計画をスタートさせることが重要です。
    また、ご自身やご家族の状況は変化する可能性があります。仕事のリタイア後や生活が落ち着いた時期、あるいは孫が生まれた時など、家族状況に変化があった時も対策を考える良いタイミングです。

具体的にどのような対策があるのか?今すぐできる生前対策5選

ここからは、具体的な生前対策を5つご紹介します。

1. 生前贈与

**「元気なうちに、少しずつ財産を家族に渡したい」**と考える方に有効な方法です。
生前に財産を贈与しておくことで、相続時にかかる相続税を減らす効果が期待できます。
また、あらかじめ相続人に財産を渡しておくことで、将来の相続人同士のトラブルを防ぐことにもつながります。

注意点: 贈与税がかかる場合があることや、後のトラブルに発展する可能性もあるため、必ず専門家にご相談の上、手続きを進めることをお勧めします。

2. 遺言書の作成

**「自分の意思で、誰に何を相続させるか明確にしたい」**という方に必須の対策です。
遺言書を作成しておけば、ご自身が亡くなった後、遺産は遺言書の内容に従って分けられます。
これにより、相続人全員による遺産分割協議が不要となり、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

3. 資産の組み替え

「相続時のトラブルを減らし、節税もしたい」と考える方には、資産状況を見直すことが有効です。
よく活用されるのが生命保険
です。生命保険金は、原則として遺産には含まれないため、遺産分割協議の対象になりません。受取人が直接保険会社に請求できるため、万が一相続で揉めた場合でも、指定された受取人は単独で保険金を受け取ることができます。

4. 任意後見制度の利用

**「もし認知症になっても、信頼できる人に財産管理を任せたい」**と願う方のための制度です。
万が一、認知症などで判断能力がなくなってしまった場合に備え、**あらかじめご自身で選んだ「後見人」**に生活の世話や財産管理を任せることができます。
これにより、認知症になっても預金が引き出せないといった事態を避けることが可能です。

裁判所が後見人を選ぶ「法定後見制度」と異なり、ご自身で信頼できる人を選べる点が大きな違いです。

5. 家族信託の活用

**「財産を家族に託し、長期的な視点で柔軟に管理・運用したい」**と考える方に適した制度です。
信頼できるご家族に財産を託し、ご自身の代わりにその財産を管理・処分・運用してもらうことができます。

元気なうちから家族信託を設定しておけば、認知症などで判断能力が失われても、託した家族がご本人のために預金を引き出したり、不動産を売却して生活費に充てたりといった手続きが可能になります。

さらに、家族信託は遺言書と同様に、ご自身が亡くなった後の財産の引き継ぎ先を決められるだけでなく、次の相続、さらにはその先の相続まで、何世代にもわたる財産の承継先を指定できるという大きなメリットがあります。代々受け継いできた不動産がある場合など、柔軟な対策が可能です。


専門家への相談を強くお勧めします

これらの生前対策は、個々の状況に合わせて最適な方法を選ぶ必要があります。誤った対策は、かえって相続トラブルを引き起こす原因にもなりかねません。

当事務所では、親御さまの相続手続きやご自身の生前対策に関するご相談を数多くお受けしております。遺言や家族信託など、専門知識が必要となる分野についても、お客様一人ひとりに寄り添い、最適な解決策をご提案いたします。

お困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。



第26回 「警察です」その電話、その番号本物ですか?巧妙化するなりすまし詐欺から身を守るには

近年、特殊詐欺の手口はますます巧妙化し、私たちの身近に潜んでいます。
特に「警察を名乗る詐欺電話」による被害が急増しており、その手口は「自分は大丈夫」と思っている方でさえ騙されてしまうほど悪質化しています。

今回は、あなたの大切な財産を守るために、この新たな詐欺手口とその対策について詳しく解説します。


あなたを狙う新たな脅威:実在する警察署の番号からの電話

これまでの詐欺電話は、電話番号の冒頭に国際電話を示す「+」や国番号が表示されることが多く、不審な電話だと気づく手がかりがありました。

しかし、最近特に増えているのは、実在する警察署の代表電話番号がそのまま表示されるという、非常に悪質な手口です。

例えば、画面に「新宿警察署」の代表番号である「0110」などが現れるため、「警察からの電話だ」と信じ込んでしまい、冷静な判断ができなくなるケースが後を絶ちません。

実際の現役の警察官でさえ、電話を受けた際に「本物の警察官の可能性もある」と感じたと聞きました。東京都内の新宿警察署には、このような不審な電話に関する相談が、わずか7日間で約660件も寄せられています。


巧妙な詐欺の手口とは

このような警察を名乗る詐欺電話は、以下のような流れであなたを追い詰めます。

  1. 突然の連絡と脅迫
    電話口の人物は、**「あなたの口座が犯罪組織に悪用されている」「資金洗浄の疑いがある」「逮捕状が出ているため逮捕される可能性がある」**などと、いきなり強い言葉で脅してきます。
    彼らはあなたの氏名や住所といった個人情報を知っている場合もあり、その信憑性を高めようとします。
  2. 偽の証拠提示
    次に、あなたをSNSやビデオ通話に誘導し、**偽の「逮捕状」や「警察手帳」**を見せつけます。
    偽の逮捕状にはあなたの名前が記載されていることもあり、「本当に逮捕されるのでは」という強い不安を抱かせ、パニック状態に陥らせます。
  3. 金銭の要求
    最終的に「口座の調査が必要だ」「凍結を解除するためにはお金が必要だ」などと理由をつけ、あなたの財産を指定の口座へ振り込ませようと指示してきます。

警察を名乗る電話は、受けた方を極度の不安とパニック状態に陥らせるため、冷静な判断が非常に難しくなります。

この手口による昨年の東京都内での被害額は、特殊詐欺全体のおよそ108億円のうち、約70億円にも上ると報じられています。


なぜ本物の番号が表示されるのか?

この巧妙な手口の背景には、IP電話の技術を悪用した**発信者番号の偽装(スプーフィング)**があります。

特に海外には、登録のハードルが低く、契約者が指定した別の電話番号を相手に表示できるサービスを提供するインターネット会社が存在すると言われています。

詐欺グループはこうしたサービスを利用し、日本の実在する警察署の番号を装って電話をかけてくるのです。


あなたの身を守るための対策

では、このような巧妙な詐欺から身を守るために、私たちはどうすれば良いのでしょうか。
最も重要なのは、冷静になり、即座に行動しないことです。

  • 表示された電話番号を安易に信用しない
    電話番号は簡単に偽装できます。「警察からの電話だから本物だ」と鵜呑みにするのは危険です。
  • 一度電話を切り、正規の番号にかけ直す
    これが最も確実な対策です。相手の身元を少しでも疑ったら、**「一度電話を切って、こちらから正規の警察署の電話番号にかけ直します」**と伝えましょう。
    正規の番号は、ご自身でインターネット検索や電話帳などで確認してください。
  • 相手の情報を詳しく確認する
    不審な電話を受けた場合は、相手の氏名・所属部署・内線番号などを詳しく確認し、メモしておきましょう。
    本物の警察官であれば、これらの情報をためらわずに教えてくれるはずです。
  • 焦って答えない・個人情報を教えない
    警察官が電話でいきなり口座の情報や暗証番号を聞いたり、指定口座への送金を指示したりすることは絶対にありません。

たとえ相手が本物の警察官であっても、一度電話を切って確認することは決して失礼にあたりません。

今の時代は本物の警察官からの電話でさえ「疑うべき」だと思います。
むしろ、ご自身の財産と安全を守るために、当然取るべき行動です。


実は私にも詐欺電話が、、

実は、先日、私にも詐欺電話がかかってきました。

運転中だったため、ハンズフリーで出ましたが、「警視庁捜査二課の○○です」と若い女性の声で。

一瞬、ドキッとして、今運転なので折り返したい旨を伝えると「30分後にもう一度かけるので、絶対に出て下さい」と強い口調で。

そこで怪しいと気が付き、こちらから折り返すから電話番号を教えて欲しい旨を伝えると、そこで電話は切れました。

くれぐれもお気を付けください。


まとめ

巧妙化する警察なりすまし詐欺から身を守るためには、

  • 電話番号表示は安易に信用しない
  • 一度電話を切って、正規の番号にかけ直す

この二つのポイントを徹底することが重要です。

この記事が、皆様の詐欺被害防止の一助となれば幸いです。

第25回【司法書士が解説】賃貸VS持ち家論争に終止符!

老後を見据えた賢い住まい選びとは?

「家は買うべきか、借りるべきか」――
これは多くの方が一度は悩むテーマではないでしょうか。

インターネット上には様々な情報が溢れ、
どちらが正解なのか分からなくなってしまうことも少なくありません。

今回は、司法書士である私、時任が、この長年の論争に終止符を打ち、
皆さまが後悔しない住まい選びをするための真実を、多角的な視点から解説いたします。


経済的な視点から見る「持ち家」の優位性

まず、経済的な視点から見ていきましょう。

「賃貸の方が身軽で税金や修繕費の心配がない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実は賃貸の家賃には、

  • 固定資産税
  • オーナーの利益
  • 設備の修繕費用
  • 他の入居者の家賃滞納による損失分

まで、様々なコストが含まれています。

一方、**持ち家は、いわばご自身がオーナーとなる「最も確実で有利な賃貸経営」**と言えます。

賃貸に含まれるこれらの余分なコストがカットされるため、
必然的に持ち家の方が経済的に有利になるのです。


住宅ローンの賢い活用法

持ち家を検討する上で欠かせないのが住宅ローンです。

驚くべきことに、アパートローンに比べて住宅ローンの方が低金利に設定されています。
これは制度上の優遇であり、ぜひ活用すべき点です。

また、「多額のローンを抱えるのは不安」と感じる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、銀行があなたに住宅ローンを貸すということは、
「将来、その金額を返済する能力がある」と銀行がお墨付きを与えていることを意味します。

この「お金を借りる能力」は、個人の大切な資産の一つであり、最大限に活かすべきだと言えるでしょう。


リスクを最小化するローンの組み方

では、具体的にどのようにローンを組むのが賢いのでしょうか?

私は 「借りられるだけ借り、返済期間はできるだけ長く設定すること」 をおすすめします。

フィナンシャルプランナーの中には
「返済期間を短くして金利を抑えるべき」という意見もありますが、
これは毎月の返済額を圧迫し、不測の事態(病気やリストラなど)が起きた際のリスクを高める可能性があります。

毎月の支払いを抑え、手元に現金を残しておくことで、
万が一の事態にも対応できる流動性を確保できます。

これにより、全体の人生におけるリスクを最小限に抑えることができるのです。


「老後の安心」という大きなメリット

住宅ローンを完済した後の「アウトライト住宅(返済義務のない家)」も、持ち家の大きなメリットです。

人生100年時代と言われる現代において、ローンを完済した持ち家は、
「家賃のいらない個人年金」のような存在となります。

長生きする中で家賃の支払いに困る心配がなく、精神的な安定につながります。

これは、老後に生活保護に頼るなど、社会に負担をかけることを避けたいと考える日本人にとって、
特に重要な情緒的価値をもたらします。

また、住宅ローンには団体信用生命保険が付帯していることが多く
契約者が万一のことがあった場合、残されたご家族はローンの返済が免除され、
家を無償で受け継ぐことができます。

これは、お子様がいらっしゃるご家庭にとって、非常に大きな安心材料となるでしょう。


賃貸の課題と住む場所の重要性

一方で、賃貸には見過ごされがちな課題も存在します。

特に高齢になると、大家さんや不動産会社が高齢者との賃貸契約を敬遠する傾向があります。

これは、日本の借地借家法において賃貸借契約が相続されるため、
もしもの場合に手続きが複雑になることを避けるためです。

結果として、50代、60代を超えると賃貸の選択肢が狭まる可能性があります。

住まい選びは、私たちの主観的幸福度を構成する要素の約2割を占めるとも言われています。

単なる資産性だけでなく、

  • その場所での暮らしやすさ
  • 家族との思い出といった情緒的価値

も考慮し、長期的な視点での住まい選びが非常に重要です。

また、小学校高学年になると塾に通う子が増えるなど、

住む場所が学力に影響を与える実態があります。

人気の高い高額な不動産を選択することは、

子供の教育環境への投資とも捉えられます


まとめ:賢い選択のために

「買える人であれば持ち家が良い」という結論は、

  • 経済的な合理性
  • 人生のリスクヘッジ
  • 老後の安心
  • 家族への配慮

といった多角的な視点から導き出されます。

もちろん、ご自身のライフステージや経済状況、
そして「どんな暮らしがしたいか」という価値観によって最適な選択は異なります。

もし、住まいに関する法的なご相談や、不動産の登記、相続手続きなどでお困りのことがございましたら、
お気軽にご相談ください。

司法書士として、できる限りサポートさせていただきます。

第24回 「これだけは避けて!」相続NG行動7選!

ご家族を亡くされた直後は、悲しみの中で心身ともに大変な時期であり、多くの方が手続きに頭を悩ませることと思います。

しかし、そうした感情の渦中で、知らず知らずのうちに 将来の相続トラブルの原因 となるような行動をとってしまうケースが少なくありません。

今回は、ご自身やご両親の相続に備える方のために、ご逝去直後に特に注意して避けたい 「やってはいけない」相続手続き を、司法書士の視点から解説します。


1. 故人の預貯金を安易に引き出す

ご逝去後、急な出費などで故人の口座からお金を引き出してしまう方は少なくありません。

しかし、これは後に深刻な 相続トラブルの火種 となる可能性があります。

現金で引き出した場合、何にいくら使ったかを明確に記録に残せない と、他の相続人から「不当な使い込みではないか」と疑われかねません。

後で説明を求められても証明できず、泥沼の争いになるケースもあります。

もし、どうしても故人の預貯金から費用を捻出する必要がある場合は、必ず領収書を保管し、何にいくら使ったかを明確にすること が重要です。


2. 故人の遺産に手を付ける

故人が多額の負債を抱えていた場合、相続人にとって 相続放棄 は非常に重要な選択肢です。

これは、故人の借金を含め、一切の財産を相続しないという手続きです。

しかし、故人の遺産にたとえ少額でも手をつけてしまうと、その行為自体が「相続を承認した」とみなされ、相続放棄の権利を失ってしまう 恐れがあります。

たとえば、故人の形見分けで腕時計を一つ受け取っただけでも、相続放棄ができなくなる可能性があります。

特に借金の有無が不明な場合は、遺産には一切手を触れないよう、細心の注意 を払ってください。


3. 故人の銀行口座をすぐに凍結させるよう銀行に伝える

銀行に故人の死亡を伝えると、その口座は 即座に凍結 されます。

そうなると、当然ながらお金の引き出しはできませんが、同時に 入金もできなくなってしまう 点に注意が必要です。

注意すべき例

  • 家賃収入のある不動産をお持ちの場合、その収入が凍結口座では受け取れなくなる
  • 電気・ガス・水道などの公共料金やクレジットカードの引き落としが止まり、滞納の恐れがある

凍結の連絡をする前に、必要な引き落としや振込の手続きを済ませておく ことが賢明です。


4. 故人の遺言書を勝手に開封する

故人が遺言書を残していたとしても、勝手に開封してはいけません。

遺言書は、相続人全員が立ち会いのもと、家庭裁判所で「検認」という手続きを経て開封する ことが法律で義務付けられています。

この検認手続きを怠ると、5万円以下の過料 が科されたり、最悪の場合、不動産の名義変更ができなくなる 可能性もあります。

もし遺言書を見つけても、開封せずにすぐ専門家へ相談してください。

遺言書自体に「この遺言書は家庭裁判所で開封してください」と記載しておくのも有効です。


5. 死亡届提出後、すぐに戸籍謄本を取得する

相続手続きには多くの戸籍謄本が必要ですが、取得のタイミングに注意が必要です。

死亡届を提出してすぐに戸籍謄本を取ると、まだ故人の 死亡の事実が記載されていない ものが発行される場合があります。

死亡届の情報が戸籍に反映されるまでには、通常 1週間〜2週間 ほどかかります。

焦って取得すると、再度取り直す手間が発生しかねません。個人の戸籍は1通450円から750円するためもったいないです。


6. 故人の携帯電話をすぐに解約する

故人の携帯電話をすぐに解約するのは避けましょう。

亡くなったことをすぐに伝えきれない遠縁の親戚や友人も多くいます。

そうした方々が故人の訃報を知り、ご家族の連絡先が分からず、故人の携帯電話に連絡してくる ケースは非常に多いです。

すぐに解約してしまうと、大切な連絡を取り損ねてしまう恐れがあります。

しばらくは契約を維持しておくこと をお勧めします。


7.口約束だけで遺産分割を決める

遺産分割を口約束だけで決めてしまうことは、相続の場面では非常に危険です。

兄弟や親族同士であっても、「言った・言わない」の食い違いは時間が経つほど増え、感情的な対立に発展しやすくなります。

特に相続財産に不動産や預貯金が含まれる場合、名義変更や解約のためには、法的に有効な書面である遺産分割協議書が必要です。

この書類には相続人全員の署名と実印押印、印鑑証明書の添付が求められます。

口約束では、金融機関や法務局での手続きができず、結果的に相続が長期化してしまうのです。

さらに、口頭だけの合意では、後から一部の相続人が合意内容を否定したり、財産の存在や評価額を巡って争いが再燃する可能性があります。

こうした事態を避けるためには、話し合いの結果を必ず書面にまとめ、全員が内容を確認したうえで署名押印することが重要です。

遺産分割協議書は将来の証拠となり、相続手続きを円滑かつ確実に進めるための不可欠な道具です。

感情や信頼関係だけに頼らず、法的に有効な形で合意を残すことが、相続トラブルを未然に防ぐ最大のポイントです。


まとめ

ご逝去直後は、精神的な負担に加え、多くの手続きが重なり、冷静な判断が難しくなります。

今回ご紹介した「やってはいけないこと」は、どれも後々の大きなトラブルや困りごとに繋がりかねない重要なポイントです。

少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まず、専門家にご相談ください

私どもでは、財産の調査から預金口座の解約、不動産や各種財産の名義変更まで幅広く対応させていただきます。

空地空家の相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。ご連絡をお待ちしております。

第23回 親の銀行口座が凍結!パニックにならないための相続手続きと生前対策 その2

前回に引き続き、パニックにならないための相続手続きと生前対策 について解説していきます。

今回は「凍結してしまった口座を解除する」ためのステップと遺産分割前でも預金を引き出せる「仮払い制度」を解説します。


凍結口座の相続手続きと解除までの最短ステップ

口座凍結の解除には、銀行所定の相続手続きが必要です。

手続きは金融機関ごとに異なりますが、預金の払い戻しを受けるまでにかかる期間は、
通常2、3週間程度、長ければ1、2ヶ月以上かかる場合もあります。


● 手続きは以下のステップで進めます:


STEP 0:故人の取引銀行と口座情報を確認

通帳やキャッシュカード、郵便物などから、どの銀行に口座があったかを確認します。


見当たらない場合は、銀行の「全店照会」サービスを利用して故人名義の口座がないか調べてもらうことも可能です。

注意して頂きたいことは最低でも金融機関は特定しなければなりません。日本における全金融機関に一括で照会をかけるという制度はありません。そのため、遺品やメールの履歴からある程度金融機関は特定する必要があります。


STEP 1:銀行へ死亡連絡と凍結解除依頼

取引銀行の窓口または相続専門部署に連絡し、口座名義人が亡くなった旨を伝え、相続手続きを進めたい旨を申し出ます。

この時、今後の手続きの流れや必要書類について詳しい案内がありますので、
必ずメモを取るか、書面で受け取りましょう。


STEP 2:必要書類の案内受領と収集準備

銀行から受け取った必要書類のリストに基づき、収集を開始します。

遺言書の有無や相続人の状況、銀行の規定によって必要書類は異なります。
複数の銀行に口座がある場合は、それぞれ個別に確認が必要です。


STEP 3:遺言書の有無を確認する

故人が遺言書を残しているかどうかは、手続きに大きく影響します。

  • 遺言書がある場合:
     公正証書遺言であればそのまま使用できます。
     自筆証書遺言の場合は、原則として家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。
     遺言書の内容に従って手続きが進むため、遺産分割協議は基本的に不要です。
  • 遺言書がない場合:
     法定相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行い、
     その結果をまとめた「遺産分割協議書」を作成する必要があります。

STEP 4:相続人の確定(戸籍謄本等の収集)

誰が法的に相続人となるのかを確定させるため、

  • 故人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本

が必要となります。

戸籍謄本の収集は手間と時間がかかる場合がありますが、
「法定相続情報一覧図」を取得すれば、各金融機関に戸籍の束を提出する必要がなくなるため非常に便利です。これは、家系図を法務局に認証してもらうイメージです。


STEP 5:遺産分割協議の実施と遺産分割協議書の作成(必要な場合)

遺言書がない場合などに、相続人全員で遺産分割協議を行います。

協議がまとまったら、相続人全員が実印を押し、
印鑑証明書を添付した**「遺産分割協議書」**を作成します。必ず実印での押印が必要です。


STEP 6:銀行へ必要書類を提出

すべての必要書類が揃ったら、銀行の窓口に提出します。
不備がないか事前にしっかり確認しましょう。


STEP 7:預金の払い戻し・名義変更(解約)手続き

書類が受理されれば、口座凍結の解除手続きが進められます。

  • 預金の払い戻しを受ける
  • 相続人の誰かの名義に口座を書き換える

といった選択が可能です。


続いて、遺産分割前でも預金を引き出せる「仮払い制度」について解説していきます。

遺産分割前でも預金を引き出せる「仮払い制度」とは?

故人の銀行口座が凍結されると、遺産分割協議が完了するまでは原則として預金を引き出せません。

しかし、葬儀費用や当面の生活費など、緊急の資金が必要になることもありますよね。

そのような場合に備え、2019年の民法改正により、遺産分割前でも一定額の預金を引き出せる「相続預金の仮払い制度」が創設されました。

この制度は、主に以下のような支出を想定しています:
・葬儀費用の支払い
・故人の借金の弁済
・相続人の当面の生活費

※遺言によって特定の相続人が預金を相続することになっている場合など、この制度を利用できないケースもあります

  • ● 引き出せる金額と2つの手続き方法

【方法①:家庭裁判所の判断を経る方法】
遺産分割の調停または審判を申し立てている場合、家庭裁判所が個別の事情を考慮して払い戻し金額を決定します。

【方法②:金融機関で直接手続きする方法】
各相続人が金融機関の窓口で直接払い戻しを請求する方法です。
「相続開始時の預金額 × 1/3 × 払戻しを行う相続人の法定相続分」で計算。
同一金融機関からは最大150万円までという制限があります。

  • ● 利用時の注意点:相続放棄を検討している場合

仮払いを受けて生活費などに充てると、「相続財産を処分した」とみなされ、
単純承認(全ての財産と債務を相続)したことになり、
その後に相続放棄ができなくなる可能性があります。

もし、故人に多額の借金がある場合や借金の有無が不明で相続放棄を検討している可能性がある場合は、この制度の利用は慎重に判断しなければなりません。信用情報機関に照会して故人の借金の有無を確認することも検討すべきでしょう。

いかがでしたでしょうか。

少し安心していただければ幸いです。文章で読むと簡単そうですが、実際は各金融機関で取り扱いや手続きに関する要望は様々なのが現状です。

特に、社会的にもお忙しい40代から50代の方々が、日々の日常に加えてこれらの手続きを進めることは時に大きな負担となります。

その際には、ぜひ私たちにお任せください。

第22回 親の銀行口座が凍結!パニックにならないための相続手続きと生前対策 その1


はじめに

大切なご家族が亡くなられた時、深い悲しみに暮れる中、故人の銀行口座がどうなるのか、不安に思われる方は少なくありません。

特に、

  • 「いつ口座が凍結されてしまうのか」
  • 「葬儀費用や当面の生活費は引き出せるのか」
  • 「凍結されたらどんな手続きが必要なのか」

といった疑問は当然のことで、パニックに陥りがちです。

このブログでは、そうした皆様の不安を少しでも和らげ、故人の銀行口座の相続手続きをスムーズに進めるための具体的な情報と、ご自身の将来やご両親のために今からできる生前対策について、専門家の視点から詳しく解説していきます。

口座凍結の正確なタイミングから、緊急時の資金引き出し方法、そしてトラブルを防ぐための賢い準備まで、順を追って見ていきましょう。


1. なぜ故人の銀行口座は凍結されるのか?

その理由とタイミング

故人の銀行口座が「凍結」されると、預金の引き出しはもちろん、公共料金などの自動引き落としも一切できなくなります。
つまり、口座内のお金が完全に動かせない状態になるのです。

これは、故人の預金が法律に基づいて相続人に引き継がれるべき**「相続財産」として安全に保全するため**、そして、特定の相続人が他の相続人の同意なしに預金を引き出してしまい、相続人間での無用なトラブル(「争続」)を防ぐための大切な措置です。

多くの方が「役所に死亡届を出したら、自動的に銀行に情報が伝わり、すぐに口座が凍結されるのでは?」と心配されますが、実はそうではありません。
市区町村の役所と民間の金融機関は、相続において直接的に情報連携しているわけではないのです。

銀行が口座凍結を実行する最も一般的なタイミングは、ご遺族(相続人)の方が銀行に連絡し、口座名義人が亡くなったことを伝えた時点です。
つまり、銀行が「口座名義人の死亡の事実を知った時点」で口座は凍結されます。

裏を返せば、銀行がその事実を把握するまでは、キャッシュカードと暗証番号があればATMでの引き出しや各種引き落としが継続される可能性もあります。

しかし、銀行に連絡せず預金を引き出し続けることには、大きなリスクが伴います。
次は、絶対に避けるべき行動について詳しく見ていきましょう。


2. 【要注意】口座凍結前後に絶対やってはいけないNG行動

葬儀費用や生活費など、急な出費でお金が必要になる気持ちはよく理解できます。
しかし、焦って行動すると、後々深刻なトラブルに発展したり、法的に不利な状況に陥ったりする可能性があります。


● NG行動①:他の相続人に知らせず勝手に引き出す

故人の預金は相続人全員の共有財産です。
たとえ正当な目的であっても、他の相続人の同意なしにATMなどで預金を引き出すのは非常に危険です。

「何に使ったのか」「なぜ勝手に引き出したのか」といった深刻な「争続」の原因となり、最悪の場合、不当利得返還請求や損害賠償請求といった法的な問題に発展する可能性も否定できません。

また、使い道を明確に説明できないお金は「使途不明金」として扱われ、遺産分割協議が難航する原因となります。


● NG行動②:領収書なしでの安易な引き出し

葬儀費用や病院代など、社会通念上妥当な範囲の支出であれば相続財産から支払いが許容される場合が多いですが、必ず引き出した金額や使途を証明する領収書や明細書を保管してください。

領収書がないと、税務署から相続税の計算においてその支出が認められなかったり、他の相続人から「使い込みではないか」と疑われたりするリスクがあります。

お布施など領収書が出ない場合は、日時・金額・相手先などを詳細にメモしておけば安心です。


● NG行動③:「うっかり引き出し」で相続放棄ができなくなる

故人に多額の借金があるなど、相続放棄を検討している状況で、故人の預金を引き出して自分のために使ってしまうと、法的に「単純承認」したとみなされ、原則として相続放棄ができなくなる可能性が高いです。

単純承認とは、故人のプラスの財産(預貯金など)もマイナスの財産(借金など)も全て無条件で引き継ぐ意思表示です。

故人の財産を自分のために使う行為(「処分」)は、法律上「法定単純承認」とみなされることがあるためです。

少しでも相続放棄を考えている場合は、故人の預金には一切手を付けず、すぐに弁護士や司法書士などの専門家に相談するのが最も安全な方法です。


次回は、凍結口座の相続手続きと解除までの最短ステップについて解説をしていきます。

第21回 「うちは関係ない」は危険!一般家庭に潜む遺留分トラブルとその回避策

皆様、こんにちは。司法書士の時任です。

ご自身の、あるいはご両親の財産をめぐる「相続」は、誰もがいつか向き合う大切なテーマです。

特に、「遺言書」を準備されるご家庭も増えていますが、

「うちは揉めるほどの財産はないから大丈夫」「専門家に相談するほどではない」と、

漠然と捉えていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、そうした思い込みが、かえって将来のトラブルの種になることがあります。

今回は、「遺留分」という制度と、それが原因で起こる相続トラブルについて、

特に「一般家庭」でこそ知っておくべき実情と、その回避策を分かりやすくお伝えします。

「遺留分」とは?遺言書があっても「保障される権利」

「遺留分」とは、亡くなった方が遺言書で財産の配分を決めた際、

その内容が特定の人に偏っていた場合でも、一定の相続人に最低限保証される財産の割合を意味します。

たとえば、「全財産を長男に相続させる」と遺言書に書かれていても、

配偶者や子、親には「法定相続分の半分」までの金銭請求権が認められており、

遺言内容を一部是正できるのです。

■「うちには関係ない」は誤解!一般家庭でこそ遺留分トラブルが多い理由

「遺留分なんて大富豪の話」と思いがちですが、実は違います。

相続税がかからない一般家庭でこそトラブルが多発しています。

理由は以下の通りです:

・「偏りやすい」自筆証書遺言の存在:

自筆証書遺言は簡単に作れる一方で、内容が偏る傾向があります。

公正証書遺言は専門家が関与するため、公平性が保たれやすい特徴があります。

・制度の拡充による利用増:

令和2年7月10日から法務局による保管制度が開始され、

自筆証書遺言の利用が広がりましたが、形式面しかチェックされないため、

内容の偏りに対するフォローがありません。

・資産規模と利用者の実態:

法務省調査では、自筆証書遺言作成希望者の6割以上が「総財産額3,000万円未満」。

一般家庭ほど利用率が高いことがわかります。

■遺留分を請求できるのは誰?

請求権があるのは、亡くなった方の「法定相続人」のうち、以下の者です:

・配偶者

・子(または代襲相続人である孫)

・直系尊属(親や祖父母)

兄弟姉妹や甥・姪には遺留分がありません。

■遺留分が侵害されたらどうなる?

請求手続きの流れは以下の通りです:

1. 相手方への「通知」

内容証明郵便で1年以内に通知する必要があります。

2. 相続人同士の「話し合い」

金額や方法を協議し、合意すれば合意書を作成します。

3. 家庭裁判所での「調停」

解決しない場合は調停を申立てます。

4. 「訴訟」

最後の手段は訴訟。長期化・費用負担が重くなります。

■トラブルを防ぐ3つのポイント

1. 遺留分を侵害しない遺言書を作成する

法定相続分と遺留分を踏まえた配分を。感情的配慮も大切です。

2. 生命保険金を戦略的に活用する

生命保険金は受取人固有の財産となるため、遺産分割対象外にできます。

非課税枠(500万円×法定相続人)も利用できます。

3. メッセージを残す(付言事項・エンディングノート)

法的効力はなくとも、気持ちを伝えることで争いの回避につながります。

最も有効なのは生前の話し合いです。

■まとめ

遺留分は、多くの家庭にとって「無関係ではない」問題です。

自筆証書遺言の普及により、より身近な課題となっています。

遺言内容の工夫、生命保険の活用、気持ちを伝える工夫などで、

円満な相続を実現することができます。

当事務所でも、状況に応じた相続対策をご提案しています。

お気軽にご相談ください。

第20回 40代・50代必見!親の預貯金相続 実はもっと簡単にできた?賢い「少額預貯金」手続きの全貌

少額預貯金の相続手続き、実はもっと簡単にできるって知っていますか?

親御様の相続、またはご自身の将来を見据えて準備を進めている40代〜70代の皆様へ。

「相続手続き」と聞くと、

  • 複雑そう
  • 費用がかかりそう

というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

特に預貯金の相続は、最も身近な財産であるがゆえに、「どう対応すればいいのか分からない」という不安を抱く方が少なくありません。

司法書士として多くの相続案件に関わってきた経験から、今回は“知っておくと安心”な「少額預貯金の簡単な相続手続き」について、わかりやすくご紹介いたします。

「こっそりATM引き出し」はもう不要

堂々とできる、相続手続きの新常識

相続発生後、

「専門家に頼むほどでもないし、少しずつATMで引き出そうかな…」

と考える方もいらっしゃるかもしれません。

  • ATMでは1円単位で引き出せず端数が残る
  • 「こっそり」行うことに心理的な抵抗がある

という声も多く聞かれます。

本記事で紹介する制度を活用すれば、堂々と金融機関で預貯金を引き出す/解約することが可能になります。

不安や後ろめたさから解放される新しい相続のかたちです。

簡略化のカギは「提出書類の大幅削減」

一般的な預貯金相続手続き

 通常は、以下のような煩雑な準備が必要です:

  • 戸籍謄本(出生から死亡まで)をすべて集める
  • 相続人全員で協議し、「誰が相続するか」を決定
  • 遺産分割協議書を作成し、全員が署名・捺印
  • 印鑑証明書を全員分用意
  • 上記すべてを金融機関に提出

少額預貯金の簡略化された手続き

一定の条件を満たす「少額」のケースでは、必要書類が大幅に減ります:

  • 戸籍謄本:死亡記載ありのもの+相続人を示すものだけでOK
  • 印鑑証明書は不要
  • 遺産分割協議書の提出も不要

利用条件:「相続人同士が揉めていない」こと

この制度を利用するうえで最も重要なのが、

相続人同士で争いがないこと

です。

  • 口頭で「争いはありませんか?」と確認される場合
  • 書面でチェック欄への記入を求められる場合

「少額」とはいくらまで?金融機関ごとに基準が異なります

例:ゆうちょ銀行では100万円以下が対象です。

ただし、金額の上限や条件は金融機関によって異なります。事前の確認が必須です。

この制度が有効なケースと注意点

特におすすめできるケース

  • 相続財産が預貯金中心で、金額が少額
  • 相続財産に不動産が含まれていない

注意点

不動産がある場合は、遺産分割協議書の提出が必要となります。ご注意ください。

まとめ:知っておくだけで、相続はもっとスムーズに

相続は多くの方にとって一生に一度あるかないかの出来事。だからこそ、不安になるのは当然です。

しかし、「少額預貯金の簡略化手続き」という制度を知っておくだけで、相続の負担をぐっと軽くすることができます。

ぜひご自身の状況にあわせて、最適な方法を選びましょう

第19回 40代・50代から始める!「相続の不安」を「安心」に変える準備術

相続――この言葉を聞くと、漠然とした不安を感じる方も少なくないのではないでしょうか。

特に40代から70代の皆さまにとって、親御さんのこと、ご自身の将来のことなど、遺産分割や税金、そして何から手を付けて良いか分からないというお悩みは尽きないかもしれません。

ご安心ください。

適切な知識と早めの準備があれば、これらの不安は必ず解消できます。司法書士の時任が、皆さまの相続への「もやもや」を晴らし、「安心」に変えるための具体的な一歩をご案内します。

不安1:複雑な手続き、期限に間に合うか?

相続手続きは多岐にわたります。

例えば、故人の死亡を知った日から7日以内の死亡届提出、相続を放棄するか限定承認するかは3ヶ月以内の検討が必要です。

また、4ヶ月以内に準確定申告、相続税の申告・納付は死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内と、期限が定められているものも多数存在します。

特に重要なのが、不動産の名義変更(相続登記)です。これまでは任意でしたが、登記を行わないと10万円以下の過料の対象となりえますので、注意が必要です。

複数の手続きで戸籍謄本などが必要な場合は、法務局が無料で提供する「法定相続情報証明制度」が便利です。

相続関係を公的に証明する書類として、様々な手続きで活用でき、手間と費用を削減できます。

不安2:故人の預金が引き出せない?

故人名義の預金は、金融機関が死亡を知ると原則凍結され、遺産分割が終わるまで引き出せなくなります。

しかし、ご安心ください。2019年7月1日からの民法改正により、残された遺族の当面の生活費や葬儀費用に充てるため、遺産分割前でも故人の預金の一部を引き出せるようになりました。

引き出し額は、相続開始時の預金残高の3分の1に、引き出しを行う相続人の法定相続分を乗じた金額(ただし、同一金融機関につき150万円が上限)です。

不安3:残された自宅に住み続けられる?

配偶者が長年住んだ自宅にそのまま住み続けたいと願うのは当然のことです。この課題に対応するため、2020年4月1日から「配偶者居住権」が施行されました。

これは、配偶者が自宅に「住む権利」を、他の相続人が「所有する権利」をそれぞれ相続できる制度です。これにより、配偶者は自宅に住み続けながら、他の預貯金などもより多く相続できるようになります。

また、もし遺言で自宅が他人に渡っても、「配偶者短期居住権」により、最低6ヶ月間は無償で居住できるため、急な転居を避けられます。

ただし、配偶者居住権では自宅の売却や賃貸はできませんので、所有者となる相続人との間でトラブルにならないよう、事前にルールを決めることが大切です。

不安4:相続した土地の管理が負担?

相続した土地が遠方で利用予定がなく、管理費や固定資産税が負担となるケースは少なくありません。特に、前述の2024年4月1日からの相続登記義務化で、土地の管理はより重要な課題となります。

もし不要な土地であれば、2023年4月27日から施行された「相続土地国庫帰属制度」の活用も検討できます。これは、一定の要件を満たせば、土地を国に引き取ってもらえる制度です。

ただし、国の管理コスト転嫁を防ぐため、審査手数料や10年分の土地管理費相当額の負担金が必要です。

なお、相続登記の義務化に伴い、令和9年(2027年)3月31日までに行う相続登記には、登録免許税の免税措置が設けられている場合もあります(条件あり)。

相続に関する不安は尽きないものですが、早期に専門家へ相談し、知識を得て準備を進めることが何よりも大切です。

わたしたちは、不動産に限らず相続手続き全般のサポートが可能です。

相続財産の調査や相続人の確定、不動産をはじめ各種財産の名義変更、遺産分割や納税資金の手当てに関するアドバイスなど、多岐にわたるサポートができます。

どんな小さなお悩みでも、お気軽にご相談ください。皆さまの「安心」な未来をサポートいたします。

第18回 オンラインカジノは本当に合法?知られざる日本の法的リスクと落とし穴

近年、オンラインカジノの利用を巡るトラブルや報道が世間を騒がせています。

特に、著名人が関与したニュースは記憶に新しいのではないでしょうか。

多くの方が「海外のサイトだから大丈夫だろう」と安易に考えてしまいがちですが、実はその認識には大きな「落とし穴」が潜んでいます。

今回は、オンラインカジノを巡る日本の法律の現状と、多くの人が陥りやすい誤解について、司法書士の視点から詳しく解説していきます。

日本の「賭博罪」とオンラインカジノの現状

まず、日本の刑法における「賭博罪」についてご説明しましょう。賭博とは、結果が確実には予想できない事柄に対して金品を賭ける行為を指します。

日本の刑法では、原則としてこの賭博行為を禁じています。

しかし、ここには複雑な事情が絡んでいます。日本の法律には「国民の国外犯」という概念があり、一部の犯罪(殺人や放火など)は日本人が海外で行っても日本の法律で裁かれる対象となります。

ところが、賭博罪はこの国民の国外犯の対象外とされています。これはつまり、日本人が海外の国で合法的に運営されているカジノを利用して賭博を行うことは、日本の法律では罰せられない、ということを意味します。

この「海外での合法カジノはOK」という認識が、オンラインカジノに対する誤解の根源となっています。

オンラインカジノはサーバーが海外にあるため、「海外の合法カジノと同じ」と錯覚しがちですが、日本の刑法が問うのは「どこで賭博行為が行われたか」という点です。

日本国内からインターネットを通じてオンラインカジノに参加する行為は、現行の日本の法律下では間違いなく違法とされています。

広まった誤解の背景

なぜこれほど多くの人がオンラインカジノを「合法」だと誤解してしまったのでしょうか。その背景には、社会全体に浸透したある種のプロモーションも指摘できます。

特に、テレビCMなどで「オンラインカジノの無料版」が積極的に宣伝されていたことが挙げられます。

無料版は金銭を賭けないため賭博には当たりませんが、ここから「本物のオンラインカジノ」へと誘導されるケースが多く、あたかも有料版も問題ないかのような誤解を生んでしまったのです。

有名タレントやスポーツ選手が広告塔を務めていたことも、その信頼性を高めてしまった一因と言えるでしょう。

責任の所在と法の本質

この状況において、最も責任が問われるべきは、安易に広告を流したメディア側、特にテレビ局やラジオ局であると考えられます。

彼らはCMを放送する際に、その内容について審査を行う専門部署があるはずです。無料版から有料版への誘導があり、それが違法な賭博に繋がる可能性を認識しながらも、広告費欲しさにCMを流したとすれば、その責任は非常に重いと言わざるを得ません。

CMに出演したタレントやスポーツ選手は、その内容の違法性を知る由もなく、彼らを責めるべきではありません。

一方で、「賭博罪」が本当に必要なのかという議論も存在します。多くの国では、スポーツ賭博などが合法化されている地域も少なくありません。

日本においても、国や地方公共団体が胴元となる競馬、競輪、競艇といった「公営ギャンブル」や宝くじは合法とされています。

宝くじは構造的に見れば完全な賭博ですが、国が運営するものは法律で許可されています。この「一般人はダメで、政府はOK」という現状は、「賭博は本来、そこまで悪いことではないのではないか」という問いを投げかけます。

賭博を罪とすることには、確かに「ギャンブル依存症」による個人の破産や生活破綻を防ぐという建前があります。

実際に、依存症によって財産を失い、生活が立ち行かなくなる人は存在します。

私も、ギャンブルで借金を重ねてしまった多くの方の債務整理のお手伝いをしてきました。しかし、その一方で、賭博を犯罪とすることによる大きなマイナス面も存在します。

一つは、反社会的勢力(暴力団など)の資金源になるということです。もう一つのマイナス面は、多くの善良な一般市民を「犯罪者」にしてしまうことです。

違法性の認識が曖昧なまま、あるいは「みんなやっているから大丈夫だろう」という軽い気持ちで手を出してしまい、意図せずして法律を犯してしまう人が後を絶ちません。

今後の展望と利用への警鐘

今後、賭博に関する法制度が見直される可能性も議論されています。例えば、貸金業規制のように、年収の3分の1を超えるような高額な金銭を賭ける行為を規制対象とする、といった方策が議論されています。

また、ギャンブル事業者が得る収益の一部を、ギャンブル依存症の治療や支援を行う施設の運営費用に充てる、といった仕組みも有効でしょう。

多くの日本人は、自己責任の範囲内で娯楽としてギャンブルを楽しんでおり、ごく一部の人が依存症に陥るという実態を踏まえれば、このような立法政策は十分に合理性があると考えられます。

しかし、繰り返しになりますが、現行法の下では日本国内からのオンラインカジノ利用は違法です。

過去に多くの利用者がいたとしても、警察がその全員を立件することは物理的に困難です。

しかし、非常に頻繁に、あるいは多額の金銭を賭けている一部の利用者については、立件される可能性が十分にありますので、決して安易な気持ちで利用しないよう、くれぐれもご注意ください。

法律は社会情勢の変化に応じて見直されるべきものです。オンラインカジノを巡る現在の状況は、私たち国民が、そして政治家が、賭博に関する法制度のあり方を改めて深く考えるべき時期に来ていることを示唆しているのかもしれません。

もし、オンラインカジノの利用に関して不安や疑問をお持ちの場合は、お近くの法律の専門家にご相談いただくことをお勧めします。