相続――この言葉を聞くと、漠然とした不安を感じる方も少なくないのではないでしょうか。特に40代から70代の皆さまにとって、親御さんのこと、ご自身の将来のことなど、遺産分割や税金、そして何から手を付けて良いか分からないというお悩みは尽きないかもしれません。ご安心ください。適切な知識と早めの準備があれば、これらの不安は必ず解消できます。司法書士の時任が、皆さまの相続への「もやもや」を晴らし、「安心」に変えるための具体的な一歩をご案内します。
不安1:複雑な手続き、期限に間に合うか?
相続手続きは多岐にわたります。例えば、故人の死亡を知った日から7日以内の死亡届提出、相続を放棄するか限定承認するかは3ヶ月以内の検討が必要です。また、4ヶ月以内に準確定申告、相続税の申告・納付は死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内と、期限が定められているものも多数存在します。特に重要なのが、不動産の名義変更(相続登記)です。これまでは任意でしたが、され、に登記を行わないと10万円以下の過料の対象となりえますので、注意が必要です。複数の手続きで戸籍謄本などが必要な場合は、法務局が無料で提供する「法定相続情報証明制度」が便利です。相続関係を公的に証明する書類として、様々な手続きで活用でき、手間と費用を削減できます。
不安2:故人の預金が引き出せない?
故人名義の預金は、金融機関が死亡を知ると原則凍結され、遺産分割が終わるまで引き出せなくなります。しかし、ご安心ください。2019年7月1日からの民法改正により、残された遺族の当面の生活費や葬儀費用に充てるため、遺産分割前でも故人の預金の一部を引き出せるようになりました。引き出し額は、相続開始時の預金残高の3分の1に、引き出しを行う相続人の法定相続分を乗じた金額(ただし、同一金融機関につき150万円が上限)です。
不安3:残された自宅に住み続けられる?
配偶者が長年住んだ自宅にそのまま住み続けたいと願うのは当然のことです。この課題に対応するため、2020年4月1日から「配偶者居住権」が施行されました。これは、配偶者が自宅に「住む権利」を、他の相続人が「所有する権利」をそれぞれ相続できる制度です。これにより、配偶者は自宅に住み続けながら、他の預貯金などもより多く相続できるようになります。また、もし遺言で自宅が他人に渡っても、「配偶者短期居住権」最低6ヶ月間は無償で居住できるため、急な転居を避けられます。ただし、配偶者居住権では自宅の売却や賃貸はできませんので、所有者となる相続人との間でトラブルにならないよう、事前にルールを決めることが大切ですす。
不安4:相続した土地の管理が負担?
相続した土地が遠方で利用予定がなく、管理費や固定資産税が負担となるケースは少なくありません。特に、前述の2024年4月1日からの相続登記義務化で、土地の管理はより重要な課題となります。もし不要な土地であれば、2023年4月27日から施行された「相続土地国庫帰属制度」の活用も検討できます。これは、一定の要件を満たせば、土地を国に引き取ってもらえる制度です。ただし、国の管理コスト転嫁を防ぐため、審査手数料や10年分の土地管理費相当額の負担金が必要です。なお、相続登記の義務化に伴い、令和9年(2027年)3月31日までに行う相続登記には、登録免許税の免税措置が設けられている場合もあります(条件あり)。
相続に関する不安は尽きないものですが、早期に専門家へ相談し、知識を得て準備を進めることが何よりも大切です。わたしたちは、不動産に限らず相続手続き全般のサポートが可能です。相続財産の調査や相続人の確定、不動産をはじめ各種財産の名義変更、遺産分割や納税資金の手当てに関するアドバイスなど、多岐にわたるサポートができます。
どんな小さなお悩みでも、お気軽にご相談ください。皆さまの「安心」な未来をサポートいたします。