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The Real Challengers

挑戦者たちのリアル #02

夢を追う20年:諦めなかった男の物語

「受かるかどうかっていう、まじな専業の勉強を20年なんて絶対無理ですよ。
20年続けられるぐらいの温度の勉強です。だから、何の参考にもならないと思います。」

今回の挑戦者はTさん。彼の旅は長かった。2023年、43歳にして、ついに彼の夢が叶いました。数えて20回目の受験でした。冒頭はインタビューを求めた時の彼の正直な想いです。
しかしながら、Tさんの経験は、長期間の努力、持続力、そして挫折の感情に対する耐性を強調しています。20年間挑戦し続け、ついに辿り着いた彼のリアルがいまだ先の見えない同志たちの燈火となることを願います。

20年の歳月を振り返って、初めの頃のお話しを聞かせてください。
時任
時任
受験勉強を始めたの2002年(23歳くらいの時)でした。確か大学4年の時だったと思います。W(某大手予備校)の講座を受け始めました。初めて本試験を受けたのは翌年2003年7月でした。大学卒業後に、地元茨城に戻ってきて最初は塾講師のアルバイトをしていました。その後、阿見町の司法書士事務所に勤務しながら勉強を続けました。5年勤務し退職を決めたのですが、もう芽が出ないから全く別の業界で働こうと模索していました。その後、今勤務している事務所から、うちに来てみないかというお誘いを頂きました。2010年でした。本試験自体は毎年受験していましたが、中々結果が出ずという感じでした。
Tさん
受験期間が長くなるとボルテージが下がってしまいますよね。よく盛り返しましたね。
時任
時任
そうですね。何度も何度も試験に落ち、自分の限界を感じた時期もありました。しかし、2018年の結婚が大きな転機となりました。その年は、1次、2次ともに足切りをクリアしました。あと1歩で総合点に届かず合格には至りませんでしたが、自分の中で大きな自信となりました。
Tさん
その後、すぐに合格には至りませんでしたね。
時任
時任
はい、2019年以降、3年連続で足切りで不合格となりました。特に2019年の午前の足切りや、2020年、2021年の午後の足切りは深い失望を味わいました。それだけ近づいていても合格の扉は開かない、まさに何度も越えられない山に直面していました。しかし、2021年11月には一転して、私たち夫婦にとって最大の喜び、子供が生まれました。彼女の存在は私の心に新しい力を与えてくれました。そして2022年、20回目の受験でようやくその山を越えることができました。合格点はわずか0.5点の差だったのです。確かに、子供が生まれてからの勉強時間は限られましたが、彼女と妻の存在が私の最大の励みとなり、その力で最後の最後まで挑戦し続けることができました。彼女たちが私の足りない部分を埋めてくれたんです。
Tさん
0.5点ですか!本当にたった一つのミスが明暗を分けてしまうのですね。合格を知った時はどんな状況でしたか?またどんな心境でした?
時任
時任
仕事帰り、イーアス(ショッピングモール)でのちょっとした買い物を終えた際、車の中で合格発表のサイトを開きました。正直、仕事中に結果を見てしまうと、もし不合格だったらその後の仕事に集中できないと思って、我慢していました。見ている間、心臓がバクバクしていたのを覚えています。自分の番号を確認した瞬間、まるで大きな山を乗り越えたかのような安堵感に包まれました。 家に帰ったとき、奥さんは何気なく日常のことをしていました。彼女はその日が結果発表の日だとは知りませんでした。だから、「実は今日、結果が出て…」と声を震わせて話し始めたら、彼女の目が真剣になり、私の言葉を待ちました。合格したと伝えると、彼女は驚きと共に喜びの涙を流して私を抱きしめました。その瞬間、2人の絆を強く感じました。 周囲の反応も心温まるものでした。 特に職場の仲間たちが急遽祝賀会を開いてくれて、その気持ちには本当に感謝しています。
Tさん
情景が思い浮かび、鳥肌が立ちました。本当に良かったですね!
時任
時任
手が届きそうになったころの勉強スタイルはそれまでとは違いましたか?
時任
時任
本試験が終わって間をあけずに勉強をスタートさせたことと、自分がどこの分野が弱いのかを把握したことですね。具体的にはエクセルにして、本試験と模試も含めてデータを取り自分の弱点を把握してそこをつぶすようにしました。
Tさん
なるほど!自分の分析は大切ですね。
時任
時任
最後になりますが、司法書士受験生、特に何度も挫折を味わってきた人たちに向けて、何かアドバイスをいただけますか?
時任
時任
問題の相性みたいな運の要素もあると思います。足切りを越えるぐらいになってからは、順番待ちの要素がありますよね。もう圧倒的に突き抜けている人は関係ないんでしょうけど。私のように合格点近辺をさまよう人たちは、諦めずに続けるということに尽きると思います。 確かに、この試験には多くの壁があります。何度も足を取られ、心が折れそうになることもあると思います。でも、そのたびに人として成長すると確信しています。私自身、20年という長い時間をかけてようやく夢を叶えることができました。だから、皆さんも、その先に待っている光を信じてください。繰り返し挫折しても、その先には必ず勝利が待っています。自分を信じ続けること、ゆっくりでも絶えず前進することが、夢を現実に変えるカギだと感じています。
Tさん
20年の重みのあるお話、ありがとうございました。たくさんの人の励みになるお話だったと思います。
時任
時任